【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その4

【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その1」の4回目となります。まず最初の記事からご覧ください。

ルールとしては、「一人一作品」ということにしています。そうしないとドストエフスキー、カフカ、ガルシア=マルケスなど有名作家の作品が複数入ってしまうので。

記事では執筆された年代順に10冊ずつ紹介していきたいと思います。

死ぬまでに読みたい海外文学100選31~40冊

31:ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』1925年

6月のある朝、ダロウェイ夫人はその夜のパーティのために花を買いに出かける。陽光降り注ぐロンドンの町を歩くとき、そして突然訪ねてきた昔の恋人と話すとき、思いは現在と過去を行き来する――生の喜びとそれを見つめる主人公の意識が瑞々しい言葉となって流れる、20世紀文学の扉を開いた問題作を、流麗にして明晰な新訳で!

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とある一日の人々の様子を描いた作品です。優れているのはなんといってもその心理描写。登場人物の内面が率直な言葉で、そのまま綴られていきます。

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いわゆる意識の流れという手法ですね。いろんな人物の考えていることが、シームレスかつ溢れるように描かれています。

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僕は普段翻訳にはそれほどこだわりがないのですが、『ダロウェイ夫人』は新訳で読むべきです。そのほうが登場人物の不安や期待、葛藤をスムーズに理解できるからです。光文社古典新訳文庫をおすすめします。

32:ヘルマン・ヘッセ『荒野のおおかみ』1927年

物質の過剰に陶酔している現代社会で、それと同調して市民的に生きることのできない放浪者ハリー・ハラーを“荒野のおおかみ”に擬し、自己の内部と、自己と世界との間の二重の分裂に苦悩するアウトサイダーの魂の苦しみを描く。本書は、同時に機械文明の発達に幻惑されて無反省に惰性的に生きている同時代に対する痛烈な文明批判を試みた、詩人五十歳の記念的作品である。

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ヘッセといえば『車輪の下』のイメージ。迷いましたが『荒野のおおかみ』を選びました。

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それは『荒野のおおかみ』に、ヘッセの陰の部分がより描き出されていると感じたためです。

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もちろん『車輪の下』も決して明るい作品ではないですけどね…

33:ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』1929年

14歳のポールは、憧れの生徒ダルジュロスの投げた雪玉で負傷し、友人のジェラールに部屋まで送られる。そこはポールと姉エリザベートの「ふたりだけの部屋」だった。そしてダルジュロスにそっくりの少女、アガートの登場。愛するがゆえに傷つけ合う4人の交友が始まった。

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334751227
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ストーリーや登場人物だけで言えば、『恐るべき子供たち』は苦手なタイプの小説です。

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「なにやってんの?こいつら」と思ってしまうんですよね。

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それでも所々に素晴らしい描写がある。他の小説では見かけた記憶がないような描写です。


34:ロベルト・ムージル『特性のない男』1930年‐

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リストに入れておいてなんですが、『特性のない男』は読まなくてもいいと思います。長いですし、難しいですし、未完ですし、何よりもつらいのが絶版だということです。

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僕も「読んだことがある」というよりも「眺めたことがある」という方が近い。

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ムージルであれば光文社古典新訳文庫から出ている『寄宿生テルレスの混乱』が圧倒的に入手しやすくまずこちらをおすすめします。

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それでも『特性のない男』をリストに加えたのは、ムジールやブロッホを入れたいと思ったときに、『寄宿生テルレスの混乱』ではなくこの作品を入れないと仕方がないと思ったからです。『特性のない男』か『ウェルギリウスの死』か、と。

35:ウィリアム・フォークナー『八月の光』1932年

お腹の子の父親を追って旅する女、肌は白いが黒人の血を引いているという労働者、支離滅裂な言動から辞職を余儀なくされた牧師……近代化の波が押し寄せる米国南部の町ジェファソンで、過去に呪われたように生きる人々の生は、一連の壮絶な事件へと収斂していく。ノーベル賞受賞作家の代表的作品。20世紀アメリカ文学の傑作!

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僕は話の長い小説と過去編が長い小説が苦手なんですよね。それは「過去に色々あったのはわかったよ。でもさこれから何が起こるのか早く教えてくれよ」と思ってしまうから。

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『八月の光』は僕の苦手な要素がたっぷりとあります。所々話は長くなるし、過去の話が展開される。

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だから何回も挫折しました。その度に一回覚えたキャラクターの名前と関係図を覚え直す羽目に。

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でも物語が動き出すと一気に読める。話が長いのも、過去編も驚くぐらい苦にならないのです。

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意識の流れの手法を用いていますから、ジョイスやウルフが好きな人にはうってつけでしょう。

36:ルイ=フェルディナン・セリーヌ『夜の果てへの旅』1932年

第一次大戦の前線へ志願兵として送り込まれたフランス人の医学生バルダミュ。腐乱死体と汚泥にまみれた戦地で一切の希望を失い、アフリカの植民地、アメリカの工業地帯へと地獄めぐりの放浪へと旅立つ。二十世紀の呪詛を背負った作家セリーヌの、鮮烈な出発点。中上健次らによる座談会「根源での爆発、そして毒」を新たに収録。

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784122071605
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『夜の果てへの旅』は、面と向かって人におすすめしにくい本ですね。

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暗いし、重いし、汚いし。批判、不満、毒吐きのオンパレード。『ひたすら夜の旅』に変えた方がいいんじゃないかと思うくらい。

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だからこそ、今の自分の人生や社会、周囲の環境に不満を持っている人にとっては、人生最高の一冊になりうる。違う時代の違う国に、自分と同じようなことを考えていたやつがいたのかと思うかもしれません。

37:ウラジーミル・ナボコフ『カメラ・オブスクーラ』1932年

裕福で育ちの良い美術評論家クレッチマーは、たまたま出会った美少女マグダに夢中になるのだが、そこにマグダの昔の愛人が偶然姿をあらわす。ひそかに縒りを戻したマグダに裏切られているとは知らず、クレッチマーは妻と別居し愛娘をも失い、奈落の底に落ちていく……。あの『ロリータ』の原型であるナボコフ初期の傑作。英語版と大きく異なるロシア語原典の独特の雰囲気を活かし、細部の緻密な面白さを際立たせた野心的な新訳。

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ナボコフで一番有名な作品は『ロリータ』でしょう。ナボコフを知らない人でも『ロリータ』(というタイトル)は知っていたりする。

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ですがナボコフを初めて読む人に『ロリータ』はおすすめできません。それは難しいから。そして長いし複雑なんです。

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『カメラ・オブスクーラ』は『ロリータ』の半分ほどで、筋もシンプル。それほど難しいところもないと思います。それに、少女に夢中になる中年男も見られます。

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余談ですが、僕はナボコフを『青白い炎』から読み、「なんだこれは…」となったので、こちらも初めに読む本としてはおすすめできません。

38:エーリッヒ・ケストナー『飛ぶ教室』1933年

この作品こそ、いまの大人と、そして子どもが読むにふさわしい極上の物語。何歳になっても読める=読みたくなる、大人同士、子ども同士、大人と子どものすばらしく深い友情とユーモアが、忘れかけていた温かい人間の心を呼びさます。今回の新訳は初めて大人の目線をはっきりと導入し、軽やかで明晰な話として蘇らせた。訳者・丘沢静也は、長年ケストナーに惚れぬいてきたが、ここにその果実が結晶。

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児童文学ということでいいんですかね?子どもから大人まで幅広い世代に愛される一冊でしょう。

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『星の王子さま』もそうですが、時折児童文学こそが本当に読むべき小説なんじゃないかと思う時があります。

39:ジョン・スタインベック『二十日鼠と人間』1937年

自然への豊かな感受性、労働者に向ける暖かい眼差し。
木曜日の夕方から日曜日の夕方まで、河畔と農場での会話と情景を切り取った〈戯曲的小説〉。
『怒りの葡萄』でピューリッツァー賞を受賞した著者による中編。

一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って静かに暮らす――。からだも知恵も対照的なのっぽのレニーとちびのジョージ。渡り鳥のような二人の労働者の、ささやかな夢。カリフォルニアの農場を転々として働く男たちの友情、たくましい生命力、そして苛酷な現実と悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描いたスタインベックの永遠の名作。

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僕はスタインベックだと『怒りの葡萄』より『ハツカネズミと人間』の方が好きです。より好感を抱いたという方が近いかもしれません。

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本を手にすると「薄いな」と思うくらい短い作品です。ですがその短い中にギュッと悲しい物語が詰まっています。

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背が低いけれど胴の太いハードパンチャーといった印象です。

40:ジョン・ドス・パソス『U.S.A.』1938年

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この本は入れるか迷いました。

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いい小説なのは間違いないんですが、とにかく本が手に入らない。

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長らく絶版ですし、絶版本は相当なプレミアで買いたくない。古本屋を巡っても見かけたことすらありません。神保町ならあるのかもしれませんが…

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ぜひ図書館で探してみてください。大きい図書館や、歴史のある図書館なら置いてあるかも。

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