雷轟(押井守)のあらすじ(ネタバレなし)・感想

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雷轟(押井守)の作品情報

タイトル
雷轟 rolling thunder PAX JAPONICA
著者
押井守
形式
小説
ジャンル
ミリタリー
仮想戦記
執筆国
日本
版元
エンターブレイン
初出
書き下ろし
刊行情報
2006年

雷轟(押井守)の概要

敗者の記す歴史に真実が宿ることはない。映画界の鬼才・押井守が描く新たな『軍事小説』シリーズ、ここに堂々開幕。

作者

押井 守(1951年8月8日 – )

映画監督、アニメーション演出家、小説家、脚本家、漫画原作者、劇作家、ゲームクリエイター。東京都大田区出身。東京学芸大学教育学部美術教育学科卒。1977年、竜の子プロダクションに入社し、アニメーション業界へ。1983年『うる星やつら オンリー・ユー』で劇場映画監督デビュー。代表作に『機動警察パトレイバー the Movie』、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』、『イノセンス』、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』など。

雷轟(押井守)の刊行情報

雷轟(押井守)の登場人物

醍醐
予備中尉。飛行機好きが高じて空軍に入隊した。

三本
少佐。戦隊長。

金子
醍醐の後席を担当する搭乗員。

沖浦
醍醐との作戦行動中に被弾し重傷を負う。

足立
大尉。三本少佐の副官。女性士官。

雷轟(押井守)のあらすじ(ネタバレなし)

雷轟 rolling thunder PAX JAPONICA』は2本の短中編により構成されている。

アンティータム

1862年、アンティータム。南軍兵士のマーク軍曹は後にブラッディ・レーンと名づけられた農道で戦っていた。既に戦闘はピークを迎えており、南軍戦線中央部の崩壊は時間の問題となっていた。

北軍第二軍団の消耗は激しく、その攻勢は限界に達していたものの、無傷の予備戦力を投入する事で南軍の戦線は破綻しこの戦争に決着をつけられる――その筈だった。

ヤマトステーション

1966年、南シナ海洋上。二隻の翔鶴型航空母艦と一隻の護衛空母が「砲艦外交」のため遊弋していた。日本空軍予備中尉の醐堂はレシプロ戦闘爆撃機を駆り、退屈な爆撃任務を繰り返す。

厳格で無意味な交戦規定と食生活に悩まされつつ「勝てない戦争」を続ける醐堂だったが、ある日僚機が被弾しその日々に変化が訪れる。

雷轟(押井守)の感想・解説・評価

南北戦争から始まる仮想軍事小説

1862年の南北戦争・アンティータムの戦いを舞台に物語が幕を開ける。史実では北軍(アメリカ合衆国)が南軍(アメリカ連合国)に勝利したが、本書では アンティータムの戦い を境に違う歴史がスタートする。このアメリカの変化によって、世界にも大きな影響がもたらされた。

特に太平洋を巡ってアメリカと戦争をした日本への影響も大きい。「ヤマトステーション」の舞台は1966年のベトナム。史実ではアメリカがベトナム戦争に介入したが、本作ではアジア最大の軍事力を持つという日本が戦争に介入している。しかし、泥沼の戦線に陥っているのは史実のアメリカと一緒だ。

主人公の醍醐大尉は飛行機好きが高じて“空軍”に入隊。現在はパイロットとして爆撃任務に従事している。

作者・押井守の架空戦記マニア、軍事マニアっぷりが全面に出た小説になっている。作中にまんべんなく配置された兵器の知識や、戦争の推移を説明する語り口は饒舌だ。

戦争論を展開する小説

仮想の戦史を追いかけた小説というより、押井守という人物の戦争に対する思想をまとめた本という趣が強い。

醍醐と足立が戦争や正義について長々と議論を交わすシーンもそうだし、作者の「戦争と言うのは勝たねばならず、勝った上でその戦争の責任をはたしていくもの、負けた方は所詮無意味な反戦思想にしか行く場所を求める事ができず、それは無意味」という思想が興味深い。

すべての国家にとって領土的な条件は異なっている。大きな大陸で地続きで異国と接してきた欧州、宗教戦争がいまだに尾を引きずっていて同じ島国とはいえ日本とは成り立ちが違う英国、その日本は大きな問題にならなければ有耶無耶にして目を瞑ってしまうし…という成立の違いが押井の戦争論、都市論に影響を与えているようだ。

本書の後半に収録された「PAX JAPONICA解説篇[日本の平和による覇権とは]」では、執筆に至る過程や、戦争論、都市論、日本論が思う存分展開される。

おもしろいが、万人向けではない。押井のファンが、押井の考え方に触れる機会を得ることができる一冊。そういう紹介が適当だろうと思う。

雷轟(押井守)の評判・口コミ・レビュー

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