【おすすめ】プラトンの全作品を一覧であらすじを紹介します

プラトン(427‐347B.C.)

古代ギリシャを代表する哲学者。アテネの名門の家系に生まれる。師ソクラテスとの出会いとその刑死をきっかけに哲学の道に入り、40歳ころには学園「アカデメイア」を創設して、晩年まで研究・教育活動に従事した。ソクラテスを主人公とする「対話篇」作品を生涯にわたって書き続け、その数は30篇を超える。主な作品として、『ソクラテスの弁明』『プロタゴラス』『メノン』『パイドン』『饗宴』『国家』『法律』などがある。その壮大な体系的哲学は、後世の哲学者たちに多大な影響を及ぼした。

プラトンの作品年表リスト

初期(主にソクラテスの姿を描く)

ソクラテスの弁明

ソクラテスの生と死は、今でも強烈な個性をもって私たちに迫ってくる。しかし、彼は特別な人間ではない。ただ、真に人間であった。彼が示したのは、「知を愛し求める」あり方、つまり哲学者(フィロソフォス)であることが、人間として生きることだ、ということであった。(「訳者あとがき」より)。ソクラテスの裁判とは何だったのか?プラトン対話篇の最高傑作、ついに新訳で登場!

クリトン

不正な死刑の宣告を受けた後、国法を守って平静に死を迎えようとするソクラテスと、脱獄を勧める老友クリトンとの対話よりなる「クリトン」。プラトン初期の作であるが、芸術的にも完璧に近い筆致をもって師ソクラテスの偉大な姿を我々に伝えている。

裁判の後、牢獄で死刑を待つソクラテスの下をクリトンが訪れ、ソクラテスに脱獄を勧めます。

ですがソクラテスはその提案を拒否。

「法」と「正義」について議論が展開されます。

エウテュプロン

敬虔とは何かをめぐり、その道の知者を自負する人物と交わされる対話『エウテュプロン』。ソクラテス裁判を中心に、その前後の師の姿を描いたプラトンの作品が鮮明な新訳で登場。

古代ギリシアで重要視されていた「敬神(エウセベイア)」について論じられます。

この記事では三番目に紹介していますが、「ソクラテスの弁明」の前提議論だとも言われます。

カルミデス

ソクラテスとカルミデスは、「節制(思慮の健全さ)」について問答を行う。途中から、カルミデスに代わってクリティアスがソクラテスと問答を行うが、結局、「節制(思慮の健全さ)」についての結論は出ない。

ソクラテスと美少年・カルミデスが「節制(ソーフロシュネー)」について語り合います。

キーワードは「自己知」「知の知」です。

ラケス

ソクラテスを中心に、二人のアテネ市民とその息子たち、ラケスとニキアスという高名な二人の将軍たちのあいだで「勇気とは何か」を主題に展開される対話。息子たちの教育法にはじまる議論が、ソクラテス一流の誘導により、ソクラテス自身を含めた一同の「勇気」に対する無知の確認に導かれる。
ソクラテスによる定義探求過程の好例とされる、プラトン初学者必読の初期対話篇の傑作、待望の新訳成る。

「若者の教育」や「勇気とは何か」について対話が行われます。

リュシス

美少年リュシスとその友人メネクセノスの二人を相手にして「友」とは何か、「友愛」とは何かを論じていく『リュシス』は、後世に幅広い影響を与えた名作として知られる。同じく二人の少年を相手にして「知を愛すること」としての「哲学(ピロソピア)」という主題を追求していく『恋がたき』をも併録した。「愛すること」という根本的な主題で貫かれた二つの対話篇、待望の新訳が登場!

ソクラテスが若い人たちに向かって、「友情とは何か」を論じていきます。

イオン

エピダウロスでのアスクレーピオスの祭礼における数々の奉納競技の中、吟誦詩人の競技で優勝し、帰途の途中でアテナイに滞在している吟誦詩人イオン、彼にソクラテスが出くわすところから、話は始まる。ソクラテスがイオンを持ち上げながら問答に持ち込み、イオンの知識や技術を確認する対話が行われていく。

詩人イオンを相手に、彼の有する「知恵」を問うていきます。

ヒッピアス(大)

久しぶりにアテナイを訪れたソフィストのヒッピアスに、ソクラテスが出会い、「美」についての問答を交わす。執拗な探求を繰り広げるソクラテスに対し、ヒッピアスはしびれを切らし、こんな言論の細切れには見切りをつけて、弁論術を身につけるべきだと勧告、問答を止めてしまう。

「美とは何か」について論じられます。

プラトンの著作ではないのではないかという説も出ています。

ヒッピアス (小)

アテナイ某所での演説を終えたソフィストのヒッピアスと、それを聞いていたソクラテスが、「偽り」についての問答を交わす。

文芸批評お行うヒッピアス相手に「偽り」についての問答が交わされます。

プロタゴラス

「人間の徳(アレテー)は、教えられるものなのか?」「ソフィストとは、そもそも何者か?」。若くて血気盛んなソクラテスは、アテネを訪問中の老獪なソフィスト、プロタゴラスのもとにおもむき、徳をめぐる対話を始める。しかし、議論は二転三転。次第に哲学的色彩を強めながら、やがて意外な結末を迎えることになる。躍動感あふれる新訳で甦る、ギリシャ哲学の傑作!

高名なソフィスト・プロタゴラスらに対して「ソフィストとは何か」を問います。

「徳は教えることができるのか?」など様々な議論が展開され、かなり読み応えのある作品です。

エウテュデモス

徳の伝授を標榜する兄弟ソフィストと哲学者ソクラテスとの対決を描く。著者の初期から中期への移行期に当たる対話篇。

争論が得意なソフィストの兄弟とソクラテスが対決します。

ゴルギアス

弁論術の大家・ゴルギアスと「弁論術とは何か」を掘り下げていきます。

ソクラテスの信じる哲学にまで発展した激しい議論が特徴です。

クラテュロス

メネクセノス

ソクラテスが、アゴラ(広場)のブレウテリオン(評議場)から帰ってきたメネクセノスと出くわすところから、話は始まる。追悼演説者の選考を見に行ったが、決定は明日に延期になったという。

皮肉を込めて追悼演説の素晴らしさを語るソクラテス。メネクセノスは急に選考が行われることになったので、演説者は大変だろうと述べるも、ソクラテスは追悼演説はそんなに難しくない、ましてやアテナイ人を相手にアテナイ人を褒めるのなら簡単だと主張した。

ソクラテスが聞いたという「戦死者の追悼演説」が紹介されます。

少し変わった作品で、アテナイの政治や社会についても触れられます。

メノン

20歳の青年メノンをソクラテスが挑発! 「徳(アレテー)は教えられるものでしょうか?」メノンの問いに対し、ソクラテスは「徳とは何か?」と切り返す。そして「徳」を定義する試みから知識と信念、学問の方法、魂、善をめぐって議論は進んでいく――従来あまり重視されなかったことばのニュアンスを細かく読みとり、対話のやりとりと内容の微妙な関係を鮮明に浮かびあがらせた意欲的新訳。プラトン対話篇の最高の入門書。

「徳を教えることはできるのか」と疑問を持つメノンに対してソクラテスがその可能性を示していきます。

中期(イデア論、魂の想起説、「哲人王」思想)

饗宴

なぜ男は女を求め、女は男を求めるのか? 愛の神エロスとは何なのか? 悲劇詩人アガトンの優勝を祝う飲み会に集まったソクラテスほか6人の才人たちが、即席でエロスを賛美する演説を披瀝しあう。プラトン哲学の神髄ともいうべきイデア論の思想が論じられる対話篇の最高傑作。

祝勝会に集まった人々が次々に「恋」を賛美する演説を行います。

ソクラテス賛美が行われるなど、文学的な一面もあります。

パイドン

人間のうちにあってわれわれを支配し、イデアを把握する力を持つ魂は、永遠不滅のイデアの世界と同族のものである。死は魂の消滅ではなく、人間のうちにある神的な霊魂の肉体の牢獄からの解放である-ソクラテスの最期のときという設定で行われた「魂の不死」についての対話。『国家』へと続くプラトン中期の代表作。

ソクラテスの死刑当日を舞台とした作品。『メノン』に続いて想起説が取り上げられる他、イデア論が初めて登場するなど重要な哲学書です。

死を目前にしながらも哲学者の崇高な意思に燃えるソクラテスの姿が印象的です。ソクラテスの生き方(そして死に方に)不思議と勇気を貰えると思いました。

もっと読むパイドン 魂の不死について(プラトン)の概要・解説・感想

国家

ソクラテスは国家の名において処刑された。それを契機としてプラトン(前427‐前347)は、師が説きつづけた正義の徳の実現には人間の魂の在り方だけではなく国家そのものを原理的に問わねばならぬと考えるに至る。この課題の追求の末に提示されるのが、本書の中心テーゼをなす哲人統治の思想に他ならなかった。プラトン対話篇中の最高峰。

ソクラテスが、プラトンの兄弟と「正義とは何か」について侃侃諤諤の議論を展開します。

「理想のポリス」「魂の三分説」「哲人統治論」「詩人追放論」など様々な論点が扱われる重要作です。

パイドロス

真実そのものの把握なしには真実らしく語ることさえ本来的に不可能であることを立証し、「哲学」の立場から鋭く当時の弁論術を批判したのがこの対話篇である。本書はプラトン(前427‐347)の代表作の一つであって、特に『ソクラテスの弁明』をはじめとする前期著作群を『テアイテトス』以降の著作に結びつけてゆく重要な役割を担っている。

文学青年を相手に「弁論術とは何か」が語られます。

パルメニデス

「イデア論」を前提としつつ、それにまつわる難点・課題を掘り下げつつ、吟味・洗練させていく。発展的内容を扱っていく流れが始まるため、中期と後期の間に位置する作品。

中期と後期の間に位置する作品ですが、若きソクラテスの姿が描かれます。

ソクラテスの語る「イデア論」の解釈が難しいです。

テアイテトス

知識とは何か、真にものを知るとはどういう場合を言うのか。当時行われていた三つの知識説をとりあげて批判しつつ、哲学が様々な角度と立場からの吟味や思考を要求するゆえんを示す。有名な無理数論やソクラテスの産婆術などのエピソードを交えた対話篇。日本における本格的なプラトン研究をきりひらいた泰斗による翻訳。

数学者を相手に「知識とは何か」が議論されます。

「知識とは、真なる考え(ドクサ)である」など複数の回答が提出されますが、一見良さそうな回答も退けられます。

後期(イデア論)

ソピステス

『ソピステス』では、パルメニデス・ゼノン門下のエレア派の哲学者とされる「エレアからの客人」が、ソクラテスに「ソフィスト、政治家、哲学者の違い」を問われ、まず「ソフィストとはいかなる者か」についての説明をテアイテトスを相手に行う。

「エレアからの客人」が、「分割法(ディアイレシス)」を用いて「ソフィストの技術(ソフィストの術)」の内容を絞り込んで行き、最終的にソフィストの妥当な規定を探り当てていく。

政治家

「エレアからの客人」が、少年ソクラテスを相手に、「分割法(ディアイレシス)」と「類例(パラデイグマ)」を用いて「政治家の知識・技術(政治術)」の内容を絞り込んで行き、最終的に政治家の妥当な規定を探り当てていく。

中期の『ポリテイア(国家)』の「哲人王思想」が引き継がれ、より理想化された「真の政治家」「真の王者」像が探求され、それが「政治家」のあるべき規定・定義として結論付けられる。

「政治家の知識」について議論が交わされます。

ティマイオス

政治体制を論じた『国家』を受ける形で対話が始まる。冒頭でクリティアスがアトランティス伝説について語る。次いで、ティマイオスが宇宙の創造、宇宙は無限か否か、四元素について、人間の身体についてなどを説いてゆく。

「クリティアス」と共に、「理想のポリス」についての議論が展開されます。

クリティアス

『ティマイオス』におけるティマイオスの話が終わった直後から、話が始まる。次にクリティアスが、『ティマイオス』でも触れたアトランティスの話について、詳細を述べていくことになる。

だが、中断され未完となっている。

ピレボス

「善とは何か」について議論が交わされます。

法律

新たにつくられるポリスの法律を検討するという大作。

抽象的な議論ではなく、現実的な議論が展開されているとも言われます。ソクラテスが登場しない唯一の作品です。

第七書簡

プラトンが75歳頃、シケリア島シュラクサイのディオン死亡後のディオン一派からの協力依頼に対する返信となっている。

ディオンの遺志と、「法律に服する以外に内紛解決の道は無い」ことを、彼らに忠告し、鼓舞・激励する。そのことを理解してもらうために、プラトン自身の生い立ちから、ディオンとの出会い、一連のシュラクサイにおける紛争の経緯を説明している。

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