【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その8

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【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その1」の8回目となります。まず最初の記事からご覧ください。

ルールとしては、「一人一作品」ということにしています。そうしないとドストエフスキー、カフカ、ガルシア=マルケスなど有名作家の作品が複数入ってしまうので。

記事では執筆された年代順に10冊ずつ紹介していきたいと思います。

死ぬまでに読みたい海外文学100選71~80冊

71:J・G・バラード『ハイ・ライズ』1975年

ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす、新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校までを備えたこの一個の世界は事実上、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の最上部に階層化されていた。その全室が入居済みとなり、ある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。3カ月にわたる異常状況を、中層部の医師、下層部のテレビ・プロデューサー、最上層の40階に住むこのマンションの設計者が交互に語る。バラード中期の傑作。

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舞台は超巨大マンション。文化的な住まいだったのですが、ある日の事件を境にその様相が変わっていきます。その様子を描いたSF作品です。

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あらすじに「下層部、中層部、最上部」と書いてある通り、このマンションはヒエラルキーで区別されています。つまり人間社会の縮図でもある。そんな場所がある種の極限状態に陥ったとき、人間はどんな姿を見せるのか。不気味なリアリティに支配された作品です。

72:ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』1977年

ハードSFの巨星が一世を風靡した歴史的傑作。星雲賞受賞。

月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行なわれた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、5万年以上も前に死んでいたのだ。謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見されたが……。

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素晴らしい文章/表現に酔いしれる小説。その作者だけの雰囲気/小説世界にどっぷりつかる小説。

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そういうものも素晴らしいのですが、時折「え!?なにそれ!?どういうこと?」と思わせられる小説を読みたくなります。そんなときにJ・P・ホーガン『星を継ぐもの』はまさにうってつけの作品なんです。

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次から次へと出てくる謎。徐々に明かされていくと…謎解きにドキドキし、ロマンにワクワクする。「こんな小説が読みたかったんだよ!」となりました。

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星野之宣の漫画版も合わせてどうぞ。

73:ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』1980年

中世イタリアの修道院で起きた連続殺人事件。事件の秘密は知の宝庫ともいうべき迷宮の図書館にあるらしい。記号論学者エーコがその博学で肉づけした長編歴史ミステリ。全世界で異例の大ベストセラーとなった話題作。

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薔薇の名前』は少し難しい。日本人の多くはキリスト教や歴史的な背景についての知識がそれほどはないでしょうから、とっつきにくい部分があります。

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でもおもしろい。その部分が「ふーん?」とよくわからなくてもおもしろいのです。紹介しておいてなんですが、あまり内容について語りたくはない作品なのです。「ごちゃごちゃ言わずに、いいから読め!」ということで。

74:マリオ・バルガス・リョサ『世界終末戦争』1981年

19世紀末、大旱魃に苦しむブラジル北部の辺境を遍歴する説教者と、彼を聖者と仰ぐ者たち。やがて遍歴の終着地に世界の終りを迎えるための安住の楽園を築いた彼らに叛逆者の烙印を押した中央政府が陸続と送り込む軍隊。かくて徹底的に繰返された過酷で不寛容な死闘の果てに、人々が見たものは……。1981年発表、円熟の巨篇。

https://www.shinchosha.co.jp/book/514507/
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リョサの小説を読んで感じるのはその筆の熱さです。筆の熱さ?なんと表現したらいいんですかね。熱のこもった文体とでも言えばいいのか。

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文学よりも音楽で説明したほうが理解していただけるかもしれません。よく響くホールで、大人数のオーケストラや合唱団の演奏に耳を傾けるとき、そのときに感じる全身が音楽に包まれているような感覚。リョサの小説を読むと、物語世界に全身が浸っているような感覚に陥るのです。それは没入感という言葉では言い表せない感覚なのです。

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緑の家』『楽園への道』ではなく『世界終末戦争』を選んだのは、前述のような読書体験をするのにまさにうってつけな作品であるからです。

75:J・M・クッツェー『マイケル・K』1983年

内戦下の南アフリカ。手押し車に病気の母親を乗せて、騒乱のケープタウンから内陸の農場をめざすマイケル。内戦の火の粉が飛びかう荒野をひたすら歩きつづける彼は、大地との交感に日々を過ごし、キャンプに収容されても逃走する。……国家の運命に巻き込まれながら、精神の自由を求めて放浪する一個の人間のすがたを描く、ノーベル賞作家の代表作。

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百年の孤独』を紹介したときに「1位はこの『百年の孤独』です。2位は『ペドロ・パラモ』ですかね。もう一冊悩むのがあるんですが。」と書きました。個人的に『ペドロ・パラモ』と同じくらい好きなのが、この『マイケル・K』です。

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マイケル・K』を初めて読んだときに、「これは僕のために書かれた小説だ」と感動したのを覚えています。読者にそう思わせる小説に外れはありません。『罪と罰』を読んだ世界中の文学少年/少女が「この小説を理解できるのは自分だけだ」と”勘違い”したでしょうから。

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この小説に描かれるのは自らの居場所を求めてさまよい続ける一個人の姿でしょう。その主人公の孤独に満ちた姿に共感を覚える読者は多いと思います。英語圏だけではなく、日本や世界中に。

76:レイモンド・カーヴァー『大聖堂』1983年

「ぼくが電話をかけている場所」「ささやかだけれど、役にたつこと」ほか、一級の文学としての深みと品位をそなえた、粒ぞろいの名篇を収録。成熟期の風格漂う、カーヴァー最高の短篇集。

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レイモンド・カーヴァーは短篇の書き手です。そのため本で彼の小説を読もうとすると、自然と短篇集という形態になります。どの短篇集がいいか、パラパラと本を捲りながら考えてみたところ、『大聖堂』がいいんじゃないかなという結論に至りました。

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レイモンド・カーヴァーの小説は日常の1ページを切り取ったものが多いです。なんでもない生活のふとしたシーンを描いていたり。それだって抜群に上手いんですけど、あっさり風味にもう少し味付けしてくれたらなと思うこともあります。

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この本に収められている短篇は”もう少し味付けしてくれた”作品群だと感じます。『大聖堂』にはレイモンド・カーヴァーの充実期の作品が集められており、彼の最良の作品集であるといえるでしょう。

77:アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』1984年

失踪した友人を探してインド各地を旅する主人公。彼の前に現われる幻想と瞑想に充ちた世界。インドの深層をなす事物や人物にふれる内面の旅行記とも言うべきこのミステリー仕立ての小説を読みすすむうちに読者はインドの夜の帳の中に誘い込まれてしまう。イタリア文学の鬼才が描く12の夜の物語。

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小説を読む時に「どこか別の世界へと連れ去ってくれること」を期待する読者にとって、これほどその役割をまっとうしてくれる本も中々無いでしょう。

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インドとはこのような幻想的な雰囲気が似合う国なんでしょうか。行ったことはないんですよね。

78:マーガレット・アトウッド『侍女の物語』1985年

【カナダ総督文学賞受賞】男性絶対優位の独裁体制が敷かれた近未来国家。出生率の激減により、支配階級の子供を産むための「侍女」たちは、自由と人間性を奪われた道具でしかない。侍女のオブフレッドは生き別れになった娘に会うため恋人と共に脱出しようとするが……。辛辣なシニシズムで描かれた戦慄の世界。

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ディストピア小説でもあり、フェミニズム小説でもあるでしょう。読みながら、男性である僕にはどうも肩身の狭い思いがしました。

79:ジェイムズ・ティプトリー・Jr.『たったひとつの冴えたやりかた』1986年

やった、ようやく宇宙に行ける! 十六歳の誕生日のプレゼントに両親からもらったスペースクーペを改造し、そばかす娘コーティーは憧れの銀河へ旅立った。冷凍睡眠からさめ、頭の中に住みついたエイリアンとも意気投合したが……元気少女の愛と勇気と友情を描く感動篇ほか、壮大な宇宙に展開するドラマ全三篇!

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/10739.html
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小説にはどうしたってタイミングというものがあります。三田誠広『いちご同盟』を中学生と大人が読んだら評価はどうしたって変わってくる。

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その意味で僕が『たったひとつの冴えたやりかた』をハタチを超えてから読んだのはちょっともったいなかった。いい小説だなとは思いました。でも十代のときに読んでいれば、もっと心に残ったんじゃないかと感じたのも事実です。

80:スティーヴン・ミルハウザー『イン・ザ・ペニー・アーケード』1986年

遊園地のペニー・アーケードの様々な仕掛けに子供達が胸躍らせるように、本書の読者はミルハウザーの圧倒的な想像力の前に大いなる驚きと興奮を味わうことだろう。からくり人形師の信じ難いまでに洗練された芸術を描く傑作中篇「アウグスト・エッシェンブルク」を含む巧緻極まりない短篇集。

https://www.hakusuisha.co.jp/book/b205569.html
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柴田元幸さんの翻訳が好きな僕にとって、『イン・ザ・ペニー・アーケード』は「いいなあ…」と唸らされる短篇集でした。

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幻想的だけど、ひたすらにフワフワ、地に足に付いていない感じではなくて、しっかりと制御されて存在しているような雰囲気なんです。上手く言えないですけど。どう表現すればこの良さが伝わるのか…

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