蛇にピアス(金原ひとみ)のあらすじ(ネタバレあり)・解説・感想

蛇のように舌を二つに割るスプリットタンに魅せられたルイは舌ピアスを入れ身体改造にのめり込む。第27回すばる文学賞、第130回芥川賞をダブル受賞した衝撃的なデビュー作。

蛇にピアス(金原ひとみ)の作品情報

タイトル
蛇にピアス
著者
金原ひとみ
形式
小説
ジャンル
純文学
執筆国
日本
版元
集英社
初出
すばる、2003年11月号
刊行情報
集英社文庫
受賞歴
第27回すばる文学賞
第130回芥川賞

蛇にピアス(金原ひとみ)のあらすじ・概要

ルイはアマのスプリット・タンに惹かれ、シバさんの指導の下、自分の舌にもピアスを入れる。さらにシバさんに、背中に麒麟と龍の刺青を入れてもらう約束も取り付ける。しかし、アマと喧嘩した暴力団風の男の死亡記事を見てから、ルイに不安が襲い始める。

蛇にピアス(金原ひとみ)の目次

作者

金原 ひとみ かねはら・ひとみ(1983年8月8日 – )

小説家。東京都出身。文化学院高等課程中退。不登校の経験があり、12歳にして小説を書き始める。20歳の時に周囲の勧めを受けて応募した「蛇にピアス」で、第27回すばる文学賞を受賞。2004年には、同作で第130回芥川賞を受賞し大きな話題となる。

蛇にピアス(金原ひとみ)の刊行情報

『蛇にピアス』集英社、2004年1月
『蛇にピアス』集英社文庫、2006年6月

映画版関連動画

『蛇にピアス』2008年9月20日

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漫画版

渡辺ペコ『蛇にピアス』集英社、2004年12月

2004年にデビューした渡辺ペコの初単行本化作品。作者本人が語っているように、作画に荒さはあるが、文学的な雰囲気が良く出た作品に仕上がっている。

単なるコミカライズではなく、再構築したともいえる作品。

蛇にピアス(金原ひとみ)の登場人物

ルイ
主人公。19歳。アマのスプリット・タン(蛇のように舌に二股の切れ目を入れること)に惹かれ、身体改造に興味を持ち始める。

アマ
ルイの恋人で同棲中。スプリット・タンの他にも、顔中にピアスをしたり、腕に派手な刺青をしたりと、かなりの身体改造を施している。

シバさん
身体改造の店『Desire』オーナー。刺青を彫ることに加えて、ピアスも扱っている。顔面を埋め尽くすほどのピアスをしているが、「人の形を変えるのは神だけに与えられた特権」という信条から、スプリット・タンはしていない。

蛇にピアス(金原ひとみ)の感想・解説・評価

この先の内容は、ネタバレを含んでいるため注意してご覧ください。

とても冷めた”現代的な”登場人物

舌にピアスを刺し、龍の刺青を入れたパンク男、アマと知り合ったルイ。アマの二股の舌に興味を抱いたルイは、シバという男の店で、躊躇なく自分の舌にもピアスを入れる。それを期に、何かに押されるかのように身体改造へとのめり込む、そんな物語です。すばる文学賞に応募され、そのまま芥川賞を受賞した著者のデビュー作です。

本作では、徐々に舌を裂いていくスプリットタン、背中一面に施される刺青、SM的なセックスシーン、そんなものが描かれています。ある意味現代的といえるようなその描写にばかり目が向いてしまいますが、筆者が見てほしいのはそこだけではないと思いました。

特徴的なのは、主人公のルイが世界を冷ややかな目で見ているということです。冷めているというか、どうなってもいいというような現代の若者に共通している点をルイも兼ね備えています。

不安定なアマとルイの変化

アマはメンタルが不安定な一面を持っています。怒ると死ぬまで人を殴り続け相手の歯を折って持ってきます。かと思えば、バイトが忙しいルイの帰宅が30分遅れるだけで寂しがって電話をしてきたりします。

冷静な彼女もアマがいなくなると、人が変わったように慌てだすのです。その差があまりにも大きいんです。

アマが死んだ後、ルイの体重は34キロまで落ちてしまいます。命にかかわりそうな痩せ方です。アマの死体を見たからなのか、ショックからなのかはわかりませんが、それまでただの冷めた登場人物でしかなかったルイが、急に生き生きとし始めるのです。

体重が激減し、病的ともいえるその状態のほうが、生きているという実感にあふれているのです。そのルイの姿を見ると、舌にピアスをさしていたのは、痛みで「生」を確かめようとしていたのではないかということに思い至ります。

ショッキングな内容に目を奪われがちな芥川賞受賞作

本作は芥川賞にふさわしくないという声がよく聞かれます。徐々に舌を裂いていくスプリットタン、背中一面に施される刺青、SM的なセックスシーン…そのような過激な描写に苦手意識が生まれることもあるでしょう。

しかし、それらの描写は作品の一要素でしかありません。

「きっと、私の未来にも、刺青にも、スプリットタンにも、意味なんてない。」

過激な行為を行う彼らの背後にどんな気持ちが潜んでいるのか。そんなところにも視線を向けてみるのもいいと思います。

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蛇にピアス(金原ひとみ)の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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