三四郎(夏目漱石)のあらすじ(ネタバレあり)・感想

九州の田舎から東京へと出てきた小川三四郎が、都会の様々な人との交流から得るさまざまな経験、恋愛模様を描かれていた青春小説。

三四郎(夏目漱石)の作品情報

タイトル
三四郎
著者
夏目漱石
形式
小説
ジャンル
青春
恋愛
執筆国
日本
版元
春陽堂
初出
朝日新聞、1908年9月1日~12月29日
刊行情報
下記

三四郎(夏目漱石)のあらすじ(ネタバレなし)

熊本の高等学校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎は、見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で、自由気儘な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく……。青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて『それから』『門』に続く三部作の序曲をなす作品である。

三四郎(夏目漱石)の目次

作者

夏目 漱石 なつめ・そうせき(1867年2月9日 – 1916年12月9日)

小説家、英文学者。江戸の牛込馬場下横町(東京都新宿区喜久井町)生まれ。帝国大学(東京大学)英文科卒業後、愛媛県尋常中学校教師(松山)、第五高等学校教授(熊本)などを歴任し、イギリスへ留学。帰国したのち、東京帝国大学講師の傍ら、『吾輩は猫である』を雑誌『ホトトギス』に発表しデビュー。小説が話題になると講師の職を辞して朝日新聞社に入社し、『虞美人草』『三四郎』『こころ』などを連載した。現代にいたるまで読み継がれており、後世への影響も絶大である。

三四郎(夏目漱石) の刊行情報

『三四郎』岩波文庫

『三四郎』角川文庫

おすすめ『三四郎』新潮文庫

映画版、アニメ版関連動画

『夏目漱石の三四郎』東宝、1955年
中川信夫監督、出演:山田真二、八千草薫、笠智衆、土屋嘉男

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三四郎(夏目漱石) の登場人物

小川 三四郎
主人公。大学入学に合わせて、九州から上京した。大学一部文科一年生。数え年で23歳。

三四郎の母
京都郡真崎村の地主。東京の三四郎に仕送りをしている。「東京の者は気心が知れないから私はいやじゃ」と三四郎と幼馴染との結婚を望んでいる。

里見 美禰子(みねこ)
自由放任主義で育った都会の女性。三四郎の憧れの女性。

佐々木 与次郎
三四郎が大学で出会った友人。

野々宮 宗八
三四郎の同郷の先輩。30歳。理科大(現在の東京大学理学部工学部)で光線の圧力の研究をしている。

三四郎(夏目漱石)のあらすじ(ネタバレあり)

三四郎のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまで簡単に紹介しています。この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

三四郎(夏目漱石)のあらすじ【起】

東大に合格し郷里の九州から上京することになった23歳の小川三四郎は真面目な青年だ。たまたま列車に乗り合わせ、間違って相部屋にされた女性にも必要以上に気を使い、別れ際に「貴方はよっぽど度胸のない方ですね」と言われれば、「二十三年の弱点が一度に露見したような心持ち」でしょげてしまう。そんな三四郎は女性という生き物に対する免疫などまったくなかった。

上京した三四郎は帝都・東京の人の多さに辟易していた。ある日、講義に遅刻しかけた三四郎は近道として選んだ大学構内の池のほとりで団扇を手にした若く美しい女性・里見美穪子を偶然目にする。一目惚れした三四郎は、すっかり講義に出る気をなくし、講義を珍しくサボってしまう。

三四郎は、同じく講義をサボって抜け出した友人・佐々木与次郎と出くわし、洋食屋「淀見軒」でカレーライスを食べる。三四郎は与次郎から「つまらない講義に耳を傾けるより、世間の風というものを入れ給え」と忠告される。

与次郎から、教師の野々宮宗八が探していたと聞かされた三四郎。さっそく三四郎は宗八に会いに行く。三四郎は自宅に誘われ、本郷を散歩することになる。7つ年上で30歳の宗八は散歩の途中に用品店で女物のリボンを購入する。家に招き入れられた三四郎は宗八の妹よし子と引き合わされる。

宗八が購入したリボンはよし子への土産ではなかった。代わりにに櫛を渡されたよし子は、子どもに飴玉を与えるようだと兄を非難する。実験という仕事柄、夜になっても帰宅しないことをよし子から咎められていた宗八は、三四郎によし子の相手をさせる。

三四郎(夏目漱石)のあらすじ【承】

そんな中、与次郎が「先生」と慕う英語教師・広田萇の引っ越しが決まった。手伝うことになった三四郎は広田の新居で偶然にも美穪子と再会し名刺を渡される。三四郎と美穪子は新居の掃除を二人で行うことになる。

二階に上がった美穪子は空を見上げて雲の形に見とれていた。三四郎はそんな美穪子に惹きこまれていく。荷物を運び入れた与次郎も合流し、荷解きするうちに講義を終えた広田も帰宅する。

与次郎は広田を「偉大なる暗闇」と評し、折角多くの書籍を読んでいるのにちっとも光らないとボヤく。かたや宗八も海外での高い評価に対し、国内では安い給料で雇われて穴蔵に閉じ込められていると評する。そんな与次郎の人物評に広田は君はせいぜい丸行灯で二尺程度を照らしているだけだと反発した。

美穪子は、差し入れとして持ち込んだ大きなバスケットに一杯のサンドイッチを振る舞っていると、宗八もやって来た。今度は与次郎の翻訳に広田が難をつけ始める。宗八が原文を問うと、すかさず英文を口にしたのは美穪子だった。美しさだけでなく教養も持ち合わせている美穪子に三四郎はますます関心を抱く。

三四郎(夏目漱石)のあらすじ【転】

三四郎は団子坂の菊人形見物に誘われる。広田が新居を借りるにあたり宗八から借りた金を返すため用立てた20円を預かった与次郎が馬券でスッてしまったと相談され、三四郎は仕送りから20円を立て替えてやる。

菊人形見物に繰り出した美穪子、よし子、広田、宗八に同行した三四郎の一行は雑踏で物乞いや迷子とすれ違う。だが、広田も宗八も「場所が悪い」と関わり合いを避ける。すると美穪子は「気分が悪い」と言いだして三四郎を連れ出し、一行から離れてしまう。

「気分が悪い」というのは嘘で、本当は「気分を害した」のだった。重苦しい曇り空を「大理石」と評する美穪子。二人がはぐれたことを三四郎は心配するが、大きな迷子だからと美穪子は取りあわない。そして、三四郎に迷子の英訳は「stray sheep」だと教える。

2人は歩いていくが、その途中でぬかるみを避けるために置かれた石で美穪子は足を取られ、三四郎に寄りかかる形で倒れてしまう。美穪子は三四郎の腕の中で「stray sheep」と囁くのだった。

そんな美穪子のことが頭から離れず、三四郎は講義に身が入らない。授業中もノートにstray sheepと書き殴るなどご執心の有様だ。そんな中、与次郎は三四郎が立て替えた20円の工面をつけようとし、美穪子からアテを得たものの、三四郎が来ないと渡さないと言われてしまう。

三四郎は里見家へと赴むくがお金の件は呼び出すための口実であり、美穪子に翻弄されていると怒りを感じてしまう。美穪子は預金通帳と印鑑を三四郎に渡し、好きなだけ使いなさいと告げ、画家の原口の絵画展のチケットがあると三四郎を誘い出す。

そこで宗八と鉢合わせた美穪子は三四郎になにかを囁くフリをして宗八を振り回す。三四郎は美穪子に恋をしていると自覚するものの、美穪子の思いが誰に向いているかについてはまったく分からないのだった。

三四郎(夏目漱石)の結末・ラスト(ネタバレ)

その後、三四郎は風邪をこじらせて寝込んでしまう。そんな中、美穪子が近々嫁ぐことが決まったと与次郎から知らされる。相手はもちろん自分ではなく、宗八でもなかった。

三四郎は真相を確かめるべく原口のアトリエを訪ねると、モデルをしている美穪子と対面。その場で金を返すと言い出した。三四郎がお金について口に出したのは口実だった。三四郎は、あなたに会いに来たのだと美穪子に告げる。

実は、三四郎が帰省する間に、美穪子は三四郎の知らない美穪子の兄の友人と結婚していたのということが明かされる。完成した原口の絵には、池のほとりで扇子を手にした美穪子が描かれていた。

三四郎に対し美穪子は、描かれた服装で原口が作品に取りかかった時期が分からないかしらと囁く。それは三四郎が偶然美穪子を見かけ、一目ぼれしたときだった。

失恋を与次郎に慰められた三四郎は、絵は良いが題である「森の女」というのがいけないのだと話す。三四郎は絵に相応しい題は「stray sheep」と囁くのだった。

三四郎(夏目漱石)の感想・解説・評価

上京したてのうぶな男子学生の恋愛劇

主人公の三四郎は、大学に進学するために九州の田舎から東京へと上京してくる。まるでうぶで女性への免疫はない。そんな三四郎だが、ある日見かけた若くて美しい女性・美禰子に一目ぼれしてしまう。

三四郎は美しいだけではなくミステリアスな一面を持つ美禰子のことが次第に気になり始め翻弄されていくことになる。美禰子は若くて美しいだけではなく、知的でミステリアスな一面も持ち合わせている。女性に免疫のない三四郎だけではなく、誰でも好きになってしまいそうなキャラクターだ。

舞台は明治末期と現代からは離れているが、進学や就職に合わせて、またはチャンスを求めて上京する人は昔も今も多いことに変わりはない。三四郎は「将来の可能性を秘めた青年」として描かれており、その意味で本作は恋愛小説でもありながら、一人の青年の成長する様を描いた小説でもある。

三四郎の恋路は実るのか、煮え切らない態度を取り続ける美禰子の本心はどこにあるのか。そんなことが気になってついつい読み進めていってしまう作品だ。

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三四郎(夏目漱石)の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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