正義のミカタ I’m a loser(本多孝好)のあらすじ(ネタバレなし)・感想

いじめられっ子の亮太は自分を変えようと「正義の味方研究部」に入部する。果たして亮太は変われるのか。いじめ、リストラ、格差。こんな社会で生きていかなきゃならない、将来が少し不安なあなたに贈る、書き下ろし青春小説。

正義のミカタ I’m a loserの作品情報

タイトル
正義のミカタ I’m a loser
著者
本多孝好
形式
小説
ジャンル
青春
執筆国
日本
版元
双葉社
初出
不明
刊行情報
集英社文庫

正義のミカタ I’m a loserのあらすじ(ネタバレなし)

いじめられっ子の亮太は自分を変えようと「正義の味方研究部」に入部する。果たして亮太は変われるのか。いじめ、リストラ、格差。こんな社会で生きていかなきゃならない、将来が少し不安なあなたに贈る、書き下ろし青春小説。

作者

本多 孝好 ほんだ・たかよし(1971年 – )

小説家。東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒。大学4年生の時、同じ学部の金城一紀に小説の執筆を依頼され、作家を志すようになった。1994年に「眠りの海」で第16回小説推理新人賞を受賞しデビュー。デビュー作を含む短編集『MISSING』が発売されると、このミステリーがすごい! 2000年版でトップ10に入るなど注目を集める。
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正義のミカタ I’m a loserの刊行情報

  • 『正義のミカタ I’m a loser』双葉社、2007年5月
  • 『正義のミカタ I’m a loser』集英社文庫、2010年6月

正義のミカタ I’m a loserの登場人物

蓮見亮太
本作の主人公。18歳。大学一年生。高校時代にいじめられていたせいで極端なマイナス思考の持ち主。大学デビューに全力を注ぐが、高校時代のいじめっ子と再会してしまう。

桐生友一
亮太のクラスメート。亮太のことを助ける。

正義のミカタ I’m a loserの感想・解説・評価

正義の”ミカタ”を問う青春小説

「正義の味方とは?」と問われれば、多くの人はウルトラマンや仮面ライダーといった、子どものときに熱中して見た憧れのキャラクターの名前を挙げるだろう。または、クールにそんなものは存在しないと言い切るかもしれない。

では正義とは?と問われればどうだろうか。辞書によると「人の道にかなっていて正しいこと」とある。犯罪を犯さないこと。犯罪者を更生させること。モラルに反する行為を注意すること。答えは無数にありそうだ。

本作の主人公・蓮見亮太はとにかくダメダメな大学一年生である。高校時代いじめられていたらしい彼は救いようがないほどのマイナス思考の持ち主だ。大学デビューに全力を注ぎ、経験のないサークルを掛け持ちしようとしたりと努力を見せるのだが、高校時代のいじめっ子と再会してしまった途端に、退学を考え出すのだから始末に負えない。そんな彼が再びいじめられてるところを、桐生友一というクラスメートが助け、亮太が「正義の味方研究部」に入部する、そんなところから物語はスタートする。

いろいろなエピソートが展開されていく中で、亮太は所属する「正義の味方研究部」からの脱退を考える。それは「考え方の相違」によるものらしい。

本作は、タイトルにもあるように「正義」がテーマの小説だ。作中では、部の唱える正義と亮太の唱える正義の2つが登場する。では、そこにどんな相違があったかというと、実力行使をする力の存在があるかないかということだ。

「正義の味方研究部」 は、普段は話し合いで穏便に事を済ませている。だが、相手が話を聞かないとき、自分が悪意をはたらいたと認めない相手に対しては武闘派の二人が力で解決に当たっている。しかし、亮太はそのことに疑問をもったのではないか。

このことは「正義の味方研究部」が正義を掲げるあまりに、反対に正義を失ってしまったようにも見えることがある。正義を執行するときに生じる、部や部員の高揚感や得意げな態度を亮太は否定しようとしたのかもしれない。

本作の題は「正義のミカタ」である。そのタイトルの意味するところが「正義の味方」か「正義の見方」か、それとも「正義の美方」のなのか、読みながら考えてみるのもいいと思う。

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MISSING

本多孝好のデビュー短篇集です。

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