罪と罰(ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレなし)・解説・感想

『カラマーゾフの兄弟』、『白痴』、『悪霊』、『未成年』と並ぶ、後期五大長編小説。「現代の預言書」とも呼ばれ、ドストエフスキーの実存主義的な考え方を垣間見ることができる。

罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)の作品情報

タイトル
罪と罰
著者
フョードル・ドストエフスキー
形式
小説
ジャンル
犯罪
ヒューマニズム
執筆国
ロシア
版元
不明
執筆年
不明
初出
ロシア報知、1866年1月号-12月号
刊行情報
下記
翻訳者
下記

罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)のあらすじ・概要

ドストエフスキーの代表作のひとつ。日本をはじめ、世界の文学に決定的な影響を与えた犯罪小説の雄。歩いて七百三十歩のアパートに住む金貸しの老女を、主人公ラスコーリニコフはなぜ殺さねばならないのか。ひとつの命とひきかえに、何千もの命を救えるから。

罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)の目次

作者

フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821年11月11日 – 1881年2月9日)

ロシアの小説家。思想家。レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪である。代表作に『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』などがある。

罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)の刊行情報

  • おすすめ工藤精一郎訳『罪と罰 上下』新潮文庫、1987年/改版2010年
  • 江川卓訳『罪と罰 上中下』岩波文庫
  • 池田健太郎訳『罪と罰 上下』中公文庫、1994年
  • 亀山郁夫訳『罪と罰 上中下』光文社古典新訳文庫、2008年-2009年
  • 米川正夫訳『罪と罰 上下』角川文庫

映画版関連動画

  • 1923年『ラスコーリニコフ』ドイツ:ロベルト・ヴィーネ監督
  • 1935年『罪と罰』アメリカ:ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督
  • 1935年『罪と罰』フランス:ピエール・シュナール監督
  • 1956年『罪と罰』フランス:ジョルジュ・ランパン監督
  • 1958年『罪と罰』アメリカ:デニス・サンダース監督
  • 1970年『罪と罰』ソ連:レフ・クリジャーノフ監督
  • 1983年『罪と罰 – 白夜のラスコーリニコフ』フィンランド:アキ・カウリスマキ監督
  • 2003年 『罪と罰』イギリス:マイケル・ダーロウ監督

罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)の登場人物

ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ
孤独な主人公。学費滞納のために大学から除籍され、ペテルブルグの粗末なアパートに下宿している。

ソフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ
マルメラードフの娘。家族を飢餓から救うため、売春婦となった。ラスコーリニコフが犯罪を告白する最初の人物である。

ポルフィーリー・ペトローヴィチ
予審判事。ラスコーリニコフを心理的証拠だけで追い詰め、鬼気迫る論戦を展開する。

アヴドーチヤ・ロマーノヴナ・ラスコーリニコワ
ラスコーリニコフの妹。美しく芯の強い、果敢な娘。兄や母の事を考え裕福な結婚をするため、ルージンと婚約するが、ルージンの横柄さに憤慨し、破局する。

ドミートリィ・プロコーフィチ・ウラズミーヒン
ラスコーリニコフの友人。ラズミーヒンと呼ばれる。変わり者だが誠実な青年。ドゥーニャに好意を抱く。

セミョーン・ザハールイチ・マルメラードフ
居酒屋でラスコーリニコフと知り合う、飲んだくれの九等官の退職官吏。ソーニャの父。

アリョーナ・イワーノヴナ
高利貸しの老婆。未亡人。悪徳なことで有名。ラスコーリニコフに殺害され金品を奪われる。

罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)のあらすじ(ネタバレなし)

罪と罰第1巻のあらすじ

ドストエフスキーの代表作のひとつ。日本をはじめ、世界の文学に決定的な影響を与えた犯罪小説の雄。歩いて七百三十歩のアパートに住む金貸しの老女を、主人公ラスコーリニコフはなぜ殺さねばならないのか。ひとつの命とひきかえに、何千もの命を救えるから。

罪と罰第2巻のあらすじ

目の前にとつぜん現れた愛する母と妹。ラスコーリニコフは再会の喜びを味わう余裕もなく、奈落の底に突きおとされる。おりしも、敏腕の予審判事ポルフィーリーのもとに出向くことになったラスコーリニコフは、そこで背筋の凍るような恐怖を味わわされる。すでに戦いは始まっていた。

罪と罰第3巻のあらすじ

殺人を犯した者の詳細な運命がつづられる最終巻。ラスコーリニコフをはじめ、母、妹、友人、そして娼婦ソーニャなど、あらゆる「主人公たち」が渦巻きながら生き生きと歩き、涙し、愛を語る。ペテルブルグの暑い夏の狂気は、ここに終わりを告げる…。

罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)の感想・解説・評価

世界文学史に残る傑作

文豪として今日揺るがない名声を獲得したドストエフスキーの代表作である。傑作と名高い後期五大長編小説の中でも『罪と罰』は『カラーマゾフの兄弟』と双璧をなす作品である。

後世の様々な分野へ影響を与えており、漫画界でも手塚治虫『罪と罰』や大島弓子 『ロジオン ロマーヌイチ ラスコーリニコフ -罪と罰より-』 から、漫画太郎『罪と罰』、朝霧カフカ『文豪ストレイドッグス』と現代にいたるまで多数のフォロワーが生まれている。

世界中で共感される主人公ラスコーリニコフ

主人公・ラスコーリニコフは学費の支払いが滞ったために大学を除籍された学生。家族から期待をかけられているが、実際は除籍された孤独な身の上であり、粗末なアパートに暮らしている。そんな彼は自分の事を「凡人ではなく、自分はなにか大きな仕事をやり遂げる選ばれた人間だ」という考えを持っている。

この小説を読んだ世界中の若者たちがラスコーリニコフに共感するのも当然だ。

とくに、地元では優秀な成績を収めて大学に進学したが、大学での成績はそれほどでもない。家族からは期待されているが、自分としてはそれほど立派な人物というわけでもなく、だがなにかできるのではないかと漠然とした自信を持っている…なんてタイプの人だ。

金銭的に困窮すると精神的にもツラくなる。そんなときにお金持ちというのはそれだけで嫌いになってくるものだ。もちろんそれだけで実際に殺人や強盗に及ぶ人というのは限られているが、特にあくどい金儲けをしている人となるとそれだけで嫌いになったりする。

そんなタイプの人が、『罪と罰』を読んだときにラスコーリニコフの姿を自分だと重ね合わせる。そうやって読み進めていくと『罪と罰』は忘れられない読書体験になるだろう。

ソーニャによる文学的感動

大まかに言うと『罪と罰』はラスコーリニコフが老婆を殺す序盤、予審判事ポルフィーリィと推理小説さながらの論戦を展開する中盤、ソーニャの力を借りて罪に向かい合っていく終盤というような構成になっている。

ラスコーリニコフは「一つの微細な罪悪は百の善行に償われる」という身勝手な倫理観から犯罪を犯すが、現場に偶然居合わせたその妹まで殺害してしまう。この思いがけぬ殺人に、ラスコーリニコフの罪の意識が増長し、苦悩することになる。その苦悩を反省に導いていく存在がソーニャだ。とくにラストシーンの2人のやり取りは文学史に残る名シーンで、多くの読者に感動を与えた場面である。

罪と罰(フョードル・ドストエフスキー)の評判・口コミ・レビュー

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