日本の近代小説(中村光夫)の概要・要約・解説・感想

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明治文学、大正文学をおおまかな時代別に詳細に解説した一冊。

日本の近代小説(中村光夫)の作品情報

タイトル
日本の近代小説
著者
中村光夫
形式
学術書
ジャンル
文学史
執筆国
日本
版元
岩波書店
執筆年
不明
初出
不明
刊行情報
岩波新書、1954年9月20日

日本の近代小説(中村光夫)のあらすじ・概要

作者

中村 光夫(1911年2月5日 – 1988年7月12日)

文芸評論家、作家。第6代日本ペンクラブ会長、文化功労者、日本芸術院会員。東京帝国大学文学部仏文学科卒業。大学時代から『文學界』に評論を発表し新進の文芸評論家として注目された。戦後間もなく日本の私小説を厳しく批判し話題になった。30年間の長きにわたり芥川賞選考委員を務め、後進の発掘にも尽力した。

日本の近代小説(中村光夫)の刊行情報

日本の近代小説(中村光夫)の感想・解説・評価

明治・大正時代の日本文学をわかりやすく紹介するガイド本

文学史の近代をどの時代に設定するかについては様々な意見があるが、中村は明治維新から大正の終わりまでの60年間に設定。膨大な数の作家と作品をおおまかな時代に分けて紹介している。

しかも文学史の教科書に書いてあるような箇条書きではなく、簡単な内容や時代的背景、作品の意義や価値についても書いてあるため、文学・歴史の知識がなくても読み進めることができる。とくに同年代への影響は現代からはわかりにくいためうれしいポイントだ。

明治の初頭は「文学者を一種の落伍者と見なすのは、この時代の「健全」な社会の常識であった」というような時代であったらしい。文明開化と富国強兵の時代で、実務的な技能が求められていたとのことで(この辺りは現代と一緒だ)、坪内逍遥「当世書生気質」に対して福沢諭吉が「文学士ともあろうものが小説などという卑しいことに従事するとはけしからん」と発言するような時代だったとのこと。現代なら東大卒でYouTuberなんて…みたいなイメージかもしれない。

政治&翻訳小説の時代を経て、国内では旧士族の反乱が相次ぐ。しかし最大の役となった西南戦争でも政府軍に敗北。これ以降武力闘争が政治運動に変換していった。知識人たちも、文学の担い手としての役割を果たすようになり、硯友社中心に文壇が形成された。

その後には自然主義文学が盛り上がったり、耽美派が勃興したり、白樺派が活躍したりと様々な文学運動が起こる…そのような内容が中村の視点や文学観を交え紹介されていきます。

日本文学はその時代を写した鏡である

本書の中で、小説、とくに日本近代文学は、その時代背景を写した鏡であると紹介されている。

つまり小説とは、時代背景、作家の動機、当代への影響などを色濃く反映したものなのだ。小説を読むとき、背景知識があるとないとでは、共感や感動というものが変わってくる。

人間の精神や習性などはいつの時代も変わるものではないが、時代背景を詳しく知っている分、現代のほうが共感でき感動できる小説が多いと感じるのかもしれない。

合わせて読みたい本

日本の現代小説

中村は昭和文学を紹介した「日本の現代小説」も書いている。

本書から続けて読むと、明治、大正、昭和の時代の文学史にかなり詳しくなれること請け合いだ。

日本の近代小説(中村光夫) の評判・口コミ・レビュー

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