白痴(フョードル・ドストエフスキー)の作品情報

- タイトル
- 白痴
- 著者
- フョードル・ドストエフスキー
- 形式
- 小説
- ジャンル
- 文学
- 執筆国
- ロシア
- 版元
- 不明
- 執筆年
- 不明
- 初出
- ロシア報知、1868年1月号-12月号
- 刊行情報
- 下記
- 翻訳者
- 下記
白痴(フョードル・ドストエフスキー)のあらすじ・概要
スイスの精神療養所で成人したムイシュキン公爵は、ロシアの現実についで何の知識も持たずに故郷に帰ってくる。純真で無垢な心を持った公爵は、すべての人から愛され、彼らの魂をゆさぶるが、ロシア的因習のなかにある人々は、そのためにかえって混乱し騒動の渦をまき起す。この騒動は、汚辱のなかにあっても誇りを失わない美貌の女性ナスターシャをめぐってさらに深まっていく。
白痴(フョードル・ドストエフスキー)の目次
作者
フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821年11月11日 – 1881年2月9日)
ロシアの小説家。思想家。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪である。代表作に『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』などがある。
白痴(フョードル・ドストエフスキー)の刊行情報
- 木村浩訳 『白痴 上下』 新潮文庫
- 米川正夫訳 『白痴 上下』 岩波文庫
- 望月哲男訳 『白痴 1-3』 河出文庫、2010年
- 亀山郁夫訳 『白痴 1-4』光文社古典新訳文庫、2015年-2018年
白痴(フョードル・ドストエフスキー)の登場人物
レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキン
主人公。ムイシュキン家の末裔。てんかん療養のため4年あまりをスイスで過ごし、同家のリザヴェータ夫人を頼ってペテルブルグへ戻ってくる。
ナスターシヤ・フィリッポヴナ・バラシコーワ
悲劇のヒロイン。借金まみれだった退役士官の父が領土焼失し、孤児になったところをトーツキイに拾われ愛人となる。時に威圧的、時に自虐的な2面性を持つ。
パルフョーン・セミョーノヴィチ・ロゴージン
縮れた黒髪に浅黒い顔をした体格のいい男。金に物を言わせてナスターシャを自分のものにしようとする。
アグラーヤ・イワーノヴナ・エパンチナ
エパンチン家姉妹の三女、末娘。三姉妹の中でも争う余地のない美貌の持ち主。一家の中で最も大切にされ、将来を約束されている。
イワン・フョードロヴィチ・エパンチン
実業家。頭のきれる如才のない人物。健康的でずんぐりした頑丈な体格。トーツキイとは親密な間柄で、娘のアレクサンドラを嫁がせて莫大な持参金を得ようとしている。
白痴(フョードル・ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレあり)
白痴のあらすじ【起】
若い公爵レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキンは、幼時から重度のてんかん症状により、スイスのサナトリウムで療養していたが、成人して軽快し、援助してもらっていたパヴリーシチェフの死去もあって、ロシアへ戻ることになった。ペテルブルクへ向かう列車中で、ムイシュキンは、父の死去によって莫大な財産を得たばかりだと言うパルヒョン・ロゴージンと知り合いになり、彼が熱を上げていたナスターシャ・フィリポヴナの名を耳にする。
白痴のあらすじ【承】
ムイシュキンの両親は、既にこの世になく、彼が公爵家の最後の跡取りであったため、遠縁にあたるエパンチン将軍夫人を頼ろうと、エパンチン家の邸宅を訪れる。ムイシュキンは、将軍夫妻とその三姉妹に知り合い、いくつかの印象的なアネクドートを披露するうちに一家の好意を得た。ここで彼は、将軍の秘書ガウリーラ・アルダリオノヴィチ(ガーニャ)が金のために愛のないままナスターシャと結婚しようとしていることを知った。彼女は、まだ幼いころからある資産家の情婦となっており、悪評が付きまわっていたが、実は誇り高い女であった。
ムイシュキンも、彼女と会って自分と共通する部分を感じ、ついに自らも求婚する。ところが、彼女は、最初にムイシュキンの善良さに気づきながらも、ロゴージンの元に走る。こうして、2人はライバルとなり、ロゴージンはムイシュキンを殺そうと企てるが、すんでのところでムイシュキンが発作を起こして、人に気付かれたために失敗する。
白痴のあらすじ【転】
そのうち、将軍の娘アグラーヤも、ムイシュキンに思いを寄せる。ロゴージンを選びながらも、陰ながらムイシュキンを愛していたナスターシャは、ムイシュキンに幸せになって欲しいと思い、アグラーヤに手紙で結婚を勧める。そのうち、アグラーヤとムイシュキンは相思相愛になる。
しかし、アグラーヤは、例の手紙のことから、ナスターシャがまだムイシュキンを好きで、ムイシュキンもナスターシャを忘れていないのではないかと嫉妬する。そのうち、遠くへ行っていたナスターシャとロゴージンが戻ってくる。アグラーヤは、ナスターシャとムイシュキンの関係をはっきりさせようと赴くものの、かえってナスターシャとムイシュキンを結びつけることになる。
白痴の結末・ラスト(ネタバレ)
ムイシュキンとナスターシャは、結婚することになる。しかし、ムイシュキンとの結婚当日になって、彼女はまたロゴージンと逃げ出す。ムイシュキンが駆け付けたとき、彼女は、既にロゴージンに殺されていた。ムイシュキンとロゴージンは、かつて同じ相手を愛した者として、ナスターシャの死体の前で生活することを決める。
ところが、庭師に家に入るところを目撃されており、その生活は一夜で終わる。発見された時、ムイシュキンは、元の白痴に戻っており、療養の日々を送ることになる。裁判の結果、ロゴージンは、シベリア徒刑となった。アグラーヤが自棄になって望まぬ結婚を急ぐところで、物語は終わる。
白痴(フョードル・ドストエフスキー)の感想・解説・評価
合わせて読みたい本
罪と罰
同じくドストエフスキーの代表作。優秀ながら貧乏な学生・ラスコーリニコフが金貸しの老婆を殺害し、その罪に悩まされる話です。
個人的には『カラマーゾフの兄弟』よりも読みやすく、ラストには大きな衝撃を受ける作品だと思います。
もっと読む罪と罰(ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレあり)・解説・感想
カラマーゾフの兄弟
言わずと知れた超有名作品。後世に絶大な影響を与えた世界文学の金字塔です。
長大な物語の中では、思想が語られ、恋愛にふけり、ミステリーが明かされ、悲劇が起き、笑いもあれば、裁判も行われます。様々な要素が含まれた作品ですが、ドストエフスキーの力技で精密に汲み上げられています。
もっと読むカラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレあり)・解説・感想
白痴(フョードル・ドストエフスキー)の評判・口コミ・レビュー
「白痴」
— えみ@Tokyo (@Tokyo87832373) 2019年9月7日
ドストエフスキー
時間がかかってしまったけど、ようやく読み終わった!
恋愛のいざこざ、財産の有無などが絡み合って物語が進むんだけど、登場人物が皆突拍子もない行動をするから先が予測できなくて面白い。特に女性陣が感情的でここまで主張できるって凄いなと思った。 #読了 pic.twitter.com/MCGAWL4h4A
『白痴』ドストエフスキー #読了
— 森羅 愛美 (@shinram0u0) 2019年8月6日
主人公が最初からずっと出てるし()、ドスト作の中では読みやすい方だと思います。途中ムカつく奴ばっかりで本当にイライラしたけど、最後まで読むとやっぱり面白いんだよな〜。割と恋愛。 pic.twitter.com/4g8h5ve97w
ドストエフスキーの『白痴』読了致しました。
— 流神(るかな) (@bookRUKANA) 2018年12月8日
同著の『罪と罰』の纏まった、荘厳な起承転結の見本とは真逆を抱えた作品であり、一貫として纏まりがない作風です。物事が解決することが新たな問題を生む……そんな人間性を秘めたものでした。
アグラーヤ……可哀想に。
ナスターシャ、憐れな。#読了 pic.twitter.com/OscFV73Sjl
ドストエフスキー【白痴】#読了
— H (@shall_HT) 2020年2月5日
第一部は文句なしに面白かった。
途中、動きが少なく退屈もしたが、「結末」によって一生心に残る作品になったと思う。
ムイシキン公爵の発作の描写は、著者自身てんかん持ちなだけあり迫真だった。 pic.twitter.com/vjCYQXfP8n
「白痴」ドストエフスキー 読了
— 咲 (@bo_barren_ok) 2020年3月24日
五大長編作のうち未成年のみ未読だけど、個人的には白痴が1番読みやすくて展開が追いやすかった。
恋愛物語と銘打ってはいるが、そんじょそこらのラブストーリーとは訳が違うのだ
極めて善良なムイシュキン公爵が白痴であることは意味深い… pic.twitter.com/jweMI07ZwU