われはロボット(アイザック・アシモフ)のあらすじ(ネタバレなし)・解説・感想

ロボット工学三原則が初登場する近未来SF短篇集。創作の世界だけではなく、実際のロボット開発にも大きな影響を与えた。

われはロボット(アイザック・アシモフ)の作品情報

タイトル
われはロボット
著者
アイザック・アシモフ
形式
小説
ジャンル
SF
ミステリー
執筆国
アメリカ
版元
ダブルデイ社
執筆年
1940年―50年
初出
書き下ろし、1950年
刊行情報
ハヤカワ文庫〔決定版〕2004年8月
翻訳者
小尾芙佐

われはロボット(アイザック・アシモフ)のあらすじ(ネタバレなし)

ロボットは人間に危害を加えてはならない。人間の命令に服従しなければならない……これらロボット工学三原則には、すべてのロボットがかならず従うはずだった。この三原則の第一条を改変した事件にロボット心理学者キャルヴィンが挑む「迷子のロボット」をはじめ、少女グローリアの最愛の友である子守り用ロボットのロビイ、ひとの心を読むロボットのハービイなど、ロボット工学三原則を創案した巨匠が描くロボット開発史。

映画版関連動画

実写映画『アイ,ロボット』2004年7月16日

われはロボット(アイザック・アシモフ)の目次

  • 序章
  • ロビイ Robbie
  • 堂々めぐり Runaround
  • われ思う、ゆえに…… Reason
  • 野うさぎを追って Catch that Rabbit
  • うそつき Liar!
  • 迷子のロボット Little Lost Robot
  • 逃避 Escape!
  • 証拠 Evidence
  • 災厄のとき The Evitable Conflict

ロビイ Robbie
1940年、「スーパー・サイエンス・ストーリーズ」初出。1998年を舞台にした、アシモフ初のロボット小説。

われ思う、ゆえに…… Reason
1941年初出。ロボットが自己存在に好奇心を示す。

うそつき Liar!
1941年初出。人間の心が読めるロボットが現れたらどうなるか。ロボット工学三原則が生まれた作品。

作者

アイザック・アシモフ Isaac Asimov(1920年1月2日 – 1992年4月6日)

アメリカの作家、生化学者。SF、一般向け科学解説書、推理小説によってよく知られている。アシモフは、アーサー・C・クラーク、ロバート・A・ハインラインと合わせて三大SF作家 (The Big Three) と呼ばれる。SFの分野でヒューゴー賞を7回、ネビュラ賞を2回、ローカス賞を4回受賞している。

われはロボット(アイザック・アシモフ)の刊行情報

われはロボット(アイザック・アシモフ)の登場人物

スーザン・キャルヴィン
女性。USロボット社の主任ロボ心理学者。本作は82歳で亡くなったキャルヴィン博士の回顧録という形式を取っている。

ドノヴァン
USロボット社の新型ロボット実地テスト担当員。

パウエル
USロボット社の新型ロボット実地テスト担当員。

われはロボット(アイザック・アシモフ)の解説・感想・評価

ロボット工学三原則が初登場する近未来SF

アシモフの初期のロボットSF短編を収録した短篇集となる。本作の巻頭において初めてロボット工学三原則が示された。

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

—『ロボット工学ハンドブック』、第五十六版、西暦二〇五八年

小尾芙佐訳『われはロボット〔決定版〕アシモフのロボット傑作集』ハヤカワ文庫六刷

舞台は現代より少し技術の発達した近未来。すでに世界に国家や戦争はなく、ニューヨークを首都に地球には三十三億の人間が暮らしている。

本作はロボット心理学者のスーザン・カルヴィンが記者のインタビューに答えるという回顧録として描かれる。ロボットが人間と共に活動する中で、様々なトラブルが発生し、その原因を探るというストーリーだ。そのためSF小説であるとともに、ミステリー小説でもある。そして作中では「ロボット工学三原則」が明示される。

ロボットと人間らしさ

ロボット工学三原則第一条では「ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。」とする。

すなわちここでは、ロボットと人間が違うことが示されるわけだが、本作では世界はいくつかの地区に分かれ(ユーロ、北米圏、東アジアなど)すでに国家や戦争はなくなっており、雇用問題や食糧問題も過去のものになっている。

そんな世界で人間とロボットはどのように区別されるのか?つまり、ロボットに対する人間らしさというものが本作で問題提起される。

私たちが住む現実の社会でも今後ロボットはどんどん普及していくことになるだろう。いまの子どもたちが、生まれたときからコンピューターやスマートフォンに接しているように、生まれたときからロボットに接する世代も出てくるだろう。

そのときにロボットにない“人間らしさ”とは何なのか。そのことを考える必要性・必然性を本作は訴えている。

合わせて読みたい本

ロボットの時代 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集

月世界開発用に調整されたロボットが地球上で行方不明になって起こったとんでもない大騒動を描く「AL76号失踪す」、地球から派遣されたロボットと木星人との奇妙な遭遇「思わざる勝利」、美男子の召使いロボットのトニイと女主人クレアのただならぬ関係を描く「お気に召すことうけあい」など、様々なロボットたちの様子を描きます。

『われはロボット』の姉妹編となる短篇集です。

われはロボット(アイザック・アシモフ)の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望。高校時代からブログを始め、一時中断後、読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログを再開。普段は本を読みつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、囲碁、株式投資、マジック:ザ・ギャザリングも好きです。
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