フランツ・カフカのおすすめ作品はどれなのか?全作品一覧レビュー

フランツ・カフカ(1883年7月3日 – 1924年6月3日)

小説家。プラハ出身。役人として働きながら、どこかユーモラスで浮ついたような孤独感と不安の横溢する、夢の世界を想起させるような独特の小説作品を執筆した。生前はわずかに注目されたのみだったが、没後に刊行された作品により世界的名声を得る。現在ではジェイムズ・ジョイス、マルセル・プルーストと並び20世紀の文学を代表する作家と見なされている。

フランツ・カフカの作品年表リスト

僕がこれまで数えきれないくらい読んできた作家の中で一番好きな小説家がカフカです。

作品の素晴らしさもそうですが、小説家としての成功を目指しつつ、一般的には一公務員として生涯を終えたカフカの生き方を知って彼のことが好きになりました。

カフカは断片のような短い作品も多く、全集以外ではすべての作品を読むことはできません。ここでは主要作品の紹介しつつ、初めに読む本のおすすめも紹介します。

※カフカは多くの作品が死後公表されたため、発表年ではなく執筆年で紹介します。

変身(1912年10月)

家族の物語を虫の視点で描いた「変身」。もっともカフカ的な「掟の前で」。カフカがひと晩で書きあげ、カフカがカフカになった「判決」。そしてサルが「アカデミーで報告する」。カフカの傑作4編を、もっとも新しい<史的批判版>にもとづいた翻訳で贈る。

ある男が目を覚ましたら、奇妙な虫になっていたという、摩訶不思議な作品です。後世の作家に与えた影響も絶大で、カフカの中で一番有名な作品でしょう。

薄く、安く、手に入りやすいと翻訳小説の問題をすべてクリア―しており、入門にもおすすめ。最初に読むのなら変身でしょう。
>>変身(フランツ・カフカ)のあらすじ結末(ネタバレあり)・解釈・考察・感想

失踪者(アメリカ)1911年~1914年

『審判』『城』とともに「孤独の三部作」と呼ばれる連作の第1巻。カフカの友人であるマックス・ブロートが編纂した従来の全集では『アメリカ』という表題で知られていた作品だが、カフカの手稿そのものをテキストとした本コレクションでは、カフカ自身の命名によるタイトルに戻されている。
 主人公カール・ロスマンは、これまでは16歳だったが、新テキストでは17歳。カフカは主人公を少年としてではなく、青年として考えていた。事実ロスマンは年上の女中に誘惑されたあげく、両親によってアメリカの伯父のもとに送られている。17歳は大人の世界に踏みこんだ最初の年齢。そんな彼が、アメリカの地を放浪したあげくに、大陸の一点で失踪する。

死後公開された長編小説です。カフカによるタイトルが付けられておらず、友人のマックス・ブロートにより「アメリカ」という題が付けられていました。その後研究が進み、「失踪者」という題を予定していたことがわかり、新しい訳では「失踪者」という題に変更されています。

女中と関係を持ったことをとがめられた少年、カール・ロスマンは故郷のドイツからアメリカへと追い払われます。本編では彼がアメリカ中を所在なく漂っていく様子が描かれます。

カフカの代名詞的な不条理な展開はなく、少年の様子が淡々と描かれます。「カフカらしくない」小説と言われますが、その根無し草っぷりは「城」に辿り着けない「K」の姿を彷彿とさせます。

僕はカフカの中で一番好きな作品です。

審判(訴訟)1914年~1915年

ある朝、アパートで目覚めた銀行員Kは突然、逮捕される。理由は判らない。正体不明の裁判所と罪を知らないKのはてしない問答がつづく…。「城」「アメリカ」と長編三部作をなす未完の傑作。

主人公ヨーゼフ・Kはある日、理由の分からないまま裁判を起こされます。罪を犯したわけではないため、裁判で無実だと判決が下されるはずだと奔走しますが、最後には悲劇的な結末を迎えます。

カフカの死後、第二次大戦やナチスドイツの行いが明るみになるにつれ、「この本に描かれていたことは真実だった」とその先見性が評価されました。

城(1922年)

ある冬の夜ふけ、Kが村にやってくる。この村は城に属する村だった。測量士として城から雇われたはずのKは、しかしながらいつまでたっても村に留め置かれ、城からの呼び出しはなかった。
 城はかなたにくっきりと見えていた。しかし、近づいても近づいても城にはたどりつくことはできない。この城はいったい何なのか。城という謎の存在を前にして、Kの疑問は深まる。
 そして、雪にとざされたこの村を支配する城と向き合って、一見喜劇的とも言えるKの奇妙な日常がはじまる。
 『失踪者』『審判』につづく「孤独の三部作」の掉尾を飾る作品。カフカ畢生の大作。

1924年に亡くなったカフカが最後に着手した長編小説です。しかし「失踪者」「審判」同様に未完のままとなってしまいました。

主人公のKは測量士。とある城に雇われ、近くの村までやってきますが、城へたどり着くことは出来ません。ついに測量士ではなく、小学校の使い走りの仕事をして城と連絡を取ろうとします。

城の複雑な行政機構とやらが、現代のお役所や官僚機構・警察機構に繋がるという読み方もありますし、個人と社会の問題を見出すこともできます。

様々な読み方が可能な傑作で「最高傑作」との呼び声もあります。

結局カフカはどれがおすすめなの?

個人的には有名&読みやすい「変身」から読んでいくのがおすすめです。

その後は短編を楽しみつつ「審判」を読み、「失踪者」や「城」を読むといいと思います。

いきなり「城」を読むと、挫折してしまいがち。翻訳小説独特の文章が難しく、いきなりはおすすめしません。

カフカを読む順番のおすすめ

変身

カフカ短篇集(岩波文庫)
カフカ寓話集(岩波文庫)
審判

失踪者

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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