屍人荘の殺人(今村昌弘)のあらすじ(ネタバレなし)・感想

大学の映画研究会の夏合宿において、合宿先の別荘紫湛荘(しじんそう)で起きた連続殺人事件に遭遇したミステリー愛好会のメンバーたち。彼らが生き残りを懸けて真相を追うさまを描く。

屍人荘の殺人の作品情報

タイトル
屍人荘の殺人
著者
今村昌弘
形式
小説
ジャンル
ミステリ
執筆国
日本
版元
東京創元社
初出
新人賞応募作
刊行情報
創元推理文庫
受賞歴
第27回鮎川哲也賞
このミステリーがすごい! 2018年度版 第1位
週刊文春ミステリーベスト10 2018年度版 第1位
2018 本格ミステリ・ベスト10 第1位
第15回本屋大賞第3位
第18回本格ミステリ大賞

屍人荘の殺人のあらすじ(ネタバレなし)

神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態に見舞われ荘内に籠城を余儀なくされるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。たった一時間半で世界は一変した。数々のミステリランキングで1位に輝いた第27回鮎川哲也賞受賞作!

屍人荘の殺人の目次

作者

今村 昌弘 いまむら・まさひろ(1985年 – )

小説家。長崎県出身。岡山大学医学部保健学科を卒業後、放射線技師として働きながら小説を書き続ける。29歳で退職して執筆に集中し、2017年『屍人荘の殺人』で第27回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。選考委員の北村薫らに激賞され、「このミステリーがすごい!2018」第1位、「2018 週刊文春ミステリーベスト10」第1位、「2018 本格ミステリ・ベスト10」第1位、第15回本屋大賞第3位、第18回本格ミステリ大賞など高評価を受けた。

屍人荘の殺人の刊行情報

『屍人荘の殺人』東京創元社、2017年10月
『屍人荘の殺人』創元推理文庫、2019年9月

漫画版『屍人荘の殺人』

ミヨカワ将『屍人荘の殺人』少年ジャンプ+、2019年5月25日~

映画『屍人荘の殺人』

映画『屍人荘の殺人』2019年12月13日
監督:木村ひさし、出演:神木隆之介、浜辺美波、葉山奨之、矢本悠馬、中村倫也

屍人荘の殺人の登場人物

葉村 譲(はむら ゆずる)
神紅大学経済学部1回生。ミステリ愛好会会員。
当初はミステリ研究会に入るつもりだったが、部員たちからミステリに対する情熱が感じられず入部を躊躇していたところに、真のミステリ好きである明智に誘われて、学校非公認のミステリ愛好会に入会。入会後に会員は明智と自分の2人だけだと知る。

明智 恭介(あけち きょうすけ)
神紅大学理学部3回生。ミステリ愛好会会長。「神紅のホームズ」。リムレス眼鏡をかけている。
ミステリ愛好会の知名度を上げるべく、あらゆるサークルに「入用の時には声掛けを」と名刺を配り歩き、実際に学内で起こった事件をいくつか解決している。さらに学内だけでは飽き足らず探偵事務所や警察にまで顔を出し事件に首をつっこもうとする。

剣崎 比留子(けんざき ひるこ)
神紅大学文学部2回生。横浜の名家のお嬢様。髪は肩より少し長い。髪の色は黒。身長は150センチと少し。
警察ですら手を焼く難事件をいくつも解決へ導いた実績を持つ。明智が映画研究部の合宿に参加したがっているのを聞きつけ、交換条件付きで同行を求めてきた。

屍人荘の殺人の冒頭あらすじ(ネタバレあり)

屍人荘の殺人の冒頭ストーリー(あらすじ)を簡単に紹介しています。この先の内容は、人によってはネタバレを含んでいるとも思うかもしれないため注意してご覧ください。

主人公の葉村 譲(はむら ゆずる)[万年助手のワトソン]は大学一年生。趣味はミステリ小説を読むことという、自他ともに認めるミステリ好きだ。当初はミステリ研究会に入るつもりだったが、研究会の会員たちからはミステリに対する情熱が感じられず入会を躊躇っていた。そのときミステリ愛好会の会長・明智 恭介(あけち きょうすけ)[自称・ホームズ]に誘われて非公認サークルながら愛好会のほうに入会することになる。

そんな2人の前に現れたのは、剣崎 比留子(けんざき ひるこ)[謎の美少女探偵]。比留子は映画研究部の合宿にて女子部員が一人行方不明になっていることを話し、部に脅迫状が送られてきていることを明かす。

いくつもの難事件を解決に導いてきた比留子の話に、恭介は「これは彼女からの挑戦状だ」と発奮。3人で合宿の舞台・紫湛荘に向かうことになった。

そんな中、紫湛荘では他殺死体が発見される。これを見た比留子は「前代未聞の密室殺人」だと宣言。15人の容疑者の中に犯人がいると考えているという。

悲劇はそれだけにとどまらず、紫湛荘では次なる事件が起こるのだった。

屍人荘の殺人の感想・解説・評価

ネタバレを見る前に読んでほしい新本格系のミステリ

本作「屍人荘の殺人」は今村昌弘のデビュー作だ。デビュー作ながらミステリ四冠を達成し大いに注目された。映画版の公開も目前に迫っており、単なる話題作に留まらず長く読まれる作品でもあるだろう。

さて、本作の舞台は湖畔のペンション。読みやすい文章に加え、舞台やキャラクターの設定から、綾辻行人を代表格とする新本格ミステリ然とした小説に仕上がっている。

ただ、シンプルなミステリ小説ではなく、ホラー小説の要素も組み込まれている。これはアイデアが出尽くしたと言われる密室トリックに新たな風を吹き込もうとしたからとのこと。ホラー小説はシリアスな展開と緊張感のある文章が持ち味なため、ライトな雰囲気の本作にとってどれだけ効果的だったのかの判断は難しい。

館の見取り図、少し現実的ではない殺害方法、犯行方法の解明などミステリ小説の要素にパニックホラー的な要素、そして個性的(すぎるよう)な登場人物たち。ミステリ小説でもあり、ホラー小説でもあり、ライトノベル的でもある。

本作は本格ミステリ大賞を受賞していることもあり、本格ミステリ小説として読むと、またホラー小説として読むと不満を覚える人もいるかもしれない。

しかし個人的にはデビュー作で散らかることなくこれだけの要素を合わせた作者の力量は見事だと思う。綾辻行人が島田荘司の推薦と共に『十角館の殺人』でデビューして新本格という言葉が使われ始めたように、今後『屍人荘の殺人』の登場を機に新しいジャンルが生まれても不思議ではないと思う。

とにかくネタバレを見ることなく読んでほしい一冊だ。

合わせて読みたい本

十角館の殺人

新本格の代表格とされる綾辻行人のデビュー作。

舞台は孤島といわゆるクローズド・サークルもの。とにかく読んでいて驚かされ、ミステリ小説の新たな王道だと思います。初心者の入門にもおすすめな作品です。

こちらも事前知識を入れることなく読んでほしい作品です。

屍人荘の殺人の評判・口コミ・レビュー

この記事を書いた人
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平成生まれ。ライター、ブロガー、文筆家志望、Twitterで書評を書いている人。読んだ本が1万冊を超えたことを機に2017年からブログ再開、2020年は戦後思想史を勉強しつつ小説を書いています。好きな作家はカフカ、ガルシア=マルケス、村上春樹、大江健三郎、庄司薫、佐藤泰志など。そのほか、ラテンアメリカ文学、英ロック、欅坂46、囲碁、宮下草薙も好きです。
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