【おすすめ】筒井康隆の全作品を一覧であらすじを紹介します

筒井 康隆 つつい・やすたか(1934年9月24日 – )

小説家。大阪府大阪市北堀江生まれ。同志社大学文学部卒業。SF小説を中心に旺盛な執筆活動を展開し、小松左京、星新一と並んで「SF御三家」とも称される。パロディやスラップスティックな笑いを得意とし、初期にはナンセンスなSF作品を多数発表。1970年代よりメタフィクションの手法を用いた前衛的な作品が増え、エンターテインメントや純文学といった境界を越える実験作を多数発表している。主な作品に『時をかける少女』『日本以外全部沈没』『虚人たち』など。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:七瀬ふたたび
  • 2位:旅のラゴス
  • 3位:文学部唯野教授

作品年表リスト

※小説のみまとめています。

東海道戦争(1965年)

48億の妄想(1965年)

鬼才・筒井康隆が31歳で執筆した画期的な処女長篇小説。テレビが絶対の時代だ。街中いたるところに設置されたカメラ、テレビ・アイを意識して、自分をカッコよく見せるため、テレビ画面にちらりとでも映るため、あらゆる人間がドラマを演じるように振舞いつづける社会。この地球上に住む48億の人間のうち、いったい正気なのは誰か……テレビに踊らされる人間たちを描いて、マスコミを痛烈に諷刺するこの小説は、まるで21世紀日本への予言のようだ。

馬の首風雲録(1967年)

「馬の首」と呼ばれる暗黒星雲には、犬に似た知的生物が住む星があった。ところがここで戦乱が勃発、戦闘は急速にエスカレートしていく。

この機に乗じて一儲けをたくらむ行商人「戦争婆さん」もその波に呑まれ、4人の息子たちがひとり、またひとりと戦渦に巻き込まれていく。彼らの運命は、一大宇宙船の趨勢を決定づけることになるのだが…… 戦果の悲惨さ、滑稽さ、カッコよさ、すべてを内包して疾走する、筒井康隆第2長編SF。

時をかける少女(1967年)

放課後の誰もいない理科実験室でガラスの割れる音がした。壊れた試験管の液体からただようあまい香り。この匂いをわたしは知っている──そう感じたとき、芳山和子は不意に意識を失い床に倒れてしまった。そして……目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶をめぐる奇妙な事件が次々に起こり始める。思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想い。わたしたちの胸をときめかせる永遠の物語もまた時を超え、未来へと引き継がれる。

とても有名な作品ですが、思っていたよりもずっと短い小説でした。でもこの小説の設定や、キャラクター、大まかな構造は、その後のSFの一つのテンプレートになったと思います。

読み終わると、少し哀しく、少し寂しい感じがします。短い間一緒に過ごした友達と離れていくような感覚です。

ベトナム観光公社(1967年)

  • 火星のツァトゥストラ
  • トラブル
  • 最高級有機質肥料
  • マグロマル
  • 時越半四郎
  • カメロイド文部省
  • 血と肉の愛情
  • お玉熱演
  • ベトナム観光公社

アフリカの爆弾(1968年)

妻の様子がおかしい。息子もスパイ組織に入れられてしまった。それぞれが違う組織のスパイとわかった家族の末路は(「台所にいたスパイ」)。とあるアフリカの新興国。5ギガトンの核弾頭を買うことになってしまった日本人サラリーマンは……(「アフリカの爆弾」)。ほか、「脱出」「露出性文明」「メンズ・マガジン一九七七」「月へ飛ぶ思い」「活性アポロイド」「東京諜報地図」「ヒストレスヴィラからの脱出」「環状線」「窓の外の戦争」「寒い星から帰ってこないスパイ」の12編を収録。

アルファルファ作戦(1968年)

老人問題への温かい心情を示した表題作はじめ、著者の諷刺魂が見事に発揮されたSF集―おとなの恐怖と笑いに満ちた傑作九篇。

にぎやかな未来(1968年)

「超能力」「星は生きている」「最終兵器の漂流」「怪物たちの夜」「007入社す」「コドモのカミサマ」「無人警察」「にぎやかな未来」など、41篇の名ショートショートを収録。

幻想の未来・アフリカの血(1968年)

霊長類南へ (1969年)

毎読新聞の記者澱口は、恋人の珠子をベッドに押し倒していた。珠子が笑った。「どうしたのよ、世界の終りがくるわけでもあるまいし」その頃、合衆国大統領は青くなっていた。日本と韓国の基地に原爆が落ちたのだ。大統領はホットラインに手を伸ばした。だが遅かった。原爆はソ連にも落ち、それをアメリカの攻撃と思ったソ連はすでにミサイルを発射していた。ホテルを出た澱口と珠子は、凄まじい混乱を第三京浜に見た。破滅を知った人類のとめどもない暴走が始ったのだ。

ホンキイ・トンク(1969年)

〈機械〉が主役と化した人間社会。傑作短編集!

関西弁で虚実が入り乱れる「オナンの末裔」、老私小説作家の脱線を劇中劇で描いた「小説「私小説」」ほか、「君発ちて後」「ワイド仇討」「断末魔酔狂地獄」「ホンキイ・トンク」等、全八篇を収録。

筒井順慶(1969年)

SF作家のおれのところに歴史小説の依頼がきた。しかもおれの先祖であるらしい、洞ケ峠の日和見で悪評高い筒井順慶を書けというのだ……。型破りの発想で小説のジャンルの壁を破壊した表題作。芸能プロのグロテスクさを際立たせた「あらえっさっさ」、連続殺人犯に群がり利用するマスコミの本質を突いた「晋金太郎」、新宿騒乱事件を戯画化した「新宿祭」。初期の力作4編を収める。

わが良き狼(ウルフ)(1969年)

心狸学 社怪学(1969年)

重態に陥った三人の大臣に、ゴリラ、オットセイ、ウマの脳がそれぞれ移植された。その結果国会は…? 風刺の向うにマコトが見える。学の真髄を伝える必修十四講!

欠陥大百科(1970年)

奇才・筒井康隆の狂気とユーモアが凝縮!
文庫未収録の百科事典パロディが復活。

アからンまで独自の解釈で描いた筒井版悪魔の辞典「欠陥大百科」、こちらも文庫化されなかった幻の初期作品集「発作的作品群」、さらに単行本未収録のショートショートや「NULL」の復刻、加納一朗による日本SF界黎明期の貴重な証言も併録。豪華コレクション、第3弾!

緑魔の町(1970年)

学校の倉庫に閉じ込められてしまった武夫。なんとか脱出したものの、そこは武夫のことを誰も知らない世界に変わっていた!? スリリングな表題作のほか、女の子3人組が、夢をかなえる「デラックス狂詩曲」も収録。

革命のふたつの夜(母子像)(1970年)

内ゲバに遭った女子学生が救いを求めてきた。抱き起こすと、夢中でしがみついてくるではないか…。周波数のまったくちがうゲバ学生に踊らされるあわれな大学教授を皮肉なタッチで描く。

馬は土曜に蒼ざめる(1970年)

目が醒めたら馬になっていた。交通事故のため、おれの五体はぐじゃぐじゃ、脳はサラ4歳馬ダイマンガンのものが移植されていたのだ。空想と狂気と笑いで綴るパロディ。

発作的作品群(1971年)

脱走と追跡のサンバ(1971年)

どんなことがあっても脱走してやる。このいやらしい世界から逃げ出してやる。こんなところに閉じこめられてたまるものか。汚物の墓場の下水管を通り抜けもとの世界からこっちの世界へ入り込んでしまったおれは……。情報による呪縛、時間による束縛、空間による圧迫にあえぐ現代をパロディ化し、境界のゆらぎはじめた現実と虚構の「世界」を疾走する傑作SF長編。

日本列島七曲り(1971年)

おれの乗ったタクシーは渋滞に巻き込まれた。今日、大阪で挙げる自分の結婚式に間に合わなくなったら大変だ。仕方ないから、飛行機で大阪まで、と思ったら、その飛行機がハイ・ジャックされて……。

将軍が目醒めた時(1972年)

将軍として精神病院に君臨してきた蘆原老人が長い狂気の眠りから目醒めた時、世界が崩壊した――正気と狂気の渾然とした現実世界のナンセンスを突く表題作。一枚の切符を発端に、懐かしい故郷の駅に降り立った男を次々に襲う悪夢をシュールなタッチで描く『乗越駅の刑罰』。他に『万延元年のラグビー』『ヤマザキ』など、奇想天外なアイディアとブラックユーモアに満ちた全10編。

俗物図鑑(1972年)

評論家だけの風変りな“梁山泊”プロダクション出現――盗聴、横領、出歯亀、放火などタブーとされる芸ばかりに秀でている彼ら俗物センセイは、一躍、マスコミの寵児にのし上がる。しかし、彼らの奔放な活躍ぶりは、次第に世間の良識という怪物の反撃に合い、両者の壮烈な戦いが開始された……。人間の隠された悪への欲望と破壊衝動を、豊かなパロディ精神と言葉の遊びで描き出す長編小説。

家族八景(1972年)七瀬三部作 Part1

幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心をすべて読みとってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬――彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を抉り出す。人間心理の深層に容赦なく光を当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の裏面を、コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい短編集。

新宿祭 初期作品集(1972年)

農協月へ行く(1973年)

ご一行様の旅行代金は一人頭六千万円、月を目指して宇宙船ではどんちゃん騒ぎ、着いた月では異星人とコンタクトしてしまい、国際問題に……!? シニカルな笑いが炸裂する標題作ほか短篇七篇を収録。

おれの血は他人の血(1974年)

いつもは小心なサラリーマンの俺だが、いったん怒りだすと意識がなくなり、怪力を発揮してあばれだす。しまいには、人を殺してしまうかもしれない……俺はそれが怖い。三人のヤクザをいっぺんに叩きつけた俺のスゴさを見込んで、対立するヤクザの幹部が用心棒になってくれと頼んできた。それが、小さな都市を壊滅させる大抗争の発端だった。ハードボイルド・タッチの痛快長編小説。第6回星雲賞受賞作。

デマ 実験小説集(1974年)

暗黒世界のオデッセイ 筒井康隆一人十人集(1974年)

人口爆発、鉛中毒、人工冬眠──奇才が正確なデータにもとづいて、近未来の日本をクールに描いてみせた『2001年暗黒世界のオデッセイ』。正気と狂気、天才と狂人の間を行きつ戻りつする現代人の深層心理をユニークに分析してみせた『乱闘人間大研究』。それに全漫画、『レオナルド・ダ・ヴィンチの半狂乱の生涯』『星新一論』を加え、筒井康隆の驚異の世界をあますところなく伝える一冊。

おれに関する噂(1974年)

テレビのニュース・アナが、だしぬけにおれのことを喋りはじめた――「森下ツトムさんは今日、タイピストをお茶に誘いましたが、ことわられてしまいました」。続いて、新聞が、週刊誌が、おれの噂を書きたてる。なぜ、平凡なサラリーマンであるおれのことを、マスコミはさわぎたてるのか? 黒い笑いと恐怖にみちた表題作、ほか『怪奇たたみ男』など、あなたを狂気の世界に誘う11編。

男たちのかいた絵(1974年)

おくびょうで意気地なしでも、拳銃片手に怖いものなし――チンピラやくざの、カッコいい兄貴分へのあこがれが、屈折した心情に映し出される時、オナニズム、同性愛、エディプス・コンプレックス、多重人格などの持主を主人公にした、筒井康隆の強烈な世界が展開される。『夜も昼も』『星屑』『二人でお茶を』など、ジャズのスタンダード・ナンバーにのせておくる奇妙な味の連作小説集。

ウィークエンド・シャッフル(1974年)

硫黄島の回顧談が白熱した銀座のクラブは戦場と化し(「『蝶』の硫黄島」)。子供が誘拐され、主人が行方不明になった家に入った泥棒が、主人の役を演じ始め(「ウィークエンド・シャッフル」)。全13編。

七瀬ふたたび(1975年)七瀬三部作 Part2

生まれながらに人の心を読むことができる超能力者、美しきテレパス火田七瀬は、人に超能力者だと悟られるのを恐れて、お手伝いの仕事をやめ、旅に出る。その夜汽車の中で、生まれてはじめて同じテレパシーの能力を持った子供ノリオと出会う。その後、次々と異なる超能力の持ち主とめぐり会った七瀬は、彼らと共に、超能力者を抹殺しようとたくらむ暗黒組織と壮絶なバトルを繰り広げる!

村井長庵 歴史・時代小説集(1975年)

笑うな ショート・ショート集(1975年)

タイム・マシンを発明して、直前に起った出来事を眺めるというユニークな発想の『笑うな』。夫の目前で妻を強姦する制服警官のニューロイックな心理『傷ついたのは誰の心』。空飛ぶ円盤と遭遇したSF作家の狼狽ぶりをシニカルに捉えた『ベムたちの消えた夜』。ほかに『赤いライオン』『猫と真珠湾』『血みどろウサギ』など、スラップスティックでブラックな味のショート・ショート34編。

ミラーマンの時間(1975年)

昌夫は右半身を鏡に押しあてた。時計が四時を打つやいなや鏡の中にめり込み、醜いあざがとれ、今やミラーマンと化したのだ! 鏡の魔力でスーパーマンに変身した昌夫の活躍。夢と冒険に誘う傑作SF集。

メタモルフォセス群島(1976年)

足のはえてくる果実。木の枝に寄生している小動物。人間を食べて首に似た果実をつける植物。放射能の影響であらゆる生物が突然変異体(ミュータント)と化した不気味な世界を描いた『メタモルフォセス群島』。妻子を脱獄囚に人質にとられたサラリーマンが、脱獄囚の家にのり込んで脅迫のエスカレーションを企てる『毟りあい』。ほかに『五郎八航空』『定年食』など幻想と恐怖の突然変異的作品群。

エディプスの恋人(1977年)七瀬三部作 Part3

ある日、少年の頭上でボールが割れた。音もなく、粉ごなになって。――それが異常の始まりだった。強い“意志”の力に守られた少年の周囲に次々と不思議が起こる。その謎を解明しようとした美しきテレパス七瀬は、いつしか少年と愛しあっていた。初めての恋に我を忘れた七瀬は、やがて自分も、“意志”の力に導かれていることに気づく。全宇宙を支配する母なる“意志”とは何か? 『家族八景』『七瀬ふたたび』につづく美貌のテレパス・火田七瀬シリーズ三部作の完結編。

シリーズ3作目にして完結編。

超能力者大合戦感のあった前作「七瀬ふたたび」からだいぶ難しくなったような印象を受けました。

超能力者たちから離れ、3作目は壮大な世界観の下で思想が語られます。SF小説ですが、どちらかというと純文学風の作品かも。「七瀬ふたたび」のイメージで読むと面食らうかもしれません。

あるいは酒でいっぱいの海(1977年)

海全体がこぼこぼと沸き返った!酒だ。世界中の海が酒になっちまう。そして川をさかのぼり、湖に沼に、さらには貯水池に…。ブラック・ユーモアの鬼才の原点を示す初期短編集。

富豪刑事(1978年)

キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事”こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を……次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの”の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑作。

バブリング創世記(1978年)

〈ドンドンはドンドコの父なり。ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み……〉
ジャズ・スキャットで使われるバブリングを駆使し、
奇想天外なパロディ聖書として読書界を驚倒させた表題作ほか、
初刊文庫で未収録だった実験作品「上下左右」
(イラストは雑誌掲載時の真鍋博)を収録した完全版。
書下しの自作解説を併録。全十篇。

大いなる助走(1979年)

筒井康隆が文学賞への“怨念”をこめて文壇を震撼させた問題作!文壇予備軍・同人誌作家がブンガク賞をめざして抱く大いなる野望と陰謀──選考委員、編集者、文壇バーに象徴される作家集団の恐るべき内情。地方で繰り広げられる文学談義の虚構。行間にみっしり詰め込まれた破壊力でタブーとされた“文壇”とその周辺の人間群像をパロディ化し、文壇の俗物性を痛烈に嘲笑。単行本刊行と同時にカンカンガクガクの話題をまいた猛毒性長篇小説。

宇宙衞生博覽會(1979年)

ツツイヤスタカ宇宙でしか見られない難病奇病珍現象を一堂に集めた世にも奇怪な博覧会。クレール蟹の甲羅の味噌を食べたために、頬が甲羅に変形する『蟹甲癬』。シャラク星でドド豆を煮るのに失敗した時に起る恐怖の『顔面崩壊』。マザング人との地獄のコミュニケーション法『関節話法』。ほかに『こぶ天才』『問題外科』『ポルノ惑星のサルモネラ人間』など、狂気と毒気にみちた8編。

美藝公(1981年)

人生は活動写真――映画産業はわが国最大の産業であり、その頂点に立つスーパースタアが美藝公。彼の一挙手一投足は全国民の注目の的。政治、経済、社会、文化における政府の政策はすべて“映画”と歩調をあわせて進行する。経済中心の消費社会とは異なる文化的発展をなしえた国の、華やかな映画界のスタアたちの赤裸々な姿を描く異色長篇“活動大写真小説”。横尾忠則の手になる華麗な挿画をふんだんに取り入れ、幻の豪華本をデジタル書籍として完全復活した画期的かつ貴重な一冊。

エロチック街道(1981年)

見知らぬ夜の街で、裸の美女に案内されて奇妙な洞窟の温泉を滑り落ちる……エロチックな夢を映し出す表題作。江戸末期、アメリカより漂着した黒人達と、城をあげてのオールナイト・ジャムセッション……底抜けに楽しい「ジャズ大名」。幻想小説、言語実験、ナンセンス、パロディ、ドタバタ、純文学に至るまで、著者独自の迷宮的世界をみごとに展開する、変幻自在の18編を収録――。

虚人たち(1981年)

妻と娘を別々の犯人に、同時多発的に誘拐されてしまった主人公の男。男は2人を捜し、助ける為に彷徨するが、近隣住人や警察は事件に不干渉、主人公の長男は事件に対して無関心の姿勢を貫くなど、事態はなかなか進展しない。単独で妻と娘を捜す男、しかして彼には理不尽な結末が訪れる…。

小説の「虚構性」、表現手法に対する疑問について極限まで突き詰めたあげく、さまざまな実験的手法を注ぎ込み、不気味な雰囲気を持った小説世界を構築した、第9回泉鏡花文学賞受賞作。

虚航船団(1984年)

鼬族の惑星クォールの刑紀999年6月3日、国籍不明の2基の核弾頭ミサイルによって国際都市ククモが攻撃され、翌4日、無数の小型単座戦闘艇に乗ったオオカマキリを従えた文房具の殺戮部隊が天空から飛来した。それはジャコウネコのスリカタ姉妹の大予言どおりの出来事だった――。宇宙と歴史のすべてを呑み込んだ超虚構の黙示録的世界。鬼才が放つ世紀末への戦慄のメッセージ。

串刺し教授(1984年)

崖から転落して鉄柵の尖端に串刺しにされた大学教授を目撃したガソリン・スタンドのサーヴィスマンが最初にしたことは?写真週刊誌時代の未来を予見した作品として「東海道戦争」などと並ぶ表題作。やくざが女学生の言葉で会話し、女学生が中年紳士の言葉で会話し、中年紳士が主婦の言葉で…会話する「言葉と〈ずれ〉」。人間がきつねをだます奇怪至極の「きつねのお浜」など全17編。

イリヤ・ムウロメツ(1985年)

旅のラゴス(1986年)

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

くたばれPTA(1986年)

マスコミ、主婦連、PTAから極悪非道の大悪人と烙印を押されたSFマンガ家のとる道は?「くたばれPTA」。一卵性双生児の弟が、自分の恋人を奪った兄に奇想天外な方法で復讐する「かゆみの限界」。夜ごと10億の男たちと交わる処女「20000トンの精液」。ほかに「ナポレオン対チャイコフスキー世紀の決戦」「女権国家の繁栄と崩壊」など、文庫初収録の短編、ショート・ショート全24編。

夢の木坂分岐点(1987年)

夢の木坂駅で乗り換えて西に向かうと、サラリーマンの小畑重則が住み、東へ向かうと、文学賞を受賞して会社を辞めたばかりの大村常賢が住む。乗り換えないでそのまま行くと、専業作家・大村常昭が住み、改札を出て路面電車に乗り、商店街を抜けると……。夢と虚構と現実を自在に流転し、一人の人間に与えられた、ありうべき幾つもの生を深層心理に遡って描く谷崎潤一郎賞受賞作。

原始人(1987年)

男は“獣欲”を満たすために棍棒を振るって女を犯し、“食欲”を満たすために他者の食物を強奪して殺す……。“弱肉強食”時代の人類の始祖・原始人の欲望むき出しの日常を描いた衝撃の表題作をはじめ、束縛されることのない異様な社会を描いた「アノミー都市」、次々と不運に巻き込まれる男の物語「おれは裸だ」など独特の筒井ワールドな作品に、小説という枠を超えたメタ小説ともいうべき「怒るな」「読者罵倒」「筒井康隆のつくり方」を加えた、元気の出る作品13篇を贈る。

歌と饒舌の戦記(1987年)

冬の納沙布岬で、森下義和以下GRTテレビ「突然おじゃま虫」のスタッフが流氷づたいにアルコールをねだりにくるソ連兵を待ちかまえていると、なんと、ソ連正規軍が上陸を開始。またたくまに北海道は占領されるが、奇怪なことに在日米軍はもぬけのカラ!―思想も、宗教も、国家の目標ひとつない、金満日本の虚妄を戦争シミュレーションと「饒舌」で痛罵したスラプスティック大作。

驚愕の曠野(1988年)

薬菜飯店(1988年)

あなたをこれまで決して味わった事のない爽快な体験に案内する、究極の料理小説「薬菜飯店」。不思議な味わいの川端賞受賞作「ヨッパ谷への降下」や懐かしい味わいの「秒読み」、ファミコンの悪魔が子供に憑依する「偽魔王」など傑作短編6編。それに「サラダ記念日」を本歌どりした過激なパロディ短歌「カラダ記念日」を収録。鬼才が腕によりをかけた短編特別メニュー。

新日本探偵社報告書控(1988年)

昭和26年、辰巳秀雄が大阪信濃橋に構えた「新日本探偵社」。大企業から個人まで、依頼者は実にさまざま。求められた調査報告から、戦後の日本人の欲望と暗黒が浮かびあがる。

残像に口紅を(1989年)

「あ」が消えると、「愛」も「あなた」もなくなった。ひとつ、またひとつと言葉が失われてゆく世界で、執筆し、飲食し、交情する小説家。筒井康隆、究極の実験的長篇。

フェミニズム殺人事件(1989年)

夏の南紀、サロン的雰囲気にみちた高級リゾートホテルで起きた連続殺人。警察の厳重な警戒の中、また1人、密室殺人の犠牲になる…。奇抜なトリックを駆使した推理小説。

文学部唯野教授(1990年)

これは究極のパロディか、抱腹絶倒のメタフィクションか! 大学に内緒で小説を発表している唯野先生は、グロテスクな日常を乗り切りながら、講義では印象批評からポスト構造主義まで壮観な文学理論を展開して行くのであったが….「大学」と「文学」という2つの制度=権力と渡り合った、爆笑と驚愕のスーパー話題騒然小説。

夜のコント・冬のコント(1990年)

嫌煙運動は苛烈を極め、喫煙者は全国で迫害を受け始めた。男は最後の一人になるまで喫煙することを誓うのだが……。スラップスティックの傑作「最後の喫煙者」。人気のない悪役俳優の怒りをコミカルに捉えた「夜のコント」。規則に縛られたレストランのボーイの狂気を描く「冬のコント」。数学教育に革命的な叡智を見せる「『聖(セント)ジェームス病院』を歌う猫」等、疾風怒濤の全18編。

ロートレック荘事件(1990年)

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが……。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か? アリバイを持たぬ者は? 動機は? 推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。

朝のガスパール(1992年)

コンピューター・ゲーム『まぼろしの遊撃隊』に熱中する金剛商事常務貴野原の美貌の妻聡子は株の投資に失敗し、夫の全財産を抵当に、巨額の負債を作っていた。窮地の聡子を救うため、なんと“まぼろしの遊撃隊”がやってきた! かくして債務取立代行のヤクザ達と兵士達の銃撃戦が始まる。虚構の壁を超越し、無限の物語空間を達成し得たメタ・フィクションの金字塔。日本SF大賞受賞。

パプリカ(1993年)

精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻とテンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する!

最後の伝令(1993年)

肝硬変末期、全身が衰弱しつつある窓際会社員の体内で情報細胞の最後の旅が始まった。行く先々で様々な情報を蓄えつつ、めざすは延髄末端の十二番街。臓器という都市の混乱を緊迫した筆致で描く表題作ほか、現実と虚構の融合を語る「瀕死の舞台」。桜の木が切々と陳述する「樹木法廷に立つ」等、SF回帰と熱狂的に迎えられ、“死”をめぐる文学的野心作とも激賞された傑作14編。

鍵―自選短編集(1994年)

放置された机から見つかった古い鍵束。鍵に秘められた不思議な力に導かれ、甦る寒い思い出…。日常からにじみ出す幻想と恐怖を独自の感性と手法で綴る著者初のホラー短編集。

家族場面(1995年)

気がつけば、おれは石川五右衛門だった…。神出鬼没に時空を飛ぶ作家一家。読者を物語のブラックホールに突き落とし、ねじれた迷宮へと誘う表題作。被害者の遺族が死刑囚の刑を執行するという狂気の設定で、獄中で執筆し続けた囚人作家の断末魔を描く『天の一角』。長年の忍従に暴発した作家夫人の怒濤の糾弾を活写する法廷劇『妻の惑星』等、表現への熱い慟哭が刻まれた傑作7編。

ジャズ小説(1996年)

ジャズ・フリーク筒井康隆がこよなく愛する古今の名ナンバーを題材に、ときに恐怖、ときに爆笑、ときに楽しい十二の物語を紡いだ。

邪眼鳥(1997年)

顔のあるものがいない…。それが大富豪・入谷精一の葬儀だった。喪主は美貌の後妻・春子。先妻の子供である英作・信子・雅司の三人兄妹弟は、精一の莫大な遺産の出所に疑問を感じ、あるレコードが謎を解く鍵であることを知る。その「夏の初恋」なるSP盤には、奇妙な歌詞が…。富豪の遺族が踏み込んだ時空の迷宮。本格ミステリを凌駕する圧倒的パワー。「RPG試案―夫婦遍歴」併録。

満腹亭へようこそ(1998年)

敵(1998年)

渡辺儀助、75歳。大学教授の職を辞し10年。愛妻にも先立たれ、余生を勘定しつつ、ひとり悠々自適の生活を営んでいる。料理にこだわり、晩酌を楽しみ、ときには酒場にも足を運ぶ。ある日、パソコン通信の画面にメッセージが流れる。「敵です。皆が逃げはじめています―」。「敵」とは何者か。いつ、どのようにしてやってくるのか…。意識の深層を残酷なまでに描写する傑作長編小説。

わたしのグランパ(1999年)

中学校の珠子の前に、とつぜん現れた祖父・謙三はなんと刑務所帰りだった。侠気あふれるグランパは、町の人たちから慕われ、珠子の周囲の問題を次々に解決していく。しかし、グランパの秘密を知った珠子と、彼女を慕う紀子に大事件が襲いかかる──。

石原さとみのデビュー映画の原作で、読売文学賞を受賞した傑作ジュブナイル! 

エンガッツィオ司令塔(2000年)

エログロ、スカトロ、古典芸能……ここまで書いていいのだろうか?常に物議を醸してきた著者が挑む10のラディカルで危険な作品集!!

魚籃観音記(2000年)

女が眠りにつき、夢の法廷が開廷する。入ってくるのは、彼女の安眠を妨げ、悲しませる者たちばかり。検閲官と書記は今夜も苦心する……。やさしさに満ちた感動の名品「夢の検閲官」。孫悟空と観音様が禁断の一線を越える !? 究極のポルノ「魚籃観音記」。小説版は文庫初収録となる「12人の浮かれる男」など、夢想の迷宮に読者を捕えて逃さない珠玉の10編。豊饒な小説世界を堪能する傑作短編集。

細菌人間 ジュブナイル傑作集(2000年)

恐怖(2001年)

おれは殺される! 次に殺される! でも誰に? 静かで文化的な姥坂市で起きた連続殺人事件。閨秀画家の絞殺にはじまった殺人犯の狙いはどうやら、町に住む文化人を皆殺しにすることらしい。作家の村田勘市は、臆病な性格が災いして、次第に半狂乱に追い詰められていく。犯人は何者か? 何のために殺すのか? 謎解きのサスペンスにくわえ、「恐怖とは何か?」という人間心理の奥底に鬼才・筒井康隆がせまる異色傑作ミステリー! 不気味な目次も必見です。

天狗の落し文(2001年)

抱腹絶倒のショートショートから、脳天直撃の言語遊戯まで、断筆宣言時代をはさんで10年にわたって著者のもとに降ってきたヒラメキ全356篇。あふれかえったアイデアは天才作家の本領全開。ネタを自由にふくらませて、純文学、エンターテインメント、SF、シナリオなど発展可能性は無限大。絢爛豪華なネタの玉手箱にして、文学史上初、「全作、盗作自由」の使用権フリー短編集。

愛のひだりがわ(2002年)

幼いとき犬にかまれ、左腕が不自由な小学六年生の少女・月岡愛。母を亡くして居場所を失った彼女は、仲良しの大型犬デンを連れて行方不明の父を探す旅に出た。暴力が支配する無法の世界で次々と事件に巻き込まれながら、不思議なご隠居さんや出会った仲間に助けられて危機を乗り越えていく愛。近未来の日本を舞台に、勇気と希望を失わずに生きる少女の成長を描く傑作ジュヴナイル。

懲戒の部屋 自選ホラー傑作集1(2002年)

いっさい逃げ場なしの悪夢的状況。それでも、どす黒い狂気は次から次へと襲いかかる。痴漢に間違われたサラリーマンが女権保護委員会に監禁され、男として最も恐ろしい「懲戒」を受ける表題作。たった一度の軽口で、名も知らぬ相撲力士の逆鱗に触れた男が邪悪な肉塊から逃げ惑う「走る取的」。膨大な作品群の中から身も凍る怖さの逸品を著者自ら選び抜いた傑作ホラー小説集第一弾!

驚愕の曠野 自選ホラー傑作集2(2002年)

目の前の現実、慣れ親しんだ世界観にわずかな亀裂が走るとき、総毛立つ戦慄があなたを襲う。〈とてつもない残酷さ・グロテスクさをもって、ほとんど生理的な反応でパニックすらひきおこす〉(本書解説)と評された「二度死んだ少年の記録」。何度死んでも魔界に転生してしまう絶望的運命を著者十八番の超虚構で描く表題作。読者の恐怖観を完全にくつがえす自選ホラー傑作集第二弾!

最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1(2002年)

ドタバタとは手足がケイレンし、血液が逆流し、脳が耳からこぼれるほど笑ってしまう芸術表現のことである。健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受けるようになっても、おれは喫い続ける。地上最後のスモーカーとなった小説家の闘い「最後の喫煙者」。究極のエロ・グロ・ナンセンスが炸裂するスプラッター・コメディ「問題外科」。ツツイ中毒必至の自選爆笑傑作集第一弾。

傾いた世界 自選ドタバタ傑作集2(2002年)

「どどどどどどどどどどどどどどどどどど。世界一の倒壊が始まった」。もし、地面が2°傾いたら……そんな着想も筒井康隆の手にかかると、たちどころに爆笑の表題作に結晶する。異星への単身赴任者が全身全霊をこめてエイリアンと交流する「関節話法」など、正常と狂気の深~い関係から生まれた猛毒ユーモア七連発。永遠に読み継がれる名作中の名作を厳選した自選爆笑傑作集第二弾!

近所迷惑 自選短篇集1 ドタバタ篇(2002年)

怪物たちの夜 自選短篇集2 ショート・ショート篇(2002年)

日本以外全部沈没 自選短篇集3 パロディ篇(2002年)

睡魔のいる夏 自選短篇集4 ロマンチック篇(2002年)

カメロイド文部省 自選短篇集5 ブラック・ユーモア未来篇(2003年)

わが愛の税務署 自選短篇集6 ブラック・ユーモア現代篇(2003年)

ヘル(2003年)

「ヘル」では生者も死者も一緒くた。恨みも愛も甦り、逃げても逃げても追っ手が迫る。さあ待望のドタバタ筒井ワールドの始まりだ。

ポルノ惑星のサルモネラ人間 自選グロテスク傑作集(2005年)

ヨッパ谷への降下 自選ファンタジー傑作集(2005年)

見知らぬ夜の街で、若い裸の美女に導かれて奇妙な洞窟の温泉を滑り落ちる「エロチック街道」。九度死んで生きる虫の、いや増す死の恐怖を描いた「九死虫」。海のなかに建つ巨大な家で、水浸しの縁側を少年が漂流する「家」。乳白色に厚く張りめぐらされたヨッパグモの巣を降下する幻想的な川端康成文学賞受賞作「ヨッパ谷への降下」ほか、夢幻の異空間へ読者を誘う魔術的傑作12編。

銀齢の果て(2006年)

増大した老齢人口調節のため、ついに政府は70歳以上の国民に殺し合いさせる「老人相互処刑制度(シルバー・バトル)」を開始した! 和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町には、もと自衛官、プロレスラー、好色な神父など「強敵」が犇めいている。刃物と弾丸が飛び交い、命乞いと殺し合いの饗宴が続く。長生きは悪なのか? 恐怖と哄笑のうちに現代の「禁断の問い」を投げかける、老人文学の金字塔!

壊れかた指南(2006年)

猫が、タヌキが、妻が、編集者が壊れ続ける! ラストが絶対読めない、天才作家の悪魔的なストーリーテリングが堪能できる短篇集。

日本以外全部沈没 パニック短篇集(2006年)

地球の大変動で日本列島を除くすべての陸地が水没! 日本に殺到した世界の政治家、ハリウッドスターなどが日本人に媚びて生き残ろうとするが。時代を超越した筒井康隆の「危険」が我々を襲う。

陰悩録 リビドー短篇集(2006年)

風呂の排水口に○○タマが吸い込まれたら、自慰行為のたびにテレポートしてしまったら、突然家にやってきた弁天さまにセックスを強要されたら。人間の過剰な「性」を描き、爆笑の後にもの哀しさが漂う悲喜劇。

如菩薩団 ピカレスク短篇集(2006年)

上品でインテリだがつましい生活を強いられる団地の主婦たちが、連れだって高級住宅街にやって来た。そう、彼女たちこそ、最近世間を騒がせる女盗賊団だったのだ。悪逆非道な物語ばかりが並ぶとんでもない短篇集!

夜を走る トラブル短篇集(2006年)

アル中のタクシー運転手が体験する最悪の夜、三カ月以上便通のない男の大便の行き先、デモに参加した女子大生を匿う教授の選択……絶体絶命、不条理な状況に壊れていく人間たちの哀しくも笑える物語。

佇むひと リリカル短篇集(2006年)

社会を批判したせいで土に植えられ樹木化されてしまった妻との別れ。誰も関心を持たなくなったオリンピックに出場し黙々と走る男。現代人の心の奥底にしまわれていた郷愁、感傷、抒情を解き放つ心地よい癒しの短篇。

くさり ホラー短篇集(2006年)

地下にある父親の実験室をめざす盲目の少女。ライフルを手に錯乱した肥満の女流作家。銀座のクラブに集った硫黄島での戦闘経験者。シリアスからドタバタまで、おぞましくて痛そうで不気味な恐怖体験が炸裂。

出世の首 ヴァーチャル短篇集(2007年)

物語、フィクション、虚構……様々な名で、我々の文明に存在する「何か」。先史時代の洞窟から、王朝、戦国をへて現代のTVスタジオまで、時空を超えて現れるその「魔物」を希求し続ける作者の短篇。

巨船ベラス・レトラス(2007年)

『大いなる助走』から四半世紀、巨匠・筒井康隆が再び文壇の内幕を鋭く描く! パソコンソフト会社を興して成功した狭山銀次が創刊した、前衛的な文芸誌「ベラス・レトラス」。破格の原稿料に釣られ、常連執筆者となった作家たち。実験的な作風で知られる錣山兼光、ホラー小説の旗手・伊川谷幻麝、盲目の詩人・七尾霊兆、革新的な作品で派手に登場した笹川卯三郎……。そうした作家たちの成功を妬む同人誌作家が爆弾テロを起こすところから物語は始まる。小説世界の内と外は自在につながり、過激なメタフィクションが展開、ついには「筒井康隆」を名乗る人物が語り始める。現代の文学を取り巻く状況を風刺する、ブラックユーモアに満ちた快作。

ダンシング・ヴァニティ(2008年)

美術評論家のおれが住む家のまわりでは喧嘩がたえまなく繰り返され、老いた母と妻、娘たちを騒ぎから守ろうとおれは繰り返し対応に四苦八苦。そこに死んだはずの父親や息子が繰り返し訪ねてきて……。コピー&ペーストによって執拗に反復され、奇妙に捩れていく記述が奏でるのは錯乱の世界か、文学のダンスか? 巨匠が切り開いた恐るべき技法の頂点にして、前人未到の文学世界!

ビアンカ・オーバースタディ(2012年)

ウニの生殖の研究をする超絶美少女・ビアンカ北町。彼女の放課後(オーバースタディ)は、ちょっと危険な生物学の実験研究にのめりこむ、生物研究部員。そんな彼女の前に突然、「未来人」が現れて--!

聖痕(2013年)

五歳の葉月貴夫はその美貌ゆえ暴漢に襲われ、性器を切断された。性欲に支配される芸術に興味を持てなくなった彼は、若いころから美食を追い求めることになる。やがて自分が理想とするレストランを作るが、美女のスタッフが集まった店は「背徳の館」と化していく……。巨匠・筒井康隆が古今の日本語の贅を尽して現代を描き未来を予言する、文明批評小説にして数奇極まる「聖人伝」。

繁栄の昭和(2014年)

文壇のマエストロ、超斬新な短編集。

迷宮殺人の現場にいた謎の小人、人工臓器を体内に入れた科学探偵、窃盗団に身をやつした貴公子、ツツイヤスタカを思わせる俳優兼作家……。

メタフィクションとノスタルジー、奇想に満ちた妖しげな世界に、どこまでも誘われてください。ツツイワールド大爆発!

世界はゴ冗談(2015年)

文学の道化にして帝王。この男のおかげで世界は黒い嗤いに満ちてきた――。巨匠、八十歳。なおも最前衛に立ち、小説の沃野を拡げ続けた末の、悪夢のように甘美で刺激的な果実――。老人文学の臨界点「ペニスに命中」、SFと震災の感動的な融合「不在」、二千以上の三字熟語が炸裂する「三字熟語の奇」、最新の文学理論の小説化「メタパラの七・五人」など、異常なまでの傑作短篇集。瞠目せよ、刮目せよ!

モナドの領域(2015年)

著者自ら「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」と宣言する究極の小説、ついに刊行! 河川敷で発見された片腕はバラバラ事件の発端と思われた。美貌の警部、不穏なベーカリー、老教授の奇矯な振舞い、錯綜する捜査……。だが、事件はあらゆる予見を越え、やがてGODが人類と世界の秘密を語り始める――。巨匠が小説的技倆と哲学的思索の全てを注ぎ込んだ 超弩級小説。

この記事を書いた人
右手

平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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