吉増剛造詩集(吉増剛造)の概要・解説・感想

現代日本を代表する先鋭的な詩人の一人として高い評価を受けている吉増剛造。その代表的な青春詩篇を収める。

吉増剛造詩集(吉増剛造)の作品情報

タイトル
吉増剛造詩集
著者
吉増剛造
形式
ジャンル
青春詩篇
執筆国
日本
版元
角川春樹事務所
執筆年
不明
初出
不明
刊行情報
ハルキ文庫、1999年

吉増剛造詩集(吉増剛造)のあらすじ(ネタバレなし)

作者

吉増剛造(1939 – )

詩人。東京府下(現杉並区)阿佐ヶ谷に生まれ。現代日本を代表する先鋭的な詩人の一人として高い評価を受けている。主な作品に『黄金詩篇』『王國』『The Other Voice』。詩の朗読パフォーマンスの先駆者としても知られる。
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吉増剛造詩集(吉増剛造)の刊行情報

  • 『吉増剛造詩集』ハルキ文庫、1999年

吉増剛造詩集(吉増剛造)の感想・解説・評価

プロフェッショナルな詩人による意味を持たない詩

詩人・思想家の吉本隆明は吉増を「日本でプロフェッショナルだと言える詩人が三人いる。それは田村隆一、谷川俊太郎、吉増剛造だ」とインタビューで評している。つまり高い評価を与えているわけだ。

吉増の詩は言葉の美しさや表現の多様さ、あるいは読みやすさや楽しみやすさというものを追い求めてはいないようだ。吉本によると、言葉の意味ではなく詩の価値を無限大にしたいという欲求があるらしい。

難解

言葉の意味を追い求めていないため、吉増の詩にはストーリーや物語性といったものは存在しない。または大きく剥ぎ取られている。この詩集に収められている詩は、それほど長大な作品というわけでもないし、複雑かつ特殊な形態を持っているものでもない。だが、物語を持っていないために“難解”という感想を抱く人もいそうだ。

本書には「疾走詩篇」をはじめ、青春詩篇が収めされている。その詩の”意味”や”完成度”というものから離れて詩を鑑賞するとき、読者は疾走感や投げやりとも言えるような寂しさを感じることができるだろう。

吉本が吉増と並んで言及した田村隆一には『言葉のない世界』という詩集がある。タイトルに並んだ「言葉」と「世界」という二つの単語は、稲川方人による、内面に秘めたままの「言葉(声、考へ)」と「世界(宇宙、全世界)」に立ち会うことは宿命的だとする本書の解説に重なる。本書を読むことによって、詩人における「言葉」と「世界」の関係性を探ることもできるかもしれない。

合わせて読みたい本

黄金詩篇

吉増の数々の詩篇の中でも最高傑作と名高い詩集です。

疾走感のある詩のエネルギーを感じられる作品だと思います。意味は分からない。どこが良いと思ったのかも説明できない。でも良いと思うんです。

根源乃手/根源乃(亡露ノ)手、……

吉本隆明の『日時計篇』について考えてきたという吉増剛造がその思考を言語化したものです。

吉増の思考は深く、並大抵の読者ではついていけません。それでも装丁と構成にこだわったこの本を読むことは、単なる読書を超えた一つの体験になると思います。
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吉増剛造詩集(吉増剛造)の評判・口コミ・レビュー

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