乙嫁語り(森薫)のあらすじ(ネタバレあり)・解説・感想

19世紀後半の中央アジア、カスピ海周辺の地域を舞台に、「乙嫁」をキーワードに、厳しい自然の中に生きる人々の生活と文化、時に人間の愚行を織り交ぜた物語を緻密で丁寧な画で描く。

乙嫁語り(森薫)の作品情報

タイトル
乙嫁語り
著者
森薫
形式
漫画
ジャンル
時代
異国
中央アジア
恋愛
執筆国
日本
版元
KADOKAWA
初出
Fellows!、volume1~volume26
ハルタ、volume1
刊行情報
ビームコミックス
受賞歴
全国書店員が選んだおすすめコミック2010第2位
全国書店員が選んだおすすめコミック2011第15位
全国書店員が選んだおすすめコミック2012第11位
マンガ大賞2011第2位
マンガ大賞2013第2位
マンガ大賞2014大賞
フランス・アングレーム国際漫画祭2012世代間賞
アメリカ・全米図書館協会、10代向けグラフィックノベル・ベスト10選出

乙嫁語り(森薫)のあらすじ(ネタバレなし)

美貌の娘・アミル(20歳)が嫁いだ相手は、若干12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは結ばれるのか……? 『エマ』で19世紀末の英国を活写した森薫の最新作はシルクロードの生活文化。馬の背に乗り弓を構え、悠久の大地に生きるキャラクターたちの物語!

乙嫁語り(森薫)の目次

作者

森 薫(1978年9月18日 – )

漫画家、同人作家。東京都出身。高校生の頃から漫画を描き始め同人誌活動を行なっていた。同人即売会にて編集者に声をかけられ、2001年発行の『コミックビーム』2002年1月号に掲載された『エマ』第1話でデビュー。代表作に『エマ』『乙嫁語り』など。

乙嫁語り(森薫)の刊行情報

森薫 『乙嫁語り』KADOKAWA〈BEAM COMIX〉、既刊11巻(2018年12月15日現在)

乙嫁語り(森薫)の登場人物

アミル・ハルガル
カルルクの妻。物語開始時点では20歳。弓が上手、姐さん女房、何でもさばける、野生、天然、強い、でも乙女、でもお嬢様とぶちこめるだけぶち込んだキャラクターとなっている。20歳という、この時代のこの地域では相当の「行き遅れ」となってからの嫁入りだったが、夫婦仲は良好。夫のカルルクに対しては、当初は年齢差もあってか保護者的な対応をしていたが、彼の成長に伴い純粋に男性としての魅力を感じ始めている。

カルルク・エイホン
アミルの夫。物語開始時点では12歳。思いやり溢れる、穏やかな性格の少年。エイホン家の末子で跡継ぎ。 8歳という歳の差のためか、体調を崩した時などアミルから過保護な扱いを受けることがあるが、いざとなれば妻を護ろうと体を張る男気にも満ちている。

アクンベク
カルルクの父。どっしり落ち着いた雰囲気の、エイホン家の当主。

サニラ
カルルクの母。物静かな美女。

バルキルシュ
カルルクの祖母。気骨あふれる女傑。実家はハルガル家に連なる一族で、族長のベルクワトとも面識がある。アミル同様に弓を嫁入り道具として持参しており、扱いにも長ける。

セイレケ
カルルクの姉。弟一家と同居している。
明るい性格だがそそっかしいところがある。子供を厳しくしつけようと心を砕いているが、怒ると時々やりすぎることがある。

パリヤ
エイホン家の近所に住む、年頃の少女。嫁いできたアミルの町で初めて出来た友人。 正義感が強く、物事をはっきり言う性格。しかし口下手な上、感情が顔に出やすいのが悪い方向に作用し、他人から不機嫌、怒っているなど誤解されるために友人が少ない。さらに同じ年頃の少年に対しては人見知りして、ついそっけない態度や厳しい発言をとってしまい、後で自己嫌悪に落ち込むこともしばしば。

乙嫁語り(森薫)のあらすじ(ネタバレあり)

乙嫁語りのストーリー(あらすじ)を簡単に紹介しています。この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

乙嫁語り1巻のストーリーを紹介!

19世紀後半の中央アジア。街に定住するエイホン家の跡継ぎであるカルルクのもとに、北方の移牧民(半定住・半遊牧民)ハルガル家から20歳の花嫁、アミルが嫁いできた。花婿カルルクはまだ12歳。それでも二人は互いを大切にし、少しずつ夫婦の絆を深めていく。

ハルガル一族らの住む北方は、ロシアの侵攻で緊張状態にあった。ハルガルは有力部族のヌマジに娘を嫁がせることで縁をつなぎ、牧草地の共有権を得ることで命脈を保っていたが、乱暴に扱われた娘たちは次々に若死にし、共有権を失うという危機に立たされていた。そこでアミルの叔父たちは、すでに嫁に出したアミルを連れ戻して嫁がせようと考え、アミルの兄アゼルと従兄弟たちをエイホン家に向かわせる。

身勝手な要求に驚き、拒絶するエイホン家の人々を無視し、アゼルらは強引な行動に出るが、バルキルシュの一喝に追い払われた。一方、どうしてもアミルを連れ戻したい叔父たちは、アゼルらを叱責し、自ら乗り込んでくる。エイホン家はハルガル家と対立することになってしまった。

乙嫁語り2巻のストーリーを紹介!

事態もひとまず落ち着き、スミスは友人に会うため、親しんだエイホン家の人々に別れを告げアンカラへと向かう。ところが次の街、カラザで落ち合うはずの案内人と出会えず、訪ね歩いた隙に荷物ごと馬を盗まれてしまった。そこへ同じように馬を盗まれた美しい婦人、タラスが現れる。彼女は未亡人で、馬は亡き夫の大切な遺産だった。

数日を一緒に過ごすうちに、スミスとタラスはそれぞれに相手に惹かれるようになっていく。しかしスミスの存在を邪魔に思ったタラスの義叔父の密告により、スミスは諜報員の疑いをかけられ、拘留されてしまう。ようやく会えた案内人、アリの機転で釈放されたスミスは、タラスと互いの愛情を確認しあい、金無垢の懐中時計を結納金として手渡し、婚約を取り交わした。

乙嫁語り3巻のストーリーを紹介!

ムナクの村の近くまで来た時、傷心のために寝付けなかったスミスは、寝不足のため乗っていたラクダから滑り、湖に転落してしまう。危うく溺れかけたところを、湖に漁に出ていた双子の姉妹、ライラとレイリに助けられたスミスは、道中の用心に医者を名乗っていたため、双子の家に案内される。

双子の祖父は軽い脱臼症状に悩んでいた。スミスは故国で父の手当てに慣れていたため、いとも簡単に治すが、それが近所の人々の間で名医との評判を呼ぶ。翌日、双子に叩き起こされたスミスは、医者を求めて近隣の人々が集まっている様子を見て仰天する。

結婚適齢期にあたっていたライラとレイリは、玉の輿を夢見て人騒がせな婿探しを繰り広るが、紆余曲折の末、幼馴染のサーム、サーミ兄弟と結婚することとなった。

乙嫁語り4巻のストーリーを紹介!

そのころ、ヌマジの牧草地を追い出され、一族の存亡の危機を迎えつつあったハルガルの長、ベルクワトは、遠縁のバダン一族の協力を得て、エイホン家のある町を占領しようと画策、奇襲を仕掛ける。突然仕掛けられた戦争に、街の人々は必死で立ち向かう。カルルクとアミルもまた、エイホン家の一人として弓を放ち、剣を抜いて戦っていた。

ところが裏でロシアと通じていたバダンは、共闘すると騙してハルガルを街もろとも攻め落とし、支配するつもりだった。味方と信じたバダンの裏切り砲撃に遭ったハルガル一族はパニックに陥るが、事態を予測していたアゼルの指揮で脱出を試みる。

アゼルはバダンの族長を討ち取ったが、混乱の中で街の人々に敵として襲われ、捕えられて処刑寸前となる。しかし、街の人々を傷つけず、守ろうとした行動が認められ、土地の支配者の介入もあって命は救われた。

乙嫁語り5巻のストーリーを紹介!

ペルシアにやってきたスミス一行は、土地の富豪の客として歓待される。富豪の妻アニスは、優しい夫と何不自由ない生活に恵まれながらも、友人と呼べる相手のいない寂しさを抱えていた。彼女の悩みを聞いたマーフは、「姉妹妻」を持つことを勧め、相手探しに公衆浴場へでかけることを提案する。初めて訪れた公衆浴場で、アニスは遊び相手のペルシャ猫を連想させるような美女、シーリーンと出会う。

意気投合した二人は友人となり、アニスは思い切って姉妹妻の申し込みをする。シーリーンも喜んで承諾し、公衆浴場で知り合った仲間たちの取り持ちで、契りの儀式が行われるが、そこへシーリーンの夫が倒れたという凶報が飛び込んでくる。

アニスはようやく出来た親友の身の上を我がことのように案じ、彼女を救うため、夫の第二夫人として迎えることを思いつく。

乙嫁語り6巻のストーリーを紹介!

ハルガルたちの襲撃により家を失ったパリヤの一家は、再建までエイホン家に居候することになる。また、パリヤが嫁入りにと準備していた布なども襲撃で燃えてしまい、一から作り直すことになってしまった。

刺繍が得意ではないパリヤだったが、バルキルシュの「誰かを想って縫う」というアドバイスによって、パリヤの父母も見直す出来栄えとなる。

そんな中、パリヤはエイホン家からお使いを頼まれ、ウマルが馬車での送迎を申し出る。ところがその帰り道で思いがけない人助けをしたため、一泊することになってしまった。「結婚前の男女が連れ立って外泊する」という重大事件に慌てた両家の親は、互いに二人を正式な婚約者として認め合うことで体裁を取り繕い、結果的に二人の縁談が急速に進んだ。

乙嫁語り7巻のストーリーを紹介!

スミスとアリは、道中でさまざまなトラブルに見舞われつつも、無事アンカラに到着した。そこで待っていたスミスの友人、ホーキンズは、緊迫した情勢を挙げて帰国を薦めるが、スミスは、訪れた地の文化が戦災で失われる前に記録しておかなければいけない、として譲らなかった。

より正確で詳細な記録を残すべく、スミスは湿板写真機を手に入れ、新たな旅の準備を始める。そこへカラザの町で別れたはずのタラスが現れた。タラスは義父によって再婚したものの、新たな夫に事情を打ち明け、理解を得てスミスに会うべくアンカラまでやってきていたのだ。使用人としてでもそばに置いてほしいと懇願するタラスに、スミスは自分のほうこそお願いしたいと告げ、捨てた時計の変わりに印章に使う指輪を贈り、あらためて求婚した。

乙嫁語り(森薫)の感想・解説・評価

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この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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