【おすすめ】吉村萬壱の全作品を一覧であらすじを紹介します

吉村 萬壱 よしむら・まんいち(1961年2月19日 – )

小説家。愛媛県松山市生まれ。京都教育大学教育学部第一社会科学科卒業。1997年、「国営巨大浴場の午後」で第1回京都大学新聞社新人文学賞受賞。2001年、「クチュクチュバーン」で文學界新人賞受賞。2003年、「ハリガネムシ」で芥川賞を受賞した。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:臣女
  • 2位:ボラード病
  • 3位:バースト・ゾーン 爆裂地区

作品年表リスト

『クチュクチュバーン』2002年8月

ある日突然、世界のすべてが変わる。

蜘蛛女、巨女、シマウマ男に犬人間……地球規模で新たな「進化」が始まる。

小説界を震撼させた、芥川賞作家の驚異のデビュー作。

  • クチュクチュバーン
  • 人間離れ
  • 国営巨大浴場の午後(文庫版のみ)

『ハリガネムシ』2003年8月

私は風呂無しアパートに住む、高校の倫理教師。サチコが、突然アパートに押しかけてきた日から、私は堕ちはじめた。

入浴料二千五百円、サービス料一万二千円の店で働く痩せたソープ嬢。手首には無数のためらい傷。2人の奇妙な共同生活の中で、セックスと暴力だけが加速していく。その果てにあるのは?

人間存在の深奥を見据えて深い感動をよぶ傑作小説。「笑い、怒り、おぞましさ……これほど感情を翻弄された小説は久しぶりです」と山田詠美氏激賞の、戦慄の芥川賞受賞作!

  • ハリガネムシ
  • 岬行

「読む者を辟易させながら引きずっていく重い力がある」という石原慎太郎の選評の通り、僕も読みながらドン引き、顔をしかめながらも、最後まで読むことはやめませんでした。

僕の好みではありません。それでも最後まで読ませる力は間違いなくありました。しかも、退屈することもなかったあたりに、この小説の良さがあると思います。

『バースト・ゾーン 爆裂地区』2005年5月

「テロリンを殺せ!」

ラジオからは戦意高揚のメッセージが四六時中流れ出す。テロリンっぽい子どもをいじめるテロリンごっこが流行する。テロリンっぽい行動をした奴は民衆のリンチでぶち殺される。いつ終わるともわからぬテロリストの襲撃に、民衆は疲弊し、次第に狂気の度合いを高めていった。

肉体労働者の椹木武は病気の妻子を養うため、愛人を売春宿で働かせて稼ぎを搾取していた。小柳寛子は椹木のために、狂った客たちに弄ばれ続けていた。やぶ医者の斎藤良介は、今日も手術に失敗して一人を殺した。麻薬密売人の土門仁は浮浪者たちを薬漬けにしていた。素人画家の井筒俊夫は、売春宿で抱いた小柳のあとを尾け回していた。

そして遂に最大級のテロが発生した。

国家はテロリン殲滅の大号令を出し、地上最強の武器「神充」を確保せんと、「地区」へ志願兵を送り込んだ。椹木、小柳、斎藤、土門、井筒、五人はそれぞれの思惑から「地区」へと向かう。しかし「地区」で待ち受けていたのは……

超極限状況下における人間の生と死を、美しくかつグロテスクに綴る、芥川賞受賞作家渾身の破壊文学。

テロリストに蹂躙された「この国」で5人の「異形の」人物たちが魂のサバイバルを繰り広げる文学大作。濃密な破滅的描写に驚愕することまちがいなし。

戦いのはてに彼らが見出したものとは? 

『ヤイトスエッド』2009年

近所に憧れの老作家・坂下宙ぅ吉が引っ越してきた。私は宙ぅ吉のデビュー作「三つ編み腋毛」を再読する。そして少しでも彼に近付きたいという思いを強くして――「イナセ一戸建」のほか、文庫版特別書下しとして、作中に登場する坂下宙ぅ吉のデビュー作「三つ編み腋毛」(抄)を収録した全七篇。淫靡な芳香を放つ狂気を描く、幻の短編集が待望の文庫化。

  • B39
  • B39-II

『独居45』2009年9月

その男(45歳・独居)が住み着くや、ありふれた町はとんでもないことに。怖気をふるいつつ、つい吹き出してしまう、仰天の超ド級傑作。

『ボラード病』2014年6月

B県海塚市は、過去の災厄から蘇りつつある復興の町。

皆が心を一つに強く結び合って「海塚讃歌」を歌い、新鮮な地元の魚や野菜を食べ、港の清掃活動に励み、同級生が次々と死んでいく――。

この町に母親と2人で暮らす小学五年生の恭子の視点を通し、淡々とつづられる回想は、やがて歪んだ異世界を浮き彫りにする。

集団心理の歪み、蔓延る同調圧力の不穏さを、小説でしか出来ない方法で描き、読む者を驚愕・震撼させたディストピア小説の傑作!

『臣女』2014年12月

夫の浮気を知った妻は身体が巨大化していった。絶望感と罪悪感に苛まれながら、夫は異形のものと化していく妻を世間の目から隠して懸命に介護する。

しかし、大量の食料を必要とし、大量の排泄を続ける妻の存在はいつしか隠しきれなくなり、夫はひとつの決断を迫られることに——。恋愛小説に風穴を空ける作品との評を得、満票にて第22回島清恋愛文学賞を受賞した怪作が待望の文庫化!

『虚ろまんてぃっく』2015年9月

「日本社会の現状に対する鋭い洞察と、異議申し立て」(佐藤優氏)「近年の日本文学におけるもっとも高次な、また豊饒な果実の1つ」(若松英輔氏)と絶賛された傑作「ボラード病」で新境地を切り拓いた吉村萬壱氏。

あれから一年、吉村氏の2005年以降の10の短篇・中篇を一挙収録した作品集。シュールな近未来ものあり、不条理な家族小説あり、不気味で、不穏で、グロテスク、吹き荒れる嵐のように暴走する想像力が、読者を真実の深淵へといざなう。鬼才の筆が炸裂する、圧倒的作品集。

『生きていくうえで、かけがえのないこと』2016年8月 エッセイ

休む、食べる、嘆く、忘れる……

わたしを立ち止まらせる
25の人間のすがた

『ボラード病』『ハリガネムシ』『クチュクチュバーン』で知られる異能の芥川賞作家による初のエッセイ集!

『流しの下のうーちゃん』2016年10月 漫画

芥川賞作家が漫画を描いた!

27年間続けた教員を辞めた。これで小説を書く時間はたっぷりできたはずなのに、惰眠を貪るばかりで、執筆は一向に進まない。

書けない日常から、思考はいつしか逃避をはじめ、気づけば異界の入口へと招かれていた。うさぎのうーちゃん、巨女、仕事ぶりを見張る謎の男。

締切と逃走。労働と国家。作家の日常と足取りをたどるうち、深遠なる世界に足を踏み入れる、つげ義春的漫画作品。

『うつぼのひとりごと』2017年8月 エッセイ

いびつで不完全で、愛おしい
だから人間は面白い

暗い深みへと惹かれていくダイビング、ゴミ捨て場漁りの愉しみ、女の足の小指を切る夢、幼い頃の小さな、つぐなうことのできない「失敗」……。

『臣女』『ボラード病』の芥川賞作家が、何気ない日常の奥にひそむ「世界のありのまま」をまっすぐにみつめる。人間への尽きない興味と優しさに溢れたエッセイ集。

『回遊人』2017年

妻か、妻の友人か。よりよい人生をつかみ取るため、過去へ跳び、人生を選べ。何度も。鬼才が描く永遠なる10年――

平凡な暮らしとはいえ、幸せな家庭を築いた男。しかし、妻子とのやり取りに行き詰まりを感じて出奔してしまう。たどり着いたドヤ街で小さな白い錠剤を見つけた男は、遺書を書き、それを飲む。ネタになるならよし。よしんば死んでも構わないと考えて。

目覚めるとそこは10年前、結婚前の世界だった。人生を選べる幸せを、男は噛み締めていたのだが……。芥川賞、島清恋愛文学賞作家が描く大人の偏愛。

『前世は兎』2018年10月

七年余り雌兎だった記憶を持ち、雄との交尾に開け暮れた一生を送った女。現世でも常に交尾を欲し、数々の奇行に走る。そして前世でつがいだった男と再会するが、その先で遭遇した恐ろしい出来事とは――(前世は兎)。

36歳、教員で休職中の独身女が日々「ヌッセン総合カタログ」を詳細に書き写す訳は、「スティレス」を解消する為だった。同僚が次々と部屋を訪れ、職場復帰を促すのだが――(宗教)。

破滅を迎えた世界で、国のマラソン競技に選抜された姉。労働力として認められないものへの唯一の栄誉だが、自殺や逃亡は許されない。選手村への出発を翌日の向かえた夜、姉がとった行動とは……(ランナー)。ほか、全七話。

『出来事』2019年12月

きれいごとを吹き飛ばす圧倒的描写力によって日常世界がめくれあがる。見慣れたはずの外界が何かおかしい。人間の嘘がべろりと浮かび上がる。人間とは何ものか……。

「季刊文科」62号(2014年4月)〜77号(2019年3月)連載作、待望の単行本化!

『流卵』2020年2月

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河出書房新社

「ヘンタイ! ヘンタイ! ヘンタイ!」??中2男子の性の目覚めと悪魔崇拝がもたらす官能と陶酔。吉村版『金閣寺』、誕生。

『死者にこそふさわしいその場所』2021年8月

怖いものほど見たくなる、駄目なものほど癖になる。
日常の輪郭がゆがんでとろける、奇「快」な人間植物園。

折口山に暮らすのは、どうしようもない人達ばかり。
・セックスの回数を記録する愛人
・徘徊癖のある妻を介護する老人
・アパートのドアが開きっぱなしの裸男
・朝どうしても起きられなくなってしまった女
・困った人の面倒を見たがる聖職者

町はずれの植物園に、彼らは、吸い寄せられるようにやってくる。

『哲学の蝿』2021年11月 エッセイ

世界の「正当性」を破壊しながら、人間存在の根源的な部分を抉り出し、
現実への違和感を物語に託して世に放つ異端の小説家・吉村萬壱が、
デビュー20年の節目に著す初の自伝的エッセイ。
幼少期の鮮烈な体験と母親の存在は著者の人間形成に決定的な役割を果たすが、
やがてそれに対抗する力として文学や哲学に傾倒してゆく。
ニーチェやコリン・ウィルソン、井筒俊彦やヴィクトール・フランクルなど種々の著作のほか、
映画作品や断片的なメモなど著者が血肉としてきた広義の「哲学書」を取り上げ、
それらと創作との結び付きを考えながら、読むこと、書くこと、
ひいては生きることそれ自体の意味を問う。

『CF』2022年6月

罪の責任を取る必要がない”無化”を行ってくれる超巨大企業・Central Factory。
加害者のみならず被害者の苦しみも取り除いてくれる夢のような技術を持ち、世を平穏へと導いている。
が、それに疑問を持つ男がひとり。男はCFへのテロを計画していた。

人生に上手く馴染めないキャバクラ嬢、能面のような夫の表情に悩む主婦、少女へ恋する中学生、自由を持て余すホームレス、CFの布教に勤しむ老婆、CFでの労働によって犯罪の清算をする中年、社長の著作代筆作業に行き詰まるCF広報室長。
そして、CFの欺瞞を暴こうとテロを計画する男。
CFCFCF。
CFをめぐり、人々は交錯する。
罪とは何か。責任のとり方を問う群像劇。

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