長閑の庭(アキヤマ香)のあらすじ(ネタバレなし)・解説・感想

23歳の大学院生と64歳の教授の「年の差恋愛」を描いたラブストーリー。

長閑の庭(アキヤマ香)の作品情報

タイトル
長閑の庭
著者
アキヤマ香
形式
漫画
ジャンル
恋愛
執筆国
日本
版元
講談社
初出
Kiss、2014年3月号-2019年5月号
刊行情報
KC Kiss、全7巻

長閑の庭(アキヤマ香)のあらすじ・概要

地味な内面と外見から、ドイツ語で黒を意味する“シュバルツ”さんと呼ばれる大学院生・元子(23歳)。憧れのドイツ文学教授・榊(64歳)に告白するも、勘違いと断言され…。これは“嗜好”か“恋”か。「恋の定義」を模索する、年の差 恋愛未満ストーリー。

作者

アキヤマ 香(アキヤマ かおり)

漫画家。代表作に「片恋グルメ日記」「長閑の庭」などがある。

長閑の庭(アキヤマ香)の刊行情報

  • アキヤマ香 『長閑の庭』 講談社〈KC Kiss〉、全7巻

ドラマ版関連動画

テレビドラマ『長閑の庭』2019年6月2日~23日

長閑の庭(アキヤマ香)の登場人物

朝比奈 元子
主人公。K大学大学院ドイツ文学専攻1年。可愛いものが好きだが、小さい頃から大人っぽい、しっかり者と言われ、イメージに合わないものを避けるうちに、黒系のものばかり身に着けるようになり、「シュバルツさん」「シュバちゃん」などと、ドイツ語で「黒」を意味するあだ名を付けられる。人付き合いも苦手で、同い年の子にも敬語で話してしまう。飲み会で酒を断り、ノリが悪いと言われていたところを庇い、且つ論文を読んで「君の日本語は美しい」と言ってくれた榊教授に恋をする。

榊 郁夫
K大学ドイツ文学科教授。64歳。いつも苦虫を噛み潰したような顔をしている。

田中 蓮
K大学ドイツ文学科助手。人嫌いで堅物だと思っていた元子の思わぬ笑顔を見て以来、気になっており、度々元子をからかっている。

富岡 樹里
ドイツ語専攻の元子の同級生。可愛いものがよく似合う。田中に片思い中。

朝霧 翠
榊の元妻でドイツ舞踊研究者。「朝霧リョク」のペンネームで小説なども執筆する。K大学院の臨時教員に就任。底抜けに明るくパワフル。

長閑の庭(アキヤマ香)の各巻あらすじ

『長閑の庭』1巻のストーリーを紹介!

地味な内面と外見から、ドイツ語で黒を意味する“シュバルツ”さんと呼ばれる大学院生・元子(23歳)。憧れのドイツ文学教授・榊(64歳)に告白するも、勘違いと断言され…。これは“嗜好”か“恋”か。「恋の定義」を模索する、年の差 恋愛未満ストーリー。

主人公の朝比奈元子は大学院生。普段から黒いものばかりを身に着けており、あまり社交的な性格ではないことも相まって、ドイツ語で“黒”を意味する「シュバルツ」にかけ、「シュバルツさん」「シュバちゃん」などと呼ばれていた。

元子は飲み会で酒を断り、ノリが悪いと言われていたところを庇ってくれた上、論文を読んで「君の日本語は美しい」と言ってくれた榊教授に恋をしている。

『長閑の庭』2巻のストーリーを紹介!

ドイツ文学教授・榊(64歳)への好意は“嗜好”なのか“恋”なのか…恋の定義に苦悶し、嫉妬心に戸惑う大学院生・元子(23歳)。そんな折に現れた榊の元妻・朝霧、元子に何かと絡んでくる助手の田中、田中に想いを寄せる元子の友人・樹里…各々の想いは交錯し――!?

『長閑の庭』3巻のストーリーを紹介!

ドイツ文学教授・榊(64歳)への好意は“嗜好”なのか“恋”なのか…恋の定義に苦悶し、嫉妬心に戸惑う大学院生・元子(23歳)。榊の元妻、元子に好意を抱く田中、田中を好きな樹里…そんな人間模様に変化が!? 田中が主役の番外編『メリーゴーランドの憂鬱』も収録!

『長閑の庭』4巻のストーリーを紹介!

憧れの榊教授(64歳)への好意は“嗜好”と“師弟愛”だと、榊本人に断定された元子(23歳)。それでも「恋だと証明するのを協力してほしい」と榊に詰め寄り、それで少し距離も縮まったと感じていた。しかしその行動について、榊の元妻・朝霧から強く釘を刺され…。

『長閑の庭』5巻のストーリーを紹介!

榊教授(64歳)への感情は恋ではないと、本人から否定され続けた元子(23歳)。考え抜いて出した答えは、やはり榊に恋しているということ。教授は初めて、否定せずにいてくれたが――!? 一方、元子に失恋した助手の田中は、元子の親友・樹里の猛アタックに…!?

『長閑の庭』6巻のストーリーを紹介!

榊教授(64歳)への感情は恋ではないと、本人から何度も否定され続けていた元子(23歳)。それでも何度も、榊に恋していると告白する元子に、教授は初めて「恋」だと認めた。元子の親友・樹里は、片思いしていた田中とつきあいだすが、田中は未だ元子に想いを残していて・・・。ある日、教授とデートができることになり喜ぶ元子。そこで改めてした告白に対し、教授は今までとは異なるリアクションを――!?

『長閑の庭』7巻のストーリーを紹介!

榊教授(64歳)への感情は恋ではないと、本人から何度も否定され続けていた元子(23歳)。初めての恋に戸惑いながら、喜び、苦しみ、成長してきた元子は、それでも変わらず榊が好きだと告げ、榊はようやく受け入れる。しかし、恋人同士になった幸せを噛みしめたのも束の間、榊に病が発覚! 正しい答え、本当の幸せ、恋の定義……考え抜いて、元子と教授の出した答えは!? 年の差 恋愛未満ストーリーついに完結!!

長閑の庭(アキヤマ香)の感想・解説・評価

地味な女性の年の差恋愛ストーリー

主人公の朝比奈元子は大学院生の23歳。真面目だが、引っ込み思案な性格で、クラスメートが出掛ける相談をしているのにも関わらず、自分が行きたいと言い出せないなど不器用な面がある女性だ。

恋愛経験も乏しい彼女が44歳上の教授に恋をしたところから物語は幕を開ける。大学の飲み会で酒を断り、ノリが悪いと言われていたところを教授が庇ってくれたうえ、論文を「君の日本語は美しい」と褒めてくれたのがきっかけだった。

やはり歳の差ラブストーリーの典型というか、榊教授は元子の恋愛に否定的だ。元子の祖父と大して変わらない年齢であることもあり、元子の気持ちを「師弟愛」であると結論付け、取り合おうとはしない。

しかし、恋愛経験に乏しい元子も、次第に自分の感情が師弟愛ではなく恋であると確信にいたる。外見が地味であるだけではなく、内面も引っ込み思案で卑下してしまう「シュバルツ(=黒)さん」が不器用に恋愛に奮闘する姿に好感が持てる作品だ。

榊教授の渋い魅力

僕は男性だが、榊教授はとても魅力的な男性だと感じる。67歳と高齢といっていい年齢だが、身なりに気を使っていることもあり、清潔感がありとにかく身なりがいい。容姿も整っているが、ただのイケメンなのではなく、落ち着きや思慮の深さ、学生を平等に見る視点など高潔な人格者だ。

学生を指導する立場として、遅刻した学生に対してなど厳しい一面も持ち合わせているが、それも自分に向かって謝罪するのではなく、授業を邪魔された学生たちのことを口にするなど、公平さも兼ね備えている。こればかりは10代、20代のイケメンたちが努力したところで身につかない魅力だ。

西炯子の『娚の一生』よりもさらに年齢差のあるカップルだが、そんな年配の男性が好きな女性にはたまらない作品だろう。

魅力的なサブキャラクターたち

本作には2人のほかにも、元子に想いを寄せる田中、田中に想いを寄せる同級生の樹里、榊教授の元妻・翠が登場。それぞれ自分の気持ちに正直に行動していく。

とくに元子に想いを寄せる田中はなんとか元子の視線を自分に向けさせようとストレートな行動に出る。いわばかき回しに来るわけだが、そこに嫌味だとか恋愛漫画特有のドロドロ感はない。魅力的なサブキャラクター達を気持ちよく見られる作品に仕上がっている。

合わせて読みたい本

娚の一生

東京の大手電機会社に勤める堂薗(どうぞの)つぐみは、長期休暇を田舎の祖母の家で過ごしていた。そんなある日、入院中の祖母が亡くなってしまう。つぐみは、そのまま祖母の家でしばらく暮らすことに決めるが、離れの鍵を持っているという謎の男が現れて…!?晴耕雨読的女一匹人生物語、第1巻!!

恋は雨上がりのように

橘あきら。17歳。高校2年生。
感情表現が少ないクールな彼女が、胸に秘めし恋。
その相手はバイト先のファミレス店長。

ちょっと寝ぐせがついてて、
たまにチャックが開いてて、
後頭部には10円ハゲのある
そんな冴えないおじさん。

青春の交差点で立ち止まったままの彼女と、
人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなす、
恋と青春の物語。

長閑の庭(アキヤマ香)の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望。高校時代からブログを始め、一時中断後、読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログを再開。普段は本を読みつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、囲碁、株式投資、マジック:ザ・ギャザリングも好きです。
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