氷菓(米澤穂信)のあらすじ(ネタバレなし)・感想。「日常の謎」を扱った青春ミステリの傑作

古典部の結成から、古典部の前に現れる日常の謎を連作的に展開しながら古典部部長・千反田えるの伯父・関谷純に関わる過去に纏わる謎を解いていくまでの高校入学の4月から夏休みに入って間もない7月末の出来事を描く。『〈古典部〉シリーズ』第1作。

氷菓(米澤穂信)の作品情報

タイトル
氷菓
著者
米澤穂信
形式
小説
ジャンル
ミステリ
推理小説
執筆国
日本
版元
KADOKAWA
初出
新人賞応募作
刊行情報
角川文庫
受賞歴
第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞

氷菓(米澤穂信)のあらすじ(ネタバレなし)

古典部の結成から、古典部の前に現れる日常の謎を連作的に展開しながら古典部部長・千反田えるの伯父・関谷純に関わる過去に纏わる謎を解いていくまでの高校入学の4月から夏休みに入って間もない7月末の出来事を描く。『〈古典部〉シリーズ』第1作。

氷菓(米澤穂信)の目次

  • ベナレスからの手紙〜伝統ある古典部の再生
  • 名誉ある古典部の活動
  • 事情ある古典部の末裔
  • 由緒ある古典部の封印
  • 栄光ある古典部の昔日
  • 歴史ある古典部の真実
  • 未来ある古典部の日々〜サラエヴォへの手紙

作者

米澤 穂信 よねざわ・ほのぶ(1978年 – )

小説家。岐阜県出身。金沢大学文学部卒業。物心ついた頃から漠然と作家業を志すようになる。金沢大学文学部の2年生から、サイト「汎夢殿」を運営し、作品を発表し始める。様々な種類のエンターテイメント作品を書いていたが、大学時代に北村薫の『空飛ぶ馬』、『六の宮の姫君』を読み衝撃を受け、ミステリー作品を手掛けるようになった。

大学卒業後は、「2年間だけ小説の夢にチャレンジしたい」と両親を説得し、岐阜県高山市で書店員をしながら執筆を続ける。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞してデビュー。その後〈古典部〉シリーズとして続編に着手するも、三作目の完結編として執筆されていた『さよなら妖精』の出版がレーベルの傾向との違いにより困難となる。だが、笠井潔の推薦もあり、東京創元社から出版されるや出世作となった。2014年、『満願』にて第27回山本周五郎賞を受賞。

氷菓(米澤穂信)の刊行情報

  • 『氷菓』角川スニーカー文庫、2001年11月
  • 『氷菓』角川文庫、2006年

漫画『氷菓』

  • タスクオーナ『氷菓』角川コミックス・エース、既刊12巻

映画版、アニメ版関連動画

テレビアニメ『氷菓』2012年

映画『氷菓』2017年

監督:安里麻里、出演:山﨑賢人、広瀬アリス、小島藤子、岡山天音、本郷奏多

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テレビアニメ『氷菓』

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映画『氷菓』

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氷菓(米澤穂信)の登場人物

折木 奉太郎
神山高校1年B組・古典部員。
省エネを生活のスタンスとし、「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に。」とモットーを述べている。

千反田 える
神山高校1年A組・古典部員。
豪農で知られる千反田家の令嬢でありながら、「私、気になります」の一言と共に清楚な外見とは裏腹な好奇心を発揮し、奉太郎を謎に引き込んでいく。古典部には失踪した伯父が絡む「一身上の都合」で入部した。

福部 里志
神山高校1年D組・古典部員(手芸部・総務委員会も兼任)。奉太郎の親友。

伊原 摩耶花
神山高校1年・図書委員兼漫画研究会所属。
里志に好意を寄せており、里志を追って古典部に入部する。

氷菓(米澤穂信)の感想・解説・評価

「日常の謎」を扱った青春ミステリの傑作

題材はミステリーですが、殺人事件が起こったりするのではなく、日常の小さな謎を解決していきます。あらすじにもあるとおりですが、いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実…など。

舞台はとある高校の古典部です。古典部とは何をする部活かといえば、何もしません。どんな部活でも、練習が終わった後には部室で話したり少し遊んだりすると思いますが、それが中心の活動になっている部活であるとも言えます。

主な登場人物は4人です。米澤さんによると、シャーロック・ホームズシリーズでの、ホームズを折木、依頼人を千反田、ワトスンを福部、レストレードを伊原と当てはめて設定や性格が作られたとのことです。

主人公は、折木奉太郎。いわゆる探偵役です。ホームズシリーズと違うのは、語り手が探偵役である彼自身ということがあります。「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーとする「省エネ」主義者です。

ワトスン役である、福部里志は豊富な知識を持っていますが、自分で推理をするということはあまりないようです。レストレードという推理モノにおいて少々残念な役に当てはめられてしまった伊原摩耶花は、まさしくレストレードの如く推理を展開しますがなかなか正解に辿り着けません。そんな彼らをまとめるのが部長の千反田えるです。彼女が多くの謎を部に提供していきます。

本作は連作短編集という形をとっていて、各話ごとに日常の謎を解き明かしていくほか、作品全体に大きな謎があってそれを解決するようにストーリーは展開していきます。物語はあくまで学校内での出来事が中心となっていますが、海外を放浪中の奉太郎の姉からの手紙や、「氷菓」事件での過去との邂逅など、時間的にも空間的にも広がりが感じられる構成になっています。

ミステリや推理小説は好きでも、殺人事件が起きて刑事が解決に乗り出す、というのがどうも好きになれないという方にもおすすめできる作品です。

合わせて読みたい本

愚者のエンドロール

『氷菓』に続く『〈古典部〉シリーズ』第2作です。1年生夏休みの終盤頃の出来事を描いていきます。

氷菓(米澤穂信)の評判・口コミ・レビュー

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