半分の月がのぼる空(橋本紡)のあらすじ(ネタバレなし)・感想

不治の病に侵された少女と、同じ病院に入院した少年との出会いを通して”いつかは終わりの来る日常”を描く、恋愛小説。作中には過去の文学作品が登場するほか、三重県伊勢市に実在する山が登場する作品。

半分の月がのぼる空(橋本紡)の作品情報

タイトル
半分の月がのぼる空
著者
橋本紡
形式
小説
ライトノベル
ジャンル
恋愛
青春
ボーイ・ミーツ・ガール
執筆国
日本
版元
アスキー・メディアワークス→文藝春秋
初出
電撃hp
刊行情報
下記
受賞歴
このライトノベルがすごい!

半分の月がのぼる空(橋本紡)のあらすじ・概要

肝炎を患って入院した戎崎裕一は、退屈な入院生活に耐えかねて夜な夜な病院を抜け出しては、看護師の谷崎亜希子に怒られる日々を送っていた。そんなある日、裕一は抜け出しの黙認と引き換えに、同じ病院に入院していた秋庭里香の話し相手になる取引を亜希子と結ぶ。

二人の距離は少しずつ近づいてゆき、里香はほとんど誰にも見せなかった笑顔を裕一に見せるようになる。ある日、里香は「自分が心臓の病気を患っており、もうすぐ死ぬ運命にあること」を裕一に告げる。裕一は戸惑いながらも、自分が里香を意識し始めていることに気づく。

里香と二人で病院を脱走して訪れた「里香の思い出の地、砲台山」で、裕一は知る。里香は、もはや生きる希望を失っている事を。そして里香もまた、知る事になる。裕一の想いを。その想いを知った時、里香は再び生きる希望を取り戻し始める。病院や高校、伊勢の町を舞台に、里香、亜希子、主治医の夏目といった、彼を取り巻く人々との関わりを含め、物語は進んでゆく。

半分の月がのぼる空(橋本紡)の目次

作者

橋本 紡 はしもと・つむぐ(1967年9月22日 – )

小説家。三重県伊勢市生まれ。三重県立伊勢高等学校卒業後、家を出るために上京し、東京の大学に入学するものの中退。フリーター生活の傍ら読書を続ける中で作家を目指すようになる。1997年に第4回電撃ゲーム小説大賞にて『猫目狩り』で金賞を受賞しデビュー。代表作に『半分の月がのぼる空』、『流れ星が消えないうちに』などがある。

半分の月がのぼる空(橋本紡)の刊行情報

おすすめ『半分の月がのぼる空』アスキー・メディアワークス、電撃文庫:全8巻

『半分の月がのぼる空』アスキーメディアワークス、全2巻

『半分の月がのぼる空』文春文庫、全4巻

映画版、アニメ版関連動画

テレビアニメ『半分の月がのぼる空』2006年1月12日~2月23日

テレビドラマ『半分の月がのぼる空』2006年10月2日~12月25日

実写映画『半分の月がのぼる空』2010年4月3日

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半分の月がのぼる空(橋本紡)の登場人物

戎崎 裕一(えざき ゆういち)
主人公。17歳の高校2年生。A型肝炎で若葉病院に入院し、病院内で見かけた里香に好意を抱くようになる。
様々なことを考えすぎる性格をしており、良い方向に働くこともあるが、大失敗を犯すこともある。その反面、思い立ったことはすぐ行動する面もある。

秋庭 里香(あきば りか)
ヒロイン。17歳。頭は良いがわがまま。心臓に亡き父親と同じ病気を持ち、心臓の組織が脆いため手術が難しい体をしている。幼い時から長く入院をしており、気難しい性格。
入院する前に父親に連れて行ってもらった砲台山という山をを探しており、裕一に連れて行ってもらったことから次第に心を開いていく。

谷崎 亜希子(たにざき あきこ)
看護師。元ヤンキー。優しい看護師であることを心掛けているが、言動は乱暴であり、よく口よりも先に手が出てしまう。心中では裕一と里香のことを優しく見守っている。

夏目 吾郎(なつめ ごろう)
医師。里香の主治医である。腕は良いが、里香に近づこうとする裕一には厳しい態度を取るため敬遠されている。2人の関係を注意するような面を持ち合わせているが、それは過去の自分と共通点を持つ裕一を重ね合わせて見ていたからであった。

夏目 小夜子(なつめ さよこ)
夏目吾郎の妻。吾郎とは高校生の頃から付き合い始め、のちに結婚したものの、心臓の病気が悪化しこの世を去った。吾郎のよき理解者であり、亡くなった後も彼の思考に影響を与え続けている。

世古口 司(せこぐち つかさ)
裕一の親友、悪友。大柄な体格で、天体や料理が好きで「気は優しくて力持ち」な性格。

半分の月がのぼる空(橋本紡)の感想・解説・評価

王道のボーイ・ミーツ・ガール

急性肝炎で入院を余儀なくされた主人公・戎崎裕一は変化の乏しい入院生活に退屈し、夜な夜な病院を抜け出しては、看護士の谷崎亜希子に説教をされるという毎日を過ごしていた。そんな中、彼は病院の中で同い年の少女・秋庭里香に出会う。

あえて悪い言い方をすれば、そんなありきたりな、使い古されたお話である。著者もそれも認め、第1巻のプロローグで「ごく普通の話だ。」と断っていたりもする。けれど普通の話だと認めることで、「2人にとっては特別なことだ」ということを強調できているのは、上手い。

舞台は、三重県伊勢市。伊勢神宮で有名な町だ。その町にある、三階建ての小さな病院で裕一は多くの人と出会う。

有名な町だが、近くにある商店街は(実際はそれほどでもないらしいのだが)死にかけていた。著者は、裕一がそんな商店街に寂寥の思いを抱いているシーンを作品の冒頭に持ってくることによって、この物悲しいこの世界に読者を引き込んでいる。

裕一は17歳。情けないというか、はっきりしない。けれど、高校生らしくやるときはやる。よく主人公は万能すぎたり、逆に個性的な脇役達によって目立たないことも多い。

特に主人公が思春期である場合には、正義感をやたらに振り回しすぎてしまったり、あまり意味もなく暗かったりする。本作の著者は、主人公・裕一の周りに個性的ながらも自然な雰囲気を持つ登場人物を配置することによって、裕一という主人公を自然な存在として物語に登場されている。その正直でも、くどすぎない性格に読者は共感することができるのだ。

オリジナルストーリーが描かれた実写映画版

実写映画版は深川栄洋監督がメガホンをとり、池松壮亮、忽那汐里のコンビによって製作が行われた。

個人的には夏目吾郎を演じた大泉洋の演技が好み。小説版の挿絵のイメージとは違うが、「憎まれ役な良い大人」をよく演じきっている。

実写映画版では後半にオリジナルストーリー&設定を展開している。原作とは違う展開なだけに原作ファンからは否定的な意見も見られるが、気持ちのいい青春映画に仕上がっている。

絶版だけどおすすめは電撃文庫版

本作は電撃文庫(全8巻)→単行本(全2巻)→文春文庫(全4巻)と3回刊行されている。この中でもっともおすすめなのは最初に刊行された電撃文庫版だ。

というのも単行本化されるにあたって加筆修正が行われているのだ。それも単なる修正にとどまらず、伊勢出身の登場人物たちのセリフがすべて伊勢弁に変更されている。

これはとても現実的でリアルな変更だとは思うのだが、優れたボーイ・ミーツ・ガール小説の本作に必要なのかは疑問だなと思っている。挿絵もあり、絶版でも電撃文庫版を探して読んでみることがおすすめだ。

合わせて読みたい本

半月-HANGETSU-

小説のイラストレーターである山本ケイジ氏の「半分の月がのぼる空」の画集。書き下ろし短編小説「花冠」も載っている。

半分の月がのぼる空 one day

裕一と里香の退院直後のエピソードが描かれている。単行本サイズ。

半分の月がのぼる空(橋本紡)の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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