【おすすめ】藤沢周平の全作品を一覧であらすじを紹介します

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藤沢 周平 ふじさわ・しゅうへい(1927年12月26日 ‐ 1997年1月26日)

小説家。山形県鶴岡市出身。江戸時代を舞台に、庶民や下級武士の哀歓を描いた時代小説作品を多く残した。とくに、架空の藩「海坂藩(うなさかはん)」を舞台にした作品群が有名である。代表作に『たそがれ清兵衛』『海鳴り』『蝉しぐれ』など。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:蝉しぐれ
  • 2位:海鳴り
  • 3位:風の果て

作品年表リスト

暗殺の年輪(1973年)

海坂(うなさか)藩士・葛西馨之介(けいのすけ)は成長するにつれ、周囲が向ける愍笑(びんしょう)の眼を感じるようになった。どうやら、18年前の父の横死と関係があるらしい。仲間から孤立する馨之介が、久しぶりに同門の貝沼金吾に誘われて屋敷へ行くと、待っていた藩の重役から、中老暗殺を引き受けろと言われ──武士の非情な掟の世界を、緻密な構成で描いた直木賞受賞作と、「黒い繩」「ただ一撃」「溟(くら)い海」「囮」の全5作品を収録した、初期傑作集。

又蔵の火(1974年)

脱藩の果て、一族の面汚しとして死んだ放蕩者の兄。その兄にも三分の理があると信じ、一心不乱に剣の精進を重ね、理不尽ともいえる仇討ちを甥に挑む又蔵。鮮烈かつ哀切極まる決闘場面の感動が語り継がれる表題作の他、島帰りの男と彼を慕う娘との束の間の幸せを描いた「割れた月」など全5篇収録。「主人公たちは、いずれも暗い宿命のようなものに背中を押されて生き、あるいは死ぬ」(「あとがき」より)。“負のロマン”と賛された初期名品集。

闇の梯子(1974年)

立派な板木師になろうと、裏長屋でつましく暮らす清次とおたみ。道を踏み外した兄や先輩のように自分はならないと心に誓って…それでも奈落の底に墜ちてゆく、厳しい宿命を描いた表題作。十四年に及んだ隠密探索を終えて江戸にもどった男が、己の探索の内容にふと疑いを持つ「相模守は無害」。呑気な青年が、思いもかけぬ運命で許嫁を失ったとき…「紅の記憶」。そのほか「入墨」「父(ちゃん)と呼べ」の全五篇。四十代半ばの藤沢周平が描く、味わい深い短篇集。

雲奔る 小説・雲井龍雄(1975年)

米沢藩士・雲井龍雄。安井息軒の三計塾きっての俊才と謳わる。やがて幕末狂乱の嵐は奥羽列藩に及び、会津鎮撫の挙に出た薩摩に、龍雄は激しく憤り、「討薩ノ檄」を懐に奔走する。薩賊の兵、東下以来、侵掠せざる地なく、鶏牛をぬすみ、婦女に淫し……。討薩ひとすじに27歳の短く激しい生を生きた悲劇の志士を描く、異色長篇。

  • 檻車墨河を渡る 文藝春秋 1975
  • 雲奔る 小説・雲井龍雄 文春文庫、中公文庫

竹光始末(1976年)

一家の糊口を凌ぐために刀を売り、竹光を腰に仕官の条件である上意討へと向う浪人の心意気『竹光始末』。口喧しい女房を尻目に、藩の危機を未然に防ぐ一刀流剣士の手柄『恐妻の剣』。他に『石を抱く』『冬の終りに』等、小説巧者・藤沢周平が、世の片隅で生きる男たちの意地と度胸を、ユーモラスに、陰翳豊かに描く傑作時代小説、全6編。

時雨のあと(1976年)

身体を悪くして以来、すさんだ日々を過ごす鳶の安蔵。妹みゆきは、兄の立ち直りを心の支えに、苦界に身を沈めた。客のあい間に小銭をつかみ、兄に会うみゆき。ふたりの背に、冷たい時雨が降り注ぐ…。表題作のほか、「雪明かり」「闇の顔」「意気地なし」「鱗雲」など、不遇な町人や下級武士を主人公に、江戸の市井に咲く小哀話を、繊麗に、人情味豊かに描く傑作短篇全7話を収録。

義民が駆ける(1976年)

江戸後期の天保年間、老中水野忠邦から突然命じられた理不尽な三方国替え。越後長岡への転封を強いられた藩主を守ろうと、荘内藩の百姓たちは越訴のため黙々と江戸をめざす。深山にわけ入り間道を伝って歩き続ける領民たちの相貌と、彼らを衝き動かした情動を精緻に描く、傑作歴史長編。

冤罪(1976年)

部屋住みの若侍堀源次郎には、ひそかに心を寄せる娘がいた。散歩のたびに目顔で挨拶をかわす、坂下の家の娘である。ところがある日、お目あての娘の姿が消え、彼女の父親相良彦兵衛が藩金横領の咎で詰め腹を切らされたことが判明した。不審に思った源次郎は疑惑追及に乗り出すが……。表題作をはじめ、「潮田伝五郎置文」「臍曲がり新左」等、興趣あふれる《武家もの》時代小説全9編。

暁のひかり(1976年)

朝の清々しい光のなかを、娘は竹竿にすがって歩いていく。一心不乱に黒い眸(ひとみ)を輝かせて、ひとりで歩く稽古をしているのだ。それは徹夜で疲れきった男の胸に沁みた。男の身体は賭場のにおいに濃くつつまれている。孤独な心象をあざやかに描く表題作のほか、巷(ちまた)のはぐれ者たちの哀切な息づかいを端正に、ときにユーモラスに捉えた「馬五郎焼身」「おふく」「穴熊」「しぶとい連中」「冬の潮」をおさめた、藤沢周平初期の短篇名品集。

逆軍の旗(1976年)

「時は今あめが下しる五月哉」──明智光秀は、その日の直前こう発句した。坐して滅ぶかあるいは叛くか。天正十年六月一日、亀山城を出た光秀の軍列は本能寺へとむかう。戦国武将のなかでもひときわ異様な謎につつまれたこの人物を描き出す歴史小説。他に「上意改まる」「幻にあらず」「二人の失踪人」の三篇を収める異色歴史小説集。

喜多川歌麿女絵草紙(1977年)

あでやかな美人絵が大人気の浮世絵師・歌麿は、版元・蔦屋にたのまれた役者絵の注文を受けるべきか考えていた。時は寛政3年、蔦屋が刊行した洒落本が発禁処分をうけ、蔦屋は大打撃をうけたあとだ。役者絵ならば、幕府の取り締まりを受けないのだが……鬱々とした世にも、匂いたつような美人たちを描きつづける歌麿を、蔦屋にかかわる滝沢馬琴や写楽をまじえ、人間として描き出した、藤沢周平の新境地。最後の場面の淫蕩さには、息をのむ藤沢ファンも多いはず!

闇の穴(1977年)

わたしを棄てた男が帰ってきた。大江戸の裏店でそっとともした灯を吹き消すような暗い顔。すさんだ瞳が、からんだ糸をひくように、わたしの心を闇の穴へとひきずりこむ――。ゆらめく女の心を円熟の筆に捉えた表題作。ほかに、殺人現場を目撃したため、恐怖心から失語症にかかってしまった子供を抱えて働く寡婦の薄幸な生を描く「閉ざされた口」等、映画化作品「小川の辺」を含む時代小説短編の絶品七編を収める。

闇の歯車(1977年)

川端にひっそりとある赤提灯で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人と危険なにおいの遊び人。白髪の隠居と商家の若旦那。ここに4人を〈押し込み強盗〉に誘う謎の男があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む、闇の歯車が回る。

長門守の陰謀(1977年)

長門守(ながとのかみ)・酒井忠重が、藩主の世子を廃し、自分の子を後継に据えようとしている──荘内藩空前の危機、いわゆる「長門守事件」を題材とした表題作。権謀術数がうずまく政治の世界に生きる男たちを描くこの作品とは対照的に、小藩の武士の世界をその妻の視点からユーモラスに描いた「夢ぞ見し」。ほそぼそと街場に暮らす人々の哀歓を愛情深く描く「春の雪」「夕べの光」「遠い少女」。藤沢周平の魅力を堪能できる、5つの初期短篇。

春秋山伏記(1978年)

白装束に高足駄、髭面で好色そうな大男が、羽黒山からやって来た。はじめ彼は村びとから危険視され、うさん臭く思われていたが、子供の命を救ったり、娘の病気を直したりするうち、次第に畏怖と尊敬の眼差を集めるようになった……。年若い里山伏と村びとの織りなすユーモラスでエロティックな人間模様のうちに、著者の郷里山形県荘内地方に伝わる習俗を小説化した異色の時代長編。

一茶(1978年)

生涯、2万に及ぶ発句。稀代の俳諧師、小林一茶。その素朴な作風とは裏腹に、貧しさの中をしたたかに生き抜いた男。遺産横領人の汚名を残し、晩年に娶(めと)った若妻と荒淫ともいえる夜を過ごした老人でもあった。俳聖か、風狂か、俗事にたけた世間師か──。およそ俳聖という衣装の似合わない、底辺を生きた俳人の複雑な貌(かお)を描き出す傑作伝記小説。

用心棒日月抄(1978年)用心棒日月抄シリーズ

用心棒が赴くところにドラマがある――。故あって人を斬り脱藩。己れの命を危険にさらし、様々な人の楯となって生きる浪人青江又八郎の苛烈な青春。江戸は元禄、巷間を騒がす赤穂浪人の隠れた動きが活発になるにつれ、請け負う仕事はなぜか浅野・吉良両家の争いの周辺に……。凄まじい殺陣の迫力と市井の哀歓あふれる十話。

神隠し(1979年)

伊沢屋の内儀お品が不意に姿を消した。三日後ひょっこり戻ってきた彼女は、やつれながらも何故か凄艶さを漂わせている…。意表をつく仕掛けの表題作ほか、家出した孫の帰りを待ちわびる老婆を襲う皮肉な運命『夜の雷雨』、記憶を失った娘が子供のない夫婦にもたらしたひと時の幸福『小鶴』など、市井に生きる人々の感情の機微を、余情溢れる筆致で織り上げた名品全11篇。

雪明かり(1979年)

貧しくも、明日への夢を持って健気に生きる女。深い心の闇を抱えて世間の片隅にうずくまる博徒。武家社会の終焉を予感する武士の慨嘆。立場、事情はさまざまでも、己の世界を懸命に生きる人々を、善人も、悪人も優しく見つめる著者の目が全編を貫き、巧みな構成と鮮やかな結末があいまった魅惑の短編集。

回天の門(1979年)

幕末の志士の中でも、清河八郎の評判はきわめて悪い。「変節漢」「山師」「出世主義者」とまで、ひとは呼ぶ。今なお誤解のなかにあるこの男は、荘内藩の素封家から飛び出してきた“草莽の士”であった。卓越した頭脳と肉体にめぐまれたカリスマでありながら、ほんの少しだけ倒幕には早すぎた志士。幕府の罠にはまり、同志や妻をうばわれ、長く潜行した日々。郷里出奔から、攘夷を説いて諸国をまわり、ついに麻布一ノ橋で凶刃に倒れるまでの、悲運の人生を描く。

消えた女(1979年)彫師伊之助捕物覚え

版木彫り職人の伊之助は、元凄腕の岡っ引。逃げた女房が男と心中して以来、浮かない日を送っていたが、弥八親分から娘のおようが失踪したと告げられて、重い腰を上げた。おようの行方を追う先々で起こる怪事件。その裏に、材木商高麗屋と作事奉行の黒いつながりが浮かびあがってきた……。時代小説の名手・藤沢周平が初めて挑んだ、新趣向の捕物帖――シリーズ第一作!

驟り雨(1980年)

激しい雨の中、一人の盗っ人が八幡さまの軒下に潜んで、通り向いの問屋の様子を窺っていた。その眼の前へ、入れかわり立ちかわり雨やどりに来る人々。そして彼らが寸時、繰り広げる人間模様……。表題作「驟り雨」をはじめ、「贈り物」「遅いしあわせ」など、全10編を収める。

橋ものがたり(1980年)

様々な人間が日毎行き交う江戸の橋を舞台に演じられる、出会いと別れ。男女の喜怒哀楽の表情を瑞々しい筆致に描く傑作時代小説。

孤剣 用心棒日月抄(1980年)用心棒日月抄シリーズ

藩主毒殺の陰謀の証拠書類をもって姿を消した恐るべき剣鬼がいる。藩取り潰しを目論み、公儀隠密も暗躍する。お家の危機を救うべく、密命を帯びて青江又八郎ふたたび脱藩、江戸へ。頼むは身一つ剣一つ。用心棒稼業に糊口をしのぐ又八郎を待ち受ける三つどもえの死闘。

霧の果て(1980年)

北の定町廻り同心・神谷玄次郎は、一流の剣の遣い手。しかし14年前に母と妹を無残に殺され、その犯人がうやむやになって以来、心に闇を抱えて生きてきた。仕事を怠けては、馴染みの女将がいる小料理屋に入り浸る自堕落ぶり。当然ながら、上役の覚えも芳しくない。だが本気になると、事件の解決には鋭い勘と抜群の推理力を発揮するため、かろうじて首がつながっているのだった。そんなある日、川に女の死体が浮かぶ──。人間味あふれ、読後感抜群の傑作連作短篇集。

  • 出合茶屋 神谷玄次郎捕物控 双葉社 1980年
  • 霧の果て 文春文庫 1985年

闇の傀儡師(1980年)

鶴見源次郎は無眼流の剣の達人だが、御家人の身分を捨て、いまは内職で生計を立てる長屋住まい。ある日、ひょんなことから瀕死の公儀隠密に密書を託される。そこには「八は田に会す ご用心」とあった。田とは今をときめく老中の田沼意次。八は“八嶽党”。徳川将軍家が代がわりする度に、暗躍してきた正体不明の徒党である。「老中、まつだいら、さまに」と託された密書だが、しかし、松平姓の老中は三人いる。藤沢周平が愛読した立川文庫に想を得た、伝奇時代小説の傑作。

春秋の檻 獄医立花登手控え1(1980年)獄医立花登手控えシリーズ

江戸小伝馬町の牢獄に勤める青年医師・立花登。居候先の叔父の家で口うるさい叔母と驕慢な娘にこき使われている登は、島送りの船を待つ囚人からの頼みに耳を貸したことから、思わぬ危機に陥った――。起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、獄舎に持ちこまれるさまざまな事件を解く。著者の代表的時代連作集。

夜の橋(1981年)

博奕に溺れたせいで夫婦別れしたおきくが、半年ぶりに訪ねてきた。再婚話の相談で、もう自分には関係ないと一旦は突き放す民次だったが、相手がまぎれもないやくざ者と分かるや、危険を顧みず止めに出る……雪降る江戸深川の夜の橋を舞台に、すれ違う男女の心の機微を哀感こめて描いた表題作ほか、武家物と市井物あわせて全9篇を収録。『暗殺の年輪』で直木賞を受賞し、作家として脂が乗ってきたころの作品群。ひとつひとつが胸に響く“人生の教科書”のような短篇集。

時雨みち(1981年)

田中麗奈、東山紀之主演映画『山桜』の原作を収録。とり返しのつかない回り道をしてしまった――若くして不幸な結婚を二度経験した野江。一度目は夫に死なれ、二度目の夫は、野江を出戻りの嫁と蔑んでいる。しかし二度も失敗することなどできず、耐え忍ぶ日々を送っていた。そんなある日、山桜をひと枝折ろうと、爪先立って手をのばす野江の頭上から、不意に男の声がした。「手折って進ぜよう」――薄紅いろの山桜の下、たった一度出会ったその男は……「山桜」をはじめ、全11作品を収録した時代小説集。

風雪の檻 獄医立花登手控え2(1981年)獄医立花登手控えシリーズ

登の柔術仲間、新谷弥助が姿を消した。道場に行くと言って家を出たまま、その後、深川の遊所でよからぬ男たちと歩いているところを目撃されたという。行方を追う登の前に立ちはだかる悪の背後に、意外や弥助の影があった。何が彼を変えたのか――。熱血青年獄医が難事件の数々に挑む。大好評シリーズ第2弾。

霜の朝(1981年)

その財力を賭けて粋を競った相手の紀ノ国屋文左衛門は、悪銭廃止令によって没落した。勝ち残った奈良屋茂左衛門の胸を一陣の風が吹き抜けていった。紀文と共に一つの時代が過ぎていったようだ……(表題作「霜の朝」)。ほかに、若い武家夫婦の無念を晴らす下男の胸中(「報復」)や、意に染まぬ結婚をした女のあわれ(「歳月」)等、人の心に潜む愛と孤独を、円熟した筆に綴った時代小説傑作集。

隠し剣孤影抄(1981年)隠し剣シリーズ

秘剣、外に語らず──伝授はもちろん、どんな技かも極秘にされる“隠し剣”。その隠し剣が必要になるとき、それは最悪の事態を意味する。剣鬼と化して破牢した夫のために捨て身の行動に出る人妻、これに翻弄される男を描く「隠し剣鬼ノ爪」は、同名の映画の原作となった作品。そのほか「臆病剣松風」「暗殺剣虎ノ眼」「女人剣さざ波」「必死剣鳥刺し」など、爽やかで深い時代小説の魅力が横溢するシリーズ8篇。剣客小説に新境地を拓いた名品集、第1弾!

隠し剣秋風抄(1981年)隠し剣シリーズ

「気難しい読者をこれほど愉しませた時代小説はまれ」といわれる“隠し剣”シリーズ第2弾。山田洋次監督、木村拓哉主演の映画「武士の一分」原作となった「盲目剣谺返し」、呑んだくれ藩士の悲哀を描く「酒乱剣石割り」、醜男にもそれなりの女難あり、と語る「女難剣雷切り」、家中に名高い偏屈男がその偏屈をつらぬきとおす「偏屈剣蟇(ひき)ノ舌」、女好きで剣の精進を怠けた男が捨て身で放った「好色剣流水」など、粋な筆致の中に深い余韻を残す名品9篇を収載。

周平独言(1981年)エッセイ

「私のエッセーは炉辺の談話のごときものにすぎない。さほど大声には語らず、その場かぎりで消えるのが建前である」と記している著者による、初めてのエッセイ集。惹かれてやまない歴史上の人物、そこから湧き出てくる創作への意欲、故郷庄内の風土や人々への思いが濃密に凝縮された、藤沢ファン必読の記念碑的な1冊。時には小説の中からでなく、日常の言葉でじかに読者に話しかけてもいいのではなかろうか──自らを語ることの少なかった、藤沢周平の素顔がここにある。

密謀(1982年)

織田から豊臣へと急旋回し、やがて天下分け目の“関ケ原”へと向かう戦国末期は、いたるところに策略と陥穽が口をあけて待ちかまえていた。謙信以来の精強を誇る東国の雄・上杉で主君景勝を支えるのは、二十代の若さだが、知謀の将として聞える直江兼続。本書は、兼続の慧眼と彼が擁する草(忍びの者)の暗躍を軸に、戦国の世の盛衰を活写した、興趣尽きない歴史・時代小説である。

愛憎の檻 獄医立花登手控え3(1982年)獄医立花登手控えシリーズ

娘の病を治したお礼にと、登に未解決事件の情報を教えてくれた男が牢の中で殺された。大胆な殺しの後、ゆうゆうと出牢した犯人を追い、登は江戸の町を駆ける――。家では肩身の狭い居候だが、悪事には敢然と立ち向かう若き牢医師・立花登が、得意の柔術と推理で事件を解き明かす。大人気時代連作第3弾。

漆黒の霧の中で(1982年)彫師伊之助捕物覚え

竪川に上った不審な水死人の素姓を洗って、聞きこみを続ける伊之助の前にくり広げられる江戸の町人たちの人生模様──。そして、闇に跳梁する謎の殺人鬼による、第二、第三の殺人――。伊之助の孤独な探索は、大店の主人や寺僧たちの悪と欲の世界を明るみに出すが……。元は凄腕の岡っ引、今は版木彫り職人の伊之助を主人公とする、絶妙の大江戸ハードボイルド。

よろずや平四郎活人剣(1983年)

神名(かんな)平四郎は、知行千石の旗本の子弟。しかし実質は、祝福されざる冷や飯食いで、妾腹の子である。思い屈して実家を出奔、友人たちと剣の腕を生かして道場を立ち上げようとするが、資金持ち逃げにあい、結局、裏店に棲みつく。暮らしに窮して、思案のあげく、やがて平四郎は奇妙な看板を掲げる。……喧嘩五十文、口論二十文、とりもどし物百文、よろずもめごと仲裁つかまつり候。世間知らずの平四郎の奇妙な商売、果たして依頼主はいるのだろうか?

人間の檻 獄医立花登手控え4(1983年)獄医立花登手控えシリーズ

子供をさらって手にかける老人の秘密。裁きを終えた事件の裏に匂い立つ女の性(さが)。小伝馬町の牢内に沈殿する暗く悲しい浮世の難事を、人情味あふれる青年獄医がさわやかに解決する。だがある日、かつての捕物の恨みから、登の命をもらうと脅す男が現れた――。著者が5年にわたって書き継いだ傑作シリーズ完結編。

刺客 用心棒日月抄(1983年)用心棒日月抄シリーズ

お家乗っ取りを策謀する黒幕のもとから、五人の刺客が江戸に放たれた。藩内の隠された罪と疑惑を探る忍びの集団「嗅足組」を抹殺するためにである。身を挺して危機を救ってくれた女嗅足の頭領佐知の危難を救うべく、青江又八郎も刺客を追って江戸へ――。

龍を見た男(1983年)

天に駆けのぼる龍の火柱のおかげで、見失った方角を知り、あやうく遭難を免れた漁師の因縁(表題作「龍を見た男」)。駆落ちに失敗して苦界に沈んだ娘と、幼な馴染で彼女をしたう口がきけない男との心の交流(「帰って来た女」)。絶縁しながらも、相手が危難の際には味方となって筋を通す両剣士の意地(「切腹」)。その他、市井の人々の仕合せと喜怒哀楽を描いて卓抜な技倆を示す傑作時代小説集。

海鳴り(1984年)

はじめて白髪を見つけたのは、いくつのときだったろう。骨身をけずり、果てにむかえた四十の坂。残された日々は、ただ老い朽ちてゆくばかりなのか。……家は闇のように冷えている。心通じぬ妻と、放蕩息子の跡取りと。紙商・小野屋新兵衛は、やがて、薄幸の人妻丸子屋のおかみ・おこうに、果せぬ想いをよせてゆく。新兵衛の心の翳りを軸に人生の陰影を描く、世話物の名品。

白き瓶-小説・長塚節(1985年)

37年の短い生涯を旅と作歌に捧げた長塚節(たかし)。清潔な風貌とこわれやすい身体をもつ彼は、みずから好んでうたった白埴(しらはに)の瓶(かめ)に似ていたかもしれない。清痩鶴のごとく住んだと評され、妻も子も持たぬまま逝った男の短い生涯を、清冽な文章で辿った会心の鎮魂賦。作品の細部をめぐって、著者・藤沢周平が歌人・清水房雄氏と交わした書簡の一部も特別収録。吉川英治文学賞受賞作。

ささやく河(1985年)彫師伊之助捕物覚え

元は凄腕の岡っ引、今は版木彫り職人の伊之助。定町回り同心石塚宗平の口説きに負けて、何者かに刺殺された島帰りの男の過去を探るはめに。綿密な捜査を進め、二十五年前の三人組押し込み強盗事件に辿りついた時、彼の前に現れたあまりにも意外な犯人と哀切極まりないその動機ー江戸を流れる河に下町の人々の息づかいを鮮やかに映し出す長編時代ミステリー。

花のあと(1985年)

娘ざかりを剣の道に生きた以登(いと)。色白で細面、醜女ではないのだが父に似て口がいささか大きすぎる。そんなお以登にも、ほのかに想いをよせる男がいた。部屋住みだが道場随一の遣い手、江口孫四郎である。許婚の決まった身ながら、お以登は一度だけ孫四郎との手合わせを望む──。老女の昔語りとして端正に描かれる異色の武家物語は、北川景子主演の映画化原作。表題作ほか、藤沢周平の円熟期の秀作を“町人物”と“武家物”併せて七篇収録。

風の果て(1985年)

首席家老・桑山又左衛門の元に、ある日、恥知る気あらば決闘に応じよ、と書かれた果たし状が届く。差出人は数十年来の友・野瀬市之丞。妻をめとらず、婿にもいかず、ついに髪に霜を置くに至った野瀬家の“厄介叔父”だ。少年時代、片貝道場で剣の腕前を競い合い、比丘尼町の飲み屋で杯を酌み交わした。あの頃は、たがいに婿入り先すら心許ない実家の冷や飯喰いだった。しかし歳月は流れ、いまや二人の運命は大きく違ってしまった。武家小説の一大傑作!

首席家老・桑山又左衛門の許に、ある日果たし状が届く。「恥を知る気持ちが残っているなら、決闘に応じよ」というのです。

相手は野瀬市之丞。同門・片貝道場の友人。戸惑いつつ、又左衛門は親友たちと過ごした日々を振り返りながら、人生で得たものと失ったものを確かめていきます。

決闘の辻 藤沢版新剣客伝(1985年)

死を賭して得た剣名、生を捨てて得た剣技、何人にも負けるわけにはいかない――。宮本武蔵の最後の戦い、神子上典膳の師の後継を争う決闘。柳生但馬守宗矩の野心のための斬り合い。諸岡一羽斎、愛洲移香斎など、歴史に名を残す名剣客の決闘シーンを、剣の一振り、刃光の閃きまでもリアルに描く剣客小説。

潮田伝五郎置文(1985年)

小説の周辺(1985年)エッセイ

北斎晩年のやり場のない鬱屈を鮮烈に描いた処女小説「溟(くら)い海」は、執筆当時の作者の自画像であったという。当代随一の時代小説の書き手であるこの作家は、これまで自身を語ること稀であった。郷里鶴岡と幼年時代、師や友、創作秘話、日常身辺などを簡潔に綴る、作品と併せ読むべき興味津々たる一冊。藤沢ファン待望の名エッセイ。

本所しぐれ町物語(1987年)

浮気に腹を立てて実家に帰ってしまった女房を連れ戻そうと思いながら、また別の女に走ってしまう小間物屋。大酒飲みの父親の借金を、身売りして返済しようとする十歳の娘。女房としっくりいかず、はかない望みを抱いて二十年ぶりに元の恋人に会うが、幻滅だけを感じてしまう油屋。一見平穏に暮らす人々の心に、起こっては消える小さな波紋、微妙な気持の揺れをしみじみ描く連作長編。

蝉しぐれ(1988年)

「どうした?噛まれたか」「はい」文四郎はためらわずその指を口にふくむと、傷口を強く吸った。無言で頭を下げ、小走りに家へ戻るふく―。海坂藩普組牧家の跡取り・文四郎は、15歳の初夏を迎えていた。淡い恋、友情、突然一家を襲う悲運と忍苦。苛烈な運命に翻弄されつつ成長してゆく少年藩士の姿を描いた、傑作長篇小説。

本作の主人公・牧文四郎は15歳。まさに子どもから大人へ変わるその真っ直中にいます。文四郎は、剣術の稽古に励み、隣家の娘であるふくに淡い恋心を抱き、将来について親友たちと語り合います。

しかし、その文四郎に突き付けられるのは無情な現実。父の問題、ふくとの恋…悲しい運命を背負いながら成長する一人の少年を描いていきます。

決して明るい話ではありません。ですが、親子愛、友情、剣術、身分の壁など時代小説の素晴らしさが詰まった作品であることは間違いありません。藤沢周平の筆が冴えた傑作で、藤沢周平を読んでみたいという方にまずおすすめする作品です。
もっと読む蝉しぐれ(藤沢周平)のあらすじ(ネタバレあり)・感想

たそがれ清兵衛(1988年)

下城の太鼓が鳴ると、いそいそと家路を急ぐ、人呼んで「たそがれ清兵衛」。領内を二分する抗争をよそに、病弱な妻とひっそり暮らしてはきたものの、お家の一大事とあっては、秘めた剣が黙っちゃいない。表題作のほか、「ごますり甚内」「ど忘れ万六」「だんまり弥助」「日和見与次郎」等、その風体性格ゆえに、ふだんは侮られがちな侍たちの意外な活躍を描く、痛快で情味あふれる異色連作全八編。

市塵(1989年)

貧しい浪人生活から儒者、歴史家としてようやく甲府藩に召し抱えられた新井白石は、綱吉の死後、六代将軍家宣となった藩主とともに天下の経営にのり出していく。和漢の学に精通し、幕政改革の理想に燃えたが、守旧派の抵抗は執拗だった。政治家としても抜群の力量を発揮した白石の生涯を描く長編感動作。

麦屋町昼下がり(1989年)

「お助けくださいまし」と夜道を走ってきた女をかばい、片桐敬助は、抜き身の刀をもった男を斬った。かわせば女が斬られ、受ければ自身が手傷を負ったにちがいない。しかしその男は、藩内随一、とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎の父だった……。片桐と弓削、男の闘いの一部始終を、緊密な構成・乾いた抒情で描きだす表題作のほか、「三ノ丸広場下城どき」「山姥橋夜五ツ」「榎屋敷宵の春月」と円熟期の名品を収録。時代小説の味わいを堪能できる贅沢な1冊!

三屋清左衛門残日録(1989年)

藩主の用人にまで昇進した後、家督を譲って隠居した三屋清左衛門は、思いがけず寂しさを感じた。しかしその日記にしるされる生活は、退屈でも平穏でもない。自由な身ならでは、清左衛門はさまざまな相談をもちかけられる。先代の殿が一度だけお手つきにした女の縁結び、お城の前で切腹した男の動機しらべなどに尽力するうち、藩のなまぐさい派閥争いに巻き込まれ、夫の浮気を訴えるわが娘をなだめ……老いゆく日々のかがやきを、見事な筆で描く傑作長篇小説!

玄鳥(1991年)

無外流の剣士として高名だった亡父から、娘ながら秘伝を受けついだ路(みち)。藩の討手に選ばれながらしくじって、嘲笑され左遷された曾根兵六に、路はその秘伝を教えようとする。曾根は、亡父の秘蔵弟子だった。玄鳥=つばめが思い起こさせる、武家の娘の淡い恋を描いた表題作。藩主の御前で試合にやぶれ、自暴自棄になった青年剣士の再生を描く「三月の鮠(はや)」。酒の失敗で、身の不運をかこつ下級武士の心を鮮やかに描く「浦島」など、珠玉の全5篇。

凶刃 用心捧日月抄(1991年)用心棒日月抄シリーズ

好漢青江又八郎も四十半ば、若かりし用心棒稼業の日々は今は遠い……。国許での平穏な日常を破ったのは、にわかの江戸出府下命だった。姿なき敵との凄絶な対決をむかえる用心棒シリーズ最終作。

天保悪党伝(1992年)

天保年間の江戸の町に、極めつきのワルだが、憎めぬ連中がいた。博打好きの御家人・片岡直次郎、辻斬りで財布を奪う金子市之丞、抜け荷の常習犯・森田屋清蔵、元料理人の悪党・丑松、ゆすりの大名人として知られた河内山宗俊、そして吉原の花魁・三千歳。ひょんなきっかけで知り合った彼らが、大胆にも挑んだ悪事とは……。世話講談「天保六花撰」に材を得た痛快無比の連作長編!

秘太刀馬の骨(1992年)

北国の某藩で、筆頭家老が暗殺された。暗殺につかわれたのは、幻の剣「馬の骨」。下手人不明のまま、それから6年。闇にうもれた秘太刀の探索を下命された半十郎と、その上司の甥で江戸からやってきた銀次郎は、ソリが合わぬまま、藩内の剣客ひとりひとりと立ち合うことになる。「馬の骨」を伝授された者はだれか?一体どのような剣なのか?やがて秘剣のうらに熾烈な政治の暗闘がみえてきて……。“下手人さがし”というミステリーの味わいも深い、藤沢時代小説の傑作。

夜消える(1994年)

兼七は腕のよい雪駄職人だったが、酒が原因で問屋に見放された。そんな酒浸りの父親が嫁入りの邪魔になると娘に泣きつかれた母。夫はもう、常人にはもどれない。けれど見捨てることができようか──夫婦、親子の愛情の機微を描く表題作。岡場所に身を沈めた幼馴染と再会した商家の主人、5年ぶりにめぐりあった別れた夫婦、夜逃げした家族に置き去りにされた寝たきりの老婆……。市井に生きる男女の哀歓を、鏤骨の文章で綴る珠玉の名品7篇による短篇集。

半生の記(1994年)自叙伝

「自分の過去が、書きのこすに値いするほどのものかといえば、とてもそんなふうには思えない」という含羞の作家・藤沢周平が、初めて綴った貴重な自叙伝。郷里山形、生家と家族、教師と級友、戦中と戦後、そして闘病などが淡々と描かれ、藤沢文学の源泉をあかす稀有なる記録ともなっている。巻末に詳細な年譜も付した、伝記の決定版。

ふるさとへ廻る六部は(1995年)エッセイ

「ふるさとへ廻る六部(巡礼)は気の弱り」これは、山形出身の著者が初めて青森、秋田、岩手へ旅したときの気持を、やや自嘲的に表現した古川柳。だが、言葉とはうらはらに、この旅は東北人である自分の根を再確認する旅だった。――庄内地方への郷愁、変貌する故郷への喪失感、時代小説へのこだわりと自負、創作の秘密、そして身辺・自伝随想等を収めた文庫オリジナル・エッセイ集。

日暮れ竹河岸(1996年)

盛りを過ぎた吉原の花魁、自分の不注意で子を亡くしてしまったおんな、嫁入り前の不安な心をもてあます娘……作者秘愛の浮世絵から着想を得て、江戸に暮らすおんなたちの心の揺れを描いた12の掌篇。かつて「江戸おんな絵姿十二景」という題で雑誌連載されたもので、各篇約4000字の小品とは思えないくらいの味わい深い読後感を残す。さらに安藤広重「名所江戸百景」から触発された、市井の人々の陰翳ゆたかな人生絵図を描いた7つの短篇も収録。生前最後の作品集。

漆の実のみのる国(1997年)

おびただしい借金を重ね、貧窮のどん底にあえぐ米沢藩。一汁一菜をもちい、藩主みずから木綿を着て、藩政たてなおしに智恵をしぼり、心血をそそいだ上杉鷹山と執政たち。しかし容赦なく襲いかかる旱魃(かんばつ)、凶作。貧窮のなかに対立する家中。政治とは、民を富まし、しあわせな日々の暮しをあたえることにほかならない。藤沢さんが読者にのこした遺書とでもいうべきこの長篇小説は、無私に殉じたひとびとの、類いなくうつくしい物語である。

早春(1998年)

主流を外れた静かな職場、地方で入婿状態の息子、よりによって妻子持ちと交際中の娘。5年前に妻を亡くし、まだローンの残る建売の家でぽつんと一人、主人公は自分の役目は終わったと感じている。そんなある日、娘に再婚を勧められ──。初老のサラリーマンの寂寥をくっきりと描く「早春」。加えて時代小説「深い霧」「野菊守り」と、司馬遼太郎について書いた「遠くて近い人」など、著者晩年の心境をうつしだす随想、エッセイを収録。藤沢周平が身近に感じられる1冊です。

静かな木(1998年)

藩の勘定方を退いてはや五年、孫左衛門もあと二年で還暦を迎える。城下の寺にたつ欅の大木に心ひかれた彼は、見あげるたびにわが身を重ね合せ、平穏であるべき老境の日々を想い描いていた。ところが……。舞台は東北の小藩、著者が数々の物語を紡ぎだしてきた、かの海坂。澹々としたなかに気迫あり、滑稽味もある練達の筆がとらえた人の世の哀歓。藤沢周平最晩年の境地を伝える三篇。

未刊行初期短篇(2006年)

人に恐れられる隠密という存在も、巨大な組織からすれば卑小な歯車に過ぎない──老中松平定信が寛政の改革をおこなうにあたって諸国に放ち、やがて時間とともに忘れ去られた男の悲哀を描く表題作。ほか、歴史短篇「上意討」、悪女もの「佐賀屋喜七」、切支丹もの「如月伊十郎」、こけし作りに心血を注ぐ男を描く「木地師宗吉」など、作家デビュー前に書かれた幻の14篇に加え、藤沢の浮世絵への深い関心を物語る「浮世絵師」を収録。阿部達二による作品解説あり。

帰省 未刊行エッセイ集(2008年)

没後11年。ますます人気の高まっている作家、藤沢周平。その埋もれていたエッセイを発掘し、1冊の本にまとめたファン待望の試み。

乳のごとき故郷(2010年)

自分の生まれ故郷ほど懐かしい場所はない――藤沢周平が愛してやまなかった荘内・鶴岡に関する全エッセイを1冊にまとめたふるさと大全。

甘味辛味 業界紙時代の藤沢周平(2012年)エッセイ

没後もなお多くの読者を魅了する藤沢周平。作家になる前いくつかの業界紙で働き、中でも「日本加工食品新聞」では10年ものあいだ編集長を務めたことは、これまでも知られている。この新聞の常設コラム「甘味辛味(あまみからみ)」に書いた膨大な記事から、藤沢らしい正義感や反骨心、優しさとユーモアが感じられる70篇を収録した。当時の同僚や仲間を取材した、元読売新聞記者の徳永文一氏による評伝「業界紙時代の藤沢周平」も合わせた、ファン必読の1冊。

江戸おんな絵姿十二景(2016年)エッセイ

オール讀物新人賞を受賞した「溟い海」をはじめ、藤沢作品で浮世絵・浮世絵師を題材にしたものは多いですが、本企画では「若干の遊びごころと、小説家としてこの小さな器にどのような中身を盛ることが出来るか、力量を試されるような軽い緊張感が同居している」と創作の背景を語っています。

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