【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その7

【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その1」の6回目となります。まず最初の記事からご覧ください。

ルールとしては、「一人一作品」ということにしています。そうしないとドストエフスキー、カフカ、ガルシア=マルケスなど有名作家の作品が複数入ってしまうので。

記事では執筆された年代順に10冊ずつ紹介していきたいと思います。

死ぬまでに読みたい海外文学100選61~70冊

61:フィリップ・K・ディック『高い城の男』1862年

アメリカ美術工芸品商会を経営するロバート・チルダンは、通商代表部の田上信輔に平身低頭して商品の説明をしていた。ここ、サンフランシスコは、現在日本の勢力下にある。第二次大戦が枢軸国側の勝利に終わり、いまや日本とドイツの二大国家が世界を支配しているのだ–。第二次大戦の勝敗が逆転した世界を舞台に、現実と虚構との微妙なバランスを緻密な構成と迫真の筆致で書きあげた、1963年度ヒューゴー賞受賞の最高傑作。

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第二次大戦で枢軸国サイドが勝利していたら?というifの世界の話は数多く書かれています。SFしかり、仮想戦記しかり。

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そのifの物語の中で最も惹かれたのが『高い城の男』でした。

62:アンソニー・バージェス『時計じかけのオレンジ』1962年

近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年に迫る。スタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。幻の最終章を付加した完全版。

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『時計じかけのオレンジ』はスタンリー・キューブリック監督の映画のほうが有名かもしれませんね。

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海外の作品には、近未来の監視社会、管理社会を描いた作品が散見されます。そのような作品には傑作が多い。というか、繰り返し翻訳されて販売され続けている作品が多いというべきでしょうか。

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『時計じかけのオレンジ』もそんな作品群のひとつです。読み終わると、めちゃくちゃ恐ろしい話なんだとしばらく言葉を失います。

63:カルロス・フエンテス『アルテミオ・クルスの死』1962年

大地主の私生児として生まれ,混血の伯父に育てられ,革命軍に参加し,政略結婚によって財産の基礎をつくり,政治を巧みに利用して,マスコミを含む多くの企業を所有する????.メキシコ革命の動乱を生き抜いて経済界の大立者に成り上がった男アルテミオ・クルスの栄光と悲惨.現代ラテンアメリカ文学の最重要作.

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ラテンアメリカ文学の濃厚かつ豊潤な文体とそのスケールの大きさには感嘆とさせられます。

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ひとりの男の人生を、あらゆる手法を駆使して描いていく『アルテミオ・クルスの死』には圧倒させられます。

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何かの本に「小説とは短いストーリーの連続である」というようなことが書いてあったんですが、その短いストーリーが重層的に紡がれるとこれほどの存在感で眼前に迫ってくるのだと驚かされるんです。

64:ロバート・A・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』1966年

2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した! 流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取され続けてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには……ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇。

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『夏への扉』ファンの皆さんごめんなさい。僕はハインラインだと『月は無慈悲な夜の女王』のほうが好きなんです。

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『月は無慈悲な夜の女王』に現代(その当時の意味です)の政治や社会の問題を重ねて論じていたりするのをたまに見かけますが、そのたびに小難しいことを考えずに娯楽小説として楽しもうよ!って思っていたりします。

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実際に本を手にすると、結構分厚いな…と尻込みするのも事実。でも意外とあっさり読めますよ。おもしろいですもん。

65:ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ『大洪水』1966年

生の中に遍在する死を逃れて錯乱と狂気のうちに太陽で眼を焼くに至る青年ベッソン(プロヴァンス語で双子の意)の13日間の物語。独特の詩的世界で2008年ノーベル文学賞を受賞した作家の長編第一作、待望の文庫化。

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この本はというか、ル・クレジオはというか、何と言えばいいのか、よくわからない。

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難しいですし、僕自身きちんと理解できてはいないと思います。

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ただ、ル・クレジオという人が、そこらの書き手とは一味も二味も違うものを持っているのはわかる。言葉が違うんです。

66:ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』1967年

蜃気楼の村マコンドの草創、隆盛、衰退、そして廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の誰彼に受け継がれた孤独の運命は、絶望と希望、苦悩と悦楽、現実と幻想、死と生をことごとく呑み尽くし……。1967年に発表され、20世紀後半の世界文学を力強く牽引した怒濤の人間劇場が、今、再び幕を開ける。

https://www.shinchosha.co.jp/book/509011/
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このリストが年代順じゃなく、1位から100位までランク付けしたものであったのなら、1位はこの『百年の孤独』です。

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2位は『ペドロ・パラモ』ですかね。もう一冊悩むのがあるんですが。

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『百年の孤独』を読み始めてすぐに「この小説は、今まで読んできた本とは違うぞ」と衝撃を覚えました。こんなすごい小説を雑に読んじゃいけないと、丁寧に一文字一文字を拾うように読み進めたのをよく覚えています。

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「ややこしい小説」ではありますが、もしこのリストから一冊を読もうとしている人がいるのなら、「1位はこの『百年の孤独』です」と繰り返しお伝えしたいです。

67:ジョン・アーヴィング『熊を放つ』1968年

既成の文学観の埒外とも言うべき、アーヴィングのマッシブな小説世界はここから始まった。骨太、大胆、予測不能。傲慢なまでの若々しさと青春小説の特別な輝きに満ちたデビュー作。

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『熊を放つ』はジョン・アーヴィングのデビュー作です。デビュー作ということで、粗削りなところや試行錯誤が見受けられる作品だと思います。

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そのため完成度としては『ガープの世界』や『ホテル・ニューハンプシャー』の方が高い。

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それでも不思議と『熊を放つ』の未熟さと若々しさが好きだなと、ふと考えたりします。

68:リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』1968年

コミューン的な場所、アイデス“iDeath”と“忘れられた世界”、そして私たちとおんなじ言葉を話すことができる虎たち。西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢見る幸福とは何だろうか…。澄明で静かな西瓜糖世界の人々の平和・愛・暴力・流血を描き、現代社会をあざやかに映して若者たちを熱狂させた詩的幻想小説。ブローティガンの代表作。

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「ふわふわ」「つかみどころのない」「夢のような」。そんな形容が当てはまる小説です。

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正直言うと僕はあんまり好きじゃないんです。村上春樹は好きなんですけど、彼が好きだというこの作品はピンとこなかった。

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ただ『西瓜糖の日々』がすごい好きだっていう友人がいるんですよね。「最高の小説」とのことなんですが…

69:トニ・モリソン『青い眼が欲しい』1970年

誰よりも青い眼にしてください、と黒人の少女ピコーラは祈った。そうしたら、みんなが私を愛してくれるかもしれないから……人間としての価値や美しさは白人の世界にのみ見出され、そこに属さない黒人は存在意義も認められていない。白人が定めた価値観を痛烈に問いただす、ノーベル賞作家の鮮烈なデビュー作。

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/310006.html
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僕はハッピーエンド至上主義者みたいなところがあるので、基本的に「終わりよければすべてよし」な本が好きです。しんどい本はそもそも手に取らないか、途中で読むのをやめてしまったりする。ノンフィクションよりもフィクションを好みます。

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『青い眼が欲しい』はテーマのひとつに黒人差別があり決して明るい作品ではありません。

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この本を選んだのは「差別反対!」とそれだけを声高に叫んでいる本ではないから。

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「人種差別社会の中で、どう人が差別されたのか」。それはこの小説の一つの面でしかないでしょう。その社会の中で子どもがどのように疎外されて希望や活力を失っていくのか。そのことを描いた点で、この小説は、全人種、全世界的な視点を得たと言えます。

70:トマス・ピンチョン『重力の虹』1973年

世界文学史上に空前の伝説を刻んだ33万語、100万字超の巨篇――新訳成る! 耳をつんざく叫びとともに、V2ロケット爆弾が空を切り裂き飛んでくる。ロンドン、一九四四年。情報局から調査の命を受けたスロースロップ中尉は――。 ピューリッツァー賞が「卑猥」「通読不能」と審査を拒否した超危険作にして、今なお現代文学の最先端に屹立する金字塔がついに新訳。

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ピンチョン『重力の虹』 はとにかく長いです。『失われた時を求めて』とはまたニュアンスの違う長さです。

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長いので、途中で「あれ、最初の方ってどうだったっけ」と一度は読んだページをパラパラめくったり。

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活字中毒者のみなさんにおすすめします。

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