マチネの終わりに(平野啓一郎)のあらすじ(ネタバレなし)・感想

マチネの終わりに(平野啓一郎)の作品情報

タイトル
マチネの終わりに
著者
平野啓一郎
形式
小説
ジャンル
恋愛
執筆国
日本
版元
毎日新聞出版
初出
毎日新聞朝刊&note、2015年3月~2016年1月
刊行情報
文春文庫
受賞歴
第2回渡辺淳一文学賞

マチネの終わりに(平野啓一郎)のあらすじ・概要

結婚した相手は、人生最愛の人ですか?ただ愛する人と一緒にいたかった。なぜ別れなければならなかったのか。恋の仕方を忘れた大人に贈る恋愛小説。

作者

平野 啓一郎 ひらの・けいいちろう(1975年6月22日 – )

小説家。愛知県蒲郡市生まれ、福岡県北九州市八幡西区育ち。京都大学法学部卒業。1998年『日蝕』で新潮新人賞を受賞しデビュー。翌年『日蝕』により第120回芥川賞を受賞した。『決壊』で芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞、『ドーン』でBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。

マチネの終わりに(平野啓一郎)の刊行情報

  • 『マチネの終わりに』毎日新聞出版、2016年4月9日
  • 『マチネの終わりに』文春文庫、2019年6月6日

映画版関連動画

『マチネの終わりに』2019年11月1日

監督:西谷弘、主演:福山雅治、石田ゆり子。

マチネの終わりに(平野啓一郎)の登場人物

蒔野 聡史
クラシック・ギタリスト。独身。38歳。彼の演奏は、”息をすることを忘れる”ような完璧なものと評され、演奏中は思索的な顔をするのが特長。

小峰 洋子
フランス・RFP通信に所属しているジャーナリスト。40歳。日本人とフランス人のハーフ女性である。コンサートの打ち上げで聡史と出会い互いに惹かれ合うようになる。

マチネの終わりに(平野啓一郎)の感想・解説・評価

珠玉の大人のラブストーリー?

本作は「珠玉の大人の恋愛小説」と聞いて手に取った。主人公は38歳、ヒロインは40歳。映画版は福山雅治と石田ゆり子が演じており、立派な大人である。共に立派な職につき、自立もしている。確かに高校生でもないし、フリーターでもない。

確かに大人なのだが、恋愛に大人も子どももないのかもしれないと思わせられたりもする。2人が会うシーンは少なく、会話も具体的に相手のキャラクターを掘り下げていくようなものではない。それでも相手に想いを馳せ、気持ちを深めていく。恋愛に耽っている2人は、年齢的には立派な大人だが、中身はむしろ子どもっぽい。

“天才”ギタリストの蒔野は悩んだり舞い上がったりと忙しい日々を過ごしていたりする。天才ゆえに悩みもあるだろうと思いきや、周囲の人間の苦悩や葛藤にはまるで注意を払わない。女性の評価基準は「自慢できる女かどうか」。ある意味ではわかりやすいが、読み進めるにつれ当初持っていた”38歳の超一流ピアニスト”のイメージはどんどん崩れてくる。

かたやヒロインの洋子はというと、こちらも一癖も二癖もある人物だということが次第にわかってくる。日仏ハーフながら、アメリカで教育を受け、日本語・英語・フランス語はペラペラ。芸術の知識や関心も持ち合わせており、ドイツ語で詩を朗読することもできる。ジャーナリストだけではなく知識人としても暮らせそうなインテリだが、気になったことは発言せずにはいられない性分なのか、ズバズバものを言うシーンが散見される。

だが不思議と「あれ、この小説って珠玉の大人のラブストーリーなんだよね」と言いたくなる気持ちは沸いてこない。むしろスラスラと一気に読んでしまう。

そして読み終わった後に読者が抱くのは、この後どうなるのだろうと、ラストシーン後のストーリーだ。こうなれば完全に平野啓一郎の術中にハマったのと一緒である。余韻を引きずりながら、あれやこれやと想像してみたりする。果たしてラストシーンはハッピーエンドなのか、それともバッドエンドなのか。はたまたこれから続いていくのか。その答えを誰かと語り合いたくなる作品だ。

合わせて読みたい本

ある男

『マチネの終わりに』ののちに書かれた一冊で、本書と同じく著者の主張する「後期分人主義」に含まれる一冊。

同じく愛を扱った一冊でもあるが、亡くなった夫が実は戸籍上とは違う人物だった、という衝撃の事態から物語はスタートする。

『マチネの終わりに』が気に入ったのなら次に読む本としておすすめであり、『ある男』をおもしろいと思ったのなら『マチネの終わりに』を読むのがおすすめだ。

マチネの終わりに(平野啓一郎)の評判・口コミ・レビュー

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