クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)のあらすじ(ネタバレあり)・考察・感想

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)の作品情報

タイトル
クレーヴの奥方
著者
ラファイエット夫人
形式
小説
ジャンル
恋愛
執筆国
フランス
版元
不明
刊行年
1678年
初出
書き下ろし
刊行情報
下記
翻訳者
下記

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)のあらすじ(ネタバレなし)

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)の目次

  • 一の巻
  • 二の巻
  • 三の巻
  • 四の巻

作者

ラファイエット夫人(1634年3月18日 – 1693年5月25日)

マリ=マドレーヌ・ピオシュ・ド・ラ・ヴェルニュとして、フランスのパリに生まれる。父は宮廷の技術官、母は宮廷医官の娘で公爵夫人の侍女。ラテン語、イタリア語、古典文学を学び、自身も宮廷に身をおき、21歳のときラファイエット伯爵と結婚する。無署名で出版した『モンパンシエ侯爵夫人』が好評で、その後『アンリエット・ダングルテールの記録』からは著者名をラファイエット夫人とする。『クレーヴの奥方』は古典の名作と謳われ、日本の戦後文学にも大きな影響を与えた

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)の刊行情報

映画版関連動画

フランス『クレーヴの奥方 (La Princesse de Clèves)』1961年

ポルトガル、フランス、スペイン『クレーヴの奥方 (La Lettre)』1999年

フランス『女写真家ソフィー (La Fidélité)』2000年

『クレーヴの奥方』を現代に翻案したものです。

フランス『美しいひと (La Belle Personne)』2008年

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)の登場人物

シャルトル嬢(クレーヴの奥方)
透き通った白い肌、金髪。16歳。宮廷でその美貌が話題になるほどの美女。クレーヴ殿と結婚し「クレーヴの奥方」となる。

クレーヴ殿
太守・ヌヴェール公の次男。勇敢で鷹揚で若いが慎重な性格。美男子。上品かつ果敢で物事にこだわらない。シャルトル嬢に一目ぼれする。

ヌムール公
クレーヴの奥方の美しさに目を奪われる。のちに相思相愛の関係となる。

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)のあらすじ(ネタバレあり)

クレーヴの奥方のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまで簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)のあらすじ【起】

シャルトル嬢は16歳の美女。父親は既に亡く、母親の手で厳しく育てられてきた。

母親と共に宮廷生活を始めるとたちまちその美しさが話題となる。クレーヴ殿が彼女に一目ぼれし、結婚を申し込む。

シャルトル嬢は「クレーヴ殿は良い方で、他の人の妻になるよりはいいが、愛着は感じていない」と母に話すなど、結婚にあまり前向きではなかった。しかし母親の薦めもあり、クレーヴ殿と結婚。「クレーヴの奥方」となる。

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)のあらすじ【承】

結婚直後の宮廷舞踏会で、奥方はヌムール公と出会うと二人はたちまち恋に落ちる。

しかし、二人は恋心を打ち明けることはせず、胸の内に潜め続ける。ヌムール公には数多くの仲の良い女性がいたが、その思いは奥方に一直線に向けられる。

そんな中、奥方の母親の病状が急速に悪化。母親は奥方がヌムール公に恋心を抱いていることに気付いていた。

「夫に尽くす義務を忘れてはいけない」と今の評判を失うかもしれないと注意しつつ、「宮廷からお下がりなさい」とヌムール公から距離を取ることを助言し亡くなってしまう。

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)のあらすじ【転】

母親の助言に従い、奥方は宮廷から離れ住みヌムール公を避けるようになる。ヌムール公は奥方を訪ねるが、奥方は会おうとしない。

そんな時、ヌムール公の手により奥方の肖像画が盗まれる事件が発生する。奥方はその現場を目撃するが、問題にすることはなくヌムール公を見逃す。

続いて、ヌムール公の手による手紙が見つかる。女性に宛てた手紙の存在を耳にした奥方は嫉妬心を覚えるが、本人はそのことに気が付いていない。

その後、その手紙はヌムール公のものではなく、別人のものだということが判明。その騒動のさなか、二人は恋を確かめ合う。

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)の結末・ラスト(ネタバレ)

しかし、そんな妻の行動を不審に思ったクレーヴ殿は奥方を問い詰める。そんな夫に、奥方は相手の名を伏せて、好きな男がいることを正直に打ち明ける。

夫は激しい嫉妬におそわれ、相手の男性だと考えたヌムール公の行動を近侍に探らせる。そうしてみると、ヌムール公と奥方が会っていたこと判明したのだ。

このとき奥方はヌムール公が自分に会いに来たことに怒り、居残ろうとするヌムール公を苦心して追い返したのだが、クレーヴ殿にそこまでの事情はわからなかった。

クレーヴ殿は絶望のあまり病に倒れ、「奥方がヌムール公と一夜を共にしたことがある」と勘違いしながら奥方を責めた。 そのままクレーヴ殿は亡くなり、奥方は夫の死と、身に覚えのないことを責められたことにより深い悲しみを味わう。

クレーヴ殿が亡くなったことにより、ヌムール公はあらためて奥方に愛の告白をする。奥方もヌムール公を好いていることを明かすが、ヌムール公の気持ちに応えることは出来ないと彼の元を去ってゆく。

奥方はその後、修道院と自邸を行き来する生活を送り、若くして亡くなった。ヌムール公の傷心は、日時と奥方が側にいないことが癒したという。

クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)の感想・評価

現代に通じる恋愛小説

本作の舞台はフランス。16世紀のアンリ2世の王宮での貴族の恋愛ということで、現代日本からは遠い世界のお話だ。小説には実在の人物も登場するほか、高貴な人々の優雅な世界が描かれる。

現代日本の僕らが何の手助けもなくそれらをイメージするのは困難なことだが、本作に描かれたクレーヴの奥方、クレーヴ殿、ヌムール公の関係は現代に通ずるところがある。

あまり乗り気ではない結婚をしたクレーヴの奥方は、その後出会ったヌムール公と相思相愛になる。この三角関係だけを見れば、現代の恋愛小説となんら変わるところはない。むしろ、夫に好きな相手がいると告白する奥方の姿は、現代的な女性像であると捉えることもできるかもしれない。

事実、母国フランスを中心にたびたび映画化がなされているが、舞台を中世貴族社会から現代に移し、翻案されたものが制作・公開されている。

合わせて読みたい本

ドルジェル伯の舞踏会

青年貴族のフランソワは、社交界の花形ドルジェル伯爵夫妻に気に入られ、彼らと頻繁に過ごすようになる。気さくだが軽薄な伯爵と、そんな夫を敬愛する貞淑な妻マオ。フランソワはマオへの恋慕を抑えきれなくなっていく。

「クレーヴの奥方」をモチーフに執筆された恋愛小説。激しく揺れ動く心の動きを繊細に描きとっている。

マノン・レスコー

将来を嘱望された良家の子弟デ・グリュは、街で出会った美少女マノンに心奪われ、駆け落ちを決意する。

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クレーヴの奥方(ラファイエット夫人)の評判・口コミ・レビュー

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