【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その3

【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その1」の3回目となります。まず最初の記事からご覧ください。

ルールとしては、「一人一作品」ということにしています。そうしないとドストエフスキー、カフカ、ガルシア=マルケスなど有名作家の作品が複数入ってしまうので。

記事では執筆された年代順に10冊ずつ紹介していきたいと思います。

死ぬまでに読みたい海外文学100選21~30冊

21:アンドレ・ジッド『背徳者』1902年

ジッドがアフリカに旅して病気になり、回復後に生命の喜びを見出した当時の魂のありさまを、告白的に小説として描いたもの。一考古学者がアフリカに新婚旅行に出かける途中大病にたおれて、一時は死に瀕するが、ようやく回復期に至ったとき、生きる喜びを知り、彼の心に一大革命が起る。既成のモラルや組織に安住できぬ魂の苦悩を綴った、ジッド最初の物語作品。一九〇二年作。

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ジッドだと『狭き門』が有名かなと思いますが『背徳者』を選びました。

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というのも『狭き門』よりも先に『背徳者』を読むべきだと思うのです。

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『狭き門』を読んで、「ああジッドってこんな感じの作家なのね」と思ってそこで終わってしまうのがもったいない。『狭き門』しか読んだことがないのなら、ぜひ『背徳者』も読んで「あら?」となってほしいのです。

22:ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』1902年

船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツの最期の言葉と、そこでマーロウが発見した真実とは? 著者自身の強烈なコンゴ体験をもとにアフリカの奥地への苛烈な旅を描き、文明社会の価値観を問うた20世紀最大の問題作を、リーダブルな新訳で!

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『闇の奥』は評価のわかれる作品だと思います。

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解釈にも意見は分かれるし、その出来にも色々な意見がある。

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僕なんかは『闇の奥』が刺さらなかった人です。でもその一方で刺さる人にはとことん刺さる。自分は刺さる側の人間なのか?そのことを確かめてもいいと思います。

23:オー・ヘンリー「最後の一葉」「賢者の贈り物」1905年

めまぐるしいオフィス風景をユーモラスに描く「多忙な株式仲買人のロマンス」、若く貧しい芸術家たちの姿を描いた「最後の一葉」、表題作の「1ドルの価値」。O・ヘンリーはアメリカの原風景とも呼べるかつての南部から、開拓期の荒々しさが残る西部、大都会ニューヨークなど、さまざまに舞台を移しながら多彩な作品を生み出した。世界各国で読み継がれる代表作のほか、知られざる作品も新訳で登場。心に染み入る珠玉の23編。

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『賢者の贈り物』は教科書で読んだことがあるという方も多いのではないでしょうか。

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夫婦がプレゼントを贈り合うが、お互いが相手のために自分の持っているものを手放してしまっていたために、そのプレゼントは無用の物になってしまったという。

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『賢者の贈り物』は皮肉な話ではあります。それだけに両者の思いやりで心が温かくなる作品でもある。短編小説の名手オー・ヘンリーは他にもそのような素晴らしい作品を数多く残しました。

24:マルセル・プルースト『失われた時を求めて』1913年‐1927年

色彩感あふれる自然描写、深みと立体感に満ちた人物造型、連鎖する譬喩……深い思索と感覚的表現のみごとさで20世紀最高の文学と評される本作が、豊潤で絢爛たる新訳でついに登場。第1巻では、語り手の幼年時代が夢幻的な記憶とともに語られる。プルーストのみずみずしい世界が甦る!

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『失われた時を求めて』はすごい小説です。

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では何がすごいのか?

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僕には『失われた時を求めて』のすごさを上手く説明することができないのです。ひたすら没入するように小説を読み続け、時折「まだこんなにあるのか…」「もうこんなに読んだのか…」と思ったりする。

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そうして読み終わったときに、「ああ、終わったのか…」と放心したような状態になる。そのときに少しの疲労感と充足感があるのです。そういう小説というのは、数ある大長編の中でも少ないと思います。

25:フランツ・カフカ『審判(訴訟)』1915年

ある朝、アパートで目覚めた銀行員Kは突然、逮捕される。理由は判らない。正体不明の裁判所と罪を知らないKのはてしない問答がつづく……『城』『アメリカ』と長編三部作をなす未完の傑作。

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カフカは僕の一番好きな作家です。それだけに選ぶのも難しかった。

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カフカを読んだことのない人に向けてなら『変身』がおすすめでしょう。その一方で僕が一番好きなのは『失踪者(アメリカ)』です。

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そんな中、カフカのエッセンスが最も含まれた作品はと考えてみると『審判(訴訟)』になるのではないかと思います。

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ラストシーンは用意されていますが、おそらく終盤の一部が書かれていません。未完という一点だけが残念です。

26:サマセット・モーム『月と六ペンス』1919年

新進作家の「私」は、知り合いのストリックランド夫人が催した晩餐会で株式仲買人をしている彼女の夫を紹介される。特別な印象のない人物だったが、ある日突然、女とパリへ出奔したという噂を聞く。夫人の依頼により、海を渡って彼を見つけ出しはしたのだが……。創造の悪魔に憑かれた男ゴーギャンをモデルに、最期まで絵筆を手放さなかった男の執念と情熱を描く、20世紀の大ベストセラー小説を決定訳で。

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『月と六ペンス』はなんというか、小説の教科書というかお手本みたいな作品ですね

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おもしろくて、登場人物が魅力的で、安定感があって、上手くて、表現が豊か。

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Masterpieceという言葉は、このような小説のためにあるんでしょうね

27:ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』1922年

20世紀最高の文学「ユリシーズ」待望の文庫化。新しい文体を創始し、表現の可能性の極限に迫ったといわれる傑作。最高の訳者たちによる達意の完訳は、世界にも類のない作品。

・『ユリシーズ 1』・・・ダブリン。1904年6月16日。22歳の文学志望の青年スティーヴンと新聞社の広告取りであるユダヤ人ブルーム。彼らはダブリンのなかを歩きつづける。

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『ユリシーズ』は難しい小説です。このリストにある小説の中で一番と言えるくらい難しい。様々な表現技法が試されているだけでなく、翻訳版では膨大な注釈に翻弄されます。

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『ユリシーズ』を理解できたか?と尋ねられれば、いいえと答えるしかありません。解説しろと言われても、無理だと断るでしょう。

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しかしたとえ意味がわからなくても、ジョイスがこの小説を通じて言葉や表現技法と格闘していた事は一目瞭然です。

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何らかの表現活動をしている人なら、その事実に大きく励まされると思います。

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その他詳細は以下の記事をどうぞ

28:ロジェ・マルタン・デュ・ガール『チボー家の人々』1922年‐1940年

第一次大戦前夜のフランスを舞台に、良家に育った二人の兄弟の運命を壮大なスケールで描く大河小説。繊細な感受性を持つ弟ジャックの悲劇が時を超えて万人の胸を打つ永遠のロングセラー。

https://www.hakusuisha.co.jp/book/b205651.html
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『失われた時を求めて』も長い小説でしたが、この『チボー家の人々』も長いですね。

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新書版で全13巻。白水社から出た函入りの単行本は上下二段で全5巻です。

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ある夏、あるいは一冬を費やしてじっくり腰を据えた読書がしたいという時にピッタリのほんかもしれませんね。

29:トーマス・マン『魔の山』1924年

平凡無垢な青年ハンス・カストルプははからずもスイス高原のサナトリウムで療養生活を送ることとなった.日常世界から隔離され,病気と死が支配するこの「魔の山」で,カストルプはそれぞれの時代精神や思想を体現する特異な人物たちに出会い,精神的成長を遂げてゆく.『ファウスト』と並んでドイツが世界に贈った人生の書.

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僕は『魔の山』を初めて手に取った十代のときに、その良さがまったくわかりませんでした。

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長いばっかりで退屈なシーンが続くように思い、途中で読むのをやめてしまいました。

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大人になってから読み返すと、主人公の変化だったりとか、周りの人たちの様子とか楽しく感じられます。それは自分の経験を主人公に重ねているのかもしれません。

30:F・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』1925年

ただ恋を成就させるため、巨万の富を築いた男。
虚栄に満ちた人生の儚さを描く、アメリカ文学の代表的傑作。

豪奢な邸宅に住み、絢爛たる栄華に生きる謎の男ギャツビー。彼の胸にはかつて一途に愛情を捧げ、失った恋人デイズィへの異常な執念が育まれていた……。
第一次世界大戦後のニューヨーク郊外を舞台に、狂おしいまでにひたむきな情熱に駆られた男の悲劇的な生涯を描き、何度も映画化された20世紀文学最大の問題作。滅びゆくものの美しさと、青春の憂愁を華やかに謳いあげる世界文学の最高峰。

https://www.shinchosha.co.jp/book/206301/
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『グレート・ギャツビー』は優れた小説です。ですが、世界最高峰の小説、英文学の最高傑作なんて言われると、「そこまですごい小説なの?」と思ったりもします。

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村上春樹もよく言われるようで、こんな意見は一刀両断しています。『グレート・ギャツビー』がすごくないって、じゃあ何がすごい小説なんだと。

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僕はフィッツジェラルドの作品だと「The Rich Boy」という短篇が好きです。しかし誰かにフィッツジェラルドの作品をおすすめするのなら『グレート・ギャツビー』以外には考えられません。

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