桜の森の満開の下(坂口安吾)のあらすじ(ネタバレあり)・感想

ある峠の山賊と、妖しく美しい残酷な女との幻想的な怪奇物語。桜の森の満開の下は怖ろしいと物語られる説話形式の文体で、花びらとなって掻き消えた女と、冷たい虚空がはりつめているばかりの花吹雪の中の男の孤独が描かれている。

桜の森の満開の下の作品情報

タイトル
桜の森の満開の下
著者
坂口安吾
形式
小説
ジャンル
短編小説
執筆国
日本
版元
真光社
初出
『肉体』1947年6月・創刊号(第1巻・第1号)
刊行情報
下記

桜の森の満開の下のあらすじ(ネタバレなし)

昭和初期に活躍した「無頼派」の代表的作家である坂口安吾の小説。初出は「肉体」[1947(昭和22)年]。通る人々が皆「気が変になる」鈴鹿峠の桜の森。その秘密を探ろうとする荒ぶる山賊は、ある日美しい女と出会い無理やり妻とする。しかし、それが恐ろしくも哀しい顛末の始まりだった。奥野建男から「生涯に数少なくしか創造し得ぬ作品の一つ」と激賞された、安吾の代表的小説作品。

作者

坂口 安吾 さかぐち・あんご(1906年10月20日 – 1955年2月17日)

小説家。昭和の戦前・戦後にかけて活躍した近現代日本文学を代表する作家の一人である。

新潟県新潟市出身。東洋大学印度哲学倫理学科卒業。純文学のみならず、歴史小説や推理小説も執筆し、文芸や時代風俗から古代歴史まで広範に材を採る随筆など、多彩な活動をした。代表作に『堕落論』『白痴』『桜の森の満開の下』『不連続殺人事件』。

桜の森の満開の下の刊行情報

『いづこへ』(真光社、1947年5月15日)
『桜の森の満開の下』(講談社文芸文庫、1989年4月3日)

坂口安吾全集 5』(ちくま文庫、1990年4月24日)
桜の森の満開の下・白痴 他十二篇』(岩波文庫、2008年10月16日)

漫画版

近藤ようこ『桜の森の満開の下』(ビッグコミックススペシャル、2009年3月30日)

萩原玲二、タナカコージ『桜の森の満開の下・夜長姫と耳男』(ホーム社、2010年9月10日)

映画版

映画『桜の森の満開の下』1975年
監督:篠田正浩、出演:若山富三郎、岩下志麻

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桜の森の満開の下のあらすじ(ネタバレあり)

桜の森の満開の下のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまで簡単に紹介しています。この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

桜の森の満開の下のあらすじ【起】

昔、鈴鹿峠に山賊が棲み着いた。通りがかった旅人を身ぐるみ剥がし、連れの女は気に入れば自分の女房にしていた。

山賊はこの山のすべて、この谷のすべては自分の物と思っていたが、桜の森だけは恐ろしいと思っていた。桜が満開のときに下を通れば、ゴーゴーと音が鳴り、気が狂ってしまうのだと信じていた。

桜の森の満開の下のあらすじ【承】

ある春の日、山賊は都からの旅人を襲って殺し、連れの美女を女房にした。亭主を殺された女は、山賊を怖れもせずにあれこれ指図をする。

女は山賊に、家に住まわせていた七人の女房を次々に殺させた。ただ足の不自由なビッコの女房だけは女中代わりとして残した。わがままな女はやがて都を恋しがり、山賊は女とともに山を出て都に移った。

桜の森の満開の下のあらすじ【転】

都で女がしたことは、山賊が狩ってくる生首をならべて遊ぶ「首遊び」であった。

その目をえぐったりする残酷な女は次々と新しい首を持ってくるように命じるが、さすがの山賊もキリがない行為に嫌気がさした。

山賊は都暮らしにも馴染めず、山に帰ると決めた。女も執着していた首をあきらめ、山賊と一緒に戻ることにした。

出発のとき、女はビッコの女に向って、じき帰ってくるから待っておいで、とひそかに言い残した。

山賊は女を背負って山に戻ると、桜の森は満開であった。山賊は山に戻ったことがうれしく、忌避していた桜の森を通ることを躊躇しなかった。

桜の森の満開の下の結末・ラスト(ネタバレ)

風の吹く中、桜の下をゆく山賊が振り返ると、女は醜い鬼に変化していた。全身が紫色の顔の大きな老婆の鬼は山賊の首を絞めてきた。山賊は必死で鬼を振り払い、鬼の首を締め上げた。

我にかえると、元の通りの女が桜の花びらにまみれて死んでいた。山賊は桜吹雪の中、声を上げて泣いた。

山賊が死んだ女に触れようとするが、女はいつのまにか、ただの花びらだけになっていた。そして花びらを掻き分けようとする山賊自身の手も身体も、延した時にはもはや消えていた。あとに花びらと、冷めたい虚空がはりつめているばかりだった。

桜の森の満開の下の感想・解説・評価

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桜の森の満開の下の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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