森博嗣による初の短編小説集。
まどろみ消去の作品情報
- タイトル
- まどろみ消去
- 著者
- 森博嗣
- 形式
- 小説
- ジャンル
- ミステリ
- 執筆国
- 日本
- 版元
- 講談社
- 初出
- 書き下ろし
- 刊行情報
- 講談社文庫
まどろみ消去のあらすじ(ネタバレなし)
大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。参加者は、屋上で踊る30人のインディアンを目撃する。現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。屋上への出入り口に立てられた見張りは、何も見なかったと証言するが……。(「誰もいなくなった」)ほか美しく洗練され、時に冷徹な11の短編集。
まどろみ消去の目次
- 虚空の黙祷者 Silent Prayer in Empty
- 純白の女 The Lilies of Her Cheeks
- 彼女の迷宮 She is Lost in Mysteries
- 真夜中の悲鳴 Acoustic Emission
- やさしい恋人へ僕から To My Lovely
- ミステリィ対戦の前夜 Just Before the Battle for Mysteries
- 誰もいなくなった Thirty Little Indians
- 何をするためにきたのか The Identity Crisis
- 悩める刑事 A Detective in Distress
- 心の法則 Constitutive Law of Emotion
- キシマ先生の静かな生活 The Silent World of Dr. Kishima
作者
森 博嗣 もり・ひろし(1957年12月7日 – )
小説家。愛知県生まれ。東海中学校・高等学校を経て、名古屋大学工学部建築学科卒、名古屋大学大学院修士課程修了。工学博士。
1995年に初めての小説『冷たい密室と博士たち』を執筆。メフィストに投稿し、編集部から高い評価を受ける。第4作『すべてがFになる』に合わせ編集部がメフィスト賞の開催を決定。同作が第1回メフィスト賞受賞作となり、デビューを飾った。
まどろみ消去の刊行情報
講談社ノベルス – 1997年7月発行
講談社文庫 – 2000年7月発行
まどろみ消去の登場人物
犀川創平(さいかわ そうへい)
国立N大学工学部建築学科助教授
西之園萌絵(にしのその もえ)
国立N大学工学部建築学科生
牧野洋子(まきの ようこ)
国立N大学建築学科生。萌絵の親友。
浜中深志(はまなか ふかし)
国立N大学建築学科生。萌絵たちの先輩。
まどろみ消去のあらすじ(ネタバレあり)
虚空の黙祷者
殺人容疑をかけられた夫が失踪して5年。仕事の都合で引っ越すことになったミドリは、夫の友人で、夫が殺したかもしれない男の息子に引っ越しの挨拶をしていた。家を売って引っ越すと言うミドリに、彼は家を買いたいと言い、プロポーズをする。その真意は……。
純白の女
人里離れた高原(らしき場所)のとある建物。ここを一人訪れたユリカは、毎日毎日、読まれないかもしれない手紙を夫に書き続ける……。
彼女の迷宮
大学教授で作家の夫を持つサキ。夫が書くミステリィ小説の主人公はサキがモデルになっている。しかし、サキはその作品が気に入らず、海外出張中の夫に内緒で荒唐無稽な話に書き換え始めてしまう。
真夜中の悲鳴
材料工学を専攻する大学院生のスピカは、連日泊まり込みで卒論の研究データを取っていた。数回行った実験の結果に奇妙な現象が記録されていることに気付いたスピカは、世紀の発見か、と心踊るが……。
やさしい恋人へ僕から
同人活動をする大学生の僕の元に、僕のファンだというスバル氏から原稿が送られてくる。直接会った2人は話が弾み、互いに意気投合する。
ミステリィ対戦の前夜
ミステリィ研究会の部長・岡部にせがまれて、渋々合宿に参加した西之園モエ。眠気を我慢して、部員たちが書いたつまらない競作ミステリィ談義を苛々しながらも聞くが……。
誰もいなくなった
萌絵らミステリィ研究会が主催したミステリィツアーにヨーコとフカシも参加。参加者らは、屋上で3人の死体(役)を取り囲んで踊る30人のインディアンを目撃した。しかし、屋上へ通じる4箇所の階段と正門にいた見張り役は、誰も出入りしていない、と証言する。
S&Mシリーズの短編。
何をするためにきたのか
淡々と平凡に学生生活を送るフガク。謎めいた言葉を残しては去ってゆく友人・ワタル。フガクは教授に予言された通りフミエという女の子と出会い、フミエに言われた通りゲンジという坊主に出会う。一体何のためにここにいるのか。
悩める刑事
推理小説マニアのキヨノは、毎日夫の仕事の話を聞きたがる。当の夫のモリオは、そんな妻に辟易し、自分は今の仕事に向いていない、辞めたいと悩んでいた。一方、キヨノは希望部署への配属が決まったが夫に言い出せずに悩んでいた。
心の法則
ぼくとモビカ氏はそんなに仲が良いわけではない。ある日、モビカ氏に彼の姉を紹介され、モザイクアートが趣味の彼女に僕はとても興味を持った。
キシマ先生の静かな生活
キシマ先生は素晴らしい研究者だと僕は思う。いつも学生に難しい質問を投げかけるので、未だに助手という地位に甘んじているが、とても研究熱心な方だ。研究にしか興味が無いようだが、キシマ先生は、美人で有名な計算機センタの沢村さんのことが好きなようだ。
まどろみ消去の感想・解説・評価
#森博嗣「まどろみ消去」#読了
— 右手@ものかき (@migite1924) 2020年1月6日
11作品を収めた短編集。純ミステリな作品から、ファンタジーのようなもの、スッキリするもの、モヤモヤするものなど多種多様。助手の先生との思い出を綴った「キシマ先生の静かな生活」のような小品も。
https://t.co/rKQO1ruKkf pic.twitter.com/NzAjdGkolN
一番好きなのは「悩める刑事」。30ページにも満たない作品ですが、ミステリとしてしての完成度は高く、驚く仕掛けが用意されています。
— 右手@ものかき (@migite1924) 2020年1月6日
犀川&西之園ペアのファンとしてはスピンオフ的に短編が読めたのも嬉しい。
ただ、「何をするためにきたのか」はゲーム的な作品?なのかあまりピンときませんでした
合わせて読みたい本
すべてがFになる
デビュー作であり、S&Mシリーズの一作目です。
ネタバレを見ることなく読んでほしい作品です。理系の知的な会話。犀川&萌絵の気になる関係。きっとシリーズが読みたくなると思います。
まどろみ消去の評判・口コミ・レビュー
森博嗣『まどろみ消去 MISSING UNDER THE MISTLETOE』読了。三十人の小人の出現と消失を描いた「誰もいなくなった」は、謎の出題から鮮やかな解決までのなめらかな流れが美しい短編。犀川の切れ者っぷりとラストの萌絵のかわいさが素晴らしかった。11編の中で「彼女の迷宮」がいちばん印象に残った。 pic.twitter.com/AwF5KxQIJ6
— りこ (@pistolstar_1742) 2019年12月7日
『まどろみ消去』(森博嗣) #読了 短編集。犀川&萌絵が登場する話もある。それを目当てに読み始めたが、むしろ他の話の方が印象的だった。 pic.twitter.com/KiwJltQAYI
— ヤマシタ (@Yamashitanakato) 2018年3月2日
まどろみ消去読了。短編集ですが、読み応えバッチリです。短編ならではのインパクトも好きです。
— 柴崎 (@takshibasaki) 2013年4月1日
「誰か他の人に、自分の生きているところを見てもらいたい」 #森博嗣 pic.twitter.com/YHiIhAmX92
#book 『まどろみ消去』(森博嗣)読了。最近本読めてなかったので、多少無理して読んだ。短編集だと作者独自の世界観が強まると思う。俺は面白かったけどいきなりこれから読むと多分大半の人が「合わない」と感じる気がする。シリーズ読んで波長合う、と思った人が読んでなお人を選ぶ感じ。
— あーる (@motoide) 2010年6月3日
『まどろみ消去』読了。森博嗣は短編もすごい。『秋子』にも収録されていた『虚空の黙祷者』が好き。構成の関係かな、『秋子』では最後の1ページが奇数ページだったけど、まどろみ消去では偶数ページになってて、私はこっちのほうがよかった。 #dokusyo
— a (@aya8770) 2011年1月27日