【おすすめ】小熊英二の全作品を一覧であらすじを紹介します

小熊 英二 おぐま・えいじ(1962年9月6日 – )

社会学者、慶應義塾大学教授。専攻は歴史社会学・相関社会科学。東京都昭島市生まれ。東京大学農学部卒。東京大学教養学部総合文化研究科国際社会科学専攻大学院博士課程修了。主な著書に、『単一民族神話の起源』、『〈日本人〉の境界』、『インド日記』などがある。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:<民主>と<愛国> 戦後日本のナショナリズムと公共性
  • 2位:単一民族神話の起源 <日本人>の自画像の系譜
  • 3位:<日本人>の境界 沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮:植民地支配から復帰運動まで

作品一覧リスト

『単一民族神話の起源 <日本人>の自画像の系譜』1995年7月

大日本帝国時代から戦後にかけて,「日本人」の支配的な自画像といわれる単一民族神話が,いつ,どのように発生したか。
 民族の純血意識,均質な国民国家志向,異民族への差別や排斥など,民族というアイデンティティをめぐる膨大な言説の系譜と分析を行う。
EXCERPT: ここでわれわれは、まず二つの事実を確認しなければならない。一つは戦前の大日本帝国は、多民族国家であったということである。
 こんにちでは忘れられがちなことだが、一八九五年に台湾を、一九一〇年に朝鮮を併合していらい、総人口の三割におよぶ非日系人が臣民としてこの帝国に包含されていた。戦時中の「進め一億火の玉」という名高いスローガンにうたわれた「一億」とは、朝鮮や台湾を含めた帝国の総人口であり、当時のいわゆる内地人口は七千万ほどにすぎない。

『<日本人>の境界 沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮:植民地支配から復帰運動まで』1998年7月

『インド日記 牛とコンピュータの国から』2000年7月

『<民主>と<愛国> 戦後日本のナショナリズムと公共性』2002年11月

今回は、太平洋戦争に敗れた日本人が、戦後いかに振舞い思想したかを、占領期から70年代の「ベ平連」までたどったものです。
戦争体験・戦死者の記憶の生ま生ましい時代から、日本人が「民主主義」「平和」「民族」「国家」などの概念をめぐってどのように思想し行動してきたか、そのねじれと変動の過程があざやかに描かれます。  登場するのは、丸山真男、大塚久雄から吉本隆明、竹内好、三島由紀夫、大江健三郎、江藤淳、さらに鶴見俊輔、小田実まで膨大な数にのぼります。現在、憲法改正、自衛隊の海外派兵、歴史教科書などの議論がさかんですが、まず本書を読んでからにしていただきたいものです。読後、ダワー『敗北を抱きしめて』をしのぐ感銘を覚えられこと間違いありません。

戦後に大きな役割を果たした思想家及び作家である、丸山真男、大塚久雄、吉本隆明、竹内好、三島由紀夫、大江健三郎、江藤淳、鶴見俊輔、小田実らについて詳細に論じた一冊です。

とくに吉本隆明らは一章を使って論じられており、彼の書籍を読み続けてきた方も興味深く読めると思います。

平明な文章はとても読みやすいのですが、一方、本自体は大きくかつ重いので腕は疲れました。

『<癒し>のナショナリズム 草の根保守運動の実証研究』2003年5月

『清水幾太郎 ある戦後知識人の軌跡』2003年11月

『戦争が遺したもの』2004年3月

『〈民主〉と〈愛国〉』で読書界の話題をさらった小熊氏が、今回はあの上野千鶴子氏をさそって、戦後思想界の大御所・鶴見俊輔氏に、戦争体験を軸に戦中から戦後にかけての経験をお聞きします。戦時中の捕虜虐殺、慰安婦問題、戦後の『思想の科学』時代、「転向」研究、安保闘争、ベ平連と脱走兵援助、など、これまで聞き手が遠慮してきたようなこともすべてお聞きしています。また、鶴見氏も「今回はすべて話します」と言って、洗いざらい答えられています。鶴見ファンにとっては、はじめてお聞きするようなことがゴロゴロ出てきて、たまらない本になるでしょう。上野ファン、小熊ファンにとっても、それれの鋭い切り込みによる鶴見氏の赤裸々な「告白」をとおして戦後思想史の隠されていた部分が次々に明かされるスリルと、丁々発止の対談の魅力を味わうことができるでしょう。

『市民と武装 アメリカ合衆国における戦争と銃規制』2004年6月

アメリカ連邦政府憲法修正第2条「市民武装権」に着目し、アメリカにおいてはなぜ 市民が「武装」するのか、なぜ銃規制が一向に進まないのかを歴史的に検証し、近代 市民社会のあり方を解き明かす「市民と武装」。多民族国家アメリカの国家統合理念 を戦時動員の思想的背景の中に探り、20世紀の多民族国家のナショナリズム概念の特 殊性を明らかにする「普遍という名のナショナリズム」。一貫して日本とは何か、日 本人とは誰かを問い続けてきた気鋭の論客が、自由の国であると同時に、軍事国家で もあるアメリカの原点をラディカルに検証し、アメリカという新たな<帝国>の本質を 鮮やかに解き明かす。

『対話の回路 小熊英二対談集』2005年7月

『日本という国』2006年

私たちはいったいどこへ行くのか。いまこの国に生きるすべての人、必読!

いまの日本は、福沢諭吉の「鼻毛抜き」から始まった? 私たちはどのようにして「日本人」になったのか。また、その背後にはどのような仕組みがあったのか。そしてこれからの日本は? この国に生きるすべての人必読、各方面で絶賛された、誰にでもわかりやすい画期的な近/現代史。私たちがふだんあたりまえのものとして了解しているさまざまな概念について、膨大な文献にあた
りながら緻密な検証と独自の問い直しを試み、多くの領域に強い影響を与え続ける社会学者によるロングセラーを著者自らが改訂し、「決定版」として刊行!

『在日一世の記憶』2008年10月

「戦後/解放後」を生き抜いた在日一世52人の魂の証言集
「在日」の存在を根拠づける物語 小熊英二
彼らの証言には言葉の命が宿っている 姜尚中
朝鮮半島に生を受けながらも日本の植民地政策に起因して渡日し、そのまま残留せざるを得なくなった人々、およびその子孫──在日。二〇〇三年秋、かれら第一世代の体験談を記録するプロジェクトが始まった。それから五年。民族団体の活動家、文学者、ハングルソフトの開発者、サハリンからの引き揚げ者、被爆者、歴史学者、音楽家、画家、海女、焼肉屋、教会関係者等々、本書に収められた有名無名の五二人の人生は、既存の「戦後/解放後」史のフレームにはまらない、圧倒的な独自性を有している。東アジアの狭間の時空を力強く生き抜いた魂の証言集。

『1968』2009年7月

『私たちはいまどこにいるのか 小熊英二時評集』2011年3月

近代150年、戦後70年、冷戦後20年
政治の流動化、経済の低迷、変容する家族、ナショナリズムの台頭、若者の生きづらさ、沖縄の重荷、歴史認識、憲法改正など、バブル崩壊以後に現れた現代日本の諸問題を語る、一九九七年から二〇一一年までの時評と講演を集めた一冊。鋭敏な時代認識、原理的な思考、社会科学的な歴史観をもって語られる、小熊史学のエッセンス。

『「東北」再生』2011年7月

『「辺境」からはじまる 東京/東北論』2012年5月

米、鉄、人材、電力…これまで東北は、東京の欲望を叶える工場であり続けてきた。それは実際、東北に何をもたらしたのか。また3・11により、そうしたシステムの限界が露呈したとするなら、「辺境」たる東北はどこに展望を見出すべきか。徹底的に考える。

『社会を変えるには』2012年8月

〈私はしばしば、「デモをやって何か変わるんですか?」と聞かれました。「デモより投票をしたほうがいいんじゃないですか」「政党を組織しないと力にならないんじゃないですか」「ただの自己満足じゃないですか」と言われたりしたこともあります。しかし、そもそも社会を変えるというのはどういうことでしょうか。〉(「はじめに」より)

いま日本でおきていることは、どういうことか? 社会を変えるというのは、どういうことなのか? 歴史的、社会構造的、思想的に考え、社会運動の新しい可能性を探る大型の論考です。

民主主義やデモのあり方に関して、社会的、歴史的に紹介していく本です。古代ギリシアから現代日本まで横断して語っていくのは壮観ですね。

大風呂敷を広げたなという印象はあるにしても、これ一冊で俯瞰的に民主主義を捉えられるのは魅力的です。

著作の中では比較的に安価な一冊なのでまずはこれから手に取るのもいいと思います。

『平成史』2012年10月

私たちはどんな時代を生きているのか。天皇退位・改元を機に、さらなる増補改訂をほどこした決定版。執筆:小熊英二、井手英策、貴戸理恵、菅原琢、中澤秀雄、仁平典宏、濱野智史、ハン・トンヒョン。

『原発を止める人々 3.11から官邸前まで』2013年9月

日本の脱原発は、すでに実現している。――小熊英二
世論調査で7割が「脱原発」支持。しかし、選挙では争点にならず。実際は二〇一二年五月に全原発が停止。その後も関西電力2基の稼動だけで日常生活は支障なく動いた。「民意」は、どこで、どのように示されていると考えるべきか。
いま路上で起こっていることは、新しい社会を作る機運だ――世界に類を見ない日本の反原発運動を、気鋭の社会学者が現場から徹底分析する。

誰が、いつ、どのように、行動を起こしたか。
官邸前からの証言――2012年に注目された「金曜官邸前抗議」の主催者たち5人が、原発事故直後からの流れを語る。
官邸の中からの証言――震災時の最高責任者である菅直人元首相が、その命令責任と、官邸内から人々の動きがどう見えたかを語る。
それぞれの証言――全国各地の反原発運動に参加した50人のプロフィールを、それぞれの手記で綴る。

以上の証言を踏まえ、編著者の小熊英二がこの現象をどうとらえたか、衆参の選挙分析も含め、100枚の論考で示す。

『真剣に話しましょう 小熊英二対談集』2014年10月

“真剣”な対話のなかに新たな社会の芽が兆す。
安定経済成長の崩壊、震災と原発事故が従来の思考枠組みの失効をつげた現在、ジェンダー、若者論、社会運動、憲法などの領域で、ユニークな思想を紡ぎ、活動を続ける論客たちとの妥協なき9つの対談を収録。

『生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後』2015年6月

戦争とは、平和とは、戦後日本とは、いったい何だったのか。戦争体験は人々をどのように変えたのか。徴兵、過酷な収容所生活、経済成長と生活苦、平和運動への目覚め……とある一人のシベリア抑留者がたどった人生の軌跡が、それを浮き彫りにする。著者が自らの父・謙二の語りから描き出した、日本の20世紀。

『アウトテイクス 小熊英二論文集』2015年6月

岡倉天心、新渡戸稲造、
矢内原忠雄、柳田国男、
丸山眞男、大江健三郎、小田実 ――。
日本思想史を彩る思想家の核心に迫り、
近代日本社会の集合的な意識の
ありようを浮き彫りにする。

『ゴーストタウンから死者は出ない 東北復興の経路依存』2015年6月

大震災が徐々に忘れられる中、原発避難者には賠償の打ち切りが迫り、三陸では過疎化が劇的に進行している。だが日本には、個人を支援する制度がそもそもない。
復興政策の限界を歴史的、構造的に捉え、住民主体のグランドデザインを描くための新たな試み。

『論壇日記 2011.4-2013.3』2015年10月

『私たちはどこへ行こうとしているのか』2016年6月

東日本大震災により社会変化が顕在化した。「私たちのこれから」をめぐり、各地で次の時代に向けた新たな試みがいくつもはじまっている。鈍さが目立つ政治に対しては、デモが全国でおこり、国会周辺で人々が声を上げる姿は日常となった。過疎化と人口減、経済閉塞、ポピュリズム、東京五輪、改憲、マンガ産業などを包括的な時代把握、冷徹な視線で読みとく。
2011年から15年までの寄稿、講演などから抜粋した小熊英二時評集。『私たちはいまどこにいるのか』(2011年 毎日新聞社)に続く待望の第2弾。

『在日二世の記憶』2016年11月

もうひとつの「戦後」の物語
13年にわたるプロジェクトが、ついに完結!「在日二世」50人の圧巻のオーラル・ヒストリー
「一世」以上に劇的な運命と、アイデンティティをめぐる困難な問いに翻弄された「二世」たちは、「戦後/解放後」の時空を、各分野のパイオニアとして、逞しく生き抜いてきた。三〇〇〇本以上のヒットを量産した天才打者、哲学者、実業家、医師、社会運動家、ミュージシャン、僧侶、伝統工芸職人、格闘家、劇団員、マジシャン、映画人ー。「在日コリアンの声を記録する会」がまとめ上げた五〇人のライフ・ヒストリーは、いずれも深い感動を呼び起こす。足掛け一三年にわたって完成した、近現代史の第一級史料。

『首相官邸の前で』2017年3月

現代日本に実在した、<希望の瞬間>を刻印する。
2016年「日本映画復興奨励賞」を受賞した、著者初の同名映画作品DVD(日・英・仏・西・独・中・韓国語字幕切替)付!

報道から事実上黙殺された、日本における20万人を超す人々による脱原発の抗議運動を映画化、国内外で賞賛された同映画作品DVDと、対談、インタビュー、観客との対話、論文、日記などにより、世界の運動と関連づけて分析し、多角的に現代史を構成する。対談=高橋源一郎

『誰が何を論じているのか: 現代日本の思想と状況』2017年8月

縮小する経済、混迷を極める政治と難題が山積みの日本。停滞感からヘイトスピーチをしたり教育勅語復活を訴えるような排外的で夢想的な勢力が力をつけています。既存の論壇・思想が頼りない今こそ、核心を突く問題提起を探しだし新しいビジョンを共に作る必要があるでしょう。近現代思想史の大局を見抜いてきた著者が、凡庸なものから先見性をもつものまで600人以上の論考を読み、労働環境を改善しうるジョブ型正社員論、自助に誘導される介護政策の問題、素朴実在論に陥らないビッグデータの利用法、アメリカの軍事リバランシングを巡る混乱など、難題を解きほぐしていきます。知的状況の記録であるとともに未来への指針を得られる地図となる時評集です。

『私たちの国で起きていること 朝日新聞時評集』2019年4月

《日本と世界を見つめ続けた8年間の思索の軌跡》
社会の不寛容に立ち向かい、
この国のかたちをどう考えていくのか?

●2011年から19年には様々なことがあった。
●震災と原発事故、第2次安倍政権の誕生、安保法制とその抗議運動、
難民危機、トランプ政権、公文書改ざん、排外主義や「ネット右翼」の台頭、
外国人労働者問題、雇用や社会保障の揺らぎ……。
●こうした個別の事象の向こう側にある社会の変動をみつめ、
そのプラス面を活かしていく道を考えるのが重要と著者の小熊英二氏は鋭く説く。

『日本社会のしくみ』2019年7月

いま、日本社会は停滞の渦中にある。その原因のひとつが「労働環境の硬直化・悪化」だ。長時間労働のわりに生産性が低く、人材の流動性も低く、正社員と非正規労働者のあいだの賃金格差は拡大している。 こうした背景を受け「働き方改革」が唱えられ始めるも、日本社会が歴史的に作り上げてきた「慣習(しくみ)」が私たちを呪縛する。 新卒一括採用、定期人事異動、定年制などの特徴を持つ「社会のしくみ」=「日本型雇用」は、なぜ誕生し、いかなる経緯で他の先進国とは異なる独自のシステムとして社会に根付いたのか? 本書では、日本の雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまで規定している「社会のしくみ」を、データと歴史を駆使して解明する。

『地域をまわって考えたこと』2019年7月

地域とは何か。
小熊英二が、さまざまな課題を抱えた日本の「地域」を訪ね、
近代日本における地域の歴史的あり方と、これからの方向性を探り、
持続可能な「地域」を考える。

『日本は「右傾化」したのか』2020年10月

ヘイトスピーチ、排外主義運動の顕在化、
日本会議の台頭、改憲潮流、
ネットに溢れかえる右派的言説――。
はたして本当に、日本は「右傾化」したのか。
個々の政権の消長を超えた次元で、
日本社会全体の構造変化のなかで捉える。

日本は「右傾化」しているのか。
概していえば、社会全体の有権者レベルの調査では、顕著な「右傾化」はみられない。しかし、政党や宗教団体など特定の対象のレベル、あるいは報道のレベルでは「右傾化」が指摘されることが多い。政治家などの右派的言動も目立つ。
本書は、このような一見すると矛盾した現状について、学際的な知見を集め、1意識、2メディア・組織・思想、3政治という三つの視角から、「右傾化」の実態を徹底検証する。

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