【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その9

【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その1」の9回目となります。まず最初の記事からご覧ください。

ルールとしては、「一人一作品」ということにしています。そうしないとドストエフスキー、カフカ、ガルシア=マルケスなど有名作家の作品が複数入ってしまうので。

記事では執筆された年代順に10冊ずつ紹介していきたいと思います。

死ぬまでに読みたい海外文学100選81~90冊

81:フリオ・リャマサーレス『黄色い雨』1988年

比類なき崩壊の詩情、奇蹟の幻想譚。スペイン山奥の廃村で朽ちゆく男を描く、圧倒的死の予感に満ちた表題作に加え、傑作短篇「遮断機のない踏切」「不滅の小説」の二篇を収録。

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表題作はとても静かな小説です。なにか事件が起こるわけでもないし、「激動の人生」なんて言葉も当てはまらない。

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一人の男の孤独と晩年をただただ描いたこの小説を読むと、本当に優れた小説というのはこのような形態になるしかないんじゃないかと思わされます。

82:ドン・デリーロ『リブラ 時の秤』1988年

オズワルドを核に、ケネディ狙撃へと吸い寄せられていく暗殺者の群――アメリカの負のエネルギーを描破した、鮮烈な傑作長篇小説

https://www.books.or.jp/books/detail/530573
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ドン・デリーロは紹介するか迷いました。この『リブラ 時の秤』にしたって絶版プレミア本ですし、そもそも文庫化されている作品も少ない。

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ケネディ暗殺事件やオズワルドに関する本は何冊か読みましたが、一番読み応えがあったのがこの本でした。

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古書店にも中々ないでしょうから、大きめの図書館で探してみてください。

83:ポール・オースター『ムーン・パレス』1989年

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた……。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。

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哀しみに打ちひしがれて、人生に絶望している青年の姿に共感とエネルギーを貰える小説だと思います。

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どれも素晴らしいポール・オースターの小説の中でも、『ムーン・パレス』が一番好きですね。

84:カズオ・イシグロ『日の名残り』1989年

短い旅に出た老執事が、美しい田園風景のなか古き佳き時代を回想する。長年仕えた卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々……。遠い思い出は輝きながら胸のなかで生き続ける。失われゆく伝統的英国を描く英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。

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僕はあんまりカズオ・イシグロって好きじゃないんですが、『日の名残り』はそんなこと言ってられない小説です。

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読み終わったときに幸福感というか、温かい気持ちになっている。それは良い小説の証拠ですよね。

85:スティーヴ・エリクソン『黒い時計の旅』1989年

仮にドイツが第2次大戦に敗けず、ヒトラーがいまだ死んでいなかったら……。強烈な幻視力によって「もうひとつの20世紀」を夢想した、現代アメリカ実力派作家による最良の小説。

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ヒトラーが死んでいなかったら…という歴史改変小説です。

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ちょっとこの作品は内容について触れない方がいいと思いますね。読んでみてください。

86:ミラン・クンデラ『不滅』1990年

美しい女性アニェスと愛に貪欲な妹ローラ、文豪ゲーテとその恋人ベッティーナ…。さまざまな女性たちが時空を超えて往きかい、存在の不滅、魂の永遠性を奏でる愛の物語。20世紀文学の最高傑作。

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クンデラの小説を読んでいると、「この作者頭いいんだろうなー。馬鹿な僕にもわかるように書いてくれよ」なんて思います。難しいですし、理屈っぽい。

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それでも読むんだから不思議なんですよね。ホントに…

87:残雪『カッコウが鳴くあの一瞬』1991年

わたしは駅の古いベンチに横になっていた。わたしにはわかっている、カッコウがそっと三度鳴きさえすれば、すぐにも彼に逢えるのだ。「カッコウはもうじき鳴く」とひとりの老人がわたしに告げた……。姿を消した“彼”を探して彷徨い歩く女の心象風景を超現実的な手法で描いた表題作。毎夜、部屋に飛び込んできて乱暴狼藉をはたらく老婆の目的は、昔、女山師に巻き上げられた魔法の靴を探すことだった……「刺繡靴および袁四ばあさんの煩悩」ほか、全九篇を収録。『黄泥街』(Uブックス既刊)が大きな話題を呼んだ現代中国作家、残雪の独特の文学世界が最も特徴的にあらわれた初期短篇を精選。夢の不思議さにも似た鮮烈なイメージと特異な言語感覚で、残雪ファンにとりわけ人気の高い一冊。付録として、訳者による作品精読の試み「残雪―夜の語り手」を併録した。

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僕が好きな作家はカフカとガルシア=マルケスです。それなら残雪はぜひ紹介しておこうと思いました。

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読んでいると現実と幻想が混ざり合ったような独特の世界観に迷い込みます。好き嫌いはわかれそうですが、好きな人はがっつりハマりそう。

88:マイケル・オンダーチェ『イギリス人の患者』1992年

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『イギリス人の患者』はとにかく文章がいい。翻訳でも充分に伝わってきます。そしてストーリーもいい。「さすがブッカー賞受賞作」と言いたくなります。

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悪いところは絶版プレミアというところだけ。文庫化もされて絶版プレミアはちょっと残念。

舞台は第二次大戦下のイタリアの僧院。北アフリカの砂漠に不時着したパイロットが収容され、手当を受けている。「イギリス人の患者」としか身元を明かさない彼は、全身に火傷を負い、容貌も不明、記憶も喪失している。だが、瀕死の患者が若い看護婦に語り紡ぐ言葉は、この上なく深くミステリアスな愛の世界だ。美しい文章と濃密なストーリーで大きな話題を呼んだブッカー賞受賞作。

https://www.shinchosha.co.jp/

89:リディア・デイヴィス『話の終わり』1994年

年下の男との失われた愛の記憶を呼びさまし、それを小説に綴ろうとする女の情念を精緻きわまりない文章で描く。「アメリカ文学の静かな巨人」による傑作。『ほとんど記憶のない女』で日本の読者に衝撃をあたえたリディア・デイヴィス、待望の長編!

https://sakuhinsha.com/oversea/23053.html
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主人公の女性が12歳下の学生との恋愛の終わりを小説にするという小説です。まあ話の筋はしょうもない。

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主人公の女性は大学で教えているのに学生との恋に夢中。恋人に捨てられても未練タラタラ、不満ツラツラ。

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そんな話しを読まされても嫌な感じは全く無い。むしろ心地よさすら覚えます。これは作者の力量の高さゆえでしょう。

90:アゴタ・クリストフ『昨日』1995年

村の娼婦だった母の子として生まれたトビアス。ある事件を契機に、名前を変え、戦争孤児を装って国境を越えた彼は異邦にて工場労働者となった。灰色の作業着を身につけ、来る日も来る日も単調な作業に明け暮れるトビアスのみじめな人生に残された最後の希望は、彼の夢想のなかにだけ存在する女リーヌと出会うこと……。『悪童日記』三部作の著者が自らの亡命体験を元に、幻想と不条理を交えて描く「不可能な愛の物語」。

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/310035.html
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アゴタ・クリストフ『昨日』はもう…ラストが忘れられないんですよね。

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日本人に馴染みのない「亡命文学」でもこの主人公の姿に哀しみを覚える人は多いと思います。みんな何かを捨て、何かを諦めて大人になっていくんでしょうか。

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