対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)の概要・解説・感想

対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)の作品情報

タイトル
対訳 ジョン・ダン詩集
著者
ジョン・ダン
形式
ジャンル
宗教詩
諷刺詩
書簡詩
執筆国
イギリス
版元
不明
執筆年
不明
初出
不明
刊行情報
岩波文庫、1995年
翻訳者
湯浅信之

対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)のあらすじ(ネタバレなし)

作者

ジョン・ダン(1572 – 1631)

イングランドの詩人、作家、イングランド国教会の司祭。カトリックの家の生まれで、イングランド国教会に改宗するまで宗教的迫害を経験。大胆な機知と複雑な言語を駆使し、恋愛詩、宗教詩、講話を書く。形而上詩人の先駆者とされる。代表作に『蚤』、『日の出』といった唄とソネット、「死よ驕るなかれ」の一節で知られる『聖なるソネット10番』や『冠』といった宗教詩がある。

対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)の刊行情報

  • 湯浅信之訳『対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)』岩波文庫、1995年

対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)の感想・解説・評価

恋愛、諷刺、追悼、宗教詩を集めた詩集

本書はジョン・ダンの詩を幅広く収録した詩集になっている。当時の流行もあったようだが、初期の恋愛詩から諷刺詩、知り合いの娘さんが亡くなった命日に贈った追悼詩、後期の宗教詩とそのジャンルは幅広い。

その表現についても、コンシードという奇想を用いたり(「風が吹けば桶屋が儲かる」というような全く関係ない物事を繋げること)、セント・ポール大聖堂の首席司祭というエリートの身でありながら、低俗な表現も用いたことが特長として挙げられる。とはいえ、文学や宗教的な知識も豊富で、専門的&学術的な用語も頻出しているところが興味深い。

歴史的に言えばダンは才能ある詩人として名を残し、国会議員や首席司祭も務めた名士だったが、経済的には困窮していた。この詩集にはそんな二律背反の人生を歩んだ彼の足跡が反映されている。

宗教的な内容も含まれているが、テーマの愛や死は現代日本にも通じるところがあるだろう。

初学者に優しい対訳

同世代を生きたシェイクスピアは有名でも、現在の日本でジョン・ダンの名前はあまり知られていない。訳書も少ない中でダンの詩集を読む人と言えば、他の作品からダンの名前を知った人が多いと思う。例えばヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』というタイトルはダンからつけられている。

本書では冒頭にダンの詳細な伝記を収録。ダンの事を知らない人でもまずどのような人物なのかを知ることができる。また各章の前にはダンの各詩の特長や歴史的背景・事情を記載してくれているのも理解を助ける。原文と訳文が左右のページで同じ列になるように編集されており、見比べて読むことができるようになっている、また「still=always」のように日本だと意味の通じやすい語を注釈で紹介しているのも助けになるだろう。

単に興味を持ったという人から、英文学を専門的に学んでいる人まで幅広い人におすすめできる一冊となっている。

合わせて読みたい本

ジョン・ダン全詩集

全詩集を読むのならこちら。

貴重な本でお値段もなかなかするので、ぜひ図書館で探してみて下さい。

対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)の評判・口コミ・レビュー

タイトルとURLをコピーしました