【おすすめ】安部公房の全作品を一覧であらすじを紹介します

安部 公房 あべ・こうぼう(1924年3月7日 – 1993年1月22日)

小説家、劇作家。東京府生まれ。東京大学医学部卒。三島由紀夫らとともに第二次戦後派の作家として活躍。主な作品に『壁 – S・カルマ氏の犯罪』、『砂の女』、『他人の顔』、『燃えつきた地図』、『箱男』など。晩年はノーベル文学賞の有力候補と目された。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:燃えつきた地図
  • 2位:砂の女
  • 3位:箱男

安部公房の作品年表リスト

※現在文庫で手に入るものを中心に紹介しています。

終りし道の標べに (1948年)

幻の処女作。ここに新しいリアリティーがあった。異民族の中で培った確固とした他者。埴谷雄高は何かの予感を禁じ得ず雑誌「個性」に持ち込んだ。青年公房の生身の思索は17年後書き換えられ、もはや読むことはできなくなった処女作。読者の期待に応え甦った処女長篇小説真善美出版。

壁 (1951年)

ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。

独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った芥川賞受賞の野心作。

飢餓同盟 (1954年)

眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。

どれい狩り・快速船・制服 安部公房創作劇集 (1955年)戯曲

R62号の発明・鉛の卵 (1956年)

会社を首にされ、生きたまま自分の「死体」を売ってロボットにされてしまった機械技師が、人間を酷使する機械を発明して人間に復讐する「R62号の発明」、冬眠器の故障で80万年後に目を覚ました男の行動を通して現代を諷刺した先駆的SF作品「鉛の卵」、ほか「変形の記録」「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」など、昭和30年前後の、思想的、方法的冒険にみちた作品12編を収録する。

  • R62号の発明
  • パニック
  • 変形の記録
  • 死んだ娘が歌った
  • 盲腸
  • 人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち
  • 耳の値段
  • 鏡と呼子
  • 鉛の卵

けものたちは故郷をめざす (1957年)

満州に育った日本人少年・久木久三は、1945年8月、満州国崩壊の混乱の中、まだ見ぬ故郷・日本をめざす。荒野からの逃走は、極限下での人間の存在を問う実験的小説であり、サスペンスに満ちた冒険譚でもある。故郷、国家…何物にも拘束されない自由とは何か。人間のあり方を描き出す安部文学の初期代表作(解説=リービ英雄)。

第四間氷期 (1959年)

現在にとって未来とは何か?

文明の行きつく先にあらわれる未来は天国か地獄か?

万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことに端を発して事態は急転直下、つぎつぎと意外な方向へ展開してゆき、やがて機械は人類の苛酷な未来を語りだすのであった……。

薔薇色の未来を盲信して現在に安住しているものを痛烈に告発し、衝撃へと投げやる異色のSF長編。

砂の女 (1962年)

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。20数ヶ国語に翻訳されている。読売文学賞受賞作。

他人の顔 (1964年)

液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男……失われた妻の愛をとりもどすために“他人の顔”をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき……。特異な着想の中に執拗なまでに精緻な科学的記載をも交えて、“顔”というものに関わって生きている人間という存在の不安定さ、あいまいさを描く長編。

水中都市・デンドロカカリヤ (1964年)

ある日突然現われた父親と名のる男が、奇怪な魚に生れ変り、それまで何の変哲も無かった街が水中の世界に変ってゆく「水中都市」、コモン君が、見馴れぬ植物になる話「デンドロカカリヤ」。

安部短編作品の頂点をなす表題二作に、戯曲「友達」の原型となった「闖入者」や「飢えた皮膚」など、寓意とユーモアあふれる文体の内に人間存在の不安感を浮び上がらせた初期短編11編を収録。

  • デンドロカカリヤ
  • 飢えた皮膚
  • 詩人の生涯
  • 空中楼閣
  • 闖入者
  • ノアの方舟
  • プルートーのわな
  • 水中都市
  • 鉄砲屋
  • イソップの裁判

無関係な死・時の崖 (1964年)

自分の部屋に見ず知らずの死体を発見した男が、死体を消そうとして逆に死体に追いつめられてゆく『無関係な死』、試合中のボクサーの意識の流れを、映画的手法で作品化した『時の崖』、ほかに『誘惑者』『使者』『透視図法』『なわ』『人魚伝』など。

常に前衛的主題と取り組み、未知の小説世界を構築せんとする著者が、長編「砂の女」「他人の顔」と並行して書き上げた野心作10編を収録する。

  • 夢の兵士
  • 誘惑者
  • 使者
  • 透視図法
  • なわ
  • 無関係な死
  • 人魚伝
  • 時の崖

榎本武揚 (1965年)

燃えつきた地図 (1967年)

失踪した男の調査を依頼された興信所員は、追跡を進めるうちに、手がかりとなるものを次々と失い、大都会という他人だけの砂漠の中で次第に自分を見失っていく。追う者が、追われる者となり……。

おのれの地図を焼き捨てて、他人しかいない砂漠の中に歩き出す以外には、もはやどんな出発もありえない、現代の都会人の孤独と不安を鮮明に描いて、読者を強烈な不安に誘う傑作書下ろし長編小説。

人間そっくり (1967年)

《こんにちは火星人》というラジオ番組の脚本家のところへあらわれた自称・火星人――彼はいったい何者か? 異色のSF長編小説。

友達・棒になった男 (1969年)戯曲

平凡な男の部屋に闖入して来た9人の家族。善意に満ちた笑顔で隣人愛を唱え続ける彼らの真意とは? どす黒い笑いの中から他者との関係を暴き出す傑作「友達」〈改訂版〉(谷崎潤一郎賞受賞)。日常に潜む底知れぬ裂け目を三つの奇妙なエピソードで構成した「棒になった男」。激動の幕末を生きた人物の歴史的評価に新たな光を当てた「榎本武揚」。

  • 友達〈改訂版〉
  • 棒になった男
  • 榎本武揚

箱男 (1973年)

ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは? 贋箱男との錯綜した関係、看護婦との絶望的な愛。輝かしいイメージの連鎖と目まぐるしく転換する場面(シーン)。

読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。

笑う月 (1975年) – 創作ノート

笑う月が追いかけてくる。直径1メートル半ほどの、オレンジ色の満月が、ただふわふわと追いかけてくる。夢のなかで周期的に訪れるこの笑う月は、ぼくにとって恐怖の極限のイメージなのだ――。

交錯するユーモアとイロニー、鋭い洞察。夢という〈意識下でつづっている創作ノート〉は、安部文学生成の秘密を明かしてくれる。表題作ほか著者が生け捕りにした夢のスナップショット全17編。

密会 (1977年)

夏の朝、突然救急車が妻を連れ去った。妻を求めて辿り着いた病院の盗聴マイクが明かす絶望的な愛と快楽。現代の地獄を描く長編。

方舟さくら丸 (1984年)

地下採石場跡の洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた〈ぼく〉。核時代の方舟に乗れる者は、誰と誰なのか? 現代文学の金字塔。

カーブの向う・ユープケッチャ (1988年)

死に急ぐ鯨たち (1991年)評論・随筆

いつ崩れるかほからない、危うい均衡の上に成り立つ現代世界。破局が来るその日まで、我々は引き延ばされた日常に居座り続けるつもりなのか?文学の最先端を疾走し続けてきた作家が、国家、科学、芸術、言語、儀式などを縦横に論じてゆく中で、時代を解く鍵が鮮やかに浮かび上がる…。論文、エッセイ、インタビュー、写真など多様な表現で、危機的現代を明快に摘出する評論集。

カンガルー・ノート (1991年)

ある朝突然、〈かいわれ大根〉が脛に自生していた男。訪れた医院で、麻酔を打たれ意識を失くした彼は、目覚めるとベッドに括り付けられていた。硫黄温泉行きを医者から宣告された彼を載せ、生命維持装置付きのベッドは、滑らかに動き出した……。

坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へ――果てなき冥府巡りの末に彼が辿り着いた先とは?

急逝が惜しまれる国際的作家の最後の長編!

飛ぶ男 (1994年)

題未定 安部公房初期短編集(2013年)

昨年、新たに発見された幻の短編「天使」をはじめ、十九歳の処女作「(霊媒の話より)題未定」など、戦中から戦後にかけて執筆されながら、作家生前は発表されなかった十編に加え、敗戦で混乱する奉天を舞台にした稀少な一編「鴉沼」を収録。やがて世界に名を馳せる安部文学の、まさに生成期の息吹きを鮮烈に伝える短編集。

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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