美味礼讃(ブリア=サヴァラン)の概要・解説・感想

美味礼讃(ブリア=サヴァラン)の作品情報

タイトル
美味礼讃
著者
ブリア=サヴァラン
形式
随筆
ジャンル
料理
哲学
執筆国
フランス
版元
不明
執筆年
不明
初出
書き下ろし、1825年
刊行情報
1967年、岩波文庫
翻訳者
関根秀雄
戸部松実

美味礼讃(ブリア=サヴァラン)のあらすじ

美食家でもあったジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランによる、食事にまつわる事柄について哲学的考察を進めてゆく随筆集である。

作者

ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン(1755年4月1日 – 1826年2月2日)

フランスの法律家、政治家。ただし、何にもまして『美味礼讃』を著した食通として有名である。本来の姓は「ブリア」だが、サヴァランという女性が全財産を相続させる条件として自分の名前を受け継ぐことを要求したため、「ブリア=サヴァラン」を名乗った。

美味礼讃(ブリア=サヴァラン)の刊行情報

美味礼讃(ブリア=サヴァラン)の感想・評価

料理本ではない

「美味礼讃」という、「美味しい物万歳!」なタイトル、そして岩波文庫版表紙に書いてある「名だたる食通だった」という著者の紹介から、料理本だと思って読み始めたが、実際は違った。

著者のサヴァランは、ヨーロッパ中の言語、解剖学、生理学、化学、天文学、考古学、文学を学び法律家として生涯をおくった博学の人である。そのうえ、詩をつくることもあれば、作曲もできたというのだから様々な知識を有していた人のようだ。

本書はそんな知識・学識に長けた人物が大好きな料理や厨房に関して哲学的な考察を行った文章をまとめたものと言える。

哲学的考察を行った随筆集

巻頭には「生命がなければ宇宙もない。そして生きとし生けるものはみな養いをとる」から始まるアフォリスムが収録されているように、本書には作者サヴァランの料理を中心とした日常生活に対する思索がまとめられている。

本書はサヴァランが70歳の時に刊行。刊行の2か月後には亡くなったとのことだから、最晩年の著作となる。

著者は様々な言葉に自分の定義を示したうえで、豊富な学識からの知見、歴史的な変遷、実在の人物のエピソードを絡め、哲学的な考察を進めていく。ひとりよがりというか、そこが鼻につくといえなくもないが、それが一定のおもしろさと品を保っているのは著者の持つユーモアのなせる業だろう。最晩年にこれだけのユーモアと学識を両立させることはそれほど簡単なことではない。

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