戦争と平和(トルストイ)のあらすじ(ネタバレあり)・解説・感想

19世紀前半のナポレオン戦争の時代を舞台に、アウステルリッツの戦いや、ボロディノの戦いを経てモスクワを制圧するもフランス軍が退却に追い込まれたロシア遠征などの歴史的背景を精緻に描写しながら、1805年から1813年にかけてあるロシア貴族の3つの一族(ボルコンスキー公爵家、ベズーホフ伯爵家、ロストフ伯爵家)の興亡を中心に描き、ピエール・ベズーホフとナターシャの恋と新しい時代への目覚めを点描しながら綴った群像小説である。

戦争と平和(トルストイ)の作品情報

タイトル
戦争と平和
著者
トルストイ
形式
小説
ジャンル
歴史
恋愛
戦争文学
執筆国
ロシア
版元
不明
執筆年
不明
初出
ロシア報知、1865年-1869年
刊行情報
下記
翻訳者
下記

戦争と平和(トルストイ)のあらすじ・概要

19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入という歴史的大事件に際して発揮されたロシア人の民族性を、貴族社会と民衆のありさまを余すところなく描きつくすことを通して謳いあげた一大叙事詩。1805年アウステルリッツの会戦でフランス軍に打ち破られ、もどってきた平和な暮しのなかにも、きたるべき危機の予感がただようロシア社交界の雰囲気を描きだすところから物語の幕があがる。

戦争と平和(トルストイ)の目次

作者

レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ(1828年9月9日 – 1910年11月20日)

帝政ロシアの小説家、思想家。フョードル・ドストエフスキー、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀ロシア文学を代表する文豪と目されている。代表作に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』など。文学のみならず、政治・社会にも大きな影響を与えた。

戦争と平和(トルストイ)の刊行情報

藤沼貴訳『戦争と平和 1-6』岩波文庫

工藤精一郎訳『戦争と平和 1-4』新潮文庫

戦争と平和(トルストイ)の登場人物

ピエール
本編の主人公。莫大な財産を持つキーリル・ウラジーミロヴィチ・ベズウーホフ伯爵の私生児の一人。父に愛され、その財産を継ぐ。フランス帰り。力自慢の偉丈夫。

アンドレイ・ニコラーエヴィチ・ボルコンスキィ
ボルコンスキィ公爵家の長男、27歳の青年士官。ピエールの親友。優秀な実務家。アウステルリッツを含む対ナポレオン戦争に従軍する。

マリヤ・ニコラーエヴナ・ボルコンスカヤ
アンドレイの妹。兄と違い、信心深い。決して美人とはいえないが、美しい瞳を持つ女性。父と共に領地で生活している。

ニコライ・イリーイチ・ロストフ
ロストフ伯爵家の長男。青年士官としてアウステルリッツに従軍する。軟弱な青年だったが、軍に馴染み、成長していく。

ナターシャ・ロストフ
12歳。ニコライ・ロストフの妹。無邪気で天真爛漫な少女。多くの男性を惹き付ける。

ソーニャ
14歳。ニコライの又従兄妹で、ロストフ伯爵家の居候。幼少の頃からニコライを一途に愛する。

ボリス
ニコライ兄妹の幼馴染。上昇志向が強い。様々な人脈を駆使して出世を遂げていく。幼い頃はナターシャに恋心を抱いていた。

ワシーリィ・ドミートリチ・デニーソフ
ロシア軍の士官。歴戦の勇士。アウステルリッツ以来のニコライの戦友。

アナトーリ・ワシーリエヴィチ・クラーギン
クラーギン公爵家の次男、ピエールの親戚にして放蕩仲間。

エレン・ワシーリエヴナ・クラーギナ
アナトーリの妹。絶世の美女にして社交界の花形。兄同様に享楽的な人物で、他者を堕落させる力を有する。

ドーロホフ
アナトーリの友人にして放蕩仲間。アナトーリを金蔓として利用している節がある。対フランス戦にもたびたび参加。活躍は多いが、その気性がたたり、昇格と降格を繰り返している。

ミハイル・イラリオーノヴィチ・クトゥーゾフ
ロシア軍の元帥。

ナポレオン・ボナパルト
フランス皇帝。

アレクサンドル1世
ロシア皇帝。

戦争と平和(トルストイ)のあらすじ(ネタバレあり)

戦争と平和のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまで簡単に紹介しています。この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

戦争と平和 第一巻のストーリーを紹介!

1805年7月、帝政ロシアの首都・ペテルブルクの社交界の様子から物語が始まる。この年4月には、イギリス、ロシア、オーストリア、神聖ローマ帝国などの対仏大同盟が成立し、ナポレオンとの戦争が目前に迫っていた。フランスから帰ったばかりのピエールと悪友たちは、酔った勢いで警察署長に乱暴を働き、ペテルブルクを追放される。

一方、ベズウーホフ老伯爵の死が近づいていた。遺産を期待していた伯爵令嬢やクラーギン公爵を差し置き、非嫡出子のピエールが遺言状により伯爵家の莫大な財産を相続する。ロストフ伯爵家では、愛国心に燃えたニコライが出征する。ボルコンスキィ公爵家のアンドレイは妊娠中の妻リーザを残して出征する。

アンドレイ及びニコライ・ロストフはオーストリア戦線に参加する。アンドレイはクトゥーゾフ元帥の副官として精力的に動く。初陣のニコライは腕を負傷する。

ピエールはクラーギン公爵の長女エレンと愛のない結婚をする。アウステルリッツの三帝会戦で、アンドレイは負傷する。生きていることにナポレオンが気づき、フランス軍の捕虜とされる。

戦争と平和 第二巻のストーリーを紹介!

ニコライは休暇で戦友デニーソフと共に帰郷する。ピエールはエレンの不義を疑い、ドーロホフと決闘し、ドーロホフを倒す。エレンとは別居する。アンドレイ、捕虜生活から領地に帰還するも、妻リーザは出産後に死亡し、男児・ニコールシカが遺される。ドーロホフはソーニャに求婚するが、ニコライを愛していたソーニャは拒絶する。ドーロホフは意趣返しにニコライをカード賭博で4万3000ルーブリ負かす。ニコライは父の伯爵に頼み込み、何とか支払った後、軍隊に戻る。アンドレイの友人デニーソフは、ナターシャに求婚するも拒絶されてしまう。

1807年。ピエールは偶然出会ったヨーシフ・アレクセーエヴィチ・バズデーエフに誘われ、フリーメーソンの結社に入会する。ピエール、領地からの帰路にアンドレイを訪ねフリーメーソンに誘うも、かわされる。デニーソフは、隊の物資不足に悩み、飢えた兵隊を救うために友軍の補給物資を強奪する。ニコライは負傷して野戦病院に入ったデニーソフを見舞い、皇帝の恩赦を得るために奔走するもその目的を果たすことはできなかった。

1809年5月、ロストフ伯爵家を訪問したアンドレイは、無邪気な少女ナターシャや自然の美しさに触れ、活力を取り戻す。1809年8月になるとアンドレイは禿山での隠棲を終え、ペテルブルクへ向かった。そしてスペランスキィと親交を持ち、軍規制定委員会・法律制定委員会の一員になる。1809年11月には、ピエールとエレンが同居を再開。ボリスは人脈を得る為フリーメーソンに参加する。アンドレイはナターシャと婚約。父は結婚に反対し、一年間アンドレイが外国で過ごして互いの気持ちが変わらなければ許可する、と条件を出す。そのためアンドレイは外国へと向かう。

年が明けて1810年。ニコライ、家の財政立て直しのため帰郷するも、実質的には何もできなかった。その後は、ロストフ伯爵家の狩猟やクリスマスの仮装などを楽しむ。ニコライ、ソーニャに告白するも親の反対に遭う。ナターシャにとり、アンドレイを待つ1年間は長く、不安や焦燥にかられるようになる。

翌1811年、老ボルコンスキィ公、マリヤにさらに厳しくあたるようになる。訪問してきた老ロストフ伯爵とナターシャも、侮辱的に扱う。そういう時に、エレンとアナトーリの兄妹がナターシャに近づく。アナトーリ、ナターシャを誘惑し駆け落ちを図るが失敗し、ナターシャは悲嘆に暮れる。ピエール、アナトーリを追放し、ナターシャに告白する。

戦争と平和 第三巻のストーリーを紹介!

1812年6月12日、ついにフランス軍がロシアに侵入する。侵入前の1812年5月にはアンドレイが戦場に復帰していた。ニコライは勲功を上げ、軽騎兵隊長に昇進する。ナターシャは一連のスキャンダルの心労から病になってしまうものの、信仰の力で回復へ向かう。

1812年8月。スモレンスクが陥落し、ボルコンスキィ家領にも戦争が迫る。1812年8月15日には老ボルコンスキィが亡くなり、領民の暴動が起こる。ニコライの救援により、マリヤ、辛くも脱出する。8月26日のボロジノ会戦には、ピエール、単身で戦場に乗り込む。アンドレイ負傷し、同じく負傷したアナトーリと再会する。アナトーリは死亡してしまう。

ロシア軍はモスクワの放棄を決定。逃れられる者は逃れ、モスクワは抜け殻となる。9月1日にはロストフ家も疎開。フランス軍が翌日モスクワに入り、モスクワは略奪や大火の被害を被った。9月2日。ナターシャ、疎開中に負傷のため後方に送られるアンドレイと再会、赦される。9月3日。ピエール、幼女を火災から救う。略奪兵の暴行を阻止しようと争い、フランス軍に逮捕される。

戦争と平和 第四巻のストーリーを紹介!

エレンはピエールと離婚した後に再婚するよう画策していたが誤って服毒死してしまう。ロストフ伯夫人、ニコライとマリヤの結婚を望み、ソーニャにニコライへの想いを諦めさせる。ピエール、見せしめの銃殺に立会い、絶望する。しかし同じく捕虜であるプラトン・カラターエフの人格に希望を見出す。マリヤ、ニコライを通じてアンドレイの消息を知り、死に瀕した兄と再会。アンドレイは命を落とす。

10月6日、タルーチノの戦いでロシア軍が反撃に転じると、フランス軍はモスクワからの撤退を開始する。出発前にピエールは、捕虜生活の中で、安らかな心と自分自身との調和を得る。10月7日、モスクワから退却するフランス軍は、ピエールらの捕虜に過酷な行軍を強いる。

デニーソフ及びドーロホフ、パルチザン部隊長としてフランス軍の追撃を開始。仕官したペーチャはデニーソフと再会し、部隊の襲撃に参加するも戦死してしまう。その戦いでピエール救出されるも、助けられる前に不自由な捕虜生活の中で精神的な革新を遂げていた。ピエールに影響を与えたカラターエフは落伍、銃殺される。

マリヤはアンドレイの死の悲しみから立ち直り、現実生活に回帰していた。1812年12月末。ナターシャ、ペーチャの訃報により半狂乱をきたした母を看病する為、「生」に回帰。1813年1月、マリヤ、ナターシャと親友に。ナターシャの気分転換のため、共にモスクワに向かう。前後して、1812年11月5日から8日、クラースノエ付近の会戦。ロシア軍は追撃し、ベレジナ川の会戦が起こる。

11月29日にはクトゥーゾフがヴィルナに入城。12月12日、前日に到着したツァーリから勲一等ゲオルギィ勲章を授与されるも、次第に実権を奪われていき、その役目を終える。解放されたピエール、オリョールで発病、三カ月寝込む。捕虜生活の内に真の「信仰」を得た彼は誰からも好かれる人間に変わる。エレンの遺した負債処理の為、モスクワへと向かう。1813年1月末、ピエールはモスクワに到着。五日目の夕方、訪問したマリア宅でナターシャと再会する。ナターシャ、アンドレイの死の様子を語り、心の整理を付け、笑顔を取り戻す。ピエールとナターシャは互いの愛を悟っていた。

戦争と平和の結末・ラスト(ネタバレ)

エピローグでは、ピエール・ナターシャ夫妻、ニコライ・マリヤ夫妻のその後を描いている。社交界の内外で人望を集めるピエール。ロストフ家の財政を何とか立て直したニコライ。魅力的な少女から善良なる母へと姿をかえたナターシャ。その後トルストイ自身により総括が行われ物語は幕を下ろす。

戦争と平和(トルストイ)の感想・解説・評価

合わせて読みたい本

戦争と平和(トルストイ)の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
右手

平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
読んだ本を登録している読書メーター

右手をフォローする
小説
読む本.com

タイトルとURLをコピーしました