星々の舟(村山由佳)のあらすじ(ネタバレなし)・解説・感想

禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末娘、居場所を探す団塊の兄、そして父は戦争の傷を抱いて……心震える家族の物語。

星々の舟の作品情報

タイトル
星々の舟 Voyage Through Stars
著者
村山由佳
形式
小説
ジャンル
家族
恋愛
執筆国
日本
版元
文藝春秋
初出
別册文藝春秋、2002年1月~11月
刊行情報
文春文庫
受賞歴
第129回直木賞

星々の舟のあらすじ(ネタバレなし)

家族だからさびしい。他人だからせつない──禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄と、いじめの過去から脱却できないその娘。厳格な父は戦争の傷痕を抱いて──平凡な家庭像を保ちながらも、突然訪れる残酷な破綻。性別、世代、価値観のちがう人間同士が、夜空の星々のようにそれぞれ瞬き、輝きながら「家」というひとつの舟に乗り、時の海を渡っていく。愛とは、家族とはなにか。03年直木賞受賞の、心ふるえる感動の物語。

星々の舟の目次

  • 雪虫
  • 子どもの神様
  • ひとりしずか
  • 青葉闇
  • 雲の澪
  • 名の木散る
  • あとがきにかえて

作者

村山 由佳 むらやま・ゆか(1964年7月10日 – )

小説家。東京都出身。立教大学文学部日本文学科卒業。社会人生活を送ったのち、『天使の卵-エンジェルス・エッグ』にて第6回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。代表作に『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズや、第129回直木賞を受賞した『星々の舟』などがある。
もっと読む【おすすめ】村山由佳の全作品を一覧であらすじを紹介します

星々の舟の刊行情報

  • 『星々の舟 Voyage Through Stars』文藝春秋、2003年3月
  • 『星々の舟 Voyage Through Stars』文春文庫、2006年1月

星々の舟の登場人物

水島重之

志津子
母。重之の2番目の妻。


長男。重之と前妻の晴代の間の子


次男。重之と前妻の晴代の間の子

沙恵
長女。重之と志津子の間の子

美希
次女。重之と志津子の間の子

星々の舟の感想・解説・評価

どこにでもいそうな家族のダークな恋愛模様

本作は水島というとある家族を描いている物語だ。はた目には何の変哲もない家族だが、実は家族全員が心に暗い一面を抱えながら過ごしている。不倫、中絶、近親相姦…そのどれもが人には簡単に打ち明けられないものだ。それゆえ家族はその感情を心の内側に押し殺したまま日々を過ごしている。

家族でもその感情を簡単に明かすことはない。現実でも、僕たちが家族にすべての秘密を明かしていないように、登場人物たちも隠し事を抱え続けている。登場人物たちは同じ家族として繋がってはいるが、安らぎを覚えることはなく、孤独なままなのかもしれない。

家族の問題、恋愛の問題、そして戦争体験。テーマとして扱われるのはどれも重い。家族の問題は、それこそ家族の数だけあるだろうし、描ききることは難しい。

小説の中で村山由佳は、内面に苦しみを抱えた人々に寄り添っていく。できる限り登場人物たちの気持ちに共感し理解しようとしていくのだ。現実の問題が白黒はっきり分かれる勧善懲悪ではないように、作中でもすべての問題が解決されるわけではない。それでも、心の中にモヤモヤとしたものを抱えたすべての人になにかが刺さる小説だと思う。

合わせて読みたい本

天使の卵-エンジェルス・エッグ

恋愛小説の名手・村山由佳のデビュー作。

こちらは19歳の主人公が8歳年上の精神科医に恋する様子を描いたストレートな恋愛小説です。
もっと読む天使の卵-エンジェルス・エッグ(村山由佳)のあらすじ(ネタバレなし)・感想

星々の舟の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
右手

平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望。高校時代からブログを始め、一時中断後、読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログを再開。普段は本を読みつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、囲碁、株式投資、マジック:ザ・ギャザリングも好きです。
読んだ本を登録している読書メーター

右手をフォローする
小説
読む本.com

タイトルとURLをコピーしました