【おすすめ】中上健次の全作品を一覧であらすじを紹介します

中上 健次 なかがみ・けんじ(1946年8月2日 – 1992年8月12日)

小説家。和歌山県新宮市生まれ。和歌山県立新宮高等学校卒業。羽田空港などで肉体労働に従事したのち、執筆に専念。紀州熊野を舞台にした数々の小説を描き、ひとつの血族と「路地」のなかの共同体を中心にした「紀州サーガ」とよばれる独特の土着的な作品世界を作り上げた。1976年『岬』で第74回芥川賞を受賞、戦後生まれで初めての芥川賞作家となった。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:奇蹟
  • 2位:鳳仙花
  • 3位:地の果て 至上の時

中上健次の作品年表リスト

十九歳の地図(1974年)

予備校生のノートに記された地図と、そこに書き込まれていく×印。東京で生活する少年の拠り所なき鬱屈を瑞々しい筆致で捉えた青春小説の金字塔「十九歳の地図」、デビュー作「一番はじめの出来事」他「蝸牛」「補陀落」を収録。戦後日本文学を代表する作家の第一作品集。

鳩どもの家(1975年)

セックス、煙草―悪ぶってみせるボクは18歳の高校生。暴力的ともいえる若者の荒々しい反逆のエネルギーを鮮烈なタッチで描いた表題作他、バイタリティにみちた初期作品を収録。

岬(1976年)

この作家の郷里である紀州を舞台にのがれがたい血の宿命の中に閉じこめめれた、一青年の渇望と愛憎を、鮮烈な文体で描き出し、広く感動を呼んだ第74回芥川賞受賞作。

この小説は、著者独自の哀切な旋律を始めて文学として定着させた記念碑的作品とされ、広く感動を呼んだ。この作品では多くの登場人物が出てくるが、その多くは血縁関係のある人物であり、複雑に混ざり合った男女の性交の結果である。主人公はその複雑な血縁関係を恨み、父親を恨み、報復してやるのだと向かったのは妹の元であった。その憎たらしい父親の血は確かに自分の中に塊として存在していた・・・。表題作のほか、「火宅」「浄徳寺ツアー」など初期の力作三篇も収めている。

蛇淫(1976年)

重い血の記憶がよどむ南紀の風土のなかで原始的な本性に衝き動かされるままに荒々しい生をいとなむ男の姿を、緊迫感溢れる文体で描く短篇集。若い女との気ままで怠惰な生活をなじられ、衝動的に両親を殺すに至る表題作の他、「荒くれ」「水の家」「路地」「雲山」「荒神」の6篇を収録。

枯木灘(1977年)

紀州・熊野の貧しい路地に、兄や姉とは父が異なる私生児として生まれた土方の秋幸。悪行の噂絶えぬ父・龍造への憎悪とも憧憬ともつかぬ激情が、閉ざされた土地の血の呪縛の中で煮えたぎる。愛と痛みが暴力的に交錯し、圧倒的感動をもたらす戦慄のサーガ。戦後文学史における最重要長編「枯木灘」に、番外編「覇王の七日」を併録。

十八歳、海へ(1977年)

若さはあまりに、酷すぎる!ジャズや喧嘩にも情熱を失った、やるせない青春の痛みと憤りを、豊かな感性とのびやかな筆で綴った表題作他。溢れる資質をみなぎらせた作品集。

化粧(1978年)

若き中上健次が、根の国・熊野の、闇と光、夢と現、死と生、聖と賤のはざまで漂泊する、若き囚われの魂の行脚を、多層な鮮烈なイメージに捉えようとして懸命に疾走する。“物語”回復という大きなテーマに敢えて挑戦する力業。短篇連作『熊野集』、秀作『枯木灘』に繋ぐ、清新な15の力篇。

水の女(1979年)

獣のように性を貪りつくそうとする男たちに対し、ある女は、自らの過去を封印し、その性に溺れ、またある女は、儚い運命のなかにそれを溶かし込む。またある女は、男の性を弄ぶ。紀伊を舞台に、土俗的世界に生きる男女の性愛を真正面から描いた傑作短篇5作。緊密な弾力のある文体で、性の陰翳と人間の内部の闇を描破した中上文学の極北。

鳳仙花(1980年)

「秋幸もの三部作」よりも以前の時代を描く、秋幸の母・フサの波乱の半生を描いた物語。

海光る3月。私生児としての生い立ちに昏い痛みを覚えながらも、美しく利発な娘に成長したフサは、十五になった春、生まれ育った南紀の町をあとにした。

若々しい肉体の目覚めとともに恋を知り、子を孕み、母となって宿命の地に根をおろすフサ。しかし、貧しくも幸福な日々は、夫・勝一郎の死によって突然に断ち切られた。

子供を抱え、戦時下を生き延びる過酷な暮らしの中で、後に賭博師の龍造と子を為し、秋幸と名付ける。しかし龍造が賭博で刑務所に入っている間、他の二人の女を孕ませていたことを知り、フサは秋幸には龍造を父と呼ばせぬと宣言する……。

中上健次が実母をモデルに、その波瀾の半生を雄大な物語へと昇華させた傑作長編。

千年の愉楽(1982年)

熊野の山々の迫る紀州南端の地を舞台に、高貴で不吉な血の宿命を分つ若者たち―色事師、荒くれ、夜盗、ヤクザら―の生と死を、神話的世界を通して過去・現在・未来に自在にうつし出し、新しい物語文学の誕生と謳われる名作。

地の果て至上の時(1983年)

紀州を舞台に圧倒的な物語を紡いだ現代文学の巨星が芥川賞受賞作『岬』、代表作『枯木灘』を凌駕すべく挑んだ最高傑作。

熊野集(1984年)

『枯木灘』『鳳仙花』等の力強い文学的達成のあと、更に新たな表現の地平を拓こうとする果敢にしてエネルギーに溢れた“挑戦する志”。現代の文学を全身で担おうとする中上健次の奔騰し凝集しつづける表現の“渦”。

物語ソウル(1984年)

日輪の翼(1984年)

路地を出ざるをえなくなった青年と老婆たちは、トレーラー車で流離の旅に出ることになる。熊野、伊勢、一宮、恐山、そして皇居へ、追われゆく聖地巡礼のロードノベル。

紀伊物語(1984年)

男たちに身を売り、男と出奔し、女たちからもののしられて死んだ母。その奔放な血を背負い、故郷・紀伊大島を旅立った19歳の道子がたどる、愛欲の軌跡―。

野生の火炎樹(1985年)

“オリュウノオバ”が住む路地裏にある七代のろわれた中本の家。そこに、突然生まれた肌の黒い子・マウイ。10歳で女を知り、中本の若衆に育ったマウイは、オリュウの謎のような言葉と中本の血の逆流に突き動かされ、故郷フジナミを棄て、欲望の巷へと向かう…。本書は、『異族』『千年の愉楽』の世界に新しい展開を試みた野心作であり、現代風俗を描き切った作者会心の青春小説である。

十九歳のジェイコブ(1986年)

クスリで濁った頭と体を、ジャズに共鳴させるジェイコブ。癒されることのない渇きに呻く十九歳の青春を、精緻な構成と文体で描く。渦巻く愛と憎しみ、そして死。灼熱の魂の遍歴を描く、青春文学の金字塔。

火まつり(1987年)

天の歌 小説都はるみ(1987年)

重力の都(1988年)

〈重力=物語〉に引き寄せられる男と女。その愉楽の世界を豊麗な言葉によって語り、著者自ら谷崎潤一郎に捧げると誌した連作短編集。

奇蹟(1989年)

金色の小鳥が舞い、夏芙蓉の花が咲き乱れる紀州・新宮の路地。歌舞音曲に現を抜かし若死にするという七代にわたり仏の因果を背負った、淫蕩の血に澱む一統・中本。「闘いの性」に生まれついた極道タイチの短く苛烈な生涯が、老産婆オリュウノオバ、アル中のトモノオジにより幻惑的に語られる。人間の生と死、その罪と罰を問うた崇高な世界文学。

讃歌(1990年)

男女、男男、男女男、女男女……若く逞しく美しい高級ジゴロ、イーブは一切、相手を選ばない。マネージャーのチョン子が決めるまま、誰の相手もつとめ、ジムナジウムで筋肉を鍛えあげる。なぜ彼は「性のサイボーグ」に徹するのか?熊野の「路地」からはるかな遍歴の果てにたどり着いた東京で、世のあらゆる汚辱と恥辱を一身に受け止める彼の“目的地”はどこにあるのか。全編にみなぎる過激な性とインモラルな描写で大きな反響を呼んだ、中上文学ならではの大胆、破天荒な長篇小説。

軽蔑(1992年)

トップレス・バーで働く美人の真知子と遊び人のカズさんが、夜となく昼となくくり広げる愛欲の日々…。新しい愛の形を必死に生きる男と女の運命を鮮烈な感性でとらえた長編。

鰐の聖域(1992年)

入り組んだ血の関係、四代にわたる抗争、女たちの嫉妬――。優しくて、ワルで、ちゃらんぽらんで、実がある。元暴走族の青年・五郎にからみつく言い知れぬ不安…。中上文学の新展開を示す遺作。

異族(1993年)

「路地」に生まれたタツヤ、在日韓国人二世のシム、アイヌモシリのウタリ──胸の同じ場所に、同じ形の青アザを持ち、互いの血を啜り合って義兄弟の契りを結んだ三人の屈強な男たち。そのアザの形に旧満州の地図を重ね見る右翼の大立者・槙野原は、空手の猛者である三人を前に、青アザの三勇士による満州国の再建を説く。中上文学の新たな出発を記す意欲作として連載中から注目を集めた大長編。

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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