【おすすめ】多和田葉子の全作品を一覧であらすじを紹介します

多和田 葉子 たわだ・ようこ(1960年3月23日 – )

小説家、詩人。東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒業。西ドイツ・ハンブルク大学大学院修士課程修了。チューリッヒ大学大学院博士課程修了。1982年からドイツ在住。1987年、ドイツにて2か国語の詩集を出版してデビュー。1991年『かかとを失くして』群像新人文学賞、1993年 『犬婿入り』で芥川賞を受賞した。その他受賞歴多数。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:雪の練習生
  • 2位:飛魂
  • 3位:地球にちりばめられて

作品年表リスト

『あなたのいるところだけ何もない』1987年

『三人関係』1992年

独特な作風と言語・文化への鋭く繊細な洞察から生まれる多和田ワールドの魅力が横溢する作品集。「かかとを失くして」「三人関係」「文字移植」

  • 『三人関係』講談社、1992年
  • 「かかとを失くして 三人関係 文字移植」講談社文芸文庫

『犬婿入り』1993年

多摩川べりのありふれた町の学習塾は“キタナラ塾”の愛称で子供たちに人気だ。北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に〈犬男〉の太郎さんが押しかけてきて奇妙な2人の生活が始まった。都市の中に隠された民話的世界を新しい視点でとらえた芥川賞受賞の表題作と「ペルソナ」の2編を収録。

『アルファベットの傷口』1993年

  • 『アルファベットの傷口』河出書房新社、1993年
  • 「文字移植」河出文庫
  • 「かかとを失くして 三人関係 文字移植」講談社文芸文庫

『聖女伝説』1996年

「でもわたしは美しい死体にはなりたくない」──“美しき死”へ少女たちを塗りこめ、観賞用の素材に変えようとするこの世界のあまたの罠から逃れるために、窓の外へと飛びだした“わたし”の行く末はいかに──。ことばの力で生きのびていく少女たちのためのもうひとつの“聖書”。著者の代表作にして性と生と聖をめぐる少女小説の傑作が、あらたに書き下ろされた外伝「声のおとずれ」を伴って、いま蘇る!

『ゴットハルト鉄道』1996年

“ゴット(神)ハルト(硬い)は、わたしという粘膜に炎症を起こさせた”ヨーロッパの中央に横たわる巨大な山塊ゴットハルト。暗く長いトンネルの旅を“聖人のお腹”を通り抜ける陶酔と感じる「わたし」の微妙な身体感覚を詩的メタファーを秘めた文体で描く表題作他2篇。日独両言語で創作する著者は、国・文明・性など既成の領域を軽々と越境、変幻する言葉のマジックが奔放な詩的イメージを紡ぎ出す。

『きつね月』1998年

1993年に芥川賞、96年にドイツのシャミッソー賞を受けドイツでも活躍する作家 多和田葉子による18の掌篇。
「鏡像」「たぶららさ」「詩人が息をしている」……。
ある章では、満月の夜に僧侶が月を飲み、また別の章では、辞書から生まれた村のことが書かれる。
不思議な味わいの世界は、純文学の最先端である。

『飛魂』1998年

虎使いとなるため、師とともに人里離れた森の中の寄宿舎で修行を続ける女性達の深遠なる精神の触れ合いを描いた作品。表題作ほか、「盗み読み」「胞子」「裸足の拝観者」「光とゼラチンのライプチッヒ」を収録。

『ふたくちおとこ』1998年

『カタコトのうわごと』1999年

『光とゼラチンのライプチッヒ』2000年

卓抜な想像力の果てに広がる燦然たる10の小宇宙! 研ぎ澄まされた日本語。小説を読む愉しみを思い出させてくれる短篇作品集。

『ヒナギクのお茶の場合』2000年

『変身のためのオピウム』2001年

芥川賞作家のめくるめく奇妙な万華鏡世界。ギリシア神話の登場人物から22人の女性を選び一人一章をあてて描く連作集。芥川賞作家多和田氏ならではの想像力の限りを尽したタペストリーをお楽しみ下さい。

『球形時間』2002年

鋭くも愚かしくも聞こえる問いをつねに発している高校生サヤは、ある日の放課後、喫茶店で謎のイギリス女性と出会ってひきつけられる。クラスメートのカツオは、フィリピン人の混血少年と性関係をもちつつも、太陽を崇拝する青年への興味を抑えられない。あっちへこっちへと転がりながら、はからずも核心へと向かってゆく少女と少年の日常を描く、愉快かつ挑戦的な最新長篇。

『容疑者の夜行列車』2002年

『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』2003年

エクソフォニーとは、ドイツ語で母語の外に出た状態一般を指す。自分を包んでいる母語の響きからちょっと外に出てみると、どんな文学世界が展けるのか。ドイツ語と日本語で創作活動を行う著者にとって、言語の越境は文学の本質的主題。その岩盤を穿つ、鋭敏で情趣に富むエッセーはことばの世界の深遠さを照らしだす。

『旅をする裸の眼』2004年

ベトナムの女子高生の「わたし」は、講演をするために訪れた東ベルリンで知り合った青年に、西ドイツ・ボーフムに連れ去られる。サイゴンに戻ろうと乗り込んだ列車でパリに着いてしまい、スクリーンの中で出会った女優に、「あなた」と話しかけるようになる――。様々な境界の上を皮膚感覚で辿る長編小説。

『傘の死体とわたしの妻』2006年

『海に落とした名前』2006年

NYから東京に向かう飛行機が不時着。生きのびたと思ったのも束の間、「わたし」はすべての記憶を失っていた。手がかりは、ポケットの中のレシートの束だけ。スーパー、本屋、蕎麦屋、ロシア式サウナ……。熱心に過去を探る謎の兄妹が現れて、「わたし」の存在はますます遠のいていく。眩暈と笑いが渦巻く短篇集。

『アメリカ 非道の大陸』2006年

『溶ける街 透ける路』2007年

『ボルドーの義兄』2009年

小説の見たことのないカタチ。夏の間、レネの義兄モーリスの家を借りるため、優奈はハンブルグからボルドーへ向かう。優奈は漢字を1文字ずつ記す。同時に起こりすぎるたくさんの出来事を記録するために。言語・記憶・意味・イメージの狭間にたゆたい躓きながら、優奈の夏はたくさんの断章になる。

『尼僧とキューピッドの弓』2010年

ドイツの田舎町に千年以上も前からある尼僧修道院を訪れた「わたし」は、家庭を離れて第二の人生を送る女性たちの、あまり禁欲的ではないらしい共同生活に興味が尽きない。そんな尼僧たちが噂するのは、わたしが滞在するのを許可してくれた尼僧院長の“駆け落ち”という事件だった――。紫式部文学賞受賞作。

『雪の練習生』2011年

極北の地に生まれ、サーカスの花形から作家に転身し、自伝を書きつづける「わたし」。その娘で、女曲芸師と歴史に残る「死の接吻」を演じた「トスカ」。そして、ベルリン動物園のスターとなった孫の「クヌート」。人と動物の境を自在に行き来しつつ語られる、美しくたくましいホッキョクグマ三代の物語。多和田葉子の最高傑作!

『雲をつかむ話』2012年

犯人と出遭った心躍る話は、みんなに話してきかせたくなる。エルベ川沿いの家を訪ねてきた背の高い男。ブレーメン出身の「鱒男」。路面電車で見た双子の片割れ。本名で呼ぶことのできない「マボロシさん」……。雲を見ていると「互い違い」な出遭いの数々が浮かんでくる。野間文芸賞受賞後第一作、待望の長編小説。

『言葉と歩く日記』2013年

熊の前足と人の手、ドイツ語では単語が違う。では人の言葉で語る熊は、自分の手を何と表すだろう──。日独二カ国語で書くエクソフォニー作家が、「自分の観察日記」をつけた。各地を旅する日常はまさに言葉と歩く日々。言葉と出逢い遊び、言葉を考え生みだす、そこにふと見える世界とは? 作家の思考を「体感」させる必読の一冊。

『『ふと』と『思わず』』2013年

『献灯使』2014年

大災厄に見舞われ、外来語も自動車もインターネットもなくなり鎖国状態の日本。老人は百歳を過ぎても健康だが子どもは学校に通う体力もない。義郎は身体が弱い曾孫の無名が心配でならない。無名は「献灯使」として日本から旅立つ運命に。大きな反響を呼んだ表題作のほか、震災後文学の頂点とも言える全5編を収録。

『百年の散歩』2017年

豆のスープをかき混ぜてもの思いに遊ぶ黒い〈奇異茶店〉。サングラスの表面が湖の碧さで世界を映す眼鏡屋。看板文字の「白薔薇」が導くレジスタンス劇。カント、マルクス、マヤコフスキー。ベルリンを幾筋も走る、偉人の名をもつ通りを、あの人に会うため異邦人のわたしは歩く。多言語の不思議な響きと、歴史の暗がりから届く声に耳を澄ましながら。うつろう景色に夢想を重ね、街を漂う物語。

『シュタイネ』2017年 詩集

言葉のアニミズム、ここに極まれり! 待望の新詩集。

『地球にちりばめられて』2018年

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。誰もが移民になり得る時代、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。

『穴あきエフの初恋祭り』2018年

頭上を無数の門が過ぎてゆく。人生の門か。人生という言葉ほど自分に似合わない言葉はないとIは思った。もし人生の運転手を雇うことができたら、楽になりそうな気がする。自分で運転しようとするから脱線するのだ。運転手、つまり主体は、状況を見極め、決断し、ハンドルを切る自分であってはいけない。

近づいたかと思えば遠ざかる。
遠ざかったと思ったら近づきたくなる。
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触れ合わないようで触れ合う瞬間を言語派の作家がつむぐ7つの短編。

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