【おすすめ】菊村到の全作品を一覧であらすじを紹介します

菊村 到 きくむら・いたる(1925年5月15日 – 1999年4月3日)

小説家。神奈川県平塚市出身。旧制湘南中学を経て、仙台陸軍予備士官学校へ入学。翌年卒業し秋田へ見習士官として赴任したが、そこで終戦を迎えた。戦後、早稲田大学文学部英文学科を卒業し、卒業と共に読売新聞社へ入社。社会部の記者として活動する傍らで執筆活動を行うようになり、『川の上』1949年10月に『死臭』を発表し作家としてデビュー。1954年には『受胎告知』が第32回芥川賞候補となる。「菊村到」のペンネームで応募した「不法所持」で文學界新人賞受賞。ペンネームのため、芥川賞候補作家だと知られずに当選していた。1957年、「硫黄島」で第37回芥川賞を受賞した。当初は戦争を題材とした純文学を執筆していたが、その後は推理小説を多く手掛けている。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:硫黄島
  • 2位:洞窟の生存者~小説・太平洋戦争~
  • 3位:赤い闇の未亡人シリーズ

作品年表リスト

『硫黄島』1957

終戦から六年後のある日の夕方、ひとりの男が新聞社に勤める私のところに訪ねてきた。投降前に硫黄島の岩穴にうずめてきた日記を米軍当局の許可を得て掘り出せることになった。そのことを記事にしてほしいという。私はいくつか疑念を抱きながらも記事にした。ところが、後日、彼は硫黄島に渡り、現地で自殺してしまう。男を死に向かわせたものは何だったのか。私は男の足跡を辿りはじめる。昭和文学史に名を残す不朽の戦争文学。

芥川賞を受賞し、文壇出世作となりました。

戦争を題材に生と死、戦争が日常に与える影響を描いた純文学作品ですが、ミステリ仕立てになっています。のちに推理小説を多く手掛けており、その第一歩と読めるかもしれません。

題材が題材だけに重く重厚感のある作品です。それでも読後感はむしろスッキリとさえしている。その辺りに作者の技量を感じますし、満足感も得られます。

『受胎告知』1958

『ろまん化粧』1958

『あゝ江田島』1958

ひそかに洞窟に生き残り、戦後数年を経て硫黄島から帰還した海軍上等水兵片桐は、なぜ単身硫黄島に渡ったのか? 自殺に至る彼の異常な行動を、新聞記者である“私”の目を通して描く芥川賞受賞作『硫黄島』、失われた青春への懐旧の思いが、戦争末期の海軍兵学校における青春群像への尽きせぬ愛情とともに語られる『あゝ江田島』など、戦争の傷痕をえぐる作品6編を収める。

『火の疑惑』1958

『紅の翼』1958

『山を見るな』1959

『天皇陛下万歳』1959

『ゆがんだ月』1959

『灰 推理小説』1959

『雨に似ている』1959

『けものの眠り』1959

『女の窓 ただいま取材中』1959

『風の挽歌』1959

『風がめざめる』1960

『あした晴れるか』1960

『夜生きるもの』1960

『自由連想』1960

『ふきげんな風』1960

『八人目の敵』1961

『みんな死ね』1961

『残酷な月』1961

『夜は新しく』1961

『果実の踊り』1961

『松江城天守閣殺人』1962

  • 『これで勝負する』集英社 1962
  • 「松江城天守閣殺人」徳間文庫

『タイトル・マッチ殺人事件』1962

『夜を待つ人』1963

『さまざまの夜』1963

『遠い海の声』1963

『獣に降る雨』1963

『涙が私を重くする』1963

『沈黙の空』1964

『魅惑』1964

『歌うのは夜だけ』1964

『殺意の川』1964

  • 『こちら社会部』毎日新聞社 1964
  • 「殺意の川」旺文社文庫

『悪魔が通る街』1964

『背後の闇を撃て』1965

  • 『背後に夜があった』双葉小説新書 1965
  • 「背後の闇を撃て」広済堂文庫

『私だけのもの』1965

『男と女の河』1966

『夜歌う男』1966

『負けるもんか』1966

『闇に匂う女』1966

  • 『光と匂いの部屋』青樹社 1966
  • 「闇に匂う女」旺文社文庫

『影を追う女』1966

『菊村到戦記文学集』1967

『地球の動きがのろすぎる』1967

『花の黒点』1967

『巷に黒い風が吹く』1967

『灰色花壇』1968

『蜜は死の味』1968

『小説池田大作』1969

『蜥蜴色の恐怖』1969

『けものたちの砦』1969

『夜は血の色』1969

『夜に強くなれ』1969

『運河が死を運ぶ エリート社会事件小説集』1969

頭と脚と手首のない胴体だけの死体を詰めたトランクが、アムステルダムの運河で発見される。この猟奇的事件の被害者は、日本人の商社マン。強盗説、怨恨説などが飛び交うが、いずれも推理の域を出ない。敏腕記者の追跡の前に、事件はぶきみな深淵と輪郭を見せ始めるのだが……。表題作「運河が死を運ぶ」など7編収録の傑作ミステリー集。

『女が灰になる時』1969

『提督有馬正文』1970

『眠りなき荒野』1970

  • 『荒野の夜に眠りはない』サンケイ新聞社出版局 1970
  • 「眠りなき荒野」広済堂文庫

『月を踏む男』1970

『背徳の檻』1970

『あ丶市ケ谷台 陸軍士官学校の栄光と悲劇』1971

『夜の野獣を狙え』1973

『バス・ルームは死の匂い』1973

『殺人者は砂に消えた』1973

『黒い花を摘んだ』1973

『誰かが見つめている』1974

『地の底で何かが歌う』1974

『狼たちの孤独な夜』1974

『夜明けに花を撃て』1974

『狙撃者は歌わない』1975

『夜よ牙を鳴らせ』1975

『夜はさすらいの時』1975

『今夜も誰かが殺される』1976

『夜だ花束を捨てろ』1976

『真夜中に獣が歌う』1976

『女はもう眠らない』1976

『闇の野獣狩り』1977

  • 『華麗な依頼人 名探偵矢場伸吾の事件簿』ベストブック社 1977
  • 「闇の野獣狩り」双葉文庫

『サラリーマン殺人事件』1977

『夜の刑事』1977

『墓は夜に血を流す』1978

『誰が引金をひいた』1979

住宅機器メーカー社員の岸本は、シンガポールに単身赴任中、妻が何者かに轢き殺され、急遽帰国する。事件を調べるうち、化粧品会社の派遣美容部員だった妻には、岸本の知らない“もう一つの生活”があったことがわかってきた。そして岸本にも黒い手が……。 平凡な夫婦にふりかかった都会の恐怖を描く、サスペンス推理!

『狼は迷路を走る』1979

『洞窟の生存者』1979

太平洋戦争――この二度と繰り返してはならない歴史は、戦いの真の姿を眼をそらさずに見ることによって、再びその愚を冒さない抑止力につながっていくだろう。極限状況に置かれた東南アジアの戦場で、兵士たちはどのように生き、人を愛し、憎み、そして死んでいったか。――戦争の実相に迫る傑作小説集!

  • 『死者の土地 かたりべの太平洋戦記』光人社 1979
  • 「洞窟の生存者」光文社文庫

『死ぬのは奴だ』1979

『殺人者は夜霧に棲む』1980

  • 『夜明けまでの放浪』双葉社 1980
  • 「殺人者は夜霧に棲む」徳間文庫

『ベッドの上の迷路』1980

『肌がもとめた』1980

『雨の夜、死神が走る サニー・ウイドウ事件メモ』1980

『残酷にそして華麗に 秘密捜査網』1980

『殺意は海鳴りのように』1981

『夜の扉を撃て』1981

笠村俊夫は、殺人犯を射殺して辞職させられた元刑事。十年後、フリーの執筆者(ライター)となった彼は、かつての上司・山田清一が、娼婦とホテルに入るのを目撃する。その女性は、連れの男が帰った後で、全裸死体で発見された! だが、山田は犯行を否認したまま、“投身自殺”……? 都会の熱き夜を断つハード・サスペンスの長編傑作!

『くれなずむ里五箇山』1981

『女たちの森』1981

『復讐の唄は闇に流れて』1982

『傷ついて愛』1982

美佐子は、夫の牧田がけがで入院したと聞いて、疑惑をつよめる。夫がけがをしたバーのある町は、日常生活とおよそ関係がない。なぜ夫は、そんな場所に行っていたのか? 結婚して10年余、美佐子は夫との愛情にすきま風が吹いているのを実感していた。そして病院にかけつけてみると、若い娘が……。現代の錯綜した愛の姿と多様性を、女性側からサスペンス豊かに描く長編。夫婦って何?

『首桶伝説』1984

シナリオ作家の矢柴研一は、画家・木原登の描いた一枚の絵に、遠く記憶の底に眠っていた何かを揺さぶられた。彼は閉ざされた過去を求めて、富山県の五箇山へ……。そこで三十数年前に首桶村で起きた惨劇の輪郭が浮かぶ。だが、真相に迫る矢柴の周りに不可解な死が連続して発生、彼の身にも……! ハード・サスペンス推理の傑作。

『妖戯者』1984

『背後の殺人者』1984

伊豆の峰温泉に旧友の坂内登喜子を訪ねた旅行ライター北浦よしみは、14年前自分を捨てた母親信江に再会した。だが、娘に「話しておきたいことがある」と言っていた信江は、首吊り死体で発見され、登喜子も新潟・栃尾又温泉で同じ姿に! 現場にちらつく男の影は? 過去と現在を貫く男女の業を、若い女性の目で描く書下ろし力作!

『野獣派刑事』1986

『掠奪者に墓標はない』1986

『復讐は夜のメロディ』1986

  • 『きらめいて愛』サンケイノベルス 1986
  • 「復讐は夜のメロディ」広済堂文庫

『秩父夜祭殺人景色』1986

日本三大曳山祭のひとつ、秩父夜祭が最大のヤマ場をむかえる12月3日。祭の喧噪の陰で、レイプ殺人が発生。女性の体内に残っていた男の痕跡はA型だった……。 講談界のニュー・ウェーブ、女流講釈師の初柴あやめは、持ち前の好奇心と気っぷのよさで、事件の核心へと、のめりこんでゆく。 新しい探偵役登場!

『耳の中に誰かいる 病院ミステリー傑作集』1987

《妊娠した妻の過去に疑惑を抱く男の心理を描いた「拾った女」。 ミステリーファンの患者同士が病室の窓から見た光景によって殺人事件の謎を解く「病める窓」。 どの短編も、人間の小さなドラマシーンが、用意されている》 医師、看護婦、患者たちが織りなす病院ミステリー傑作集!

『油壷殺人マリーナ』1987

『あやめ祭殺人景色』1987

“あやめ祭”で例年賑わう水郷・潮来。だが二十年前、あやめ咲き競う川面に男の死体が。そして今、巡り巡って、「劇団・黒い夢」の新進女優・美紀の出生の秘密が、水面下に眠っていた事件を呼び覚まそうとしている! ニュー・ウェーブ講釈師・初芝あやめが、張り扇の音も小気味よく、次々と謎に体当たり。好評シリーズ第二弾!!

『蛍火祭殺人景色』1987

平家落人の里といわれる湯西川温泉の宿で、昔懐かしい映画の上映会が開かれた。新進女流講釈師・初柴あやめは、映画に登場した出演女優の奇怪な心中事件に好奇心を燃やすが、その矢先、露天風呂に浮いた同宿の女性編集者の死体! 妖しく美しい螢火祭に誘われて、謎が謎を呼ぶ……。 好評書き下ろしシリーズ第三弾!!

『ベルリンブルーの夜』1987

『愛は殺しのライセンス』1988

赤い闇の未亡人シリーズ

六本木のマンションの一室にあるレッド・ウイドウ相談室。カウンセラーの赤垣美晴は、三十歳を越えたばかりの若い未亡人。彼女には警視庁の特別秘密捜査官というもうひとつの顔があり、男女の性のトラブルから生じる難事件が、次々に押し寄せる……。 エロスと推理が渾然一体となった連作官能サスペンス!

  • 赤い闇の未亡人 1988
  • 魔性を撃て 赤い闇の未亡人 1988
  • 闇を吸う肌 赤い闇の未亡人 1989
  • 吸淫鬼 赤い闇の未亡人 1989
  • 地獄の門で待て 赤い闇の未亡人 1989
  • 魔手が這う肌 赤い闇の未亡人 1990
  • 魔性の指 赤い闇の未亡人 1990
  • 獣たちの凶宴 赤い闇の未亡人 1991
  • 悪霊たちの秘戯 赤い闇の未亡人 1992
  • 魔性の唇 赤い闇の未亡人 1993
  • 肌を裂く牙 赤い闇の未亡人 1993
  • 震える肌 赤い闇の未亡人 1995
  • 野獣の舌 赤い闇の未亡人 1997

『濡れ肌の迷路』1989

  • 『悪魔が肌を彫る』双葉ノベルス 1989
  • 「濡れ肌の迷路」文庫

人妻刑事シリーズ

  • 『人妻捜査官』双葉ノベルス 1990 「人妻刑事」文庫
  • 『濡れて舞う肌 人妻刑事』1996
  • 『闇の処刑台 人妻刑事』1996

『濡れ事裁き人』1990

  • 『刑事くずれ』広済堂ブルーブックス 1990
  • 「濡れ事裁き人」文庫

『女は闇を抱く』1990

『特別秘密捜査官 妖夢の女』1991

『美肌探偵局・肉色の罠』1991

『美女と手錠』1992

  • 『闇をさぐる未亡人』双葉ノベルス 1992
  • 「美女と手錠」祥伝社 (ノン・ポシェット)

『隠れ刑事』シリーズ

  • 欲望編 1992
  • 秘悦編 1992
  • 艶熟編 1993
  • 淫獣編 1993
  • 妖夢の女編 1994
  • 魔性の肌編 1994
  • 妖戯の女 1995

『寝室の殺意』1993

『魔色の女』1993

  • 『人妻けもの道』双葉ノベルス 1993
  • 「魔色の女」祥伝社 (ノン・ポシェット)

『獄門警部』1994

『闇に犯される女』1994

『牙狼の女』1995

事件が起きたのは、小さな山間の町でだった。黒イヌをつれた黒マントの老人に、女子大生がレイプされたうえ、殺された。のどには鋭い牙による噛み跡が残っていた!(「狼男レイプ殺人」) 遠笠なつめは、占いをしながら放浪の旅をつづける霊能者。身に危険が迫ると狼に変身し、さまざまな悪霊の化身と戦う。 エロスの世界に伝奇ホラーを加味した連作官能サスペンス!

『闇から来た女』1995

『獄門警部美女狩り』1996

『隠れ湯の女』1997

『その夜の人妻』1998

『喪服の似合う女』1999

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