永遠の夫(ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレあり)・解説・感想

永遠の夫(フョードル・ドストエフスキー)の作品情報

タイトル
永遠の夫
著者
フョードル・ドストエフスキー
形式
小説
ジャンル
文学
執筆国
ロシア
版元
不明
執筆年
不明
初出
朝やけ、1870年1月号-2月号
刊行情報
新潮文庫
翻訳者
千種堅

永遠の夫(フョードル・ドストエフスキー)のあらすじ・概要

生涯ただただ“夫”であるにすぎない男、妻はつぎつぎに愛人を替えていくのに、その妻にしがみついているしか能のない“永遠の夫”の物語。ある深夜、ヴェリチャーニノフは、帽子に喪章をつけたトルソーツキーの訪問を受け、かつて関係のあった彼の妻の死を告げられる。……屈辱に甘んじながら演じられる男の不可解な言動、卑屈さと根強い復讐心に揺れ動く深層心理を照射した名編。

永遠の夫(フョードル・ドストエフスキー)の目次

作者

フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821年11月11日 – 1881年2月9日)

ロシアの小説家。思想家。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪である。代表作に『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』などがある。

永遠の夫(フョードル・ドストエフスキー)の刊行情報

千種堅訳『永遠の夫』新潮文庫

永遠の夫(フョードル・ドストエフスキー)の登場人物

パーヴェル・パーヴァロヴィッチ・トルソツキー
主人公。44歳。T市の役人。

ヴェリチャーニノフ
39歳。中年の貴族。9年前にトルソツキーの妻に子供を産ませてしまうがすぐ別れる。

ナターリア・ヴァシーリエヴナ・トルソツカヤ
トルソツキーの妻、奔放な女性。ヴェリチャーニノフとの間にできた子供リーザを夫に偽り娘として育てる。

リーザ
ナターリア・ヴァシーリエヴナとヴェリチャーニノフの間にできた娘、9歳。

クラウジヤ・ペトローヴナ・ポゴレーリツェヴァ
ヴェリチャーニノフの初恋の相手。今は8人の子持ちで、今も親友としてつきあっている。

永遠の夫(フョードル・ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレあり)

永遠の夫のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまで簡単に紹介しています。この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

永遠の夫のあらすじ【起】

ヴェリチャーニノフは39歳のれっきとした上流社会の男で、外見的には若々しく見えたが精神的にはかなりの衰弱が始まっていた。若かかりし頃の様々な挫折や恥辱が突然よみがえり彼の精神を圧迫することも多かった。なかでも、9年前にある街で人妻に子供を産ませ、そのまま別れてしまったことは彼の中で心の痛みとなっていた。

そんな時期に彼は突然、その夫であったトルソーツキイの来訪を受け、彼の妻ナターリヤ・ヴァシリーエヴナが3か月程前に亡くなったことを知らされる。トルソーツキイはひとかどの役人で猟官運動のためペテルブルグにきていたのだが、後日ヴェリチャーニノフが彼の宿泊先を尋ねると、9歳になるという娘リーザを紹介される。どうやらその娘は父親から虐待を受けているようだった。ヴェリチャーニノフはトルソーツキイの言動からその娘が自分と彼の妻と間にできた子供に間違いないことを確信する。

永遠の夫のあらすじ【承】

トルソーツキイという男はヴェリチャーニノフからみれば、ただただ夫であるということに終始し、妻の飾り物以上にはなろうとしないいわゆる「永遠の夫」であったが、この9年の間に確かに何かが変わっていた。ヴェリチャーニノフは、このまま娘を彼のもとに置いておいては危険なので職場探しの間だけでもと半ば強引にリーザを自分の知り合いのところに引き取った。しかし、引き取ってしばらくしてリーザは病に倒れる。ヴェリチャーニノフはトルソーツキイを探し出し、娘が危篤だと伝えるが、結局トルソーツキイは娘の前に現れず、娘はそのまま亡くなってしまう。

永遠の夫のあらすじ【転】

リーザの葬式が済み、1か月も経たない頃、ヴェリチャーニノフはリーザの墓の近くで偶然トルソーツキイと会う。彼はまもなく結婚するという。彼の結婚相手というのは15歳の娘で、どうやら親は結婚を承諾したようだが、娘の方はまったくその気はないようだった。しかもボーイフレンドもいるらしい。トルソーツキイに懇願されて結婚相手の実家をヴェリチャーニノフも一緒に訪ねることになるのだが、それはかえって逆効果で、結局トルソーツキイは程なくしてあなたにはすぐにでも私とここから帰ってもらわなくてはと言い出す始末だった。

その後、娘のボーイフレンドが、ヴェリチャーニノフの家にいたトルソーツキイを訪ねて来て、二人は愛し合っているのだから年寄りが変な邪魔をしないでほしい、とトルソーツキイに迫る。もちろんトルソーツキイは、拒絶したが、ボーイフレンドは、結局あなたが最後はあきらめざるをえない事になりますよ、と言って帰っていった。トルソーツキイは明日にでも実家に言ってあんな小僧っ子のいうことなんか叩きつぶしてやる、といきまいた。その夜、トルソーツキイはヴェリチャーニノフの家に泊まっていったが、夜中に突然ヴェリチャーニノフはナイフの様なもので切りつけられた。かろうじて相手を組み抑えたが、左手に傷を負った。ヴェリチャーニノフはどうにかトルソーツキイを鍵のかかった部屋に閉じこめたが、自分は彼に殺されかけた、しかし彼はその直前まで自分を殺そうとは思ってもいなかったに違いない、と確信した。

翌朝、トルソーツキイをそのまま帰した。ヴェリチャーニノフはなにかが吹っ切れたようだった。しかし、やがて彼はトルソーツキイが首をつるのではないかと心配になり、トルソーツキイのところへ向かおうと通りに出たが、そこであのボーイフレンドと出くわした。その青年が言うには、トルソーツキイはもう汽車に乗って街を出たと言う。青年はトルソーツキイと酒を飲み、さんざん彼からあなたのこと聞かされ、あなたへの手紙を預かってきたと言って手紙を差し出した。その手紙は、彼の妻が書いた手紙だった。ヴェリチャーニノフの所に届いた手紙とは別のもので、別れの手紙だったが、その中で彼女はいつか子供を引き渡す機会を見つけようと書いていた。結局、この手紙は出されず別の手紙をよこしたのだった。

永遠の夫の結末・ラスト(ネタバレ)

それから丸2年が過ぎ、ヴェリチャーニノフは自分がかかえていた訴訟にも勝ち、大金を手に入れた。そして人が変わったように精神的にもすっかり立ち直り、元気になった。その日は友人に会うために汽車に乗ってオデッサに向かうところだったが、途中の駅で彼は再びトルソーツキイの姿を目にすることになる。ヴェリチャーニノフは、汽車の待ち時間にたまたまホームで起こったトラブルに介入し、婦人とその親戚とみられる連れの若い将校を助けたのだが、その婦人がトルソーツキイの妻だったのである。トルソーツキイがちょうど用を足しにいっている間に起こったトラブルだったため、彼が戻って来ると婦人はトルソーツキイにくってかかった。弁解するトルソーツキイ、他方婦人から丁重に礼を言われ自邸への招待を受けるヴェリチャーニノフ。ヴェリチャーニノフは婦人の招待を喜んで受け入れると返事をしたが、もちろんそれは社交辞令だった。しかしトルソーツキイは真に受けて、まさか本当に家に来るのですか、とヴェリチャーニノフに青くなって問いただす。

ヴェリチャーニノフは、意地悪く、あなたが私を殺そうとなさった話でもしに行きましょうかと言ったが、もちろんそれは冗談だった。ヴェリチャーニノフは、伺いませんよと言って手のひらに傷のある左手をトルソーツキイに差し出しながら、握手を求め、手を引っ込めようとしたトルソーツキイに向かって、私が手を差し出しているんですから、あなただって手を握ったらいいじゃないですか、と叫んだ。トルソーツキイは、リーザのことは?と口の中でもぐもぐ言いい、唇をふるわせ、涙をみせた。そして動き始めた汽車になんとか飛び乗りトルソーツキイは去っていった。

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この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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