【おすすめ】辻邦生の全作品を一覧であらすじを紹介します

辻 邦生 つじ・くにお(1925年9月24日 – 1999年7月29日)

小説家、フランス文学者。東京市本郷区駒込西片町生まれ。旧制日大三中を経て、旧制松本高等学校理科乙類、文科乙類、新制信州大学卒。東京大学文学部仏蘭西文学科卒。1960年、小説「城」の原稿を北杜夫へ送ると、北がこれを埴谷雄高へ渡し、1961年、『近代文学』にて発表される。1963年、『廻廊にて』で近代文学賞を受賞。1972年、『背教者ユリアヌス』で毎日芸術賞を、1995年、『西行花伝』で谷崎潤一郎賞を受賞した。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:黄金の時刻の滴り
  • 2位:西行花伝
  • 3位:背教者ユリアヌス

作品一覧リスト

※小説・戯曲作品のみ紹介しています。

『廻廊にて』1963年

女流画家を通じ、“魂の内奥”の旅を描く。

 異例の才能を持ちながら埋もれていった亡命ロシア人女流作家マリア・ヴァシレウスカヤ(マーシャ)の内的彷徨を描く辻邦生の処女長編作。

 少女期に出会った魅惑的な少女アンドレとの痛みを伴った甘美な愛を失い、結婚に破れ、つねに芸術の空しさを苦汁のようになめながら、生の意味、芸術の意味を模索し続けた、寡作の画家マーシャの短い生涯を、彼女が遺した日記や手紙から辿る伝記風スタイルを用い、清冽な筆致で描いた作品

 敬虔で慎み深く、絵の才能を持て余すマーシャと、身体が弱いために生に焦がれる無鉄砲なお嬢さまアンドレ、孤独を抱えるふたりの交流がとても丁寧に描写されている。第4回近代文学賞受賞作。

『夏の砦』1966年

北欧で消息を絶った日本人女性の精神的彷徨。

織物工芸に打ち込んでいた支倉冬子は、一枚のタピスリに吸い寄せられ、魅惑されてしまう。ついにはヨーロッパに留学する決意までした冬子。だが、冬子は、ある夏の日、その地方の名家ギュルンデンクローネ男爵の末娘エルスと孤島にヨットで出かけたまま消息を絶ってしまう。
冬子が残した手記をベースに、生と死、または愛の不安を深く掘り下げた小説となっている。絶対的な孤独の中、日本と西欧、過去と現在を彷徨しながら、冬子はどのように再生していくのか……。
辻邦生が自著『生きて愛するために』で語った「死というくらい虚無のなかに、<地上の生>は、明るく舞台のように、ぽっかり浮かんでいる」という彼の死生観とともに、西欧的骨法によって本格小説を日本に結実させんとした、辻文学初期傑作の一つである。巻末に「創作ノート抄」を併録。

『異国から』1968年(短編集)

『安土往還記』1968年

乱世を生きる織田信長、その生の燃焼を謳い上げた傑作歴史小説!

争乱渦巻く戦国時代、宣教師を送りとどけるために渡来した外国の船員を語り手とし、争乱のさ中にあって、純粋にこの世の道理を求め、自己に課した掟に一貫して忠実であろうとする“尾張の大殿(シニョーレ)”織田信長の心と行動を描く。
ゆたかな想像力と抑制のきいたストイックな文体で信長一代の栄華を鮮やかに定着させ、生の高貴さを追究した長編。文部省芸術選奨新人賞を受けた力作である。

『城・夜』1969年(短編集)

『北の岬』1970年(短編集)

日本に二年の歳月を待ちこがれる婚約者がいるにもかかわらず、パリからの帰途、修道女マリ・テレーズと運命的な邂逅をした留学生“私”の内面を通して、永遠の光に照らされた至純の愛への覚醒を描く表題作。ほかに、晴朗な筆致で現代人の陥ち込んだ、この不確かな生、曖昧な生に、豊かな生命の息吹きを吹き込む珠玉の短編「ランデルスにて」「風塵」「円形劇場から」「叢林の果て」全5編を収録する。

『ユリアと魔法の都』1971年(童話)

『天草の雅歌』1971年

鎖国体制完成を目前にした江戸初期の長崎に、通辞として赴いた上田与志。役人としての確実な立身を望んでいたはずの彼は、いつしか、鎖国派と海外交易派の政争の渦に巻きこまれていく。混血の美女コルネリアの愛を支えに、閉塞していく状況を憂い、時代の権力に挑戦した、その悲劇の生涯を描く。“物語”のもつ魅力を充分に取り入れ、史実をふまえて構築された壮大な歴史ロマン。

『嵯峨野明月記』1971年

変転きわまりない戦国の世の対極として、永遠の美を求め〈嵯峨本〉作成にかけた光悦・宗達・素庵の献身と情熱と執念。壮大な歴史長篇。

『新鋭作家叢書 辻邦生集』1971年

『背教者ユリアヌス』1972年

大帝の甥として生まれるも、勢力拡大を狙うキリスト教一派の陰謀に父を殺害され、幽閉生活を送るユリアヌス。哲学者の塾で学ぶことを許され、友を得、生きる喜びを見出す彼に、運命は容赦なく立ちはだかる。毎日芸術賞受賞の壮大な歴史ロマン開幕!

『異邦にて』1972年(短編集)

『辻邦生作品』1972年~1973年

  • 全6巻

『ポセイドン仮面祭』1973年(戯曲)

『眞晝の海への旅』1975年

帆船という“劇場”で巻き起こる人間ドラマ。

海を愛する若者が生の歓びを求め、ブリガンティン型帆船<大いなる(グローセル・)眞晝(ミッタ-タ)>号に乗り込んで船出をする。

「無一物主義」という哲学思想をもつベルナールを船長に、フランソワ、ターナー、ケイン、女性のファビアン、そして日本人の私など11人のクルーは、ヨーロッパから日本を経由して、一路、太平洋へと航海を続ける。

やがて、南太平洋に入ると、荒れ狂う颶風(ぐふう)圏に突入していく中、嵐のさなかに恐るべき事件が起きてしまう。帆船の船内は、さながら芝居の劇場のように複雑な人間関係が入り組んで、それは悲劇への序章にふさわしい舞台だった。

辻作品らしい“詩とロマンの薫り”に満ち溢れた長編小説。

『サラマンカの手帖から』1975年(短編集)

『霧の聖マリ ある生涯の七つの場所 1』1975年~

幼い心に異性への淡い憧れを芽生えさせて逝った美しい女性、異郷で謎の死を遂げる老亡命者――。独立した挿話はいつしか絡みあい、一枚のタピスリを織りあげてゆく。昭和初期から一九七〇年代まで、世界各地を舞台に展開する野心的連作第一集。

『秋の朝 光のなかで』1976年(短編集)

『時の扉』1977年

贖罪の日々を送る男に許される日は来るのか。

 東京郊外で大学講師を務める矢口忍。その聴講生・卜部すえの、誠実で奥ゆかしく、はかなげなところに惹かれ恋仲になるが、すえとはまったく違うタイプの女性に心を奪われ、結婚してしまう。
 すえの「最後に、もう一度会いたい」という願いをにべもなく断った翌日、すえが自殺――。以来、矢口は北海道の寒村で中学校の教師になり、自分を罰するためにひたすら禁欲的な生活をしていた。
 しかし、友人の誘いで出掛けたシリアへの旅をきっかけに、矢口の心に変化が生まれ、止まっていた時間が少しずつ動き出す――。
 1976~77年に「毎日新聞」に連載された、「愛とは何か」を鋭く深く問う、傑作長編小説の上巻。

『見知らぬ町にて』1977年(短編集)

『夏の海の色 ある生涯の七つの場所 2』1977年

孤独な少年の日々に垣間見た〈生〉の光と闇。青年の「私」が目撃する様々な男女の愛と裏切りと死。フランス人女性との甘美な愛の生活――。独立した挿話が現代史のモザイクを形づくる連作第二集。

『春の戴冠』1977年

メディチ家の恩顧のもと、祭りに賑い、楽しげなはずむような気分に覆われた花の盛りのフィオレンツァ。「私」と幼なじみのサンドロ(のちのボッティチェルリ)は、この日々が過ぎゆく人生の春であることに、まだ気が付いていなかった――壮大にして流麗な歴史絵巻。

『辻邦生全短篇』1978年

『雷鳴の聞える午後 ある生涯の七つの場所 3』1979年 

『新潮現代文学64 辻邦生』1979年

『雪崩のくる日 ある生涯の七つの場所 4』1980年

『十二の肖像画による十二の物語』1981年

レンブラント、デューラー、ダ・ヴィンチらが描いた美しい十二の肖像画。
それぞれの名品に秘められた十二の人間ドラマを、作家ならではの想像力が次々と描き出していく。
肖像画と物語とが響き合い、人間に対する深い洞察へと導かれる傑作短編集。
1981年に発刊された辻邦生の隠れた名作『十二の肖像画による十二の物語』を新装復刊。

  • 『十二の肖像画による十二の物語』文藝春秋 1981
  • 『風の琴-二十四の絵の物語』文春文庫
  • 『十二の肖像画による十二の物語』PHP(新装版)2015

『樹の声 海の声』1982年~1983年

『雨季の終り ある生涯の七つの場所 5』1982年

『もうひとつの夜へ』1983年

『十二の風景画への十二の旅』1984年

愛の真実を求める旅への誘い
ロラン、セザンヌ、コロー、ブリューゲル、フェルメール、
プッサン、ジョルジョーネ、ゲインズボロらの名画に、
高く豊かな知性と熱い情熱の作家がよせる十二の<愛>の物語。

  • 『十二の風景画への十二の旅』文藝春秋 1984
  • 『風の琴』文春文庫

『国境の白い山 ある生涯の七つの場所 6』1984年

『天使たちが街をゆく 即興喜劇』1985年(戯曲)

『雲の宴』1987年

『椎の木のほとり ある生涯の七つの場所 7』1988年

『神々の愛でし海 ある生涯の七つの場所 8』1988年

『夜ひらく』1988年(連作短編集)

めくるめく美とエロス!ヴィーナス、サロメ…さまざまな姿を借りて現世に現われる“運命の女”たち。19世紀末のヨーロッパ、宝石と運命の女をめぐる6つの妖艶綺譚集。

『フーシェ革命暦』1989年~

『銀杏散りやまず』1989年

『楽興の時十二章』1990年(連作短編集)

『睡蓮の午後』1990年(連作短編集)

ボルヘス、コクトーらの作品から、自在の想像力を駆使して新たな作品を生む短篇パロディ集。

辻邦生精選短篇シリーズ

『スペインのかげり』1992年

『シャルトル幻想』1992年

『遠い園生』1992年

『黄昏の古都物語』1992年

『江戸切絵図貼交屏風』1992年

『天使の鼓笛隊』1992年(連作短編集)

『辻邦生歴史小説集成』1992年~1993年

  • 全12巻

『黄金の時刻の滴り』1993年(短編集)

夢中で読んできた小説家や詩人の生きた時に分け入り、その一人一人の心を創作へと突き動かし、ときに重苦しい沈黙を余儀なくさせてきた思いの根源に迫る十二の物語。それは「黄金の時刻」である現在を生きる喜びを喚起し、あるいは冥府へと下降していく作家の姿を描き出す。永遠の美の探求者が研き上げた典雅な文体で紡ぎ出す、瑞々しい詩情のほとばしる傑作小説集。

『西行花伝』1995年

あの人のことを本当に書けるだろうか。
あの人――私が長いこと師と呼んできたあの円位上人、西行のことを。
不世出の天才歌人、西行の生涯。谷崎潤一郎賞受賞。

花も鳥も風も月も――森羅万象が、お慕いしてやまぬ女院のお姿。なればこそ北面の勤めも捨て、浮島の俗世を出離した。笑む花を、歌う鳥を、物ぐるおしさもろともに、ひしと心に抱かんがために……。
高貴なる世界に吹きかよう乱気流のさなか、権能・武力の現実とせめぎ合う“美”に身を置き通した行動の歌人。流麗雄偉なその生涯を、多彩な音色で唱いあげる交響絵巻。

『光の大地』1996年

『花のレクイエム』1996年

『のちの思いに』1999年

『城・ある告別 辻邦生初期短篇集』2003年

パリの街並、ギリシアの光。
旅から生まれた初期作11篇

辻邦生のパリ留学時代は、自らの小説の根拠をさぐる旅の日々であった。家々の向うの丘に現れたパルテノンに、永遠の精神の結晶を発見した恍惚を語る「ある告別」、夕景に浮かぶ街並に、高貴なる秩序への意志を感取する「西欧の光の下」等、この期の旅に材をとった作品を中心に11篇収録。西欧の風光から啓示を受けて出発した辻文学の誕生の秘密を明かす初期作品集。

『辻邦生全集』2004年~2006年

  • 全20巻
この記事を書いた人
右手

平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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