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吉村 昭 よしむら・あきら(1927年5月1日 – 2006年7月31日)
小説家。東京府北豊島郡日暮里生まれ。学習院大学中退。1966年に『星への旅』で太宰治賞を受賞。『戦艦武蔵』や『関東大震災』などにより、1973年に菊池寛賞を受賞した。多彩な記録文学、歴史文学の長編作品を次々に発表した。日本芸術院会員。
おすすめ作品ランキング
長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!
- 1位:羆嵐
- 2位:漂流
- 3位:破獄
作品一覧リスト
短編集『青い骨』1958年2月
死んでしまったものの、失われた痛みの、ひそやかなふれあいの、言葉にならぬため息の…ふと眼をあげて遠くを眺めたい気持ちを起こさせる六つの短篇。
- 小壺天書房、1958年
- 角川文庫、1973年
- 五月書房、2004年
自費出版で刊行した作品集。
短編集『少女架刑』1963年7月
- 南北社、1963年
- 三笠書房、1971年
- 成瀬書房、1980年
短編集。初めて出版社から刊行された本。
長編『孤独な噴水』1964年9月
- 講談社、1964年
- 講談社文庫、1978年
- 文春文庫、1996年
長編第一作。ボクサー小説。
短編集『星への旅』1966年8月
平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。
- 筑摩書房、1966年
- 新潮文庫、1974年
表題作は太宰治賞を受賞。
長編『戦艦武蔵』1966年9月
- 新潮社、1966年
- 新潮小説文庫、1968年
- 新潮文庫、1971年
戦艦武蔵を題材とした記録文学。
短編集『水の葬列』1967年3月
- 筑摩書房、1967年
- 新潮文庫、1976年
ダム工事の人夫と水没する部落の人々の話。
長編『高熱隧道』1967年6月
- 新潮社、1967年
- 新潮文庫、1975年
日本電力黒部川第三発電所トンネル、佐藤工業。黒三ダム建設秘史。
長編『殉国』1967年10月
- 『殉国』筑摩書房、1967年10月
- 角川文庫、1982年
- 『陸軍二等兵比嘉真一』筑摩書房、1982年6月
- 『殉国 陸軍二等兵比嘉真一』集英社文庫、1985年
- 文春文庫、1991年
- 文春文庫新版、2020年
太平洋戦争沖縄戦を少年兵の視点から描く。
長編『零式戦闘機』1968年7月
- 新潮社、1968年
- 新潮文庫、1978年
ゼロ戦こと零式艦上戦闘機を描く記録文学。
短編集『海の奇蹟』1968年7月
- 文藝春秋、1968年
- 角川文庫、1974年
浜にある孤立した部落の話。
長編『大本営が震えた日』1968年11月
- 新潮社、1968年
- 新潮文庫、1981年
太平洋戦争開戦直前、開戦に至るまでのトラブルを描く。
短編集『彩られた日々』1969年10月
- 筑摩書房、1969年
自身の戦争体験や家族、結婚生活を描いた私小説短編集。
長編『神々の沈黙』1969年12月
- 朝日新聞社、1969年
- 角川文庫、1972年
- 『神々の沈黙 心臓移植を追って』文春文庫、1984年
心臓移植を描いた初の新聞連載作品。
取材日記『戦艦武蔵ノート』1970年7月
「嘘ついてやがら。」自分がみた、本当の戦争を伝えるためにこそ、「武蔵」を書くのだ-。厖大な物資と人命をかけて造られた史上最大の戦艦「武蔵」。その建造から沈没に至るまでを支えた人々の巨大なエネルギーとは、一体なんだったのか。作家を突き動かした『戦艦武蔵』執筆の経緯を綿密にたどる取材日記。
- 図書出版社、1970年
- 文春文庫、1985年
- 岩波現代文庫、2010年
『戦艦武蔵』執筆の経緯を記した取材日記。
長編『陸奥爆沈』1970年5月
- 新潮社、1970年
- 新潮文庫、1979年
戦艦陸奥爆沈の謎を追った長編ドキュメンタリー小説。
長編『海の壁』1970年7月
- 中公新書、1970年
- 『三陸沿岸大津波』中公文庫、1984年
- 文春文庫、2004年
三度繰り返された三陸海岸の大津波を証言とともに描く記録文学。
短編集『空白の戦記』1970年9月
- 新潮社、1970年
- 新潮文庫、1981年
戦争に関する短編記録文学を集めた一冊。
長編『細菌』1970年11月
- 講談社、1970年
- 『蚤と爆弾』講談社文庫、1975年
- 文春文庫、1989年
関東軍の細菌兵器を描く。
短編集『羆』1971年2月
- 新潮社、1971年
- 新潮文庫、1985年
動物小説を集めた短編集。
取材日記『消えた鼓動』1971年4月
- 筑摩書房、1971年
- ちくま文庫、1986年
『神々の移植』の取材の過程をまとめたドキュメント。
短編集『密会』1971年4月
- 講談社、1971年
- 講談社文庫、1989年
短編集『日本医家伝』1971年8月
- 講談社、1971年
- 講談社文庫、1973年
楠本いね、前野良沢など近代医学の先駆者の生涯を描く。
長編『逃亡』1971年9月
- 文藝春秋、1971年
- 文春文庫、1978年
海軍航空隊の若き整備兵を描く。
短編集『鉄橋』1971年10月
- 読売新聞社、1971年
ボクサーの死を追う表題作五編を収録した短編集。現在は違うタイトルの短編集に収められている。
長編『めっちゃ医者伝』1971年11月
- 新潮少年文庫、1971年
- 『雪の花』新潮文庫、1988年
江戸末期、天然痘と戦った町医笠原良策を描く。
長編『背中の勲章』1971年12月
- 新潮社、1971年
- 新潮文庫、1982年
太平洋戦争で米軍の捕虜となった一海軍兵士を描く。
短編集『総員起シ』1972年1月
- 文藝春秋、1971年
- 文春文庫、1980年
イ33号潜水艦を描く表題作のほか、戦史小説を収録。
エッセイ集『精神的季節』1972年9月
死を賭して受けた胸部手術、病室から見た月、隣室の線香の匂い、そして人間の業…。終戦からほどない、二十一歳の夏の一夜を描いた表題作をはじめ、人間の生と死と見据え、事実に肉迫する吉村昭の文学の原点を鮮やかに示す随筆集。自らの戦争体験、肉親の死、文学修業時代と愛する文学作品、旅と酒について、そして家族のことなど、ときに厳しく、ときにユーモラスに綴る。
- 講談社、1972年
- 『月夜の記憶』講談社文庫、1990年
- 講談社文芸文庫、2011年
執筆の原点に迫るエッセイ集。
長編『海の史劇』1972年12月
- 新潮社、1972年
- 新潮文庫、1981年
日本海海戦を描く。
短編集『下弦の月』1973年2月
- 毎日新聞社、1973年
- 文春文庫、1989年
「鬼熊事件」に材をとる表題作他。
長編『深海の使者』1973年4月
- 文藝春秋、1973年
- 文春文庫、1976年
文藝春秋読者賞受賞。第二次大戦中、日独両国の連絡路を構築しようとする潜水艦を描く。
短編集『海の鼠』1973年5月
- 新潮社、1973年
- 『魚影の群れ』新潮文庫、1983年
- ちくま文庫
長編『関東大震災』1973年8月
- 文藝春秋、1973年
- 文春文庫、1977年
菊池寛賞受賞。
長編『一家の主』1974年3月
- 毎日新聞社、1974年
- 文春文庫、1978年
- ちくま文庫、1989年
家庭小説。
長編『冬の鷹』1974年7月
- 毎日新聞社、1974年
- 新潮文庫、1976年
前野良沢と杉田玄白を描く。
エッセイ『患者さん』1974年11月
- 毎日新聞社、1974年
- 『お医者さん・患者さん』中公文庫、1985年
著者自身の医療体験を通じ医師と患者の姿を描く。
短編集『螢』1974年12月
- 筑摩書房、1974年
- 中公文庫、1989年
短編集『磔』1975年3月
- 文藝春秋、1975年
- 文春文庫、1987年
長編『北天の星』1975年11月、12月
鎖国令下、ロシア艦が蝦夷地に来襲。五郎治と左兵衛は、オホーツクへ連れ去られた。極寒の地で待ち受けていたのは、貧困と差別、そして言葉と文化の大きな壁であった。大スケールの傑作歴史長編。
- 講談社、1975年
- 講談社文庫、1980年
中川五郎治らを描く。
長編『漂流』1976年5月
- 新潮社、1976年
- 新潮文庫、1980年
江戸時代に無人島に漂流をした実話を描く。
短編集『海軍乙事件』1976年7月
- 文藝春秋、1976年
- 文春文庫、1982年
連合艦隊司令長官古賀峯一海軍大将および、参謀長福留繁中将が遭難し、機密文書が奪われた海軍乙事件を描く。
長編『亭主の家出』1977年3月
- 文藝春秋、1977年
- 文春文庫、1978年
42歳のサラリーマンを題材にしたユーモア小説。
長編『羆嵐』1977年5月
- 新潮社、1977年
- 新潮文庫、1982年
三毛別羆事件をテーマとした作品。
長編『赤い人』1977年11月
- 筑摩書房、1977年
- 講談社文庫、1984年
北海道開拓使の暗部を描く。
短編集『星と葬礼』1978年1月
- 集英社文庫、1978年
- 文春文庫、1992年
知的障害の孤独な少年を描く表題作他。
長編『ふぉん・しいほるとの娘』1978年3月
- 毎日新聞社、1978年
- 講談社文庫、1981年
- 新潮文庫、1993年
吉川英治文学賞受賞。楠本イネを描く。
短編集『海の絵巻』1978年4月
紀州太地に三百年の歴史を持つ鯨組で、網とり漁法の最後の筆頭刃刺を務めた男の生涯を描きながら、海の男たちの勇壮華麗な鯨との闘いと、滅びゆく古式捕鯨にしか生きる場を持たない者の悲哀を鮮やかに浮かび上がらせた「鯨の絵巻」。教職を剥奪され、奄美大島の夜の山地に青白い鱗の輝きを追うハブ捕獲人を描く「光る鱗」など、動物を相手に生活を営む人間たちの哀歓をさぐる短編集。
- 新潮社、1978年
- 『鯨の絵巻』新潮文庫、1990年
短編集『メロンと鳩』1978年6月
- 講談社、1978年
- 講談社文庫、1989年
- 文春文庫、1998年
短編集『帽子』1978年9月
- 集英社、1978年9月
- 文春文庫、1990年
- 中公文庫、2003年
長編『遠い日の戦争』1978年10月
- 新潮社、1978年10月
- 新潮文庫、1984年
米軍捕虜を処刑した一中尉の戦争犯罪を問う。
エッセイ『白い遠景』1979年2月
- 講談社、1979年2月
- 講談社文庫
短編集『月夜の魚』1979年8月
- 角川書店、1979年8月
- 中公文庫、1990年
家族の死や自身の体験を描いた私小説短編集。
エッセイ『蟹の縦ばい』1979年9月
- 毎日新聞社、1979年9月
- 旺文社文庫、1983年
- 中公文庫、1993年
連作短編集『熊撃ち』1979年9月
- 筑摩書房、1979年9月
- ちくま文庫、1985年
- 文春文庫、1993年
北海道を舞台にヒグマと猟師の対決を描く。
長編『ポーツマスの旗』1979年12月
- 新潮社、1979年12月
- 新潮文庫、1983年5月
日露戦争講和条約締結に尽力する小村寿太郎を描く。
長編『海も暮れきる』1980年3月
- 講談社、1980年3月
- 講談社文庫、1985年
俳人尾崎放哉を描く。
紀行文『冬の海 私の北海道取材紀行』1980年5月
- 筑摩書房、1980年5月
- 『万年筆の旅 作家のノートⅡ』文春文庫、1986年
北海道取材旅行記。
長編『虹の翼』1980年9月
- 文藝春秋、1980年9月
- 文春文庫、1983年
二宮忠八を描く。
取材日記『歴史の影絵』1981年2月
- 中央公論社、1981年2月
- 中公文庫、1984年
- 文春文庫、2003年
自作の背景や取材時の様子を描く。
連作短編『炎のなかの休暇』1981年2月
- 新潮社、1981年2月
- 新潮文庫、1986年
作者の少年時代と周囲の人々の暮らしを描く。
エッセイ『実を申すと』1981年3月
- 文化出版局、1981年3月
- ケイブンシャ文庫、1984年
- ちくま文庫、1987年
長編『光る壁画』1981年5月
- 新潮社、1981年5月
- 新潮文庫、1984年
胃カメラの開発を描く。
取材日記『戦史の証言者たち』1981年9月
- 毎日新聞社、1981年9月
- 文春文庫、1995年
取材中の貴重な証言を紹介する。
長編『破船』1982年2月
- 筑摩書房、1982年2月
- 新潮文庫、1985年
小さな漁村の秘密を描く。
短編集『遅れた時計』1982年4月
- 毎日新聞社、1982年4月
- 中公文庫、1990年
短編集『脱出』1982年7月
- 新潮社、1982年7月
- 新潮文庫、1988年
長編『間宮林蔵』1982年9月
謎多き探検家の波瀾万丈の生涯を描く歴史長編。樺太は島なのか、大陸の一部なのか?世界地理上の謎であった同地を探検して島であることを確認し、間宮海峡を発見した間宮林蔵。その苦難の探検行をリアルに再現し、幕府隠密として生きた晩年までの知られざる生涯を描く。史実の闇に光をあてる長編傑作。
- 講談社、1982年9月
- 講談社文庫、1988年
間宮林蔵を描く。
短編集『月下美人』1983年8月
死をたじろがずに見つめ、みずからの宿命をいさぎよく受け容れる。冷徹な眼で築き上げられた吉村昭の短編小説の魅力。軍用機を爆破して元脱走兵を取材する「私」と、家族にも過去を語らず、苦悩の歳月を生きてきた男との魂の交流を、一夜のうちに咲き散る月下美人の花に託して描く表題作など、8編を収録。
- 講談社、1983年8月
- 講談社文庫、1990年
- 文春文庫、2001年
長編『破獄』1983年11月
- 岩波書店、1983年
- 新潮文庫、1986年
読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞受賞。四度の脱獄を行った佐久間清太郎を描く。
長編『冷い夏、熱い夏』1984年7月
- 新潮社、1984年7月
- 新潮文庫、1990年
毎日芸術賞受賞。癌の弟の闘病生活を見つめる兄。兄弟の姿を描く長編。
長編『長英逃亡』1984年9月
- 毎日新聞社、1984年9月
- 新潮文庫、1989年
高野長英を描く。
短編集『秋の街』1984年11月
- 文藝春秋、1984年11月
- 文春文庫、1988年
- 中公文庫、2004年
エッセイ『東京の下町』1985年7月
夏祭り、映画館、火事、物売り、正月、演芸、大相撲、さまざまな食物、町の事件あれこれ…。昭和2年生れの著者が幼少年期を過した、大都会の中のなつかしいふるさと、日暮里。そこで紡いだ想い出の数々を愛惜の念をこめて綴ると共に、戦前の庶民の生活を生き生きと描き出した好エッセイ。
- 文藝春秋、1985年7月
- 文春文庫、1989年
長編『花渡る海』1985年11月
- 中央公論社、1985年11月
- 中公文庫、1988年
水主久蔵を描く。
長編『海の祭礼』1986年10月
1848年、ペリーの米航の5年前、鎖国のただ中にある日本に憧れて単身海を渡ってきたアメリカ人がいた。その名は、ラナルド・マクドナルド。海から見た日本の開国風景を描く長篇歴史小説。
- 文藝春秋、1986年10月
- 文春文庫、1989年
ラナルド・マクドナルドを描く。
長編『蜜蜂乱舞』1987年4月
- 新潮文庫、1987年
養蜂家の家族を描く。
長編『闇を裂く道』1987年6月
- 文藝春秋、1987年
- 文春文庫、1990年
丹那トンネル開通工事を描く。
長編『仮釈放』1988年4月
自分を裏切った妻を、悔のない行為として殺した男が、無期刑の判決を受け、16年後に仮釈放された。長い歳月を隔てた彼の目に、この世界はどう映るか?与えられた自由を彼は享受できるか?罪と罰のテーマに挑み人間の哀しみを描ききった意欲的長編小説。
- 新潮社、1988年4月
- 新潮文庫、1991年
三人を殺傷し16年の刑期の後に仮釈放された男を描く。
短編集『帰艦セズ』1988年7月
昭和19年、巡洋艦「阿武隈」の機関兵が、小樽郊外の山中で「飢餓ニ因ル心臓衰弱」で死亡した。上陸中に艦が緊急出港したため、とり残されたともいう。しかし彼はなぜそのような事態を迎えねばならなかったのか。長い歳月を経て、一片の記録から真相の追及を始めた男の前に、驚くべき事実が明らかになってゆく。…表題作以下、解きがたい謎を秘めた人の生の奇妙な一面を、みごとに掬い上げ文学作品に結実させた香り高い7篇。
- 文藝春秋、1988年7月
- 文春文庫、1991年
短編集『海馬』1989年1月
- 新潮社、1989年1月
- 新潮文庫、1992年
海馬(トド)撃ち老人を描いた表題作他。
エッセイ『旅行鞄のなか』1989年6月
- 毎日新聞社、1989年6月
- 文春文庫、1992年
- 『事物はじまりの物語/旅行鞄のなか』ちくま文庫、2014年
短編集『死のある風景』1989年11月
- 文藝春秋、1989年
- 文春文庫、1992年
長編『桜田門外ノ変』1990年8月
安政7年(万延元年=1860)3月3日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた1発の銃声と激しい斬り合いが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安全の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊直弼を斃したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷運動は、倒幕運動へと変っていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききる歴史小説の大作。
- 新潮社、1990年8月
- 新潮文庫、1995年
関鉄之介の視線から桜田門外の変を描く。
『吉村昭自選作品集』1990年10月~1992年1月
- 新潮社、全15巻別巻1
長編『幕府軍艦「回天」始末』1990年12月
新政府にあくまで抵抗して箱館に立てこもった榎本武揚の率いる旧幕府軍は、当初、海軍力において政府軍を圧倒していた。が、幕軍が旗鑑「開陽」を海難で失ったのに対して、政府が最新鋭鑑「甲鉄」を手に入れたので、彼我の力は大きく逆転してしまった。そこで、北上してくる政府軍鑑隊を途中で奇襲し、「甲鉄」に斬り込んで奪っていまおうという大胆な作戦に出た。フランス士官の指導を受けきびしい訓練をつんだ兵を乗せて、幕軍鑑隊「回天」「高雄」「蟠龍」は、深夜ひそかに箱館湾をすべり出た…。歴史の秘められた事実を掘り起し、充実した筆致で描いた会心の長篇歴史小説。
- 文藝春秋、1990年12月
- 文春文庫、1993年12月
海上から戊辰戦争の箱館戦争を描く。
エッセイ『史実を追う旅』1991年2月
- 文春文庫、1991年
長編『白い航跡』1991年4月
明治初年、海軍・陸軍軍人の病死の最大原因は脚気であった。その予防法を確立し、東京慈恵会医科大学を創立した高木兼寛の不屈の信念と人類愛にみちた生涯を描く歴史ロマン-薩摩藩軍医として、戊辰戦争で見聞した西洋医学に兼寛は驚き、海軍に入ってからはイギリスに留学し、近代医学を修め、帰国する。
- 講談社、1991年4月
- 講談社文庫、1994年
高木兼寛を描く。
現代語訳『少年少女古典文学館 平家物語』1992年6月
第一線で活躍する作家が手がけた古典現代語訳シリーズ。少年少女古典文学館「平家物語」をもとに再編集。
- 講談社、1992年
- 『吉村昭の平家物語』講談社、2001年
- 講談社文庫
長編『黒船』1991年9月
ペリー艦隊来航時、主席通詞としての重責を果たしながら、思いもかけぬ罪に問われて入牢すること四年余。その後、日本初の本格的な英和辞書「英和対訳袖珍辞書」を編纂した堀達之助。歴史の大転換期を生きた彼の劇的な生涯を通して、激動する時代の日本と日本人の姿を克明に描き尽くした雄編。
- 中央公論社、1991年9月
- 中公文庫、1994年
堀達之を描く。
自伝+短編集『私の文学漂流』1992年11月
結核に苦しみながら、小説に読みふけった少年時代。三島由紀夫に出会い川端康成、梶井基次郎に心酔した大学文芸部の頃。大学を中退して結婚、生活に追われつつ、常に「勁い文学」を志した同人誌時代-。太宰治賞を受賞し、作家としての地歩を固めるまでの長い道程を、日記、メモ等をもとに丹念に綴り上げた「文学的自伝」。
- 新潮社、1992年11月
- 新潮文庫、1995年
- ちくま文庫
エッセイ『私の引出し』1993年3月
- 文藝春秋、1993年3月
- 文春文庫、1996年
短編集『法師蝉』1993年7月
- 新潮社、1993年7月
- 新潮文庫、1996年
長編『ニコライ遭難』1993年9月
明治24年5月11日、来日中の露国皇太子襲撃さる-明治日本を揺るがした大津事件。ニコライの長崎来航から、日露の緊張、裁判、そして犯人津田三蔵の死まで未公開記録を踏まえ、事件の全貌と歴史の核心に迫った待望の長編小説。
- 岩波書店、1993年9月
- 新潮文庫、1996年
大津事件を描く。
エッセイ『昭和歳時記』1993年11月
- 文藝春秋、1993年11月
- 文春文庫、1996年
長編『天狗争乱』1994年5月
- 朝日新聞社、1994年5月
- 新潮文庫、1997年
- 朝日文庫、1999年
大佛次郎賞受賞。水戸天狗党の乱を描く。
短編集『再婚』1995年3月
- 角川書店、1995年3月
- 角川文庫、1998年
長編『プリズンの満月』1995年6月
- 新潮社、1995年6月
- 新潮文庫、1998年
巣鴨プリズンを描く。
長編『彦九郎山河』1995年9月
- 文藝春秋、1995年
- 文春文庫、1998年
高山彦九郎を描く。
長編『落日の宴 勘定奉行川路聖謨』1996年4月
嘉永六年(1853年)、時の勘定奉行川路聖謨は、開国を迫るロシアのプチャーチンと対峙。-激動の幕末、日本を大国間の荒波から守った幕臣を描き、日本人の誇り高き精神を問う。
- 講談社、1996年
- 講談社文庫、1999年4月
川路聖謨を描く。
エッセイ『街のはなし』1996年9月
- 文藝春秋、1996年9月
- 文春文庫、1999年
長編『朱の丸御用船』1997年6月
- 文藝春秋、1997年6月
- 文春文庫、2000年
難破した御用船から米を奪った漁民たちの姿を描く。
短編集『遠い幻影』1998年1月
- 文藝春秋、1998年1月
- 文春文庫、2000年
エッセイ『わたしの流儀』1998年5月
感動を呼ぶ小説は、静かな生活に宿る-。堅固な執筆作法、愉快な酒場談義、老いの味わい…古希を迎えた作家の素顔を伝える、芳醇な随筆集。
- 新潮社、1998年5月
- 新潮文庫、2001年
長編『生麦事件』1998年9月
幕末を斬り裂いた一太刀!イギリス人殺傷事件、薩英戦争、馬関戦争…開国前夜の騒乱と、志士たちの姿を鮮明に描ききった感動巨篇。歴史小説の金字塔。
- 新潮社、1998年9月
- 新潮文庫、2002年
幕末と生麦事件を描く。
取材日記『史実を歩く』1998年10月
- 文春新書、1998年10月
- 文春文庫、2008年
短編集『碇星』1999年2月
- 中央公論新社、1999年2月
- 中公文庫、2002年
掌編小説集『天に遊ぶ』1999年5月
東北の大飢饉の悲劇を今に伝える小さな紙片。ソ連の潜水艦に撃沈された船に残る、毬藻のような頭蓋骨。高名な文人の葬儀に現れる気品ある謎の老女。別れた妻との復縁を望みつつも他の女に走る男…心を突き刺し、胸に沁み入る情景を「天空を自在に遊泳するような思い」で描いた、初の超短篇集。
- 新潮社、1999年5月
- 新潮文庫、2003年
作家論『わが心の小説家たち』1999年5月
- 平凡社新書、1999年
長編『アメリカ彦蔵』1999年10月
- 読売新聞社、1999年10月
- 新潮文庫、2001年
浜田彦蔵を描く。
長編『夜明けの雷鳴 医師高松凌雲』2000年1月
新しい時代のうねりの中、箱館戦争に身を投じた博愛と義の人。壮絶な闘いの場にあって、敵味方の別なく、負傷者の治療を行った高松凌雲。欧米で学んだ先端技術と共に、日本の近代医療に魂を吹き込んだ人物の波乱の生涯を描く。幕末歴史長篇。
- 文藝春秋、2000年1月
- 文春文庫、2003年
高松凌雲を描く。
中編集『島抜け』2000年8月
- 新潮社、2000年8月
- 新潮文庫、2002年
エッセイ『私の好きな悪い癖』2000年10月
エッセイは、小説を書く私の素顔である。歴史小説第一人者の、端然たる人柄を伝える名随筆集。
- 講談社、2000年10月
- 講談社文庫、2003年
中編集『敵討』2001年2月
明治時代に入り、法治国家を目指す政府の方針で、江戸時代に美風として賞賛されていた敵討は、一転、殺人罪とされるようになった。-新時代を迎えた日本人の複雑な心情を描く「最後の仇討」。老中水野忠邦、その手足となって辣腕をふるった鳥居耀蔵による天保の改革を背景に、幕末の政争、そしてそれによる社会情勢の変遷を克明に浮び上らせる「敵討」。対になる二篇を収録。
- 新潮社、2001年2月
- 新潮文庫、2003年
回想記『東京の戦争』2001年7月
- 筑摩書房、2001年7月
- ちくま文庫、2005年
短編集『見えない橋』2002年7月
漁師の村、北の町、そして都会で。人生の果てをおだやかに見つめるひとびとの暮らしを、静謐な筆致で描き出した珠玉の短篇集。
- 文藝春秋、2002年7月
- 文春文庫、2005年
エッセイ『縁起のいい客』2003年1月
「熱願冷諦」を信条に、無理をせず自然体で生きる。心にしみる待望の最新エッセイ集。
- 文藝春秋、2003年1月
- 文春文庫、2006年
長編『大黒屋光太夫』2003年2月
若き水主・磯吉の人間臭さのにじみ出た生々しい陳述記録をもとに紡ぎだされた、まったく新しい光太夫たちの漂流譚。絶望的な状況下にも希望を捨てず、ひたむきに戦いつづけた男の感動の物語。
- 毎日新聞社、2003年2月
- 新潮文庫、2005年
大黒屋光太夫を描く。
取材日記『漂流記の魅力』2003年4月
日本には海洋文学が存在しないと言われるが、それは違っている。例えば-寛政五(一七九三)年、遭難しロシア領に漂着した若宮丸の場合。辛苦の十年の後、津太夫ら四人の水主はロシア船に乗って、日本人初の世界一周の果て故国に帰還。その四人から聴取した記録が『環海異聞』である。こうした漂流記こそが日本独自の海洋文学であり魅力的なドラマの宝庫なのだ。
- 新潮新書、2003年
エッセイ『事物はじまりの物語』2005年1月
- ちくまプリマー新書、2005年
- 『事物はじまりの物語/旅行鞄のなか』ちくま文庫、2014年
長編『暁の旅人』2005年4月
幕末の長崎で西洋医学を学び、維新に揺れる日本を医師として自らの信ずる道を歩んだ人、松本良順。新撰組に屯所の改築をすすめ、会津藩で刀傷、銃創者の治療を指南し、さらには榎本武揚に蝦夷行きを誘われる-。医学の道に身を捧げた彼の数奇な運命に光を当て、その波乱と孤高の生涯に迫る感動の歴史長編小説。
- 講談社、2005年4月
- 講談社文庫、2008年
松本良順を描く。
長編『彰義隊』2005年11月
皇族でありながら、戊辰戦争で朝敵となった人物がいた-上野寛永寺山主・輪王寺宮能久親王は、鳥羽伏見での敗戦後、寛永寺で謹慎する徳川慶喜の恭順の意を朝廷に伝えるために奔走する。しかし、彰義隊に守護された宮は朝敵となり、さらには会津、米沢、仙台と諸国を落ちのびる。その数奇な人生を通して描かれる江戸時代の終焉。吉村文学が描いてきた幕末史の掉尾を飾る畢生の長篇。
- 朝日新聞社、2005年11月
- 新潮文庫、2009年
彰義隊を描く。
エッセイ『わたしの普段着』2005年12月
- 新潮社、2005年
- 新潮文庫、2008年
短編集『死顔』2006年11月
- 新潮社、2006年11月
- 新潮文庫、2009年
延命治療を拒んだ著者による遺書のような短編集。
エッセイ『回り灯籠』2006年12月
- 筑摩書房、2006年12月
- ちくま文庫、2009年
エッセイ『ひとり旅』2007年7月
- 文藝春秋、2007年7月
- 文春文庫
対談集『歴史を記録する』2007年12月
桜田門外三月三日、雪は何時にやんだのか、それがわからないと小説は書けない。史料を徹底的に調べ、現地に何度も足を運ぶ。そうして生まれた吉村文学の舞台裏を一緒にうかがう。記録文学・歴史文学の第一人者がはじめて語った、貴重な歴史の証言。
- 河出書房新社、2007年12月
『吉村昭 歴史小説集成』2009年4月
- 岩波書店 全8巻、2009年4月
エッセイ+句集『炎天』2009年7月
- 筑摩書房、2009年7月
エッセイ『七十五度目の長崎行き』2009年8月
浅草、須賀川、田野畑、小豆島…北は北海道から南は沖縄、ケープタウンまで。取材魔・吉村昭は、またおのずから旅の人でもあった。街角のほんのそこまでの旅から、数々の名作の舞台となった土地の記録まで、「歴史の証言者」が文字通り全国津々浦々をめぐる。未収録の旅の記録を集めた紀行文集を文庫に。
- 河出書房新社、2009年8月
- 河出文庫
短編集『真昼の花火』2010年2月
一族の家業であった繊維業界に材を取った、構造変化に伴う新旧のあつれきをえぐるスリリングな人間ドラマであり、産業小説でもある表題作をはじめ、自伝的要素の濃い未刊行小説四編。
- 河出書房新社、2010年2月
『わたしの取材余話』2010年4月
単行本未収録エッセイ集、樺戸集治監、丹那トンネル、心臓移植、…。記録の人・吉村昭が、執筆のために全国各地を訪れ、関係者に徹底的に取材した爪痕。吉村文学を愛する読者に送る、感動の追体験。
- 河出書房新社、2010年4月
対談集『時代の声、史料の声』2010年4月
- 河出書房新社、2010年4月
エッセイ『白い道』2010年7月
- 岩波書店、2010年7月
- 岩波現代文庫
エッセイ『味を訪ねて』2010年10月
バイキング形式の朝食は敬遠し、市場の食堂でその土地の味に舌鼓をうつ。けっして、グルメではない。押しつけがましい料理人も困る。高価な珍味もまた。何気ない、下町の懐かしい味を求めて。しばしの憩い、酒と食べもの。取材先で出合った、地元の人しか知らない路地裏の味。
- 河出書房新社、2010年10月
- 『味を追う旅』河出文庫
エッセイ『その人の想い出』2011年1月
さまざまな人、さまざまな出会い、さまざまな記憶。会うが別れの始めとあれば、想い出こそが人生だ。単行本未収録エッセイ集。
- 河出書房新社、2011年1月
エッセイ『履歴書代わりに』2011年6月
吉村昭の世界を一冊に。単行本未収録エッセイ集。歴史証言者の、こだわりの世界と記録の軌跡。
- 河出書房新社、2011年6月
エッセイ『人生の観察』2014年1月
- 河出書房新社、2014年1月
『吉村昭 昭和の戦争』2015年7月
- 新潮社 全6巻、2015年7月
『吉村昭自選初期短篇集』2018年10月
- 中公文庫 全2巻、2018年
『冬の道 吉村昭自選中期短篇集』2021年3月
- 中公文庫、2021年3月
『花火 吉村昭後期短篇集』2021年5月
- 中公文庫、2021年5月