ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレあり)・解説・感想

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)の作品情報

タイトル
ステパンチコヴォ村とその住人
著者
フョードル・ドストエフスキー
形式
小説
ジャンル
ユーモア小説
執筆国
ロシア
版元
不明
執筆年
不明
初出
祖国雑記、1859年11月号-12月号
刊行情報
下記
翻訳者
下記

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)のあらすじ・概要

「私」は幼い頃に両親を失い伯父の元で育てられた。誠実で、寛容で無邪気なほどのお人好しである伯父に対しては深い感謝と尊敬の念を抱いている。「私」は、今は実家を離れて都会暮らしをしているが、伯父から実家に来るようにとの手紙を受け取る。そこには結婚相手を紹介するとも書いてあった。その女性との結婚に期待をかけて「私」は実家に戻るが、そこにはとんでもない出来事が待っていたのである。

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)の目次

第1部は12章、第2部は6章

作者

フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821年11月11日 – 1881年2月9日)

ロシアの小説家。思想家。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪である。代表作に『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』などがある。

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)の刊行情報

小沼文彦訳『ドストエフスキー全集2』「スチェパンチコヴォ村とその住人」筑摩書房

米川正夫訳『ドストエーフスキイ全集2』「スチェパンチコヴォ村とその住人」河出書房新社

工藤精一郎訳『ドストエフスキー全集3』「ステパンチコヴォ村とその住人」新潮社

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)の登場人物

セルゲイ・アレクサンドロヴィッチ
物語の語り手。幼少時に孤児となり、伯父のイェゴール・イリイッチ・ロスターニェフ大佐のもとで育てられる。今は、家を離れて都会暮らしをしている。

イェゴール・イリイッチ・ロスターニェフ大佐
セリョージャの伯父。退役大佐。退役後は地主として田舎で娘と息子、妹、それと子供達の家庭教師とともに暮らしていたが、そこに母親とその取り巻きが同居することになった。物語の始まる1年ほど前のことである。

クラホートキン将軍
イェゴール・イリイッチ・ロスターニェフ大佐の母親の夫。結婚したのは母親が42歳の時で彼女は将軍の看護役であった。将軍は、退役後は椅子に座ったままの病人であったが、ファマー・フォミッチを秘書役として近くにおき、わがまま放題の生活をしていた。すでに亡くなっている。

クラホートキン将軍夫人
イェゴール・イリイッチ・ロスターニェフ大佐の母親。強欲で、見栄っ張りな母親で、かつて息子の結婚にも反対し、息子をたえずエゴイストな親不孝者と責め立てている。いつも取り巻きに囲まれて生活している。

ファマー・フォミッチ・オピースキン
作家志望であったが挫折して、将軍の書生となり本の朗読と身の周りの世話係をしていた。かつては道化役であったが、いつの間にか将軍夫人のお気に入りとなり、将軍が亡くなったあとは将軍夫人もその足下にひれ伏していた。

ナスターシャ・イェヴグラーフォヴナ
伯父の子供たちの家庭教師。美人で清楚な女性。誠実で、優しいが芯の強いところもある。

イェヴグラーフ・ラリオーヌイッチ・イェジェヴィーキン
ナスターシャ・イェヴグラーフォヴナの父親。子沢山のため貧乏暮らしで、娘の収入に頼っている。伯父のところでは道化役を演じているが、高潔な人物。

スチェパン・アレクセーイッチ・バフチェーイェフ
近隣の地主で、伯父の軍務時代からの友人でもある。やや単純で激しやすい性格。

タチヤーナ・イワノーヴナ
幼い頃から孤児として悲惨な生活を送ってきたが、つい最近遠い親戚の者の遺産が転がり込んだおかげで大層な資産家となった。そのため、生来の空想的傾向に一層拍車がかかり、やや情緒不安定。根は優しく、高潔なところがある。

イワン・イワーヌイッチ・ミジンチコフ
「私」の再従兄弟にあたる28、9歳の浅黒い顔した黒毛の美青年。モスクワに妹がいる。伯父のところにやっかいになっている。

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレあり)

ステパンチコヴォ村とその住人のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまで簡単に紹介しています。この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)のあらすじ【起】

私の伯父イェゴール・イリイッチ・ロスターニェフ大佐は、最愛の妻を亡くしてまもなく祖父等からの遺産としてステパンチコヴォ村を相続すると、軍務を退き娘と息子とともにその村に住み着いた。そして、ほどなくして彼の母親も二度目の夫クラホートキン将軍が亡くなったため、取り巻きを引き連れて息子の所に移ってきた。母親は、見栄っ張りの強欲なエゴイストで、息子に対しても厳しくあたっていたが、善良で心優しい伯父は母親に対しても従順だった。また、将軍夫人の取り巻きの一人に夫の書生をしていたファマー・フォミッチ・オピースキンという男がいたが、将軍夫人はこの男を崇拝していたので、彼が移って来てから一年も経たないうちにこの男は伯父の家で大きな力を持つことになった。

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)のあらすじ【承】

私は10歳の頃に孤児となり、伯父の家に引き取られ養育された。ペテルブルグの大学を卒業してからは伯父の家からは離れ、都会暮らしていたが、つい最近伯父から手紙を受け取った。それには、今伯父の子供達の家庭教師をしている娘を紹介するから早く結婚するようにと書かれてあった。とりあえず私は実家に帰ることにしたが、その途中、偶然伯父のかつての同僚の一人からステパンチコヴォ村でのとんでもない話を聞くことになった。大佐が家庭教師の娘に恋をしているらしいので、この娘を家から追い出して大佐をある金持ちの女性と結婚させようと母親の将軍夫人とファマー・フォミッチが企んでいるというのだ。いずれにしろ自分の目で真相を確かめるしかないと思い、私はペテルブルグを発つことにした。ステパンチコヴォ村に向かう途中で隣村の地主スチェパン・アレクセーイッチ・バフチェーイェフから聞いた話では、1年ほど前にファマー・フォミッチたちがあの家に来てからというもの、今では近隣在住の者たちはファマー・フォミッチに腹を立てて、一家とは縁切り状態になってしまっているという。

ステパンチコヴォ村に着いたのは午後5時頃だった。久しぶりに会った伯父は、不安そうで、なにかに怯えているように見えた。翌日、私は伯父の家の者に紹介されたが、家の者たちにはあまり歓迎されていないようだった。その場にいたのは伯父とその家族である娘と息子と母親と叔母の他に、母親の取り巻きの婦人連や二人の若い青年と家庭教師の女性であった。家庭教師は若くすらりとした美人であった。しばらく経って家庭教師の父親も姿を見せたが、最後になってあのファマー・フォミッチが姿を現した。この家では、母親の将軍夫人が大きな権勢を振るっていたが、母親はこのファマー・フォミッチに額ずいているので、元書生ではあるこの男がこの家の事実上の支配者でもあったのだ。伯父さえも彼には遠慮し、怖れているように見えた。彼は、みんなの前で老侍僕のガヴリーラにフランス語を喋る試験をしたり、若い侍僕のファラレイには下品な踊りを踊っていると吊し上げたりした。私はファマー・フォミッチのあまりにも尊大で傲岸不遜な態度に我慢がならなかったので、つい若気の至りでその場で彼に露骨に盾ついてしまったが、私の思わぬ態度に伯父はさすがに動揺を隠せなかったようだ。

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)のあらすじ【転】

その日のすぐあとで家庭教師のナスターシャと直接話ができる機会があったので、彼女に思い切って自分との結婚話について尋ねてみたが、彼女はまったくその気持ちはないようだったし、この家の誰とも結婚するつもりはない、明日にでも父と一緒に出ていくつもりだ、と言ったのだ。それから私は伯父に呼ばれた。伯父は、ファマー・フォミッチと別れる事にしたと言ったが、結局その直後、ファマー・フォミッチに手切れ金のような形で莫大な金と住まいを提供するとまで申し出たのにあっさり拒絶され、しかもその潔い態度に伯父はかえってファマーにひれ伏してしまったのである。

そこで伯父は、母親とファマーを納得させるためには、私を家庭教師のナスターシャと結婚させて、自分は資産家のタチヤーナ・イワノーヴナと結婚するしかないと腹を固めたのだ。それしか家庭教師を家に留めておく方法はないというわけだ。しかし私が、ナスターシャは私と結婚するつもりはないし、明日父親とこの家を出ていくと言っていた、と伝えると伯父は仰天してしまった。そこで伯父は、その晩ひそかにナスターシャと庭のはずれで密会し、私と結婚するよう説得したのだが、ナスターシャは伯父に抱きつき、伯父を愛している、自分は誰とも結婚しないで修道院に入る、と言ったという。しかも運悪く、二人が抱き合って接吻する瞬間をファマーに目撃されてしまったのである。伯父は、もはや正面突破しかない、ナスターシャにきちんと結婚を申し込む、とようやく腹をくくったのである。私も、伯父の本心を見抜いていたのでもちろんそれに賛成した。

伯父は翌朝手紙で、ファマーに自分の本心を伝え、どうか二人の結婚を認めて欲しいと頼んだという。その日は息子の命名祝が行われたのだが、祝いの会が終わらないうちに、ファマーは自分はこの家から出ていく、永遠にお別れです、と言った。止める伯父に対して、ファマーは、どうかあなたの情欲の炎を抑えてほしい、あなたは汚れない娘を堕落させてしまったのだ、と叫んだ。さすがに怒った伯父はとうとうファマーをこの家から追放してしまった。ファマーは雷鳴が轟くなかを馬車で出ていった。そのあと伯父は、ナスターシャに結婚の申し込みをしたが、ナスターシャはお母様や他の皆さんに認めてもらえないので結婚はできません、実家に帰ります、と断ったのである。将軍夫人とその取り巻きは、とにかくファマー・フォミッチを戻して欲しいと伯父に懇願した。

伯父は、ファマーがこの娘さんを侮辱したことを認め謝罪するならと言って、自らファマーを連れ戻しに行くことにした。十分ほどでファマーは家にもどって来た。ファマーは、しばらく休んでから、気を取り戻すと謝罪どころか再び伯父に対して激しい非難の言葉を浴びせたが、途中で一転、大佐、とにかくさまざまな徴候によってあなたの愛が純粋なものであったばかりか、高尚なものでさえあった、ということを確信するに至ったので、二人をここに祝福します。ウッラーと叫んだのだ。これで、伯父とナスターシャはめでたく結婚することができた。

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)の結末・ラスト(ネタバレ)

将軍夫人は結婚から三年後に亡くなったが、ファマーは二人が結婚したあとも、相変わらず我がままし放題でそれは彼が亡くなるまで七年間も続いた。娘のサーシャは、だいぶ前に立派な青年と結婚し、息子イリューシャはモスクワで勉学に励んでいる。伯父夫婦は子宝には恵まれず、今は水入らずの生活を楽しんでいる。

ステパンチコヴォ村とその住人(ドストエフスキー)の感想・解説・評価

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この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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