ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)のあらすじ(ネタバレあり)・感想

『ライチ☆光クラブ』の前日譚にあたる物語。タミヤが設立した「ひかりクラブ」がどのようにしてゼラの支配する状態へ変貌したのかが描かれる。

ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)の作品情報

タイトル
ぼくらの☆ひかりクラブ
著者
古屋兎丸
形式
漫画
ジャンル
グランギニョル
エロス
バイオレンス
執筆国
日本
版元
太田出版
初出
ぽこぽこ、2010年4月‐
刊行情報
太田出版、上下巻

ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)のあらすじ・概要

★傑作『ライチ光クラブ』前日譚! 少年たちの秘められた過去が、いま明かされる――。 ★工場の煙に覆われた螢光町の片隅にある、「光クラブ」と名づけられた少年たちの秘密基地。無邪気な遊び場が、残虐な物語の舞台へと変貌したのは何故なのか――。 ★特別ふろく『ライチ☆4コマ劇場』付き!

ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)の目次

・上巻

  • 第壱話 ひかりクラブ☆結成
  • 第弐話 天才少年☆常川
  • 第三話 世界征服☆の夢
  • 第四話 夢の☆機械
  • 第五話 残酷な☆少年
  • 第六話 廃墟の☆帝王
  • 特別ふろく ライチ4コマ劇場

・下巻

  • 第七話 光クラブ☆10の掟
  • 第八話 ニコの ☆ 眼球
  • 第九話 タミヤの☆苦悩
  • 第十話 タミヤ☆覚醒
  • 第十一話 ゼラのみる☆夢
  • 第十二話 ぼくらの☆ひかりクラブ

作者

古屋 兎丸(1968年1月25日 – )

漫画家。東京都出身。多摩美術大学美術学部絵画科(油絵専攻)卒業。高校在学中にアングラな世界に目覚め、美大に入学。卒業後はアーティストを目指していたが、昔漫画を描いていたことを思い出し、漫画家への転身を決意する。『月刊漫画ガロ』1994年9月号掲載の「Palepoli」でデビュー。代表作に『ライチ☆光クラブ』『インノサン少年十字軍』『帝一の國』などがある。

ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)の刊行情報

  • 『ぼくらの☆ひかりクラブ 上[小学生編]』太田出版、2011年11月29日

  • 『ぼくらの☆ひかりクラブ 下[中学生編]』太田出版、2012年4月19日

ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)の登場人物

タミヤ 「真実の弾丸」
主人公。光クラブの初期リーダーであり、光クラブを創設した少年。『光クラブ』の“光”はタミヤ自身の、そしてダフとカネダの名前の頭文字を取って命名した。カネダ、ダフとは幼少期からの遊び仲間。

カネダ 「鬱屈の瞳」
ダフ・タミヤ同様光クラブの初期メンバー。陰気な顔を片目のみ伸ばした前髪で隠しており、雷蔵からすれば、美男子とは言い難い容姿の持ち主。タミヤ、ダフとは幼馴染の関係である。

ダフ 「夢見る眼帯」
タミヤ、カネダ同様光クラブの初期メンバー。右目に眼帯を当てている。タミヤ、カネダとは幼馴染の関係。

ゼラ 「廃墟の帝王」
『ライチ光クラブ』の主人公。光クラブの実質的なリーダー。元は転校生でクラブには途中から参入したが、同級生達と共に「最強のロボット」を作り始めたことからクラブの中心になり、実質的な新リーダーとなった。

ジャイボ 「漆黒の薔薇」
女性のような容姿を持った美少年。実家は町医者で、家から麻酔を持ち出しては同級生に注射して昏睡状態にして淫らな行為をしていた事があるなど、ゼラとは別方向で奇矯な言動が目立ち、デンタクにも「奇人で変人」と称されていた。

ニコ 「忠誠の騎士」
右目に傷があり、自分がクラスで孤立していた経験からゼラに対し狂気に近い忠誠心を持ち、その心は自分の右目を潰して彼に捧げる事すら厭わせなかった。

雷蔵(らいぞう) 「暗闇の乙女」
れっきとした男性でありながら仕草や立ち居振る舞いは女びており、話す際も女言葉を使う。

デンタク 「科学少年」
丸眼鏡を掛けている。中学生でありながらライチのプログラミングを手掛け、それだけに自分の技術・技術力にはプライドを持っていた。

ヤコブ 「地下室の道化師」
雷蔵の見立てではカネダ同様、美男子とは言い難い風貌の様子。

ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)のあらすじ(ネタバレあり)

ぼくらの☆ひかりクラブのストーリー(あらすじ)を簡単に紹介しています。この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

ぼくらの☆ひかりクラブのあらすじ【起・承】

舞台は『ライチ光クラブ』の数年前。小学校4年生の時に、幼馴染であり親友のタミヤ、ダフ、カネダはとある廃工場に忍び込み、秘密基地をつくった。そして、自分たちの下の名前の頭文字(ひろし、かつや、りく)を取って、秘密基地の集まりを「光クラブ」と命名した。

そこで3人はタミヤの得意なパチンコやチェスをして遊んでいるだけだった。そんな3人の元へ転校生の常川(ゼラ)がやってくる。常川は大人びた思考をもったおとなしい少年で、クラスメイトからいじめを受けていた。タミヤの誘いで常川は光クラブの一員となる。学校で起きた給食費盗難騒動をきっかけに、家が貧乏な石川が疑われるが、タミヤは彼を庇う。そしてもっと笑ったほうがいいと、ニコというニックネームを付けた。

占い師から「30歳で世界を手に入れる、或いは14歳で死ぬ。その鍵は一人の少女が握っている」と話しかけられた常川はタミヤたちに世界征服を宣言。世界征服には従順なマシンが必要であると説き、デンタクやニコをメンバーに加え、ロボットの制作が始まった。

ぼくらの☆ひかりクラブのあらすじ【転・結】

光クラブのメンバーは中学校に進学。光クラブ10ヶ条や罰則が作られ、ゼラは光クラブの絶対的な権力者として君臨するようになった。ゼラは制作中のマシンの右目に人間の目を入れたいという希望をメンバーに伝え、その結果、ニコが自分の右目を差し出すことなる。

ゼラは光クラブに足りないものを美少女だと考え、ロボットに捕獲させる計画をメンバーに話す。単純な少年たちはその計画に喜ぶが、ジャイボだけは自分への関心がその少女へと向くのではないかと不安がっていた。そして物語は『ライチ光クラブ』の序盤にまで到達。『ぼくらの☆ひかりクラブ』では浜里や萩尾の事件の際のタミヤの心境が描かれる。

ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)の感想・解説・評価

支配されていった光クラブ

当初光クラブは、タミヤ、ダフ、カネダによるただの秘密基地だった。仲の良い幼馴染の3人は放課後に廃工場の秘密基地に集まって、チェスをしたり、パチンコをしたりして遊んでいた。そんな他愛のない遊び場が、猟奇的事件の舞台に変化していくまでを追った前日譚となる。

物語のキーパーソンであり、光クラブを変質させた張本人は間違いなく常川=ゼラなのだが、光クラブの過去を知ると、常川一人の力で変化していったわけではないことがわかる。

ゼラをそそのかし、影で暗躍していたジャイボ。ゼラに右目を差し出すほど心酔したニコ。高度なプログラミング技術を持ってゼラの計画を実行に移すことに尽力したデンタク。彼らの存在によってゼラの狂気や思想といったものがどんどん先鋭化していったのだ。

3人の可愛らしい秘密基地は、幾人もの血が流れる凄惨な事件現場となった。純粋な少年たちが変化を余儀なくされた空間にどことない寂しさが漂っているような気がする。その寂しさは誰もが思春期に持っていたものではないだろうか。

合わせて読みたい本

ライチ☆光クラブ

崩壊しつつある光クラブがこの先どうなったのかが描かれる。メンバーたち、ライチ、そして捕獲された美少女・カノンの行きつく先とは…

ぼくらの☆ひかりクラブ(古屋兎丸)の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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