群青戦記(笠原真樹)のあらすじ(ネタバレあり)・感想

『戦国武将 VS 高校生アスリート』をテーマに、主人公を始めとする高校生が、高校の校舎もろとも戦国時代にタイムスリップし、戦に巻き込まれていく物語

群青戦記の作品情報

タイトル
群青戦記
著者
笠原真樹
形式
漫画
ジャンル
歴史
学園
アクション
執筆国
日本
版元
集英社
初出
週刊ヤングジャンプ、2013年39号~2017年29号
刊行情報
ヤングジャンプコミックス

群青戦記のあらすじ(ネタバレなし)

スポーツ強豪校の滋賀県・星徳高校。“甲子園”“国立”“花園”…憧れの全国の舞台を目指し、高校生達の青春はいつも輝いている。……はずだった。とある日、いつもと変わらず部活動に励んでいた放課後、赤い雨が降り注ぎ校舎全体が霧に包まれた…。突如、学内に襲い来る異形の武士!? 学外にそびえるは安土城!? 学校まるごと戦国時代にタイムスリップしてしまった!? 期待通りの舞台とは程遠い戦国時代!! 死にたくねーなら順応しろ!!
“戦国武将vs高校生アスリート”開戦!!

作者

笠原 真樹 かさはら・まさき

漫画家。2009年、ヤングマガジン第61回ちばてつや賞ヤング部門にて、『さちくらべ』で優秀新人賞を受賞。2011年、第116回ヤングジャンプ月例MANGAグランプリにて、『職業探検隊ハローワークス』で月間ベスト賞を受賞。同作が『週刊ヤングジャンプ』に掲載されデビュー。2013年『週刊ヤングジャンプ』にて、『群青戦記 グンジョーセンキ』の連載を開始。

群青戦記の刊行情報

『群青戦記 グンジョーセンキ』 集英社〈ヤングジャンプ・コミックス〉、全17巻

映画版

『ブレイブ 群青戦記』2021年
監督:本広克行、出演:新田真剣佑、三浦春馬、山崎紘菜、松山ケンイチ

群青戦記の登場人物

西野蒼(にしの あおい)
主人公。弓道部2年。いじめられてうだつのあがらない高校生の弓道部員であったが、ある日突然戦国時代にタイムスリップする。
弓道の腕は決して低くはないのだが、いざと言う時の本番に弱かった。しかし幅広い歴史の知識を有する歴史マニアでもあり、タイムスリップ後はその豊富な歴史の知識を活かして中心人物へと成長する。

松本考太(まつもと こうた)
剣道部主将、生徒会長。西野の幼なじみ。優等生であり生徒会長も務め、生徒達からも頼られるリーダー的存在。戦国時代への知識が深い西野に対し、「お前の得意分野だろ」と励まし、彼の行動を促した。

瀬野遥(せの はるか)
弓道部2年。考太の彼女。明るく人当たりの良い性格であり、弓道の腕も優れている。蒼も密かに憧れている。
学校に攻め入って来た秀吉達に連れ去られ、蒼達との交渉の材料として人質にされてしまう。

戸田義章(とだ よしあき)
卓球部2年。戦国時代に巻き込まれたが、卓球で鍛えたハンドスピードを応用した短刀の二刀流スタイルを用いてゲーム感覚で敵陣や猛者に突っ込む事を好んで戦う。登場人物の中でも、他人を殺害するという事をまったく躊躇うこと無く積極的に行動する狂気的とも言える性格。

不破瑠衣(ふわ るい)
星徳高校2年。

群青戦記のあらすじ(ネタバレあり)

群青戦記のストーリー(あらすじ)を簡単に紹介しています。この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

群青戦記 1巻のストーリーを紹介!

スポーツ強豪校の滋賀県、星徳高校の弓道部2年・西野蒼は戦国時代が大好きな歴史オタク。練習では的のど真ん中を射てるものの、メンタルが弱く本番では結果を残すことができていませんでした。

「戦国時代に生まれていれば活躍できたのに」という彼の妄想の通り、彼は学校ごと戦国時代にタイムスリップしてしまいます。人なんて殺せないのに、相手は刀を持って向かってきます。死生観も命の重さもまるで違う時代に放り出されたのです。

高校生活の日常的な放課後が、ある日突然校舎やグラウンドもろとも戦国時代という非日常へタイムスリップし、否応なく戦国の何でもありな殺し合いに巻き込まれていきます。残酷なシーンもあり、一緒にタイムスリップした生徒たちはどんどん命を落としてしまいます。

タイムスリップに順応できない教師たちがパニックに陥って命を落とす一方、生徒たちは目の前の異常事態を受け入れていきます。その意味では楳図かずお「漂流教室」的でもあり、戦国武将と戦うという意味では「戦国自衛隊」っぽさもありますね。

戦国時代ゆえに武将や兵士だけではなく農民(戦場で拾った刀や鎧を売って日銭を得ていたり)も武装しており、敵は武士だけではありません。第1巻からどんどん登場人物たちは命を落としておりハードな展開が続きます。

群青戦記 2巻のストーリーを紹介!

蒼たちが偵察に行っている間に秀吉軍が襲来。2巻では学校に攻めてきた秀吉軍の福島正則や蜂須賀小六との激戦になります。同級生の女の子がさらわれそうになる中、それを防ごうとする生徒たちの戦いが描かれます。

混乱の中、1巻では次々と命を落としていた学校の面々ですが、2巻では反撃が開始されます。現代スポーツ理論のもと練習を重ねていた高校生たちが、自分の部活の道具や技術で武将や兵士に戦いを挑んでいきます。

弓道、剣道、薙刀など武道系はもちろん、野球部や卓球部の生徒も奮闘します。卓球部・戸田のキャラが強いですね。

群青戦記 3巻のストーリーを紹介!

秀吉軍が襲来したものの、蒼ら高校生アスリートの活躍によりなんとか撃退に成功。ですが、その代償に、蒼の幼馴染である瀬野遥が秀吉にさらわれてしまいます。

3巻では秀吉に攫われた遥救出の為、作戦をたて、蒼たちは今浜城に向かいます。物語当初は頼りなかった高校生たちですが、実戦を経験したことと、生き残りが精鋭揃いになったことにより、善戦するようになっていきます。

生徒たちの中では蒼が参謀役、考太が行動役など徐々に役割分担も行われていきます。

群青戦記 4巻のストーリーを紹介!

3巻に続き、4巻では城攻めからスタート。そのまま城攻めが終わるまでが描かれます。

精鋭ぞろいの高校生たちでしたが、さすがに城攻めとなると一筋縄ではいきません。蒼は友人を失いつつも秀吉に歴史の真実を告げ講話することになります。その後は共に天下のため同盟を組むことになりました。

とにかくショッキングな内容の4巻です。1巻からどんどん登場人物は亡くなっていくのですが、4巻まで進んでから亡くなるとショックですね。

今後の方針も語られ、物語全体では序章が終わったという印象です。

群青戦記 5巻のストーリーを紹介!

学校と生徒を守るため、同盟という形ではあるものの秀吉の軍属に下った蒼一行。そんな蒼たちは秀吉と共に織田軍として信貴山城の戦いに参戦することになりました。

歴史の知識が豊富な蒼ですが、戦いは史実通りには進みません。戦いはある史実より有利なところもあれば不利なところも出てきます。

これまではサバイバル要素もあり、戦いには絶望的な雰囲気が出ていましたが、秀吉軍に加わったことにより、ホラー漫画の要素は薄まっているかもしれません。

群青戦記 6巻のストーリーを紹介!

信貴山城の戦いは“史実”では織田方が勝利した戦いです。初日の攻防では織田方は大苦戦。蒼たちは、信長が求める名茶器・平蜘蛛を目指します。

6巻の見所は何と言ってもフェンシングvs柳生流という異種武道戦でしょう。別の時代、別の武道ながら、熱い戦いが繰り広げられます。現実で自殺したと思われていた生徒が戦国時代では生きていて、信長の秘密を握ってることも明かされて物語が進んでいきます。

群青戦記 7巻のストーリーを紹介!

信貴山城の戦いに勝利し、蒼たちは平蜘蛛を手に入れます。そんな蒼の活躍のお陰で高校生たちは、無事に校舎を領土として手に入れることができました。

つかの間の休息を楽しんでいましたが、れたが、平蜘蛛をお披露目するためのお茶会へ招待されることになります。その茶会には、柴田勝家、丹羽長秀、そして徳川家康も来るというのです。

蒼は織田信長とついに面会することになりますが、信長は史実とはまったく違う印象の人物でした。信長は現実で死んだはずの2人と光秀に操られていたのです。

信長についての情報が明かされ、タイムスリップ先の日本がこのまま史実通りに進行するのかは怪しくなってきました。蒼たちは毛利攻めを行うために中国地方へと向かいます。

史実に介入するものと、それに振り回されるものと聞くと、かわぐちかいじの『ジパング』を思い出します。

群青戦記 8巻のストーリーを紹介!

蒼は、苦労して奪取した“平蜘蛛の茶釜”お披露目の茶会で、徳川家康と運命の出会いを果たします。そして2人は意気投合し、いつの日かの再会を約束するのでした。一方、現代で自殺したはずの高校生・不破瑠衣と木本徹が戦国の世に生きており暗躍していることが描かれていきます。

そんな2人は「毎日、戦争がしたい」「史実とは違うことをしたい」と危険な思想を持ち合わせていたのでした。蒼はそんな2人の思惑を知ることはありませんが、警戒を強めていきます。

一方、秀吉軍は名軍師・黒田官兵衛を迎え入れ、中国征伐を開始。史実では備中高松城を攻めている途中で本能寺の変が起きますが、“史実”にはない出来事が起こっていきます。

群青戦記 9巻のストーリーを紹介!

8巻に続き、蒼たちは秀吉軍の一員として中国攻めを戦っていきます。そんな中、“徳川家康vs上杉謙信”という史実には無い死闘が発生。その結果、家康は敗れ、“天下泰平”の願いを蒼に託し、史実より39年早く命を落としてしまいます。

蒼は悩んだ末、家康の遺志を継ぐことを決意します。かたや軍師・黒田官兵衛は信長の凶兆を感じ取り、その安否を確認し命を守るため、蒼ら一部の精鋭高校生部隊と安土へと急行することになりました。

蒼たちが忙しく動き回る中、学校を守るために藤岡と、とある雑兵が一緒になって戦っていた。そして蒼は石田三成と出会う。

群青戦記 10巻のストーリーを紹介!

“天下泰平”への思いが通じ合い伊賀の忍者衆の協力を得た蒼たちは、“本能寺の変”を防ぐための戦いとして、明智光秀・柴田勝家らの連合軍に挑みます。信長の寝込む伊賀の里戦から光秀の住む安土城戦と目まぐるしく戦いが展開されます。柴田勝家が火炎放射器を振り回していたりと、敵も現代兵器で立ち向かってきます。

蒼は石田三成、服部半蔵の孫・凪らとともに、隠密部隊として安土城へ忍び込み、光秀のいる天主を目指して進んでいきます。

群青戦記 11巻のストーリーを紹介!

史実より早く“本能寺の変”を画策する謀反者・明智光秀を討伐するための戦いが描かれます。光成に対峙するのは石田三成。そして蒼は信長を操る不破との対決に挑みます。

体調の悪化が著しいと思われていた信長ですが、ここに来て完全復活を果たし、蒼も功績が認められて城主になることになりました。そして不破が口にした「現代に帰る唯一の手段」から元の時代へと帰る方法を模索していくことになります。

群青戦記 12巻のストーリーを紹介!

ついに完全復活を果たした魔王・織田信長。ですが、“武”を持って天下統一を果たすという脅威までも、取り戻し始めていく事になってしまいました。これは、徳川家康の“遺志”を継ぎ、“世”そのものを変え、“天下泰平”を目指す蒼とは真逆の発想なのです。

明智光秀亡き今、蒼たちは元の世界へ帰るために、史実通り信長を本能寺で討とうと考えます。ですが、その信長は自分の力を示すように高校を焼き払ってしまいました。

戦いの中ですが、凪と蒼は徐々に距離も縮まり始め、なにやら親しげな雰囲気。新ヒロイン誕生といった感じですね。

群青戦記 13巻のストーリーを紹介!

信長に学校を焼き払われた事で、蒼たちは“本能寺の変”を自分たちで起こすために動き始めます。まずは、織田軍との圧倒的な戦力差を埋めるため、伝説の忍者・服部半蔵に師事し、戦力アップを目指す修行に励む事になりました。その最終試練として“本能寺の変”の模擬戦“武田攻め”が始まります。

そんな武田攻めは高校生たちが主体。今まで助けてくれた強い大人たちは手を貸してはくれません。そして徳川家では、家康の跡を継ぐ後継者レースも始まります。家康と仲が悪かったとも言われる徳川信康はまるでチンピラのようでした。

群青戦記 14巻のストーリーを紹介!

家康の正統な後継者である長男・信康は家康とは真逆の思想で、“武”のみに頼る“天下統一”を目指している人物でした。蒼と信康は、武田勝頼の首級を先に獲った方が当主となり、蒼が遅れを取った場合は自害する条件で徳川家の家督を懸けた戦いに挑む事になります。

史実通り?武田家は滅亡。信康は彼を見限った井伊直政に斬られてしまいます。家康の遺言があったおかげで蒼は徳川家臣団を率いることになりました。

恋愛編では凪との距離が縮まり正ヒロインに。結束を誇った三河武士を手中に収めることになりますが、実際はもう少し反発や抵抗が起こりそうだなとも思いました。

群青戦記 15巻のストーリーを紹介!

“武田攻め”に勝利した蒼は、徳川家の養子となった服部半蔵の娘・凪を妻にもらう事、そして仮ではあるが徳川家の当主の座を認められます。ですが、この時代は家臣の自由な婚姻は認められていません。蒼は決死の覚悟で信長に婚姻の申し出を行い、ついに許可をもらうことができました。

更には“祝儀”として旧武田領も統治することになります。徳川領と合わせて、一躍“大大名”になったのでした。しかし婚姻の儀の最中に凪は人質にされてしまい、物語は本能寺の変へと向かい始めます。

群青戦記 16巻のストーリーを紹介!

凪が突如“人質”に奪われてしまい、絶望の底に突き落とされた蒼。我を失いかけるほどショックを受けますが、凪の父・服部半蔵に諭され”天下泰平”に向けて動き始めます。

そしてこの戦国時代に徳川家康を討った仇敵・上杉謙信に接近。謙信と協定を結ぶ事で信長暗殺に向けた計画を始動させます。ついに本能寺の変が始まりますが、果たして信長を討ったところで現代に帰ることができるのか。

本能寺の変では応戦する竹中半兵衛や森兄弟に注目です。

群青戦記 17巻のストーリーを紹介!

史実よりも早い光秀や家康の死を乗り越えて本能寺の変に辿り着いた蒼たち。その本能寺の変の決着までが描かれます。

ラストは少し駆け足気味だったのかなと感じますが、伏線は回収。ただ石田三成や織田信忠など気になる面々が残ることになりました。「第一部完」とのことなのでいずれ続きも描いてほしいと思います。

群青戦記の感想・解説・評価

高校生たちが部活の知識を武器に戦うアクション漫画

本作は戦国時代にタイムスリップした高校生たちが生き残りを図るため、それぞれの所属する部活の道具や知識を活用して戦っていくアクション漫画です。

序盤は戦国時代に放り出された面々のトラブルが描かれます。1巻からどんどん登場人物は亡くなっており、サバイバルホラー漫画の様相を呈しています。モブキャラだけではなく、主要メンバーも命を落とし心が痛みます。

そんな高校生たちも徐々に実戦経験を積み成長していきます。精鋭集団となった彼らが、現代のスポーツ理論や知識を武器に戦っていく様子を楽しめる作品です。

タイムスリップした後は?

タイムスリップものの注目点は、最後がどうなるのか?というところでしょう。全員が亡くなってしまうのか、その時代で生きていくのか、元の時代へと戻ることができるのか。

17巻で連載は終了しましたが、「第一部完」となっており、のちの展開への含みが持たされることになりました。

その上でも「読んで損はないかな」と思っています。ラストがグダグダになってしまう作品もありますが、『群青戦記』はやや駆け足気味なもののラストには伏線を回収しちゃんと大団円へと持っていきました。初連載作品でこのラストを描けたのは見事だと思います。

合わせて読みたい本

漂流教室

楳図かずおのホラーコミックです。本作と同じく学校の校舎全体が別の場所へと飛ばされてしまいます。群青戦記は高校ですが、漂流教室は小学校です。

校舎の外は砂漠が広がっており、時代はもちろん国もわかりません。学校の中での人間の争いを醜く描いたかと思いきや、学校の外への探索などドキドキもさせられます。

徳川家康(横山光輝)

史実の戦国時代はどうなっていたのかが気になった場合におすすめなのは横山光輝の徳川家康です。物語は家康の父・広忠の時代からスタート。家康が生まれる前の松平家(徳川家)の様子や、岡崎城で自立するまで、息子・信康との関係も丁寧に描かれます。

群青戦記の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
右手

平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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