昨日(アゴタ・クリストフ)のあらすじ(ネタバレなし)・感想・評価

昨日(アゴタ・クリストフ)の作品情報

タイトル
昨日
著者
アゴタ・クリストフ
形式
小説
ジャンル
亡命文学
執筆国
スイス
版元
不明
執筆年
1995年
初出
不明
刊行情報
早川書房、1995年
翻訳者
堀茂樹

昨日(アゴタ・クリストフ)のあらすじ(ネタバレなし)

本書はパリでも二カ月前に上梓されたばかりの、待望の長篇第四作。実に四年ぶりの書き下ろし小説となるが、『悪童日記』三部作とはまた違った独自のスタイルで、自らの亡命体験をもとにした「不可能な愛の物語」を描いている。

作者

アゴタ・クリストフ(1935年10月30日 – 2011年7月27日)

ハンガリー生まれ。1956年に発生したハンガリー動乱から逃れるため、スイスに亡命。1986年にフランス語で発表した小説『悪童日記』によって一躍脚光を浴び、その後、続篇の『ふたりの証拠』(88)、『第三の嘘』(91)を発表して三部作を完成させ、力量ある第一級の作家としての地位を確立した。
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昨日(アゴタ・クリストフ)の刊行情報

  • 堀茂樹訳『昨日』早川書房、1995年
  • 堀茂樹訳『昨日』ハヤカワepi文庫、2006年

昨日(アゴタ・クリストフ)の登場人物

サンドール・レステル(トビアス・オルヴァ)
主人公。村の娼婦だった母から離れ、戦争孤児を装って異国へ向かう。工場労働者。

ヨランド
サンドールの彼女。サンドールは愛しておらず、若くて綺麗だがそう思ってもいない。ブロンドの髪で背が低い。

カロリーヌ
サンドールの小学校の同級生。のちにサンドールと再会する。

昨日(アゴタ・クリストフ)の感想・解説・評価

亡命文学の儚い夢

著者のアゴタ・クリストフはハンガリー出身だが、ハンガリー動乱に際し西側に脱出。その後はスイス国内のフランス語圏に住み、工場に勤めたという。作中に具体的な国名は出てこないが、本作で主人公のサンドールが時計工場で毎日時計の部品に穴をあける仕事にうんざりしている様子は実体験が元になっていると言える。

サンドールは物書きであり、カロリーヌに作家になる夢を語るが、彼女にそれは夢に過ぎないと一蹴される。その後人生を愛していないことを確認したサンドールは物書きをやめ、一工場労働者としての生活を選ぶ。

作中でもっとも悲しいのはサンドールの出自でもなく、カロリーヌとの別れでもなく、彼が人生を愛していないことを確認するところだ。

日本から政情不安定による亡命者や難民はいない?が、人生を愛していないことを感じている人はいるだろう。その意味で本作は世界中で読まれ続ける小説であるといえる。

合わせて読みたい本

悪童日記

戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開します。

その日から、ぼくらの過酷な日々が始まります。人間の醜さや哀しさ、世の不条理。そんな非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記に記すことにしたのでした。

昨日(アゴタ・クリストフ)の評判・口コミ・レビュー

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