【おすすめ】角田光代の全小説を一覧であらすじを紹介します

角田 光代 かくた・みつよ(1967年3月8日 – )

小説家。神奈川県横浜市出身。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。大学在学中の1988年、彩河杏名義で書いた「お子様ランチ・ロックソース」で上期コバルト・ノベル大賞受賞しデビュー。ただ希望のジャンルではなかったという。1990年「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞を受賞し、角田光代としてデビューする。数度芥川賞の候補に挙がったのち、2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞を受賞した。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:八日目の蝉
  • 2位:愛がなんだ
  • 3位:トリップ

角田光代の小説年表リスト

幸福な遊戯(1991年9月)

今最も注目される女性作家、幻のデビュー作!

ハルオと立人とわたし。恋人でもなく家族でもない者同士の共同生活は、奇妙に温かく幸せだった。しかし、やがてわたしたちはバラバラになってしまい――。瑞々しさ溢れる短編集。

  • 1991年9月 福武書店
  • 2003年11月 角川文庫

ピンク・バス(1993年8月)

子供を妊娠し浮かれているサエコの家に、夫の姉・実夏子が突然訪れる。長い間消息不明だったという実夏子は、そのまま勝手に住み着いてしまった。真夜中に化粧をしたり、冷蔵庫のハムを丸ごと食べたり、と不審な行動を繰り返す実夏子。何も言わない夫に苛つき、サエコの心はかき乱されていく…。出産を目前に控えた女性の心の揺れを描いた表題作ほか、一篇を収録。瑞々しい筆致で描き出された、心に染みる極上中篇集。

  • 1993年8月 福武書店
  • 2004年6月 角川文庫

学校の青空(1995年10月)

いじめ、うわさ、夏休みのお泊まり旅行…お決まりの日常から逃れるために、それぞれの少女たちが試みた、ささやかな反乱。生きることになれていない不器用なまでの切実さを直木賞作家が描く傑作青春小説集。

  • 1995年10月 河出書房新社
  • 1999年5月 河出文庫
  • 2018年2月 河出文庫【新装版】

まどろむ夜のUFO(1996年1月)

私の知らない「彼女」にジャムを作り、いそいそ出かけていく高校生の弟・タカシ。魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。5日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。3人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく夏――。心の底のリアルな感覚を描き共感を呼ぶ、角田光代の作品集。野間文芸新人賞受賞作。

  • 1996年1月 ベネッセコーポレーション
  • 1998年6月 幻冬舎文庫
  • 2004年1月 講談社文庫

ぼくはきみのおにいさん(1996年10月)

ひとりっこのアユコの前にとつぜん現れた、おにいさんは誰?小学生2人のピュアな恋の物語。ほんとうのおうちをさがす小さなぼうけん。

ぼくとネモ号と彼女たち(1997年9月)

中古で買った愛車「ネモ号」に乗って、当てもなく道を走るぼく。とりあえず、遠くへ行きたい。行き先は、乗せた女しだい-高校の同級生だった春香、バーで偶然隣合わせていたトモコ、ヒッチハイク中の年上女…助手席にやってくる奇妙な彼女たちとのちぐはぐな旅はどこまで続く?直木賞作家による青春ロード・ノベル。

  • カップリング・ノー・チューニング(1997年9月 河出書房新社)
  • 【改題】ぼくとネモ号と彼女たち(2006年1月 河出文庫)

夜かかる虹(1998年1月)

ひとり暮らしの私を突然男連れで訪ね、男を置いて帰ってしまった妹リカコ。外見はそっくりで性格は正反対、甘い声で喋り、男に囲まれ、私を慕いながら、一方で恋人まで奪おうとする妹。痛くて切ない姉妹関係をリアルに描く表題作をはじめ、人とのつながり、自分の居場所を誠実に問う作品集。

  • 草の巣(1998年1月 講談社)
  • 【改題】夜かかる虹(2004年11月 講談社文庫)

みどりの月(1998年11月)

恋人のキタザワに誘われ、同居することになった南。ところが、そのマンションには、キタザワの遠い親戚マリコとその恋人サトシが住んでいた……。成り行きまかせで始まった男女四人の奇妙な共同生活を描く表題作ほか、別れの予感を抱えた若い夫婦があてのないアジア放浪に出る「かかとのしたの空」を収録。今を生きる若者たちを包む、明るい孤独とやるせない心をうつしだす作品集。

  • 1998年11月 集英社
  • 2003年5月 集英社文庫

キッドナップ・ツアー(1998年11月)

5年生の夏休みの第1日目、私はユウカイ(=キッドナップ)された。犯人は2か月前から家にいなくなっていたおとうさん。だらしなくて、情けなくて、お金もない。そんなおとうさんに連れ出されて、私の夏休みは一体どうなっちゃうの? 海水浴に肝試し、キャンプに自転車泥棒。ちょっとクールな女の子ハルと、ろくでもない父親の、ひと夏のユウカイ旅行。私たちのための夏休み小説。

  • 1998年11月 理論社
  • 2003年6月 新潮文庫

本作のタイトルは「キッドナップ・ツアー」。tourはそのままツアーという日本語にもなっている通り、旅行です。では、kidnapとは何なのか。その意味は誘拐です。本作の題はいわば「誘拐旅行」なのです。

ですが、決して物騒なことではありません。主人公のハル(女子)を誘拐するのは、実の父親なのです。そして、学生の貧乏旅行のような小旅行を2人で行います。海へ行き、宿坊して肝試しをします。そして、バーベキューをして、拾ったテントでキャンプをし、自転車泥棒をします。そんな物語です。

もっと読むキッドナップ・ツアー(角田光代)のあらすじ(ネタバレなし)・解説・感想。読書感想文にもおすすめ!

東京ゲスト・ハウス(1999年10月)

アジア放浪から半年ぶりに帰ってみると、変わらないはずの恋人は、別の男と暮らしていた…。なんとか僕は、旅先で知り合った女性の一軒家に転がり込む。だがそこは、行くあてのない人が一時的な共同生活をおくる、旅の途中のゲスト・ハウスのような場所だった。旅の終わりを探す、直木賞作家の青春小説。

  • 1999年10月 河出書房新社
  • 2005年10月 河出文庫

真昼の花(2000年1月)

行方不明の兄を追うようにしてアジアの国へ来た私。闇両替で所持金のほとんどを失い、一日パン一個で食いつなぎ、安宿をシェアして、とうとう日本企業の前で物乞いを……。帰る気もなく、行くあてもなく、いったい今ここで何をしているのか。それでも、私はまだ帰らない、帰りたくない――。若いバックパッカーの癒しえない孤独を描く表題作他一篇を収録。『地上八階の海』改題。

  • 地上八階の海(2000年1月 新潮社)
  • 【改題】真昼の花(2004年9月 新潮文庫)

菊葉荘の幽霊たち(2000年4月)

友人・吉元の家探しを手伝いはじめた“わたし”。吉元が「これぞ理想」とする木造アパートはあいにく満室。住人を一人追い出そうと考えた二人だが、六人の住人たちは、知れば知るほどとらえどころのない不思議な人間たちばかり。彼らの動向を探るうち、やがて“わたし”も吉元も、影のようにうろつきはじめている自分に気づき…。奇怪な人間模様を通じて、人々の「居場所」はどこにあるかを描く長篇。

  • 2000年4月 角川春樹事務所
  • 2003年5月 ハルキ文庫

あしたはうんと遠くへいこう(2001年9月)

今度こそ幸せになりたい−−著者初めての恋愛小説!!
泉は、田舎の温泉町で生まれ育った女の子。東京の大学に出てきて、卒業して、働いて。今度こそ幸せになりたいと願い、さまざまな恋愛を繰り返しながら、少しずつ少しずつ明日を目指して歩いていく……

  • 2001年9月 マガジンハウス
  • 2005年2月 角川文庫

だれかのいとしいひと(2002年4月 白泉社 / 2004年5月 文春文庫)

転校生じゃないからという理由でふられた女子高生、ジミ・ヘンドリックスのポスターを盗みに元カレのアパートに忍び込むフリーライター、親友の恋人とひそかにつきあう悪癖のある女の子、誕生日休暇を一人ハワイで過ごすハメになったOL……。どこか不安定で、仕事にも恋に対しても不器用な主人公たち。何度傷ついても、もう二度と恋なんかしないと思っても、まただれかを愛してしまう……切ない8つの恋の形を描く短編小説集。

  • 2002年4月 白泉社
  • 2004年5月 文春文庫

エコノミカル・パレス(2002年10月)

34歳フリーター、年下の同棲相手は失業中。エアコンは壊れ、生活費の負担は増えていく。昔の知り合いが彼女を連れて転がり込む。どんづまりの生活を変えたのは、はたちの男からかかってきた「テキ電」だった。――生き迷う世代を描き、フリーター文学とも呼ばれた著者の転換点となった傑作。

  • 2002年10月 講談社
  • 2005年10月 講談社文庫

空中庭園(2002年11月)

郊外のダンチで暮らす4人家族・京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。15歳の長女マナが“自分はどこで生を授かったか”を訊ねると、ママはラブホテルで、と教えてくれた。自分が仕込まれたのが近所の「ホテル野猿」だと知って、どうしても見てみたくなったマナは、同級生の森崎くんを誘って行ってみた……。家族ひとりひとりが、そのモットーとは裏腹に、閉ざしたドアの中に秘密を持ちながら、仲の良い「家族」を演じているさまを鮮やかに描く連作家族小説。

  • 2002年11月 文藝春秋
  • 2005年7月 文春文庫

愛がなんだ(2003年3月)

「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき……。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、〈全力疾走〉片思い小説!

  • 2003年3月 メディアファクトリー
  • 2006年2月 角川文庫

銀の鍵(2003年3月)

一切の記憶をなくしたまま、見知らぬ町で、我にかえった「わたし」。ただ空は広く、濃いブルーで、薄い生地のリボンみたいに幾筋も雲がたなびいている―。アキ・カウリスマキ監督の最新作「過去のない男」にインスパイアされて生まれた、もうひとつの物語。

ちいさな幸福(2004年2月)

恋人と過ごした、どんな時間が1番心に残ってる? デートといってもひとそれぞれ。中学生だった頃の帰り道、地味なパートナーとの淡々としたひととき、年上の女性を追っていったギリシャ旅行……ていねいに紡ぎ出された12の恋模様。読者100人のアンケートによる「最も好きなデート」の実態も収録した短篇集。

  • All Small Things(2004年2月 講談社)
  • 【改題】ちいさな幸福(2007年1月 講談社文庫)

トリップ(2004年2月)

普通の人々が平凡に暮らす東京近郊の街。駆け落ちしそびれた高校生、クスリにはまる日常を送る主婦、パッとしない肉屋に嫁いだ主婦―。何となくそこに暮らし続ける何者でもないそれらの人々がみな、日常とはズレた奥底、秘密を抱えている。小さな不幸と小さな幸福を抱きしめながら生きる人々を、透明感のある文体で描く珠玉の連作小説。直木賞作家の真骨頂。

  • 2004年2月 光文社
  • 2007年2月 光文社文庫

太陽と毒ぐも(2004年5月)

もしあなたの彼女が夏でも風呂嫌いだったら? 記念日フェチで予約強迫観念症だったら? すごく迷信深かったら? 家のことを外でしゃべらずにいられなかったら? 万引き癖があったら? 毎日おやつが主食だったら? 彼が買いもの中毒だったら? 巨人の勝敗で毎日、一喜一憂してたら? ひどい浮気性だったら? 大好きなのに、どうしても許せないことがある、太陽の光が雲にさえぎられるように──。不完全な恋人達の、キュートな11のラブストーリー!

  • 2004年5月 マガジンハウス
  • 2007年6月 文春文庫

庭の桜、隣の犬(2004年9月)

夫婦って、家族ってなんだろう? 愛でも嫉妬でもない、なにかもっと厄介なものをど真ん中に抱えて、私たちはどこへ向かうのだろう? 3LDK35年ローン、郊外のマンションに暮らす30代夫婦の生活を揺らす、さざ波のような出来事を通して、現代の家族のあてどない姿をリアルに描いた傑作長篇小説。

  • 2004年9月 講談社
  • 2007年9月 講談社文庫

対岸の彼女(2004年11月)

いじめで群馬に転校してきた女子高生のアオちんは、ナナコと親友になった。専業主婦の小夜子はベンチャー企業の女社長・葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始める。立場が違ってもわかりあえる、どこかにいける、と思っていたのに……結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、たったそれだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。女性の友情と亀裂、そしてその先を、切なくリアルに描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。

  • 2004年11月 文藝春秋
  • 2006年4月 大活字文庫【1-3巻】
  • 2007年10月 文春文庫

人生ベストテン(2005年3月)

40歳を目前にして、人生のイベントベストテンを自虐的に並べてみれば、我が身には25年間、なにも起きてはいないのだ。年相応の達成感も充実感もない日々に愕然としながら、私は岸田有作に会いに行く。13歳の夏に恋をした相手に――どこにでもある出会いが生み出す、おかしくいとしいドラマ、全6篇。

  • 2005年3月 講談社
  • 2008年3月 講談社文庫

さがしもの(2005年5月)

「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。『この本が、世界に存在することに』改題。

  • この本が、世界に存在することに(2005年5月 メディアファクトリー)
  • 【改題】さがしもの(2008年11月 新潮文庫)

Presents(2005年11月)

私たちはたくさんの愛を贈られて生きている。この世に生まれて初めてもらう「名前」。放課後の「初キス」。女友達からの「ウェディングヴェール」。子供が描いた「家族の絵」――。人生で巡りあうかけがえのないプレゼントシーンを、小説と絵で鮮やかに切り取った12編。贈られた記憶がせつなくよみがえり、大切な人とのつながりが胸に染みわたる。待望の文庫化!

  • 2005年11月 双葉社
  • 2008年11月 双葉文庫

おやすみ、こわい夢を見ないように(2006年1月)

「あいつぜってえぶっころしてやる」――ねえ、ここでやろうよ、と誘ったら剛太はたやすく応じるだろう。スカートに手を入れて、パンツをはぎ取って、自分の性器を突っ込もうとしてくるだろう。そのときだ、すばやく体を反転させ、殴りつけ、首の付け根を締めつけて――。人を殺したいと思ったこと、ありませんか? しつこい元彼を、欠点ばかり言う夫を、目の敵にしてくる教師を。誰もが抱く、ごく日常的な悪意の瞬間を描いた7つの物語。これはあなた自身のことかもしれない。ただし、殺す方か、殺される方かは、あなた次第……。

  • 2006年1月 新潮社
  • 2008年6月 新潮文庫

ドラママチ(2006年6月)

私が欲しいものは、子ども、周りからの称賛、愛する男、自分にふさわしい華やかな仕事、やる気、人生を変えるドラマチックな何か。でも現実に私の目の前にあるのは、単調な生活に、どうしようもない男、中途半端な仕事、むずかしい性格の義母……。高円寺、荻窪、吉祥寺と、東京・中央線沿線の生活感あふれる「街」を舞台に、毎日ほんの少しの変化を「待ち」のぞむ女たちは、あなたにも、きっとどこか似ている。ほのかに射す明るさが心揺さぶる、8つの短篇。

  • 2006年6月 文藝春秋
  • 2009年6月 文春文庫

夜をゆく飛行機(2006年7月)

谷島酒店の四女里々子には三人の姉がいる。長女の有子は嫁いで家を出たが、次女寿子と三女素子と両親の五人暮らし。しかし里々子には実はもう一人「ぴょん吉」と名付けた弟が存在して…。うとましいけれど憎めない、変わらぬようで変わりゆく家族の日々を温かに描く、にぎやかで切ない長篇小説。

  • 2006年7月 中央公論新社
  • 2009年5月 中公文庫

彼女のこんだて帖(2006年9月)

長く付き合った男と別れた。だから私は作る。私だけのために、肉汁たっぷりのラムステーキを! 仕事で多忙の母親特製かぼちゃの宝蒸し、特効薬になった驚きのピザ、離婚回避のミートボールシチュウ――舌にも胃袋にも美味しい料理は、幸せを生み、人をつなぐ。レシピつき連作短編小説集。

  • 2006年9月 ベターホーム
  • 2011年9月 講談社文庫

薄闇シルエット(2006年11月)

「結婚してやる。ちゃんとしてやんなきゃな」と恋人に得意げに言われ、ハナは「なんかつまんねえ」と反発する。共同経営する下北沢の古着屋では、ポリシーを曲げて売り上げを増やそうとする親友と対立し、バイト同然の立場に。結婚、金儲けといった「ありきたりの幸せ」は信じにくいが、自分だけの何かも見つからず、もう37歳。ハナは、そんな自分に苛立ち、戸惑うが…。ひたむきに生きる女性の心情を鮮やかに描く傑作長編。

  • 2006年11月 角川書店
  • 2009年6月 角川文庫

八日目の蝉(2007年3月)

直木賞作家・角田光代が全力を注いで書き上げた、心ゆさぶる傑作長編。不倫相手の赤ん坊を誘拐し、東京から名古屋、小豆島へ、女たちにかくまわれながら逃亡生活を送る希和子と、その娘として育てられた薫。偽りの母子の逃亡生活に光はさすのか、そして、薫のその後は――!? 極限の母性を描く、ノンストップ・サスペンス。第2回中央公論文芸賞受賞作。

  • 2007年3月 中央公論新社
  • 2011年1月 中公文庫

ロック母(2007年6月)

作家としての苦悩のはじまりに“しょぼんとたたずむ”忘れ難い作品、「ゆうべの神様」。シングルマザーになる覚悟で離島の実家に帰った私を待っていたのは、恐ろしいほど変わらない風景と“壊れた”母親だった。――川端康成賞受賞作、「ロック母」など、15年にわたる作家活動をあまさずとらえた傑作作品集。

  • 2007年6月 講談社
  • 2010年6月 講談社文庫

予定日はジミー・ペイジ(2007年9月)

流れ星を見つけたとき、あ、できたかもと思った。初めての妊娠。でも、「私、うれしくないかもしれない」。お腹の生命も大事だけど、生活って簡単に変えられないよ。ひとり驚喜する夫さんちゃんを尻目に、頼りなくも愛おしい妊婦マキの奮闘が始まる。目指すは、天才ロック・ギタリストの誕生日と同じ出産予定日! 笑えて、泣けるマタニティ小説。著者描き下ろしイラスト多数収録。

  • 2007年9月 白水社
  • 2010年8月 新潮文庫

三面記事小説(2007年9月)

「私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました…」誰もが滑り落ちるかもしれない、三面記事の向こうの世界。なぜ、姉夫婦の家は不気味な要塞のようになってしまったのか? 家出少年を軟禁する主婦の異常な執着心。「死んでしまえ」と担任の給食に薬物を混ぜる女子生徒。平穏な日常が音をたてて崩れてゆく瞬間のリアルな肌触り、追いつめられていく様子。現実の三面記事に書かれた、いわくありげな事件から著者が幻視した、6つの短篇。

  • 2007年9月 文藝春秋
  • 2010年9月 文春文庫

マザコン(2007年11月)

「あなたはマザコンよ、正真正銘の」と妻に言われ、腹立ちまぎれに会社の女の子と寝てしまったぼく。夫より母親を優先する妻のほうこそ、マザコンではないのか。苛立つぼくの脳裏に、死の床から父が伸ばした手を拒む母の姿がよみがえり…。表題作ほか、大人になった息子たち娘たちの、母親への様々な想いを描く作品集。疎ましくも慕わしい母と子の関係――胸がしめつけられる、切なくビターな8編。

  • 2007年11月 集英社
  • 2010年11月 集英社文庫

福袋(2008年2月)

私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に生まれてくるのかもしれない……8つの短篇を通して直木賞作家が描く、心と人生のブラックボックス。話題の連作小説集。

  • 2008年2月 河出書房新社
  • 2010年12月 河出文庫

三月の招待状(2008年9月)

8歳年下の彼氏と暮らす充留は、ある日、大学時代からの友人夫婦の「離婚式」に招かれる。昔の仲間が集まるそのパーティで、充留は好きだった男と再会するが、彼は人妻になった麻美とつきあいはじめ…。出会って15年、10代から30代へと年齢を重ねた仲間たち。友情、憧れ、叶わなかった想い――再会をきっかけによみがえるあの頃の記憶と、現在の狭間で揺れる姿を描く、大人の青春小説。

  • 2008年9月 集英社
  • 2011年9月 集英社文庫

森に眠る魚(2008年12月)

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。あの子さえいなければ。私さえいなければ…。凄みある筆致であぶりだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。衝撃の母子小説。

  • 2008年12月 双葉社
  • 2011年11月 双葉文庫

くまちゃん(2009年3月)

風変わりなくまの絵柄の服に身を包む、芸術家気取りの英之。人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近したゆりえ。舞台女優の夢を捨て、有望画家との結婚を狙う希麻子。ぱっとしない毎日が一変しそうな期待に、彼らはさっそく、身近な恋を整理しはじめるが……。ふる/ふられる、でつながる男女の輪に、学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。

  • 2009年3月 新潮社
  • 2011年11月 新潮文庫

ひそやかな花園(2010年7月)

幼い頃、毎年家族ぐるみでサマーキャンプをすごしていた7人。その思い出は輝かしい夏の大切な記憶だ。しかしキャンプは、ある年から突然中止になった。時は経ち、別々の人生を歩んでいた7人の中で一人が「あの集まり」の謎を探り始める。――このキャンプは何だったのか、なぜ突然なくなったのか。そして7人が再び会って衝撃の「真実」を知ったとき、彼らが選んださらなる道は――。すべての命に祝福を捧げる物語。

  • 2010年7月 毎日新聞社
  • 2014年2月 講談社文庫

なくしたものたちの国(2010年9月)

いつのまにかなくなったもの、というのが、人生にはたくさんある。たとえば、赤ん坊のときに好きだったぬいぐるみ。水玉模様のかさ。初めてできた友だち。恋とは気づけなかった幼くてまばゆい初恋……。松尾たいこの彩り豊かなイラストから角田光代が紡いだ5編の小説には、そんな愛しくてなつかしい記憶がぎっしり。人生の出会いと別れをこまやかに綴った、せつなくもあたたかい作品集。

  • 2010年9月 ホーム社
  • 2013年8月 集英社文庫

ツリーハウス(2010年10月)

じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣(よしつぐ)は、初めて家族のルーツに興味を持った。出入り自由の寄り合い所帯、親戚もいなければ、墓の在り処もわからない。一体うちってなんなんだ? この際、祖父母が出会ったという満州へ行ってみようか──。かくして、ばあさんとひきこもりの叔父さんを連れた珍道中が始まる。満州、そして新宿。熱く胸に迫る、小さな中華料理屋「翡翠飯店」三代記。伊藤整文学賞受賞作。

  • 2010年10月 文藝春秋
  • 2013年4月 文春文庫

かなたの子(2011年12月)

生まれるより先に死んでしまった子に名前などつけてはいけない――なにげない日常の隙間に口を開けている闇。それを偶然、覗いてしまった人々のとまどいと恐怖。日本の土俗的な物語に宿る残酷と悲しみが、現代に甦る。闇、前世、道理、因果。近づいてくる身の粟立つような恐怖と、包み込む慈愛の光。時空を超え女たちの命を描ききる。泉鏡花文学賞受賞の傑作短篇集。連続ドラマ原作。

  • 2011年12月 文藝春秋
  • 2013年11月 文春文庫

曽根崎心中(2012年1月)

著者初の時代小説
300年の時を超え、究極の恋物語がふたたび始まる。

口紅のとき(2012年1月)

初恋、結婚、別離…ドラマはいつも口紅とともに。角田光代書き下ろし短編小説。

紙の月(2012年3月)

ただ好きで、ただ会いたいだけだった―――わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花四十一歳。二十五歳で結婚し専業主婦になったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだった・・・・・・。あまりにもスリリングで、狂おしいまでに切実な、傑作長篇小説。各紙誌でも大絶賛された、第二十五回柴田錬三郎賞受賞作、待望の文庫化。

  • 2012年3月 角川春樹事務所
  • 2014年9月 ハルキ文庫

それもまたちいさな光(2012年5月)

デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。いまの生活に不満はないが、結婚しないまま1人で歳をとっていくのか悩みはじめていた。そんな彼女に思いを寄せる、幼馴染の駒場雄大。雄大と宙ぶらりんな関係のまま恋愛に踏み込めない仁絵には、ある理由があった…。2人の関係はかわるのか? 人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。「オール讀物」掲載と同時にTBS「開局60周年記念番組」としてラジオドラマ化した、異例のコラボレーション企画原作。

月と雷(2012年7月)

不意の出会い、気まぐれや衝動。無数の偶然に促されて、私たちみんな、進んでいく。自分にしかたどり着けない、見知らぬ場所に向かって――
幼い頃、泰子の家でいっとき暮らしをともにした見知らぬ女と男の子。まっとうとは言い難いあの母子との日々を忘れたことはない泰子だが、結婚を控えた今になって再び現れたふたりを前に、確かだったはずの「しあわせ」が否応もなく揺さぶられて……。水面に広がる波紋にも似た、偶然がもたらす人生の変転を、著者ならではの筆致で丹念に描く力作長編小説。

  • 2012年7月 中央公論新社
  • 2015年5月 中公文庫

空の拳(2012年10月)

入社三年目の出版社社員・空也が配属されたのはボクシング雑誌。ジムにまぎれこんでから広がる、パワフルで熱い世界を描く長編小説。

  • 2012年10月 日本経済新聞出版社
  • 2015年10月 文春文庫 上下

私のなかの彼女(2013年11月)

「男と張り合おうとするな」醜女と呼ばれながら、物書きを志した祖母の言葉の意味は何だったのだろう。心に芽生えた書きたいという衝動を和歌が追い始めたとき、仙太郎の妻になり夫を支える穏やかな未来図は、いびつに形を変えた。母の呪詛、恋人の抑圧、仕事の壁。それでも切実に求めているのだ、大切な何かを。全てに抗いもがきながら、自分の道へ踏み出してゆく、新しい私の物語。

  • 2013年11月 新潮社
  • 2016年5月 新潮文庫

平凡(2014年5月)

妻に離婚を切り出され取り乱す夫と、その心に甦る幼い日の記憶(「月が笑う」)。人気料理研究家になったかつての親友・春花が、訪れた火災現場跡で主婦の紀美子にした意外な頼みごと(「平凡」)。飼い猫探しに親身に付き添うおばさんが、庭子に語った息子とおにぎりの話(「どこかべつのところで」)。人生のわかれ道をゆき過ぎてなお、選ばなかった「もし」に心揺れる人々を見つめる六つの物語。

  • 2014年5月 新潮社
  • 2019年8月 新潮文庫

笹の舟で海をわたる(2014年9月)

朝鮮特需に国内が沸く日々、坂井左織は矢島風美子に出会った。陰湿ないじめに苦しむ自分を、疎開先で守ってくれたと話す彼女を、しかし左織はまるで思い出せない。その後、左織は大学教師の春日温彦に嫁ぐが、あとを追うように、風美子は温彦の弟潤司と結婚し、人気料理研究家として、一躍高度成長期の寵児となっていく…。平凡を望んだある主婦の半生に、壮大な戦後日本を映す感動の長篇。「本の雑誌」2014年第1位。

  • 2014年9月 毎日新聞社
  • 2017年7月 新潮文庫

おまえじゃなきゃだめなんだ(2015年1月)

ジュエリーショップで、婚約指輪を見つめるカップルたち。親に結婚を反対されて現実を見始めた若い二人と、離婚を決めた大人の二人。それぞれの思いが形になる光景が胸に響く「消えない光」他23編。人を好きになって味わう無敵の喜び、迷い、信頼と哀しみ、約束の先にあるもの――。すべての大人に贈る宝石のような恋愛短編集!

坂の途中の家(2016年1月)

最愛の娘を殺した母親は、私かもしれない。虐待事件の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇に自らを重ねていく。社会を震撼させた虐待事件と〈家族〉であることの光と闇に迫る心理サスペンス。

  • 2016年1月 朝日新聞出版
  • 2018年12月 朝日文庫

拳の先(2016年3月)

ボクシング雑誌の休刊を機に、念願の文芸部門に異動した那波田空也。久々に鉄槌ジムを訪れると、ジムの花形選手の立花やいじめられっ子の小学4年生・ノンちゃんに出会う。彼らはそれぞれの恐怖を抱きながら、「拳」をふるって戦っていた。
不安になって、傷ついて、怖がって、逃げたくなっても、きみたちはなぜ戦うのか。前作『空の拳』に続き、ボクシングを通して本気で生きるとは何かを問う青春エンタテインメント!

  • 2016年3月 文藝春秋
  • 2018年10月 文春文庫

私はあなたの記憶のなかに(2018年2月)

《「さがさないで。私はあなたの記憶のなかに消えます。夜行列車の窓の向こうに、墓地の桜の木の彼方に、夏の海のきらめく波間に、レストランの格子窓の向こうに。おはよう、そしてさようなら。」――姿を消した妻をさがして僕は記憶をさかのぼる旅に出た。》(表題作)のほか、《初子さんは扉のような人だった。小学生だった私に、扉の向こうの世界を教えてくれた。》(「父とガムと彼女」)、《K和田くんは消しゴムのような男の子だった。他人の弱さに共振して自分をすり減らす。》(「猫男」)、《イワナさんは母の恋人だった。私は、母にふられた彼と遊んであげることにした。》(「水曜日の恋人」)、《大学生・人妻・夫・元恋人。さまざまな男女の過去と現在が織りなす携帯メールの物語。》(「地上発、宇宙経由」)など八つの名短篇を初集成。
少女、大学生、青年、夫婦の目を通して、愛と記憶、過去と現在が交錯する多彩で技巧をこらした物語が始まる。角田光代の魅力があふれる魅惑の短篇小説集。

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