【おすすめ】北朝鮮拉致問題について知りたいときに読むべき本を紹介します

6月5日、北朝鮮による拉致被害者である横田めぐみさんの父である横田茂さんが亡くなりました。横田さんは北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の代表を務めるなど、事件解決に向けて尽力されてきた方です。

記者会見では横田茂さんの息子であり、めぐみさんの弟さんである哲也さんの発言内容も話題になりました。

拉致問題が明らかになってから長い時間が経ちましたが、完全解決には至っていないのが現状です。

今回の記事では、知っているようで実は知らない拉致問題についての理解を深めるために読むべき本を紹介します。

拉致問題や北朝鮮に関しては多くの著作が発表されていますが、今回は拉致被害者家族の著作を中心に紹介します。学術的な見地からすれば他にも良い本があるのかもしれませんが、拉致被害者の心境や状況を知ることがまずは一番ではないでしょうか。

北朝鮮拉致問題について知りたいときに読むべき本4選

めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる

昭和五十二年十一月、日本海に面した新潟の町から一人の少女が忽然と姿を消した。新潟市立寄居中学の一年生だった横田めぐみさん、十三歳。大がかりな捜索も虚しく、生死不明のまま二十年が過ぎた平成九年、両親のもとに驚くべき事実が伝えられた。めぐみさんは北朝鮮の工作員に拉致され、平壌で暮らしていると…。ある日突然、理不尽な事件に巻き込まれ、愛する娘と引き離された母が、二十年に及ぶ辛苦の日々を綴った慟哭の手記。

最初に紹介するのは、横田めぐみさんの母・早紀江さんが書かれた本です。

めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる」とのタイトルの通り伝わってくるのは、娘に対する母の愛の強さです。長年拉致事件に対して熱意をもって活動を続けてこられたわけですが、それが愛ゆえのものであるということが痛いほどわかります。

当時は北朝鮮による拉致だということも分からず、わずかの手がかり(と思われたもの)から娘の行方を捜し続けられたわけです。その間の悲痛な想いと早紀江さんを支えたキリスト教の描写が心に残ります。

めぐみさんが拉致された直後の描写は悲惨なもので涙なしには読めませんでした。きっとこの本を読めば、拉致問題が重大な国際犯罪であり解決されなければならない事案であると強く思うでしょう。

なお、1999年に刊行された本のため、小泉首相の訪朝や拉致被害者5名の帰国については書かれていません。

めぐみ

愛らしかった娘、明るかった姉、めぐみはいつも太陽のように横田家の中心にいた。だが、その光は突如奪われた。北朝鮮による拉致-13歳のいたいけな少女が、凶悪な国家犯罪に巻き込まれたのだ。これは、四半世紀を越える横田家の苦悶の日々と、事件を究明していく者たちを描く怒りと悲しみの記録である!

こちらは漫画。本そういちの描いたこの作品は、めぐみさんの幼少期から、拉致発生前後の横田家の様子、さらに拉致事件が明らかになった後の横田夫妻の行動を描いた作品になります。

作中のめぐみさんは笑顔が印象的な穏やかな少女という感じ。円満な家庭で育った田舎の13歳そのまんまのイメージです。それだけに拉致された直後の描写には心が痛みます。

漫画ということで、より読みやすく、当時の状況理解もしやすいんじゃないでしょうか。

めぐみへの遺言

金正恩さん、私たちにはもう時間がありません!とにかく自由にしてやりたい――愛する娘が消えて35年、魂の叫びを大激白!

こちらも横田夫妻の本。金正日死去を受けて、横田夫妻の”生の声”を収録した本だと言えます。横田茂さんが亡くなられてしまったため、遺言になってしまったでしょうか…

拉致問題が明るみになったなった後、被害者家族会の結成、小泉政権での訪朝、拉致被害者帰国などの進展が相次ぎました。しかしその後は問題は大きな進展を見せることなく停滞してしまっているのが現実です。

歯がゆい事態ですがが、一番残念に思っているのはもちろん拉致被害者本人とその家族です。拉致被害者やその家族がどれだけ活動をしようとも、北朝鮮との交渉のテーブルに座るのは政治家や外交官。政権が問題の解決に向けてもっと努力できたのではないか…そんなことを思わせられる本です。

拉致と決断

恋人と語らう柏崎の浜辺で、声をかけてきた見知らぬ男。「煙草の火を貸してくれませんか」。この言葉が、〈拉致〉のはじまりだった――。言動・思想の自由を奪われた生活、脱出への希望と挫折、子どもについた大きな嘘……。夢と絆を断たれながらも必死で生き抜いた、北朝鮮での24年間とは。帰国から10年を経て初めて綴られた、衝撃の手記。拉致の当日を記した原稿を新たに収録。

こちらは実際に拉致され、その後帰国した蓮池薫さんの手記。横田夫妻など拉致被害者家族によって書かれたものではなく、被害者本人の本です。

北朝鮮に関する問題の根幹は「北朝鮮がよくわからない」というところにあると思います。一種の鎖国状態で、メディアの取材も受け付けておらず、国の内情についてよく分からない。

その点この本は実際に北朝鮮で生活していた蓮池さんによって書かれたため、北朝鮮の人たちの生活がこと細かに描かれています。実際に自分の目によって見てきたものですから、説得力も抜群。北朝鮮という国が国民・庶民レベルでどんな国なのかということを知ることができると思います。

残念なのは拉致当時の状況が詳しく書かれていない点。あらすじを読んでその点に期待すると肩透かしを食らうかもしれません。また横田めぐみさんについての描写もなし。今も北朝鮮国内には複数の拉致被害者がいると思われますし、彼らについて配慮したのかもしれません。

終わりです。拉致問題を解決できるのは政治家と外交官しかいません。国民はこの大きな問題についてあまりにも無力ですが、その政治家を動かせるのも国民しかいないのです。そのためにはまず拉致問題を知ることが大切でしょう。

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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